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前々回、新入部員の大量入部は大量退部に気をつける必要があるという記事を書きました。
そこで、これまで多くの大規模ボート部から小規模ボート部までを悩ませてきたと思われる部員の退部をなくす、あるいは減らすための「退部率激減策」についてまた考えてみたいと思います。

そんな記事を書こうと思ったのは、先日とあるボート部ブログをたまたま見たら「ボートの楽しさを感じる前に退部をしてしまった人がたくさんいて残念に思います」という内容を読んだためです。
「ほかの競技も多いと思うが、ボートもいつもどのチームでも退部騒動を聞くなあ」と常々思い、そしてそれでは進歩はない、こうした現状を変えていくことこそが、ボートにとって重要なことだと考えるのです。

前々回、言った言葉を繰り返します。
「たくさん入れて、1人もやめさせない」を目標に、ぜひ1人も欠けることなくボート部4年間を同期全員で全うしてもらうために全力を尽くしましょう。
そして、「ボート競技は多くの人を得るが、決して多くの人を失ってはならない。」
これが、今後ボート競技が他競技との優位性を作り上げ、そしてさらに言えば社会的にも価値のある競技モデルを作り上げるためにチャレンジしていくにふさわしい目標であり理念とするために。
ボートは多くの人材を必要とし、そして同時に1人1人を大切にする競技であるというモデル作りです。1人が欠けては、ボートは進みません。クルーも組めません。1人を大事にするからこそ、大人数でのチームを結成することが可能なのです。究極のチームスポーツたるゆえんはそこにあると考えます。

ボートにおいて、「優れた知・徳・体を涵養できるスポーツ」「向上心と研究心と謙虚さを培う競技」「スポーツを通じた組織マネジメントの力を養成する競技」などこういった価値を作り出す。そしてもちろん、多くの人を増やせば増やすほど、さまざまな可能性が増し、多くの出会いや関わりを生み出すスポーツ社会を提供することができるようになり、競技の力はそれだけで増していくのです。





入る人がいれば出ていく人もいる。中には、途中入部や途中退部がいます。この途中退部が圧倒的に多いんですね。退部というのは途中退部のことです。
ですから、ボート部の新勧では「大学4年間、高校3年間がんばろう」と、まず途中退部がないように最初からずっと現役を全うする決意をしてもらいます。「とりあえずやってみない?」は、私はNGだと思います。「ラクだからさー」とかはなしです。ボートは絶対ラクじゃありません。最初の心理的なハードルは低めで、多少は決意に軽さも必要ですが、重さも必要です。最初の決心が強いほど、退部率を一気に下げます。(心理的なハードルを高くしておいて、先輩が協力して越えられるよう決意に導くのも、退部率は低くなります)
また、基本的に、入部者は卒部者として大学4年間や高校3年間を全うして認められた形で引退するようにしなくてはいけません。このボート部引退というのは、その後もOBという強力なサポーターとして部に関わり続ける存在になってもらう通過儀式です。ずっとボート部に関わる仕組み作りです。要するに、ボート部に入ったら現役からOBへと関わり方を変えながらもずっとチームの一員としての存在になってもらうわけです。
「えー、ずっとボート部にいなくちゃなんないの?」
と思うかもしれませんが、ずっとボートに関わることで成長し続け、多くを学べ、多くの人とつながりを得られ増やし、メリットや恩恵が続くようにしていけばいいのです。今みたいな言葉を発する人は、いやいや続けている人の台詞だと思いますが(苦笑)

メリットをデメリットが上回れば、人はやめます。
デメリットや辛いことを避ける、さまざまな選択肢の中で他を選択しようとすることで新たなメリットや可能性を求める。これが退部の基本的な心理です。
人間関係や辛いことからの現状逃避か、ボートを続けることがデメリットであると判断するか、他のもっと大きな可能性を求めるか。これが、だいたいのやめる人の心理です。やめることによって、得られるプラスがあるのです。
続けることがプラスであると考えているメンバーとの、食い違いがここで起こります。やめたいと思う人には、ボートで得られるメリットやプラスが見出せなくなっているのです。入る前には色々プラスがあると思って入部したのに、だんだんボート部のことがわかったつもりになってきて、マイナスのほうが大きいと感じてしまうのです。物事を損得で考える傾向のある人や、目先の打算で動くタイプの人はこのようにマイナスの判断をすることが多いと感じています。

