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さあ、そろそろ2024新勧に向けて動いていく時期ですよ!!
強く大きいチームを作るために、インカレより重要なイベントといってもいい新勧。
目標を達成できる人数が入ってくれるとは必ずしも限りませんし、正直、運やめぐり合わせもあります。
しかし間違いないのは準備してきた成果が新勧では必ず出ます。これについては、1年間インカレをめざして準備を積み重ねていくことと、共通しているところがあるということです。
新勧では目標と準備、人・物・金・情報の資源の投入、広報力と部員の魅力、そして何より情熱――仲間を増やす事への熱意ですが、この中で重要な位置を占める「広報力と部員の魅力」、新勧サイトやSNS、そしてPVをはじめとする普及の広報力をぜひとも伸ばしていきましょう。

いくつかの新勧用動画、新勧PVがメイン的な位置になってきたかと思いますが、現在ではSNSで流すショート動画も重要になってきているでしょうね。アイデアと魅力溢れる動画作成は、新入生の心をキャッチしていくので、今から4月の本番まで半年近く、動画や広報ツールの作成に明け暮れるのもいいですね。

ぜひこの機会に、過去のたくさんの名作PVを見ていただき、Rowingを好きになってください。
名作PVを作る人は、多くが映像ファンであり、今やPV好きがよりハイレベルで感動的なPVをつくる時代になっています。たくさんのPVを見てきたから、素晴らしい大作PV、アイデアPVを世に送り出すことができるのです。

心にグッとくる、そして新入生の心を掴んで離さない、そんなPVやRowing動画を創造して、新勧を成功に導きましょう!


今回の記事も過去記事ではありますが、2024年に向けて少し加筆修正しています。








新勧、そしてPVのことについて過去記事を上げてきたので、現在新勧に向かっていく時期的なタイミングもあって、これまでの大学ボートPVの名作をご紹介していきたいと思います。是非とも今年のPV制作の参考に、そしてさらなるPVの発展と進化を願って。
題して「PV選手権!2011-2023」です。

※今回、たくさんの動画を載せてしまったので重いです。お気をつけ下さい。
スマホでご覧の方は通信量やWi-Fi等通信環境などにもご注意ください。30以上の動画を載せています。



新勧PVといっても、今の現役の大学ボート部員の皆さんは最近のPV、せいぜい4~5年前くらいまでのものしか知らないのでは?などと思ったので、新勧PVの歴史を振り返るような意味合いもありますかね。ただ、PVが好きならYoutubeでどんどん以前の動画も出てくるので「これは知ってる」というふうに、過去の名作もご存じかもしれません。
過去12年間を振り返って、その年のベストを選んでいこうと思ったのですが、結局複数以上選出する形になりそうです。


そして選ぶ基準はやはり私の独断と偏見です。かなり私の好みが入っていますが、自称ボートPV評論家の私がプロの目で厳選しておりますので(笑)、質の高い作品を選んでいるはずです。やはり人気(再生回数)の作品が多くなりましたね。しかしその中でも、意外に知られていないPVもあるかもしれませんので、たぶん「全部見たことあるよ!」という人は少なくとも現役大学ボート部員にはいないのではないかと思います。ただ、世の中強者がいますので、私でははるかに及ばないPV研究者、PVヘビーウォッチャーはいるのでしょうね。いや、私は本当、全然素人かもしれません(笑)。


今回、選べなかったPVには申し訳ありません!本当にたくさんの素晴らしいPVたちがあります!新勧だけでなくインカレや対校戦のモチベーションビデオなども含めて数え切れない名作PVをぜひ探していってください。






こちらの過去記事「PV研究」でもお伝えしているとおり、ボートの新勧PVは2000年代半ば、つまり2005年か2006年くらいにはあったと記憶します。実は動画共有サービスのYoutubeが設立されたのが2005年のことだそうです。
今はYoutube全盛期になって久しいかもしれませんが、当時はYoutubeに上がっていないボート動画も多かったわけです。そして、新人勧誘用が出てきていましたが、ボート部で作られるPVはどちらかというと最初は卒業生、引退する4年生送別のためのPVが主流だったのではないでしょうか。思い出の写真を中心にBGMに乗せるような、簡単ではありますが振り返って現役の時の思いが込み上げ涙も流してしまうような感動の思い出アルバム的な内容ですね。よく、当時から結婚式などで流されていたようなスライドショー的なフォトムービーです。写真中心のPVであり、写真を動かしたりめくるような動き、アニメーション機能を使って編集するようになり、動く映像つまり動画もムービーとして編集できるようになっていったと。

2006年でK戸大や、H政大の動画があったかなと思います。特にH政大は、こうした卒業生のための動画がたくさんYoutubeにもアップされていますね。
もう少し後になって、Gリーンレガッタでは予告編の対校戦PVが作られていました。2010年以前もあったような気がするのですが、2011年のPVがYoutubeにはアップされていますね。ちなみにこの時はまだN体大もグリーンの対校戦に入っていました。

2011グリーンレガッタ 1/3 (オープニング)


2011グリーンレガッタ 2/3 (本編)


2011 グリーンレガッタ 3/3 (エンディング)

対校戦のPVは、もっと作られてもいいですね。やはり大会のプロモーション、告知、宣伝は盛り上げなければ!

そしてH政大は、この頃毎年のようにこうした卒業生向けと思われるクオリティの高い動画を制作されていました。

H政大学ボート2012 episode10e



しかしもちろん、ボートの画像、ボートの映像を使ったムービーは、新人勧誘用に大きな武器になることを、当然昔から知っていたわけです。ボートを見たことがない、知らない人に、どんなものかを見てもらう。私の現役時代などは、テレビを大学キャンパスに持っていってボートを漕いでいる映像をずっとビデオで流したりしていたわけですが、PCの進化、写真のデジタル画像化、映像ソフトが出てきたことで自分たちの思うような編集制作が少しずつ可能になっていったわけです。

当初はプロでないとこうした映像制作はできないものでしたが、さらなるPCの進化によりだんだんと自前で作るチームが出てきます。そして、2000年代後半になると多くのチームが制作するようになっていきました。
こうして、スライドショー的な作りもまだまだ多かったですが、徐々に動画中心の、もはやムービー、作品と呼べるような力作が出始めます。










こういった流れの中で、まず大学ボート、いやボート競技においてPVの技術、構成、価値において金字塔を打ち立てたといえる、その後のボートPVの方向性を決定づけたのが、やはり2011年H橋大の新勧PVでしょう。
というわけで、2011年新勧PVベスト1はこの作品です。

