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現在、チェコのラチツェで世界ジュニア選手権が行われています。

Račice(ラチツェはチェコ語読み。英語ではRacice=ラシス)はチェコの首都プラハから北へ40km、人口300人ほどという小さな町です。ボートとカヌーの世界選手権が行われたことがある大きな水上スポーツの拠点でありエリア全体が大きなスポーツセンターとなっています。ボートコースは人工で全8レーン、ここで現在、ボート競技では1993年世界選手権以来の大きな世界大会である世界ジュニア選手権が開催されているのです。

本日8月9日は大会2日目が終了し、いよいよ金土日と準々決勝、準決勝、決勝と頂点を目指す戦いがヒートアップしていきます。


日本からは
JM1X(A木選手・S立学園高)
JM2X(S:M長選手・W狭高、B:S田選手・S田工)
JW1X(M田選手・S立学園高)
JW2X(S:N澤選手・W狭高、B:Y澤選手・C大)
JW4X(S:I選手・M方高、3:N尾選手・T高、2:M松選手・W狭高、B:S木選手・S田光陵高)

以上の5クルーが世界ジュニアにチャレンジしています。

福井県のM方高、W狭高から10人中実に4人選ばれており、世界ジュニアに4人も選手を出しているのに先日インハイでは男女クォドでM方高がアベック優勝を果たしW2XまでM方高が優勝しています(男女6種目中3種目優勝)ので、福井県強すぎる!というのがボートファンの感想だとも言えますが、その中に世界ジュニアJM1X、JW1Xで東京都の成立学園(せいりつがくえん)高校が代表を2人も出しています。




東京のボートも強くなったな、しかもボート競技で見慣れない私立の高校が増えてきたな、江戸川区の強化事業もすごい進んでいるなと思う方もいるかもしれません。しかしサッカーなどが強豪で有名な成立学園があるのは江戸川区ではなく北区東十条です。(JOCの公的な事業に関する話なので高校名出させていただきますね。)
そうです、この成立学園高まだ2年生のA木選手(JM1X)とM田選手(JW1X)は、JOCエリートアカデミー事業の強化指定選手なのです。そしてこのジュニア代表選出は日本ボート協会の育成による成果でもあります。

JOCエリートアカデミーとは、ジュニア期におけるアスリートの発育・発達に合わせ、トップアスリートとして必要な「競技力」「知的能力」「生活力」の向上を目的としたJOCの強化事業です。卓球の平野美宇選手がエリートアカデミー出身として有名ですね。
ボートではシニアの代表選手もよく利用する北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(通称、味の素トレセン)、JOC加盟競技団体の選手が専用で利用できる施設ですが、そこで全国各地から発掘され選抜された将来の五輪アスリート候補生の才能たちが、寮生活を通じ競技のトレーニングや勉強をしつつ、近隣の高校に入学し学生生活も送るというこのエリートアカデミー。ニュースなどでも東京五輪のスター候補紹介などのコーナーや番組でよく取り挙げられるので、ご存じの方多いと思います。
JOCエリートアカデミー事業
味の素トレセン

そして味の素トレセンから1kmちょっとほどの場所にある成立学園高、この学校がおそらくボート競技エリートアカデミーの選抜者を受け入れ、2017年にA木選手とM田選手が入学、ボート部も新たに作ったのです。私も高校ボート部特集では資料になかったのでこの高校にふれていませんでしたね。
しかしこのお2人、日本ボート協会の発掘事業、例のワットバイクのトライアウトで優秀な数値を出し、中学まではそれぞれ野球と陸上の選手だったそうですが、まだボートを始めて1年半にも満たない現在、世界ジュニアのM1XとW1Xに出漕を果たししかもJM1XA木選手は予選で7'21(1'44-3'35-5'27-7'21)という16歳や17歳とは思えないような素晴らしいタイムで7'15のNZに次ぐ2着、見事準々決勝に一発で進出したのです!
2018 JM1X crew japan FBより
JM1XのA木選手 Crew Japan Facebookより写真転載


M田選手は予選では8'19の4着でしたが敗復ではレース序盤からフランスに食らいつき1'57-4'05-6'16-8'30というレースでフランスには結局7秒差だったものの2着に粘り、ボート歴1年のエリートアカデミー両者とも準々決勝に進むという快挙を果たしているのです。スタート500mは素晴らしく、最初から飛ばしたようですが今後持久力をつければもっとタイムが伸びますね。
2018 JW1X crew japan FBより
JW1XのM田選手 Crew Japan Facebookより写真転載


ボートを漕いで1年で世界へ、というのは実は世界ではよくある話なので他競技を驚かせるボート得意の競技歴が少なくても結果が出せるアピール話の最たるものなのですが、それでも本当にすごいことですよね!
世界ジュニアは階級なしのすべてオープンカテゴリー。JM1Xなどにはすでに7分切りの猛者もいるようで、A木選手もM田選手もこれからの戦いは厳しくなっていくと思いますが、まだボート歴1年の高校2年生ですのでぜひとも上を目指し力一杯出し切ってきてほしいですね!
東京オリンピックに期待。成立学園