やめたい、やめやすいという傾向の人は一定数います。飽きっぽい人もそうですが、特に人間関係を作るのが苦手な人。少数の部ならある程度自分の居場所が確立するのでしっかりボート部活動を全うできますが、部員が増えてくるとその輪の中で関係をうまく作れず馴染めなくなってしまうことがあります。この人間関係をうまく作ることは、チームリーダーや上級生がボートの指導以上に労力を使わなくてはならないところです。
あるいは、やりたいことが色々とあったのに、他の可能性を犠牲にしてボート競技やボート部を選んだ人。こういう人はかなり退部予備軍となります。こちらは、ボートの面白さが分かれば、やりたいことよりボートへの興味や関心が勝るようになります。私なんかはずっとサッカーやゲームに関心があったのですが、ボートが面白くなってからはそちらの興味は薄れていきましたね。





新勧などでは最近、「全員が成長できる」「日本一をめざす」「ゼロからのスタート」といった売り文句が目立ちます。
私も自分の記事では、だいたいこのような謳い文句を推奨していますね。
しかし、それが入ってみたら「本当か?」という疑念にぶつかることもあるわけです。
「成長に差があるな。彼は努力によって成長しているが、自分は頑張っているつもりなのに成長できていないんじゃないか。全員が成長できるなんて嘘ではないか」
「日本一をめざすというから入ってみたが、うちの先輩を見ていると本気で日本一をめざしているようには見えない。こんな理想の低いチームにいるのはどうなのだろうか」
「ゼロからのスタートというから入ったが、結局体格とエルゴのある人が有利で、有利不利が激しいスポーツなのがボートなのでは。それに、現実には経験者を集めているチームには勝てないじゃないか」


こういった点は現実にありがちで、新勧での売り文句との整合性がとれないと思われるでしょう。
私はこう考えています。

まず「全員が成長できる」という点は、少なくともボート部に入ったことで人それぞれ大きな変化があります。そしてボート部に入る人は、他の競技を続けてきた人なら体力的技術的に努力してボート競技における成績が期待でき、これによって自信がついたりボート競技で可能性を高める経験を積んで、成長していく過程を実感することができるでしょう。また、体力的精神的に鍛えてこなかった人は、新たに競技を始めたことで純粋に心と身体が強くなっていくことを成長だと実感できます。私などは高校でほとんど鍛えていませんでしたから、こうした変化を大きな成長だと感じることができましたね。何より、大学での集団生活合宿生活を通じて、自分中心的な考え方が少しずつ他人や仲間のことを考えるように変わっていけたのは大きな変化でした。
それぞれ成長の度合いには個人差がありますが、その変化自体が本人にとって大切なことで、ボート部は大きな変化ができる環境であることは間違いないといっていいでしょう。

「日本一をめざす」という点について。
これは私の考えでは、はっきり言って上級生自身がこのフレーズを出すならば本気で達成を目指してください。覚悟がなければ、もう少し「○○大会のメダル」とか「最終日」とか、現実的な目標のほうが、よいかもしれません。
日本一は、相対的な目標です。この目標が実現できる枠は限られていますので、誰もが達成できるものではありません。チーム全員エルゴ男子6'50クリア、女子7'50クリアなら絶対的な目標として達成できるかもしれませんが、全チーム日本一はまず不可能です。ですから、日本一をめざすには、相対的に卓越しなければなりません。その言葉の意味をよく考えて、つまり同じ日本一をめざすライバルより違うこと、それも艇速で上回るための具体的なプランと実行が必要になるので、これを行動と結果で示すことが求められます。
もちろん、めざすことは誰もができます。しかし口だけにならないよう、ぜひ本気で達成に向かうことで新人に背中を見せてください。先輩が日本一に本気で挑む姿を間近で見た後輩こそが、日本一により近くなるというのは、私のこれまでの経験からも確かなことです。これは世界一に対しても言えるかと思います。私のチームの例ですが、本気で日本一をめざした先輩は惜しくも3位や準優勝でしたが、それを近くで経験した後輩が優勝し日本一となりました。
この日本一を本気でめざした先輩というのは特長があり、決して勝てないことに言い訳をしません。困難だと分かっていながら、自分たちの環境や条件が劣っていると自覚しながら、その環境や条件のせいにせず、環境や条件自体を変えていこうとしたのです。そのように自分たちを高めながら、日本一という頂点に目標を設定し実際にそれを争うレースに挑むことが、後輩にとって環境や心理的な壁を取り払うルートを切り拓くことになり、あとはさらにもう一歩先へ進むだけという最終機会に導く結果になったのです。こんなにまっすぐ、自己実現に邁進できる機会など、ほかの部やサークルのどれだけが提供できるでしょうか。そして、それだけ一つのことにまっすぐになれるチームで、やめようとか考える人はあまり出てきません。だって、楽しくて夢中になれますからね。大学や高校ではほかにも素晴らしい競技や活動が多いと思いますが、ボート部ではこういう、大きな夢と目標を持てる競技として、他ではできないようなことが経験できる活動として、しっかりアピールできるのではないでしょうか。