2011年

HUBC 2011 PV

まだ見たことがないPV好きは必見です。まずは見てください。
もう、すごいポイントがたくさん詰まっているのですが、いくつか挙げさせていただきます。

オープニングでチーム名の文字テキストを動かすセンスです。H橋大のPVも、さまざまな既存のテレビや映像コンテンツをヒントにして作られたと思いますが、こういう細かい演出のはしりだったと思います。せいぜい、それまでは文字を浮かべて少しずつ消えるフェードイン・アウトくらいのアニメーションだったのではないでしょうか。
それから、ちょっとマイナーに思えるがたいへん映像のストーリーとマッチする選曲。ボート的には最高の歌詞ですね。
「顔の見えない現実が時に怪物のように 僕らの志を潰そうと押し寄せてくるけれど」
「出会えて良かったと心から言える人が 少しずつ増えていく その温もりを噛みしめながら」
「いつまでも一緒にいられるわけじゃないことは なんとなく分かっているけれど 今は手を取り合える」
「独りじゃ辿り着けない場所に 僕らは今きっと赴いている途中」
なんと、この高橋優さんの曲、発売が2011年2月23日だったそうです。このリリースしたばかりの曲を2011年新勧PVに使っているというのもすごいですよね。4月になるまでに間に合わせたんですね。
曲調と映像が合っている編集という点も、これまでほとんど見られなかったポイントであり、「良いPV」と多くの視聴者に思わせる点のひとつです。目も耳も楽しませてくれています。

中身も最高ですね。
まず、個人的には陸トレから入るのが素晴らしいんですよ。いきなりボート漕ぐのではないので(オープニングでちょっと漕いでますが)、新入生もたいへんイメージしやすい。そしてこのPVではメッセージカードを持たせているのがとても効果的ですが、個人的にいいのがエルゴ漕いだ後2人に持たせているのもいいですね。
陸トレ、コーチ、日々の生活の一コマ、サビでレースシーン。2番になりマネージャーパート。そして歌詞や曲とともにラストで一気に向かって盛り上げていく。私が前回記事「PV研究」で指摘させてもらった「ストーリーPV」が完全に出来上がっているんですね。3つのポイント、「志」「独自化のポイント」「魅力的なエピソード」、全部入っている。
4分割画面で動画を載せてしまう切り口も斬新ですし、本当にあらゆるアイデアがひとつに盛り込まれ、それが散漫とせず1つの作品にまとまっていると。

そして、一番大事なポイント。それは、登場人物がたいへん多く(たぶん部員全員登場させている)、みな笑顔なんですね。苦しいボート競技なんですが、とっても楽しく生き生きしているじゃないですか。この、笑顔で、楽しそうな雰囲気。これが一番のポイントだと思うんですよ。
これを見て、「このボート部に入りたい」「この魅力的な先輩たちがいる部に入りたい」
こう思ってもらえるかどうかが、やっぱり大事なのではないかと思うんです。

さまざまな競技の大学新勧PVが存在しますが、けっこう、圧倒的な映像美を見せつけたり、洋楽でおしゃれなイメージを演出したり、見た目のカッコ良さを前面にアピールする、そんなスタイルのPVが多いような印象があります。
こういうのはカッコ良くて憧れるというのは確かにありますが、私の印象だけかもしれませんがどこか表面的な所だけを見せていて少し嘘や飾りもあるのではと思ってしまうところもある。でも、特にこれから家族のように接していくボート部、親しみやすさってやはり大事です。表面だけでなく内面も見えるような表現が良い。弱さや素顔、いいところだけでなく大変なところも見せてくれる人のほうがぐっと信頼感や親近感を感じるものだと思うんです。
ボート部PVのいいところは、笑顔で魅力的な「人」を主人公にしているかどうか。そこが大事だと思うんですね。
H橋大のこの2011年PVは、笑顔にあふれたPVづくりを、大学スポーツで表現したところに大きな意義があると思うんですよね。だから、レースや応援の時の真剣な表情もよけいにカッコ良く映ります。飾っている感じがないのですね。



H橋大のPVは、この2011年のPVから、さらに改良を加えて完成度を高め発展させていきます。
しかし、この年の大まかな骨組みや方向性をほぼそのままずっと踏襲し続けているように思います。ずっと見ている側からすると、そろそろこれまでと全く違う斬新な内容も見てみたくはありますが、新勧では毎年同じで全く問題がなく、たくさん入部につなげたという結果を出せる新勧の方法が正しいので、このままでいいのでしょう。
そして、このH橋大のPVは、多くのチームに影響を与え、多くのチームから参考とされるようになりました。ほぼパクリのような内容も見かけますがそれだけ素晴らしい内容なのですね。
この2011年以降、新勧PV作りも各チーム年々力を入れて活性化し、アイデア勝負、色んな良いPVが出てくるようになり、まさにボートPVの新たな時代の幕開けを告げる年になったのです。










さて、以降は年を追って私が選ぶ名作や印象的なPVを紹介していき、解説は簡単に付け加える形でどんどん進めてまいります。


2012年
この年も色々なPVが出ていますが、私がおすすめしたいのはこちら。
K戸大学ボート部2012新歓PV

おっと、しかしこちらのPVはYoutubeに2023年現在残っていません。残念ですね。
前年のH橋大とともにかなり完成度が高く、爽やかな青春編といったイメージだったので明るいボート部の雰囲気が表現されて良かったのと、曲の中盤では1X、2X、4X+、8+と艇種の紹介も簡単に載せており、ボート競技の説明も少し入っています。
私は2013年にプレゼン形式で新勧ミーティングをおこなったことがあったのですが、この当時PVのお手本として2011H橋大、2012K戸大を紹介させていただきました。その関係で個人的にダウンロードさせてもらったのですが、それを私が勝手に公開するわけにもいきませんのでこの記事ではリンクなしとさせていただきます。K戸大の方々、もし動画データが残っていて差し支えなければYoutubeアップロードしていただければ、今も参考になるかと思います。










2013年
この年も、2013ベストPVに選びたいのはH橋大ですかね!