彼らはJOCエリートアカデミーの制度がはじまってちょうど10期生だそうです。東京五輪だけではなく、心技体と知性も磨いて、将来のボート界においても素晴らしい働きを見せてほしいですね。A木選手の出身は東京、M田選手は福岡だということです。
今年もボート競技2名が入校
JOC副会長兼専務理事の要職にある、日本ボート協会H岡理事の姿もありますね。


東京五輪2020のスポンサー企業(トップ協賛のゴールドパートナー)であるキヤノンのHPには、ボート競技の紹介で、このエリートアカデミー生であるA木選手とM田選手、そしてボート競技エリートアカデミー専任コーチを務めていらっしゃるHコーチのインタビュー記事もあります。
Canon東京オリンピック2020 ボート競技見どころ紹介
2017インカレM4-決勝の写真がトップに掲載されていますね。
さて、このA木選手とM田選手、他競技から未経験で飛び込んできて1年後見事に世界の舞台で活躍、お2人の才能と努力は素晴らしく、そしてこれから大きな期待を抱かせるとともに、さっそくそこへ導いたコーチの手腕もまた素晴らしいと思います。
Hコーチはまだ20代半ばと若く、こうした若いコーチがどんどん才能溢れるさらに若い選手とともに大きく成長し世界的なコーチの道を歩んでいただきたいですね。指導者育成こそがボートの最も必要な課題なのですから。
Hコーチは2013年インカレM1X4位をはじめM大で活躍されています。福島県A津高校出身だとか。インハイではその後輩のA津高校がやはりM1Xで、久しぶりに福島県勢としてインハイ優勝しましたね!!インハイM1X優勝は福島県として初、さらにインハイの優勝は1989年同じA津高校によるM4+優勝以来のようです。これは特筆ですね。震災もあり、福島県勢としてのインハイ優勝ですし、平成の最初と最後に福島県が栄冠を勝ち取った。
S台大のA部監督はK多方高(~C大)のご出身。福島県から世界的なボートマンが数多く輩出され、荻野をはじめ福島県中の水域がさらに活性化されることを望みます!





さて、JOCエリートアカデミーは一つの成功として世界に歩をしるしました。
成立学園の男女スカル2人に焦点を当ててきましたが、ほかのクルーも世界で戦っています。

激戦のJM2Xでは、M長選手とS田選手のダブルがほぼ1'40ラップのイーブンペースのレースに徹しラストでアメリカを差し、6'40の3着で準々決勝へ進出。タイム的には日本では軽量級も優勝できそうな素晴らしいタイムでしたが、オープンJM2Xでの世界ジュニアでは中間点といったあたり。イタリア、ドイツ、ギリシャ、チェコといったあたりが前半のスピードでは1'31-3'08通過のトータルタイム6'20台後半というところで抜けており、このへんのトップ争いにはなるでしょう。
そのギリシャやベラルーシなどタイム上位と当たっている準々決勝。その世界の前半の流れについていけるスピードはこれからだと思いますが、コンスタントをさらに上げ素晴らしい2000mタイムにチャレンジしてほしいですね。
2018 JM2X crew japan FBより
JM2X、イーブンペースを体現。よりタフな上位進出に挑む
Crew Japan Facebookより写真転載



JW2Xも大激戦!N澤選手とY澤選手、結果を見たとき一瞬予選上がりかと思ったのですが、2着は敗復回りのようでした。
スタート飛ばしたドイツを日本は1000mで捉えますが、ひとつ前をゆくNZにはじりじり離される展開。World Rowingレポートによると日本はラストでスパートをかけなかったとありますが、NZは7'27でそのまま1着、日本はNZに3艇身離れた2着で7'33。全21クルー中、日本の予選タイムは全体の7番目。あすの敗復に回っています。
トップはベラルーシ7'22、中国7'23、NZ7'27、ギリシャ7'27、リトアニア7'30、フランスと日本が7'33。
これを見ればひょっとしたらFinal Aもと思われそうですが、世界のタイムは日本以上に当てにならず、各国勝ち上がるごとに信じられないくらいギアを上げてきます。そしてタイム上位ばかりでなく予選流した国も次のレースで豹変することが多々あるのです。しかし、コンディションもありそうですが(スタート500mは逆?)、第1Qは日本もしっかり勝負できそうです。あとはさらなるスピードと、世界レベルのコンスタント、そして勝負を左右するラストスプリント。
N澤選手、Y澤選手のスーパーダブルで、悲願のJW2X決勝、Final Aでの活躍に期待!
2018 JW2X crew japan FBより
JW2X。ストロークの若いN澤選手を、バウの大学生・Y澤選手がリードしさらなるスピードを誓う
Crew Japan Facebookより写真転載



