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「全国のオアズパーソンへの手紙」8月号が掲載されました。
全国のオアズパーソンへの手紙(第72信)
日ボ会長による日本ボート全体へのメッセージであり、7月の国際大会の結果を受けてどのような文面になるか関心を寄せていましたが、案の定というか「世界と戦えるレベルに近づいている」という評価をされていました。特別な危機感などは少なくともこの文章からはまったく感じられませんでした。

「オープン種目ではM1Xが20位/27クルー、W1Xが15位/22クルーということで戦える」※72クルーではなくて22クルーです
「U23ではオープンの男女ダブルスカルが特によく戦って、BM2Xは総合11位/19クルー、BW2Xは総合14位/19クルーでした」
このように、現場コーチからの話も聞きつつおおむねオープン種目では「世界で戦える」という確信を得ているようです。
うーん・・・だからその手応えの根拠がどういった点にあるのかを情報発信してほしいわけですが、これでは我々一般のボート関係者には全く分かりません。世界のCファイナルで戦えるのか、世界の優勝争いで戦えるのか、どのレベルを指しているのかも分かりません。




たとえば一見、BM2XはBファイナル5位でありオープン種目で世界のB決勝というのはこれまでを考えれば良い評価ができると私も感じるところはあります。D大とN大による、日本の学生で初めてエルゴ6'10をクリアした期待の選手(S間選手は6'09、K村選手は6'10)、もちろん本当に応援したいスター候補選手です。しかし優勝したギリシャ、オランダ、ポーランドとはA決勝とB決勝で2時間近いレース時刻の差がありましたが日本とは10秒以上離されています。(準決勝では同組イタリアと30秒差。離されてしまった参考にならないタイム差ですが、1000m時点でも14秒差)
BW2Xは日本女子史上最高6'41のエルゴ記録を持つY川選手の乗るクルーですが、予選では最終的に3位になるイタリアと15秒差ちぎられています。優勝した別組のイギリスはさらに10秒速いので、日本と優勝イギリスとは予選の時点で25秒差。A決勝と日本の出たC決勝は日付が違うので単純比較できませんので、予選タイムを挙げさせていただきました。
同じ時間帯でもレースが違うとタイム比較自体、参考にしかなりませんが、しかしある程度実力比較になるのも事実です。もちろん、予選、敗復、準決勝、決勝と、レース展開や出し切る力にも関係してそれぞれタイムは参考材料にすぎないところがありますが、少なくとも一線級と10~15秒は差があるのです。
※とはいえ、BM2XについてはB決勝で腹切りのロスがあってこのタイムという情報もありましたので、今回のU23では軽量級以上に期待できる内容ではないかと私個人は推察していますが、そういう評価や内容報告が、日本の強化担当から発信されないとすべては憶測や願望にすぎないということです)

「U23では、オープンが最下位争いはせずにB決勝やC決勝で戦えた。それ以外の、特に本来メダル争いすべきの軽量級がシニアでもU23でも苦戦を強いられ、てこ入れが急務だ。
ワールドカップでは日本のトップクルーであるLM2X、LM4X、LW4Xがいずれもメダル争いから10秒以上離された現状。U23でもLM4Xはやはりメダル圏内と10秒以上の差があり、LW4XはA決勝で3位フランスとは3秒差だったが、優勝のイタリアとは12秒差だった。」
順位によらずタイム差で見れば、どうフォローしようともこういう評価になると思います。変に持ち上げる必要はないのではないでしょうか。10秒という差がどれくらい大きい差なのか、ボートをやっている人なら誰でも分かると思います。500mごとに2.5秒ずつ離され、だいたい1艇身ずつは離れていくので、レースにならないくらいの地力の差が違うというやつですよね。
多少ボート経験と知識があれば、こういう見方をするかと思うので、この差をもって「よく戦った」と評価する協会の方の言い分は「違うだろう」と感じられてしまうし、「これだけの差があるのに今後大丈夫だという根拠や材料を教えてほしい」と思ってしまうわけです。だって、協会は嘘の発信はしないですよね。




以前からそうなのですが、やはり会長は代表強化に関しては完全に現場に任せているというところで、余計な口出しはしないといったスタンスを一貫されていると思われますので、こういう文面になるだろうとは予想されました。
それ自体は素晴らしいことなのですが、しかしじゃあ誰が結果責任を最も負うのか、うまくいっていないときに誰が決断して指導体制を強化するのか。こうした決断や評価を協会の最高責任者が他人に委ねては、誰もJAPANクルーの舵をとれないのです。誰も艇速と順位を上げられないのです。
周りが東京五輪への日本代表を心配している、不安になっている状況を感じていただけているのかなあと、こちらが不安になりますし、一言で言えば「大丈夫か?」ということです。