HUBC 2013 PV

こちらも選曲がいいですよね。
「何かひとつでも夢中になれる物を 何かひとつ胸に持ってみろよ」
いちからやればできる。いちからやり直せる。
未経験で大学ボートを選ぶ選択を提示する、新勧PVのテーマとして訴えかけるものがありますね。

個人的には、バラード系の曲でボートPVを作るのは、ノリノリロックの曲と違って難しいと思うんですよ。
いわゆるバラード曲とは、日本のポップにおいては
「ゆったりしたテンポ、静かな楽想、美しいメロディラインやハーモニー、そしてラヴソングを中心とした感傷的な歌詞を音楽的な主軸とし、楽式的には、ピアノなどによる静かなイントロとエンディングに向けての劇的な盛り上がりが特徴とされる。」
とWikipediaにもあるように、少しスロー。かつ情緒的で、ラブソング的な曲ですよね。邦楽シーンでは、どんな人気ロック歌手やバンドでも、国民的アーティストとして認められるにはバラード曲でヒットすることが必須だと昔から個人的に感じていますが、まあそれはいいとして、HUBC2013はうまくバラード系でPVを作ったことで感動的な作品になったと思います。
後半部分の少ししんみりするCメロでは、O阪大によると「挫折パート」と呼ばれる「レースに負けてがっくり落ち込む、うまくいくことばかりじゃない」というシーンが鉄板といったパターンが多くのPVで支持されていますが、このHUBC2013では過去の戦績をずっと流していくチームの歴史を紹介しており新たなパターンを作ることに成功しています。ここで、新入生たちは「簡単に入ったりやめたりできる単なるサークルじゃないんだな。長い歴史の中で、体育会の部に入っていくんだな」という重みや覚悟みたいなものも自覚するのではないでしょうか。
そして、このPVでも最後のクライマックスに向かっていく劇的な盛り上がり、たいへん良く高まっていき、自信や挑戦心、感動の中でPVが終わるという、読後感ならぬ素晴らしい鑑賞後感にひたれる、余韻と感動の残る作品だと思います。
PVをはじめメディア作品は、見終わったあとにさまざまな感慨や感激を残す作品が佳い作品だと思っています。

新入生にとっては、「やってみたい」「ボートに興味が湧いた」「先輩たちかっこいい、あこがれる」
こんな気にさせれば大成功です。
2013年のPVですから、A川選手もこのPVで入部したのかもしれませんね!?




それから、もうひとつご紹介。

G習院大学漕艇部PV ver.2013

こちらはG習院大から元気な明るい新勧PVです。
このPVも、当時から見てましたが、女性ボーカルの曲も全然ありなんだなと改めて思わせるPVであり、何だかクセになる曲調と映像でしたね。まさかこの曲を歌うLiSAさんが数年後「鬼滅の刃」の曲などで紅白出場を果たし超人気アーティストになっていくとは当時は思いもしませんでしたね。
映像としては、ボート漕いでいるシーンより楽しそうな合宿生活、レク旅行の風景や食事シーンなど、どちらかというと楽しい学生生活と仲の良い仲間が印象に残りますが、けっこうこういう楽しさを強調するPVも多かったりします。
新勧でどんな新入生を求めているかが、PV、ポスター、パンフ、HP、SNSなどすべての新勧活動に大きく反映されていきますので、それにあったものを作っていきたいですね。










2014年
この年くらいから、H橋大をはじめとする新勧PVの力作が続々出てきたことで、各チームがたいへん力を入れ始めさらに力作がたくさん出てくるという、いわばPV戦国時代に入っていく様相となります。

そんな中でも、私がH橋大のPVで一番好きなのは、2011に加えて、2014なんですよね。
2023年現在Youtubeで復活していますので、リンク貼れました。見たことない方はぜひ見てみてください。

HUBC 一橋大学ボート部 2014新歓PV

こちらも女性ボーカル、しかしめちゃくちゃ映像とハマっていますのでぴったりです。
調べてみるとやはりアニメにも使われた曲とのことですが、2000年代のPVは普通に有名なアーティストのヒット曲が流れていたりしていましたが、2010年代のH橋大のPV選曲は「新勧PVのテーマに合う歌詞と曲調」ですので、マイナーな曲も多いけど良い曲が使われるようになっていった感じがします。

いいなと思うポイントは、新人の練習風景。上り坂ダッシュで息が上がって倒れ込んだりしますが、集団で走ったり、全員で同じ目標に向かう光景は、何だか高校までで部活はもういいやと思って大学入学してきた新入生に、「やっぱりもう一度、大学スポーツで熱くなりたい、勝ちたい」という気を再び思い起こさせてくれるのではないでしょうか。
女子エイトのずらっと並ぶシーンも格好いいですし、表彰式用に置いてある優勝カップのシーンものちのちまで定番シーンとなりました。相模湖合宿と思われるエイトをはじめとした限界パドルシーンは最高ですよね。キラキラに輝く水面、一糸乱れぬブレードでのSR40オーバー。うーん、憧れの光景ですよ!
そして、歌詞もたいへん良いなという、HUBCの新勧PVでも屈指の名作です。




さて、このほか、さらに3つも紹介してしまいます。2014年は4本のPV選出、他にもたくさんの良作があります。

K都大学ボート部 PV2014

K都大の2014PVですね。この頃のK都大といえば、たいへんクオリティの高いPVを数々出していたのですが、その中心はb.takashiさんですね。漕手としても大変実力者で2014年インカレM4-決勝4位のクルーだったような・・・?
この2014PVでは、出ました、UVERworldの「Fight For Liberty」の曲が使われていますね。この2014年、2015年あたりはPVに使われることもあってか(?)UVERworldやワンオクがボート界でも大変人気で、どの艇庫でもエルゴの時に流れていたとか?
しかし、このバリバリロックな曲がものすごく馴染むくらいに、質の高い動画に仕上がっています。
正直、画質の面では当時の動画は今と見劣りしてしまいますが、当時は容量の問題であまり大きなデータ量の動画は作れなかったはずです。昔と今のゲームの容量の進化と同じような話ですね。
しかし、ご覧のように比較的短い時間の動画の中でたいへん濃い内容、あらゆる編集のエフェクトを駆使した、いかにもプロの人が作ったかのような作品になっています。
このb.takashiさんは、院生でもボートを続けていらしたと思いますが、そのときにYoutubeに上げていた「日本を漕ぐ」という動画もすごく良かったんですね。日本全国色んな水域に行って、水域の紹介をしつつシングルスカルを中心にボートを漕いで動画におさめるという。ボート動画作成のはしりのような方でした。残念ながら、こちらも1、2年程度で動画はなくなっていますが、もし残っていればまた見てみたい動画の一つですね。
K都大2014PV、推しポイントは「夜の唐橋くぐり抜け」。エイトが瀬田の唐橋をくぐり抜けるシーン、日本のボート風景の中で今やたいへん魅力的なシーンのひとつになったこの場面を使ったのも大きな功績ではなかったでしょうか。
それから、最後の全員集合して振り返りのアクションで締めるのも斬新。こんなアイデア、大勢でも少人数でもさまざまなアクションに挑戦してみるのもPVや動画の面白さですね。