今年の世界ジュニアは、JM4Xは出漕していません。今回は女子のほうが3クルーで男子の2クルーより多く、JW4Xが出ています。JW4Xは毎年のチャレンジ!はたして今年はどうか。
I選手、N尾選手、M松選手、S木選手の日本女子クォド。予選ではオランダ、イタリア、NZといった強国から離されてしまい、ロシア、ノルウェーと4位争いをする展開となりましたがまだ噛み合わないところがあったのか7'13の6着。コンディションも逆だと思われます。
経験豊富なI選手を中心に、まだまだ若いJW4Xはしっかり次のレースでは素晴らしいスピードを見せてもらいたいです。敗復では、6杯レースの3着まで準決勝A/Bに上がれます。あす10日の敗復では、カナダ(6'55)、アメリカ(7'00)、スウェーデン(7'05)、ロシア(7'09)という予選タイム上位の中で3着に入る必要があります。日本は7'13。前半はスウェーデン、ロシアとは3'32あたりで日本とはほとんど差がないので、やはりこの2つにやや先行しつつ中盤コンスタントでしっかり上回るテクニックとフィジカルを見せてほしいですね。スウェーデンの後半が落ちないので、日本は後半も勝負!
2018 JW4X crew japan FBより
日本のJW4X挑戦、今年も続く。強く大きな漕ぎで、大きなライバル国にチャレンジ。 
Crew Japan Facebookより写真転載






世界ジュニア選手権小ネタチェックのコーナーです。
ところで、JW4X予選で日本と同じ組の1着だったオランダW4Xストロークは、フェムケ・パウリスという選手でした。おや、と思い調べてみると、やはりあのリオ五輪LW2X金のバウ、イルセ・パウリス選手の妹でした。顔もよく似ています。ちなみにこのパウリス選手、ボート3姉妹だそうです。一番上の姉イルセは25歳、2014世界選手権LW4X優勝世界ベスト6'15、リオ五輪W2X金。今年も世界選手権LM2Xに、マリーケ・カイザー選手とともに出てくるでしょう。それから、2番目のベンテは21歳でU23世代、世界ジュニアではJW4Xで2回Final A、そして今年U23世界選手権でBW4Xストロークで準優勝。そして3番目のこのフェムケ・パウリス、JW4Xストロークで優勝を狙っています。恐るべし、オランダのパウリス3姉妹!ほとんどクォドで鍛えられオランダのストロークとしてエースとなっています。
World Rowingでクルーやタイムを知りたいだけなのに、選手を調べているとこういう面白エピソードと色々出会うんですよね~(笑)
パウリス3姉妹、いずれ姉妹ダブルで金メダルか?
4姉妹クォドとか組めれば面白いですが、3姉妹では難しいですね。ボートの種目にトリプルはないですからね。
パウリス3姉妹 Salland Roeienより
オランダのボート代表、パウリス3姉妹は皆笑顔が素敵です。
Salland ローイングクラブのサイトより写真転載



あと、全然関係ないですが、World Rowingの世界ジュニア選手権のトップページ、写真がイタリアのJW8+のCOXみたいなのですが、どうみても日本人のように見えますよね。最初「日本人のスタッフがイタリアのオールを運んでいるのかな?」なんて思いましたが、どうやらアジア系の方がイタリアのCOXのようです。オランダのシニア代表で活躍していたW8+のCOX、エリ・ノールト選手もアジア系ですしね。ヨーロッパにもアジア系の方は一定数いらっしゃいます。
ヨーロッパでも、COXなら日本人も活躍できるかも?言語堪能であることが条件ですが・・・。
今回のように、世界ジュニアなど世界大会は、いざ調べてみたり詳しく見てみると色んな話題が満載で、そうしたトピックスやニュースなどもボートファンを楽しませたり、盛り上げ関心を高める要因になりますね!
イタリアJW8+COX World Rowingより
イタリアJW8+のCOX、Jiang Haonian選手。中国系でしょうかね?17歳の代表COXです。
こんなふうに、日本の女子COXが日の丸ブレードのオールを担いで、そしてエイトを走らせている姿を見てみたいですね!
World Rowingより写真転載









さて、世界ジュニアの情報を見てまいりました。
私は日本代表の記事を個人的に書かせていただいて、基本的には勝つために応援したいところがもちろん一番です。負けてほしくはありませんので、不甲斐ない負け方は少しでも勝てるようになるために厳しい目でも見させていただきます。しかし、勝っても負けても、本気で全力を出していれば、それは見る人を感動させます。それが一番大事。しかし、結果が出るまでは結果にこだわる。こだわりぬく。
とはいえ、ジュニアの皆さんは、これからの選手。これからいっそう、ボート選手としてまずボートを好きになり、燃え上がって成長を遂げるには、大いにボートを楽しんでほしいところがあります。まず楽しむことです!
2018 ジュニア代表選手たち crew japan FBより
日本ジュニア代表選手団の集合写真 Crew Japan Facebookより写真転載





ボートの魅力は、勝とうとチャレンジするところにこそある。勝つために、速くなるために、心技体をボートで表現するために、その熱い心、まっすぐな姿、そこがボートの魅力の最たるところなのです。それが、若さだと思います。
若いボートマンよ、仲間たちとともに、未知の世界で、未知のライバルと、ひたむきにボートを走らせてください!!



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