今回の7月の結果で今後の日本代表を心配しない人は、よほどこれから劇的に強くなる前兆や見込みをつかんでいる人か、日本ボートの将来に特に関心がない人でしょう。
やはりこの点に関して情報発信を望みたいところです。

私はだれか個人攻撃をしたいとかいうわけではありません。ネットの誹謗中傷は心底嫌いですし、自分は政治批判を気取るような真似は絶対したくないというほうです。だって、「じゃあお前は責任もない立場で何もやっていないのに人を批判する資格があるのか」ということになりますからね。しかし、少なくとも日本ボートに関わっていれば責任があって、私も含め皆日本ボートのゆくえに責任をもたねばならないのです。私の責任とは、こうした媒体などを通じて限られた情報とできる範囲のところで、日本のボートが強くなり日本のボートに関わることが誇りや幸福につながるような発信をしていくこと。無責任で一方的な批判ではなく、できるだけボートで努力されている人たちを尊重しつつも自分なりの対案を示し、ボートに関わっている一人として感じたことや考えなどを伝えていくことです。
何もやらない、何も言わないよりは、プラスもマイナスもあるかもしれませんが何らかの影響力にはなるだろうということです。

日本のリーダーたる会長や、協会が、日本ボートをより強くするための行動と戦略をお願いしたいのです。
だってそうしないと、日本ボートに夢がなくなりますからね。JAPANエイトで戦ってほしい、より多くのカテゴリーで日本の選手が世界で活躍できる道をつくってほしい、コックスが五輪に出られるチャンスを作ってほしい、強い日本クルーを作って多くの若い選手がボート競技に憧れ成長できる日本ボート界になってほしい。引退してからも誇りと学びのあるボート界のコミュニティを大きくしてほしい。
こういうたくさんの夢があるわけですから、こうした目標や理念をもった未来の実現にリーダーは邁進すべきで、他人任せになってはいけないのです。自分の責任を果たすのです。




私はよく「漕艇日記」さんを見させてもらっていると言っていますが、もうだいたい同じことを言ってくださっています。むしろ私よりずっと言うべきことを言っていただいています!
7月15日記事
7月17日記事
7月23日記事
7月26日記事
8月3日記事


色んな意見や、異論も当然ボート界にはたくさんあると思いますが、トップレベルをめざしている方たちから見れば、だいたいこうした感想をお持ちだと私は感じるのですがいかがでしょうか。ボート関係者からもっと多くの発信を見てみたいですね。

日本ボートは、協会のリーダーシップが必要です。いまの猛暑に見合った熱い戦いを世界で演じるためには、協会がもっと熱くならないと!!
身内に対する評価は普段の頑張りを見ていたり、配慮や思いやりもあって、ネガティブな評価を下すのは普通できるものではないしすべきでもないことは十分わかっています。しかし、その身内意識こそ、ときに日本のボートが強くなることを阻害している要因にもなります。馴れ合いの仲良し集団ではありません。日本ボート全体のために代表して国際大会で世界トップの競技力と人間性を発揮するのがナショナルチームの使命だと思います。それでこそ、ボートの魅力を国内外に伝えられます。



「日本のボートはもっと強くなる。それにはこのタイム、この順位では全く戦えていない。決して満足しない」
「真に戦うにはレースをリードし、レースの流れにアタックし、スパートで世界の強国を脅かしてこそだ。日本の武器はまだ磨きが足りない。コンスタント力はついてきた。次回の本番までにそのトップスピードの課題を必ずクリアする」
「テストは終わった。これからは絞り込みだ。少なくとも世界トップ3に入るためのクルーの人選を進め、さらに競争を激しく進めていく。日本代表は世界においてトップレベルでなくてはいけない」
「実績と情熱に溢れた世界トップのコーチと、メンタルのトレーナーを招聘した。世界トップで争うために精神面の強化はぎりぎりの勝負の中で絶対に必要になってくる。日本は逆境において力を発揮する」(これはもちろん架空の話です)

こういった、熱い言葉やさらなる具体性(公表できる範囲で)を示すようなメッセージを、どんどん出していってほしいのです。
代表関係者の身内だけでなく、日本ボートの全員をクルーとして巻き込むような、熱い発信を期待しています。そうすれば、もっとたくさんのパワーと成長と資源獲得ができると、確信しています。
そうです。「私、自分」=「日本、日本のボート」という発信が必要なのです。他人事や自分と関係のない出来事ではなく、自分ごととして、日本ボートを語り、日本ボートを強くしていきましょう。


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