3つめは、こちらもバラード系の傑作。

東京G国語大学端艇部 新歓PV2014

ロードオブメジャーの有名な「心絵」ですね。これはアニメ「メジャー」のソング集の中でバラード調に編集、声優のためにカバーされた曲になっているようです。
映像的に、素晴らしい画像、映像を使っており、やはりトレーニングで追い込むところ、夏の戸田、そして冬の雪のシーンまでおさめているなかなかレアな映像を活用しています。ひとりひとりがトレーニングに向き合って、まっすぐに真剣にボート競技に取り組んでいるようすが、好感を抱かせるこれもたいへん良作だと感じるPVです。COXの出番も多いですね!
この動画を作ったと思われるG語大のS我さんはCOXで活躍、卒業後なんと今度は同じ五大学のK洋大に入ってまたボート部で活躍されたというボートマンです。やっぱりRowingが好きでRowingを愛する人はPVでの表現力や力の入れ方も違いますよね。




そして、4つめはこちらを選ばせていただきました。

O阪市立大学ボート部 新勧PV 2014

ストーリー仕立てのオーソドックスな構成ですが、印象的なシーンがたくさんです。
最初の電車が鉄橋を通過しボート水域の川を眺めるシーンは、戸田や瀬田をはじめ多くの水域でもおなじみの光景かもしれませんが、PVに使ったのもいいアイデアですね。この年以降、こういうシーンがけっこう他チームのPVでも流れるようになりました。
やはり自分のチームでは感じにくいかもしれませんが、全国のPVを見ると、それぞれのホーム水域の良さというものが出ますよね。こちらO阪市大では桜宮の大川ですが、桜満開の春、そして四季折々の大川の風景はとても良さが伝わってきますね。
O阪市大の歴史で屈指の良作と私が思う2014PV、この年の全日本新人M4+3位を皮切りに、2015全日本M4+準優勝(6'30)、2016インカレM8+7位(5'59)、2016全日本M4+3位と強豪チームへの道を駆け上がっていく、その勢いを作ったPVだったといえるかもしれません。




そして特別編として、この年話題となったPVがあり、社会人チームよりこちら。

Dソーボート部PV

これは愛知の勘八峡でしょうね。日本ボート史上初の本格的な空撮によるPVです。
おそらく、試しに空撮で撮った動画が大変よく撮れていたのでBGMもつけてYoutubeにアップロードしたという経緯ではないかと思います。
ドローンではなくてラジコンヘリだと書いてありますが、しかし美しい水域の光景とDソーの素晴らしいハイレートの漕ぎもあり、秀麗なPVに仕上がっています。なんといっても、たいへんスピード感がありますよね!こういった映像をさらに磨いていって、Rowingを競技として映像でアピールしていただきたいところです。Rowingのビジュアルは本当に美しいです。










2015年
前年でも言いましたが、続々と名作PVが出ていて、各チームのPVを見まくるボートファンが続出!?ネットのいいところですね。Youtubeにアップされた時に、他チームの部員もすぐに見ることができるようになる。「あのPVいいよね」とボート界で噂になったりして、他チームなのに何度も見てしまうとか(笑)。そういった横のつながりを広めたり、情報共有というところもこの時期PVはその一役を担っていたのではないでしょうか。この2015年も、4つのPVを選ばせていただきました。

まずやはり、H橋大を一番目に選出させていただきました。

HUBC 一橋大学ボート部 2015新歓PV

2023年現在、5.4万回再生はかなりですね。
もはや、2011年、2013年で大成されたHUBC PVの構成がほぼ完璧なので、毎年マイナーチェンジしながら10年以上同じ印象にはなっているのですが、クオリティが高いので視聴者を飽きさせません。今年のH橋大PVはどんな内容なのかと、大学ボートでの注目度はたいへん高いものでした。そんな中で、オープニングのエイトをバウボールからGoProで撮るシーン、ヘンリーレガッタのシーンも入れるなど、毎年趣向を凝らしながら実際に色々な取り組みが行われています。




次はそのH橋大のエッセンスをたいへんリスペクトして参考にし作られた、R大の新勧PVです。

R大学体育会ボート部新歓PV2015

こちらは、T田中ボート部主将、当時新3年になる漕手K又選手が作成したPVです。
初めてのPV作り、なかなか苦戦しながら作り上げたということで、どのチームのPV担当の方も同じだったと思いますが、当初はグループで作る予定が結局ほぼ1人で完成させたものだったそうです。
PVを作る人はまずボートが好きで、PVが好きであるという、現在にもつながる流れをそのまま表現してくれましたね。構成自体はH橋大に大きな影響を受けていますが、オープニングは早送りで上から俯瞰した岸蹴りのようす、この年導入したGoProをフル活用して、艇庫のクレーンから下ろしていく撮影、COXの帽子、リガーに固定、カンバスのラダーヨーク、などなどさまざまなGoPro設置方法を駆使して冬場の乗艇でたくさん撮影したそうです。
全体として、ワンオクの曲がイケてて明るいのと、登場する部員たちがたいへん生き生きとしているので、とても楽しそうな印象のPVに仕上がっています。楽しいだけでなく、喜怒哀楽が詰まっていて、昨シーズンの悔しさとこのシーズンにかける意気込みもテーマとして盛り込まれ、新入生だけでなく部員たち自身が感情移入できる内容だったでしょう。
この年のR大のPVの出来の良さが、その後の後輩たちにも受け継がれ、PV作成にはしっかり力を入れていくようになっていったのではないでしょうか。




そして、セレク私大では珍しい、M大の新勧PVをご紹介です。

M大学体育会端艇部PV

おそらく、おそらくですが、経験者・ボート推薦者で固めるM大などセレクションの私大でもボートPVは大人気。M大でも作りたい!という人が出てきてPV好きな方が作成したのでしょう。
洋楽で、映像的にもたいへん格好いい作品になっています。2023年現在で2.5万回再生なのでボート界でもほとんどの方が観た有名なPVのひとつでしょう。
構成や流れは、他のチームとほとんど同じではありますが、それがM大の部員となるとそれはやはりM大らしさ、独自性が感じられますね。艇庫、コースを眺めた風景、部員たちの漕ぎや食事の風景。まさにM大のPVです。
そして、全体的に洗練された印象なので、こういうのも作成者の技術やチームカラーを感じさせますね。
前々回の記事でもお伝えしましたが、経験者・推薦者主体のチームでも、マネージャーを募集する際にはPVは必要な武器ですし、高校生ボート選手も本当にボートPV好きだと思いますから、高校ボートPVもたくさんありますが、大学ボートPVはみんなチェックしていると思います。いいPVはそれだけで高校生さらには中学生への大きなアピールになりますよね。
ちなみに、2014年のインカレを知る者としては、ああ、M大の鳥取の米子合宿のシーンがこうであの漕ぎがインカレにもつながったんだなと別の見え方もしていたりします。




そして2015年4つめは、前年に続いてこちら。

K都大学ボート部 PV 2015

b.takashiさんのPV作成技術、爆発!
2014O阪市大、2015M大と、この2015K都大で橋の上から電車のシーン、連続してます(笑)。
もはやテレビコンテンツ並み、いやそれを超えるクオリティか。水面だけを撮ってカットバック技法を使うなんて、普通のPVだけ観て参考にする人には思いも付かないですよね。雲の流れで時の流れを演出する技法も秀逸ですし、あらゆる撮影技法とアイデアを駆使した、「映像を作るんだ」という技術者・演出家みたいな、プロの知識と技の領域ですよね。
ボートを漕ぐシーンが、実はどの艇も1ストロークか2ストロークですが、もうこれで十分という濃密さ。次々と映像が入れ替わっていって多くの部員を登場させますが、全体の尺も2:30ほどなのが嘘みたいと思えるくらいに濃縮映像です。途中で当時K都大コーチだったS藤さんが格好良すぎますね。
後半部分も秀逸すぎます。レースのスタート、LEDランプが赤(アテンション)から緑(ゴー)までに切り替わるまでの心理描写、スタート直前にこれまでの厳しいトレーニングの日々が脳裏をよぎる――。坂道ダッシュからの懸垂からのエルゴのハンドルからの乗艇のハンドル、バーベルからのバーピージャンプ・・・などなど、こんな流れはなかなか思いつかない衝撃の発想です(笑)。
そしてラストの何十人もウィンドウで動画を載せるのはこれもすごいですよね~・・・。
こんな超力作が出てくるから、ボートPVは面白いんですね!

こうしたPVが出てきて、これはすごいぞということで私もようやく新勧記事にて、この2015年の秋にPV研究という記事を書いたというわけです。










2016年
こうして、2011年から2015年までの5年間でボートPVは新たな新境地を切り拓いて、明らかに他の競技での新勧PVとは異なる魅力をもったオリジナリティあふれる作品が出てきて大きく進化を遂げてきました。
歴史というのは、互いに影響を与え合って、前に進んでいくものなのです。

2016年、今度はまたアイデアあふれる作品をご紹介します。
まずはこちら、W大です。

Days At WURC  W稲田大学漕艇部

Youtubeの紹介文にも書かれていますが、選手をはじめ、COX、マネージャー、トレーナーが入部1日目に新入部員として入部し、毎日の積み重ねによって成長していく1305日間を収めた内容ということです。
W大ボート部に入部して、困難や厳しい日々を通して成長していく過程を3:22の動画に凝縮して表現したわけですね。その部員の目線を映像化したもので、W大部員になりきるように同化して観ることができるという面白いPVです。
普通にビデオカメラで撮っているシーンもありますが、ほとんどはおそらく頭にGoProをつけて撮っていると思われます。監督との入寮の時の握手とか、トレーニングルームに入っていく際に初対面の新入部員なので先輩の視線がこちらを向いてきたりエルゴを漕いでいる先輩はそれに気がつかず集中して漕いでいたりと、シーンがいちいちリアルなのが面白いです。
日本で沈をGoPro撮影したのはこのW大PVが初めてではないでしょうか?(笑)
シングルのトレーニングと並行しながら、色んなポジションで乗艇していますが、COXの立場も撮っているようなのでCOX目線もあります。とにかく、この色々な役割の部員になりきってPVを観るのがポイントなので、本当に新入部員向けかというと、絶対上級生の部員が観る方が楽しめそうですね。使われているシーンの意味が全部分かりますからね。4:30のスマホの時刻とか見せたら新入生は引くかもしれません。(笑)
2015年、W大のインカレM8+優勝、インカレW4X+優勝のインカレ男女アベック優勝。その勢いをまた新しい時代の幕開けとして新しいチャレンジに踏み出したW大2016シーズンを象徴するような意欲にあふれたPVだったことでしょう。




あともうひとつもアイデアがちりばめられたこの作品です。

R大学体育会ボート部 2016年度新歓PV

この年も、「他競技から大学で新しいスポーツに挑戦する」といった新勧でのコンセプトのもと、大学からでも日本一をめざせることをうたったPVとなっています。前年同様、新4年になったK又選手作成です。
実は当時、後輩が作る予定だったのに、結果的に4年になるK又選手が作ることになって日程的に追い込まれた中で短時間で作ったPVだそうです。なかなか、突貫工事とは思えない出来栄えになっていますね。
ボートを漕ぐシーンはもちろん多用されていますが、やはり新入生からの共感度が高いと思われる陸トレシーンが効果的だと思います。懸垂、腕立てで脚を曲げて入れるエクササイズ、エルゴシーン。PVはいかに陸トレを見せるかですよ!その上で、ボートの乗艇シーンも一番の見せ場なのでもちろんかっこいい映像を使う。
R大の十字や、分割した映像などさまざまな技術も活用していますので、歴代R大PVでも好評な年だったようです。










2017年
この年も、W大のPVを挙げさせていただきます。

W稲田大学漕艇部 Waseda University Rowing Club PV 2017

前年にも増してハイクオリティなPV・・・って、たぶんさすがにこれは部員の自作ではないですよね!?
確実にプロの手が入っているだろうという前提にしてしまいます。(もちろん、プロの手が入ることは、いいものを作るにも、スポーツで結果を出すためにも当たり前なことですね!)
何度も言っていますが、私はボート部員の手作り感、フィクションに作られた感じではなくあくまでリアルな感じのRowingが好きなのですが、これは単なる私の個人意見であり、こうしたPVが好きという人はとても多いと思います。紛れもなく動画で素晴らしい漕ぎやサポートをしている部員たちは正真正銘W大の部員ですので、こんな映画みたいな動画も作れるんだなと感心してしまうような、すごいPVですね。
「アナタの4年間がWセダを変える」
「Wセダの4年間がアナタを変える」
このキャッチコピーもいいですね!




あともうひとつ、こちらはついに来ました、O阪大です。
部員の自作でここまで力作ができるのか、というたいへん凝った作品ですね。

実はYoutubeではなくVimeoという動画共有プラットフォームにあります。こちらのURLからご覧ください。

https://vimeo.com/205817807?embedded=true&source=vimeo_logo&owner=63418873
O阪大学ボート部PV 2017

すごいですよね。オールがくるくる回るロゴの演出とか、ドローンをこれでもかと活用していたり、さまざまな編集技術、エフェクトを使いこなしていて、これでPV終わりかと思いきや、後半にボート説明のパートが豊富に用意されての7分を超える大作です。
この力作を作ったのは、現在O阪大ヘッドコーチで、コギカジの活動もされているK松さんですね。2022年の素晴らしいPVの監修もされていたということで、いまボート界で最もボートPVに詳しい方のひとりだと思います!
新勧PVとして、前半部分はまさにイメージ映像。Rowingというスポーツのイメージを知って、こんな競技があるんだということを知ってもらい、後半部分では実際にRowingはこんな競技ですという説明が分かりやすくされていきます。
ボート競技の説明って、やっぱり必要なんですよね。新入生がついてきていないのに詳しくやりすぎると逆効果ですが、ボートって言われても分からない、というのが多くの人の反応です。種目がこれで、オールを使って漕いで、脚の力を使って艇を進める。体力はとても重要で、引き締まった理想的な体つきになっていってカッコ良くなれるよと。新入生自身の経験から想像できるイメージと、こうなれるといいなという憧れを持たせてあげられる、そんなイメージと憧れづくりの手助けをしていくことが必要。
何度も見てもらえるPVを作っていくことが大切ですね。

それから、K松さん自身が後輩のために書き残したという、「PV制作について」というブログ内容も必見ですね。
PV制作者は、計画・準備(機材や編集ソフト等)・コンセプト・曲やサウンド探し・画像映像の素材集め・撮影・編集作業・何度もチェック・著作権対策・途中まで出来たらショートPVなどでSNS宣伝・そして完成・動画アップロード・SNS拡散などなど、多くのプロセスがあります。
PV制作について 第一回 事前準備

PV制作について 第二回 コンセプトと全体の構造

PV制作について 第三回 動画編集

さまざまなポイントが書かれていますね。
PV制作はお金と時間がとにかくかかる。毎年新しいPVを作るのはものすごい負担だし、作る必要はないかもしれない。新勧は新入生に対して行うものだから他大学に見栄をはる必要はないだろう。
この言葉たいへん同感です。お金をかけすぎないのに越したことはないし、納得のPVができれば3、4年使い続けて問題ないと思います。私が入部したとき良い出来栄えの新勧パンフレットが大量にあったのですが、おそらく千部単位で印刷してあったので、数年使い回していました。年度の数字を入れないでおいたり部員紹介などの更新が必要な情報を載せていなければ何年か使えます。そういう経済的な発想も必要です。ただ、また新たに作る年への準備やノウハウの伝承は必要ですね。
ですが、毎年おそらく作りたい人や作ってほしいという需要が出てくるので、負担はあるが結果的に毎年作っているチームが多いと、そういうことだと思います。

また、いきなりPVを作るのでなく、編集ソフトに慣れるために練習で違う作品を作ってみるのもおすすめ、というのも同感ですね。いきなり音楽と映像をマッチするのは難しく、完成度いまいちだな・・・と思いながら時間がないのでその未完成品を完成版としてアップする年もあるのではないかと思うわけです。

おまけで、これがその練習バージョンの動画だそうです。
練習とは思えない謎のクオリティですね。PVよりこっちのほうが再生回数多いじゃないですか!











2018年
2018年のベストオブPVは、もちろんこれでしょう!
このPVものちに大きな影響を与えたと思われる素晴らしい作品です。


2018年度 D志社大学ボート部 新歓PV

美麗な瀬田川の風景、D大部員たちの真摯なまなざし、振る舞いのひとつひとつに心奪われる感動的なPVなんですよね。
これを作った当のご本人たちは、そういった部分よりも画質や技術、選曲などから来るカッコ良さ、そして自分らの今シーズンにかける熱い思いに自信があるから人気になったと、もしかすると思われていたかもしれません。確かにそうなのですが、しかし、このD大PVの真の良さは、2011HUBCと同じく、「登場する学生たちの魅力」そのものだと私は思っています。2011HUBCは楽しさ、笑顔が惹き付けてくれましたが、2018DURCは真摯さ、振る舞いや仕草が惹き付けてくれていると感じます。
その中で、オープニングの夜明けの稜線や、冬の暗い朝凍てつき凜とした独特の大学ボートのあの朝練の皮膚感覚などが効果的に見る者たちの感情を動かしていき、そしてもちろん家族のような仲の良い部の仲間たち。クライマックスの、やはり日本一への思い。こうしたいくつもの要素が、見事に伝わってくる素晴らしいPVなのですね。

作成されたのは対校COXで活躍されたY口さん。
COXだったからか、PVラストの声だけの演出もゾクゾクするくらい心震わせ、そして熱くなれる感じがありますよね。バリバリにロックなMY FIRST STORYの数曲をつなぎ合わせた、クールで熱血なPVです。
D大のインカレ初優勝はPVでも流れていますがこの前年、S間選手による2017インカレM1X優勝ですが、2019のD大インカレでのクルーボート初優勝、インカレM4+優勝は、このPVの後押しもあったのではないでしょうか。




それからもうひとつの選出は、医学部ボート部からも選びたいということでK都大医学部を選ばせていただきます。

K都大学医学部ボート部 PV2018

K都大医学部は医学部ボートにおいては強豪で、医学部の西のインカレといえる西医体では2012~2019年の8年間で、4回の総合優勝を果たしています。実際、常にインカレに出てきてもおかしくないほど鍛えられ、たいへん高いボート意識を持っていますね。
このPVはオープニングがなんだか上のD大とかぶりますが、医学部のボート部PVというとサークルのような和気あいあいとした楽しそうな内容が多かったりするのですが、かなり硬派な内容だと感じたので選出しました。途中でコーチの指導が出てくる場面も、なかなか斬新です。




さらに本家のK都大全学もいきましょう。

K都大学ボート部 PV 2018
何をやるにもグループ、大勢の映像中心で、チームスポーツだなということが伝わります。そしておなじみ、瀬田の唐橋くぐり抜けもあります。アットホームな食事の風景、ボートの迫力などが、伝統の文字テキスト少なめ、比較的短時間のPVで表現されています。といっても、文字メッセージが多めの年もありますね。やはり年によって、制作者によって個性が出てきます。










2019年
2019年、この年は個人的には数年に一度みたいなびっくりするような名作PVは見当たらなかったのですが、全体的にハイレベルなPVが多く、ボートPVはとても成熟してきた証拠なのだと思います。甲乙つけがたいという印象ですね。

というわけで、立て続けに4つご紹介します。


2019年度 D志社大学ボート部 新歓PV

前年に引き続き、D大のPV。前年とは制作者が違い、当時2年のN村選手が制作に挑戦。テイストが変わりましたが、映像の質はそのままに、この年は明るい曲調でイメージを変えました。何というか、跳ねるような、ジャンプするような躍動感のある曲と映像なので、エアロビクスダンスみたいな、弾むように明るいPVになりましたね。アーティストはAimerさんなんですが、ハジケてます。





R大学体育会ボート部2019新歓PV

お次はR大。
この2019PVはYoutubeには上げていなかった記憶がありますが、地味に3年前に上げていましたね。全然再生回数がないですが、この年もなかなかの出来です。やはり、数年前と比べて画質が格段に向上しており、近年のPV動画は鮮明な画質で楽しめるようになっています。




医学部枠から、2019年はS賀医科大をご紹介します。

S賀医科大学ボート部2019年新歓PV

来ました、人気の曲ワタリドリですね。
このS賀医科大も、西医体で優勝する強豪医学部チーム。男子も強いですが、女子漕手も多そうで、コロナになってもしかすると影響が大きかったかもしれませんが、この頃は部員が多かった印象です。










2020年
さあ、2020年。この年からは前回前々回とも少しかぶりますが、選出させていただきます。
2020年、コロナにはなりましたが傑作PVが数多くありました。その中で個人的2020年ベスト3+アイデアのある1作品を上げたいと思います。



R大学体育会ボート部 2020年度PV
まずは、R大です。個人的にはR大の歴代PVで一番心を動かされた感動の作品だと感じましたね。作ったのは、この翌年に主将としチームを引っ張ったE原選手です。
この2020年前後でボートPVにもよく使われるようになった人気バンド、SUPER BEAVER。その代表曲のひとつ、「らしさ」がはまりました。しかし、少し意図的にぶれたりぼやけたような映像すべてが生きた感じで、生き生きとした部員たちの飾らない日常の素顔や笑顔、練習での真剣な表情がとても印象的な、素晴らしいPVになったと思います。これも青春編という感じで。やっぱり、カメラを意識しないような撮られ方っていうのも大切ですよね。
メッセージ的には、ボートという競技を選んだ自分らしさ。日本一をめざすと覚悟決めて入部してきてほしい。若い時に感じやすい自信のなさや変化への躊躇。一歩を踏み出すのは怖いけれど、勇気を出して踏み出し飛び込んできてほしい。自分の生きる意味がまだ見つからない大学生の年代だけど、ただ勝ちたい、その気持で、本気で語り、笑い、泣いて、今しかできないこと、全力で漕ぎきることをめざしていこう。
こんなメッセージが文字テキストに使われています。こうした新入生への、あるいは自分自身へのメッセージが、「らしさ」の曲にある自分探し的なテーマに通じます。個性を出さなきゃいけないと言われるのは逆に無個性なんじゃないか、変わりゆく生活と、変わらない大切と、変わる自分、変わらない自分。ボートと出会って、変わる自分と変わらない自分がやはりどちらも大切なのです。
編集での工夫は、たくさんのカットを短くひたすらつないでいく点に尽きます。同じ映像の続きを、あとあとも使っていく。昨年の映像の使い回しもあるので、膨大なカット数のわりに意外と撮影は大変な時間を費やしたわけではなさそうですね。ラスト、曲が終わった後に部員全員の名前を一覧で列記するのは、次年度以降他チームも真似ていましたね。
また、個人的には過去5年ほどのスローガンと写真を年を追ってたくさん入れてくれたのは嬉しかったですね。これは2022年PVのW気選手も同じく入れてくれていました。





I城大学漕艇部2020新勧PV

やはりこのPVも感動的で素晴らしいですね。以前も書きましたが、こちらも言葉はいらないタイプのPVですが、しっかり新入生へのメッセージは書き記されています。
何といっても美しい映像。どうやって撮ったのかというようなドローンの映像で、艇庫と那珂川を上空から撮影していきます。途中のシーン、艇庫に入る学生が、Rowing選手になって出てくるのは、なかなか粋な演出です。
こんな名作のPVを、今後も作り続けてほしいと思います。





【TURC】T北大学ボート部 2020 新歓PV

そしてT北大です。T北大も全国で1、2を争うような新勧力のある大学ですので、毎年PVは力作揃いなのですが、2020年は個人的にお気に入りなので選出させていただきました。
やはりT北大もこの年はSUPER BEAVER。しかも、選曲は「予感-Album mix-」ということで、H橋大とかぶっていましたね。同じ年に同じ曲という例はさすがに少ないですが、PVも何百と作られてきたので曲がかぶるケースは多いです。でもPV好きならご存じと思いますが、同じ曲だったとしても、当然映像が違うしその曲と映像のタイミングやコンセプト、そもそも違うチームなので全く違う印象になり別物だといえる作品になりますよね。
この年のT北大PVは、釜房コースと戸田コースの両方が撮影にうまく使われ、そしてこれまでのT北大PVになく映像もカラフルというか、画質がとりわけよく見えるような印象がします。そして、ラストの男女メダルの本当に嬉しそうな笑顔も印象的で、全体として楽しい雰囲気に仕上がっています。新勧コンセプトの「最高の仲間と、最後の青春を。」というキャッチコピーにぴったりの、仲間と青春がいっぱいの新勧PVになりましたね。






2020 K應医学部新歓PV
こちらがアイデア賞です!パロディですが編集も構成も面白いですね。うーむ、私もふしぎ発見世代としてちょっと惹かれました。スーパーヒトシ君は出てきませんでしたね。










2021年
2021年も、ベスト3を選出。
しかしその中でも個人的ベスト1は、やっぱりS賀大ですね。


S賀大学 ボート部 新歓 PV 2021

オープニングで、「青春は高校で終わりか」の字幕が浮かび、そんなことがあり得ようか(いや、ない)という反語よろしく、
「最後の学生生活が始まる」の文字。暗に、「大学ではボート部で最後の青春を送ろう」という新勧の入り口となるわけですね。

そして、あの雄大な琵琶湖が映る。何度も走り続ける男子部員たち。彦根の艇庫前の水路から、琵琶湖に漕ぎ出す艇。年季が入った艇庫、艇、整備するリギング、エルゴを一心不乱に漕ぎ続ける漕手。自然によって虹色に輝き表情を変える琵琶湖の上で、艇が走る。そのすべてが美しく、琵琶湖で漕いでみたいと、新入生はもちろん、他水域のボート部員にまで思わせる感動的なPVとなっています。
そして、最後のクライマックスに向けて、「大切な仲間がいるか。」「一生の仲間がいるか。」「追いかけたい夢があるか。」「青春はまだ、終わらない。」「人生最後の青春を」「人生最大の熱量で」とたたみかけ、「だから、一緒に」「最高の四年間を」と、新入生を口説き落とします。青春いっぱいの映像と音楽で。
青春を最大のアピールにしていく場合は、やはり映像・写真のビジュアルや音声では、心から精一杯の感情を出し切っていくことがポイントかもしれません。漕ぎや、応援や、トレーニングや、喜怒哀楽の顔の表情、声、そのほか日常のさまざまな身体表現のすべてにあらわしていくこと。そこに、PVで表現できる「人の魅力」、「ボートの魅力」が詰まっていて、新入生を大いに惹き付けていけるのでしょう。





【K戸大学ボート部】Promotion Video Ⅰ

こちらも完成度が高いPVです。K戸大の2021PVのⅠですね。スタイリッシュな入りから、しかし全体通して見てみると過去の名作PVのフォーマットに忠実な作りという感じで、女子漕手、COX、マネージャーの役割にふれつつ、挫折パートを厳しいトレーニングで乗り越えて目標に向かっていく。
このPVも、たいへん美しいビジュアルを実現しています。





KYOTO UNIV. ROWING CLUB 2021

3つめはK都大を選んでみました。2021年は2018年と同じく、関西勢が制覇ですね。シンプルな中に、こちらもボートPV上級者がよく使うスロー映像をうまく活用して各シーンを効果的に見せています。それから、後半にはこれもボートPVではおなじみのシャッターが開くシーン。多くの艇庫にはシャッターが付いているので、シャッターを開いて光が入ってくる。まぶたを徐々に開けて、これから始まるストーリーが視界に入ってくるような演出をして、新しい世界との出会いを表現していく技法はよく使われますよね。新入生にとって、PVはボートとの新しい出会いなのです。










2022年
さて、2011年から足掛け12年。
最後の2022年は、ベストオブPVとしてはこちら。

2022年で一番はやっぱりO阪大ですね!

O阪大学ボート部 2022 main PV

圧倒的なビジュアルへのこだわりと、細部にわたる綿密な構成。
前回記事でも掲載しましたが、制作者ご本人のPV解説が載っており、たくさんのこだわりと構想の過程を記しています。
自分のイメージや好きなこと、印象に残った多くのボートに関連した場面。時にはボートに関係ない場面も。自由に表現できる場なんですよね、PV動画という表現は。
飛行船解説

その中で、制作者のT田さんはこのように語っています。
「今回の選曲を歌う優里さんが制作の舞台裏を語る動画を見て、キーワードは”空”に決めました。空=夢や目標と解釈しました。」
そして、飛行船とはボート、艇だと思いますが、「二つ目のキーワードは”君”です。君とは、現役部員、監督コーチ、OB、そして今シーズン入部してくれる新入生など、ボート部員として関わりを持つ全ての人が”君”だと解釈しました」
こうした自分なりの曲の解釈やテーマを持って、PV作りの映像や編集にあてはめて好きなシーンをどんどん入れては、曲に合わせ、サウンドやリズムや歌詞に合わせて、自由にさまざまな編集やエフェクトによって表現できるのがPV制作の楽しいところです。
ところで、「身体を蝕む」の歌詞にエルゴのシーンをあてているのは、ちょっと苦笑いしますね。

そして、制作した人の思いがたくさん詰まって、それをチームの思いを代弁するようにメンバー皆が気に入って何度も見てくれるのが新勧PVやモチベーションビデオだったりすると思いますが、さらには新入生の心もがっちりキャッチして、見てくれる人がそれぞれに大切な動画としてお気に入りとなり、やがて制作者だけのものではなくなり多くのファンの宝物になっていくのが、芸術作品にとっても最も幸せで本望なことだと思いますので、そんなPVをこれからも生み出していってほしいですね。
N古屋大のPVの選曲と奇しくもかぶってしまったことにも、「いくつか似ているカットもあって、制作者とはかなり感性が近い気がします。絶対友達になれますね!」と他チームをリスペクトしているのもとても好印象ですね!





【T大ボート部】2022新歓PV

また、2022年はT大も素晴らしいPVだったと思います。これまで、T大の新勧PVは他の大学の作品に影響を受けた感じのオーソドックスな作りが多かった印象でした。しかし、2022はキャンパスのシーンなども採り入れて、「学生」の視点で作られており随所にアイデアを盛り込み、映像美や映像の作り方もさることながら「T大らしさ」を表現することに成功したと思います。曲もオシャレ!!




そして、こちらは2022年冬、2カ月前アップとあるので、12月頃にできたPVであり2023年向けになります。

O山大学漕艇部 PV 2022冬

きれいな映像で、1:30というショートバージョンになりますが、最後に出てくるキャッチコピー。
「青春は、2000m 一直線」
うーん、秀逸ですね!










2023年
さらに続けて今年、2023年はベスト3・・・ではなく絞りきれなかったので4つを選出させていただきました。


K應義塾大学ボート部 新歓PV2023

ドキュメンタリー的なショート動画風というか長尺CMといった、これはプロ級の作品ですね。さすがK應大です。





H政大学ボート部 "ORANGE CREW" PV2023

H政大のオレンジブランドを押し出したセンス溢れるPVです。セレクション私大も最近はPV好きと思われる部員がクオリティの高い作品を送り出すようになってきています。私大はハイセンスな洋楽好きが多いんですかね~?





2023年度 S台大学漕艇部 PV

これは珍しいS台大のPV。おそらく2023年にPV初登場です。
インタビュー形式が多く、ほかのボート部PVとはコンセプトを異にしています。セレクション私大ということでターゲットは高校生ボート部員だと思いますのでS台大ボート部とはどんなチームかを説明するような、これも新勧PVとして基本のあり方をしっかり意識して作られた内容ですね。





K戸大学ボート部 新歓PV 2023

最後に選曲の意外性で今年のPVの中では話題になったと思われる、K戸大です。
なんというか、テンションがすごい。国立っぽくない。そんな印象ではありますが、サビで突如盛り上がるというこの盛り上げ方はナイスですね!会心の作といったところです。










まさに、PVは青春を映し出すのが普遍的なボートの魅力のアピールになるのかもしれません。
青春はボートにあり。

さあ、2024年、どんなPVがまた作られていくのでしょうか。
今回ご紹介したPVやポイントなど参考にしながら、そしてまた既存の固定観念にとらわれずに学生らしい自由な発想と感性でアイデアあふれるPV作りにチャレンジしていってください!

そして、それらを武器に、たくさんの新入生で賑わう春を迎えましょう。
厳しい冬を越えて。そうすれば春の足音はすぐそこです。勝負の新勧2024、ボート界全体で大きな成果を上げていきましょう!!








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