「ゼロからのスタート」について。
私はこのフレーズは今一つ分かりづらいところがありますが(苦笑)、競技のスタートラインとして高校ないし大学からという遅い時期に始めてもじゅうぶん成長し成績も残せるという意味で、今ではポピュラーな新勧文句となりましたね。高校ボートでもこの言葉をよく見かけます。ゼロではないが、スタートラインは同じ。しかし現実にはもっと早くボート歴を始めている人も中にはいる、ということで若干の矛盾がありますが、そもそもボート未経験者とはいえガンガン他のスポーツで鍛えてきた人と、中学高校帰宅部で何か身体を鍛えてみたかった、という新入生とではゼロからとか横一線なんてことはありえないわけで、まあそこはもちろん言葉のたとえであるということですね。世の中、真に公平なことなどありえません。しかし、ある一線において機会均等や枠組みの中の公平は必要不可欠です。
完全に「ゼロからのスタート」と言い切ることはしないで、ほとんどは未経験者、でも中には経験者もいるのでそういう人にも努力次第でじゅうぶん勝てるようになるよ。他の球技よりも、競技歴による差がつきにくいのがボートの特長。経験者は高校でも大学でも全体の3割程度というところなので、新しく始める人が多い競技なんだ。という程度の補足説明は必要だと思います。
また、体格による不公平があるというのは、これは残念ながら事実というところがあります。しかしこれを機会の公平にしていくのが、本来は階級分け、すなわちボート競技における軽量級とオープンの2階級であります。仮に男子で身長165cmの新人がボートを始めるとしたら、オープンではなく軽量級で勝負できるようにしようと私は勧めるでしょう。そして以前も言いましたが、166cmのインカレM1X優勝、158cmでインカレM4-準優勝という男子選手が過去にいます。
記事参照 「エルゴとボート、体格と筋トレの話

もちろん、170cm以上の選手がより有利と言えますが、160cm台の名選手もボートには多く、完全に公平ではないが大きな選手に勝つというのは高いモチベーションになりますので、ぜひそうした大きな挑戦心を抱いて多くの工夫によってチャレンジする毎日を送ってほしいですね。私のように、COXを最初から選択するという道もあるのですから。







というわけで、趣旨から外れそうな形になりましたが、当初の新勧ですすめた謳い文句やキャッチフレーズは嘘や誇大広告にしてしまうのではなく、ボート競技によって得られるメリットと期待感を、入部した後でも期待外れや失望させるのではなくむしろさらにワクワクさせて充実した競技生活を送ってもらうために、実感してもらうことが必要になります。
最初の新勧と入ってみての実態のギャップ、新勧で言っていたこととの違和感などが、見透かされてしまうのは退部者を作る大きな要因です。
新勧、継続、育成。新勧も大事ですが、継続が同等以上に大事なのは、そういうことです。入ってみたが、いまいちだった。自分には合わなかった。他をさがそう。そうならないように、継続し定着してもらうことが組織力強化のために、そして少子化の今後においていっそう求められるのです。
「新勧プロジェクト」だけでなく「継続プロジェクト」をシリーズ記事にしてもいいくらいですね(笑)。いかに定着してもらい、継続してもらい、真のチーム力、真の競技発展のための力になってもらうか。そこを徹底追究することにも、価値があると思います。
企業経営もそうですが、スポーツ組織運営も新規戦力の獲得と同じくその定着率、組織において長期に関わる戦力として人は失ってはいけない財産であり資本なのです。

そして先に述べたように、「ボート部」というスポーツ組織、とりわけ大学ボート部や高校ボート部など学校スポーツ組織にとっては、入部したら卒業後もOBOGという形でずっと関わってもらい、物心両面、さらには人脈や資金脈、情報や知恵や経験などソフトの面でも大きな力として関わってもらうことです。いえ、学校のチームだけでなく、社会人やクラブチームにおいても、離れるOBや途中退部はかなりいると思いますので、現役引退後の関わりは重要な問題です。
ボート競技では、このことは周知の常識にしていかなければいけないかと思います。OBや支援者ほど、組織を支える人の力として大事なものはありません。そして、クラブやチームを支えるファンであり続けます。OBや支援者から多くの資源と愛情をもらい、そして選手や現場のスタッフはOBや支援者に感動と感謝をもたらすという互恵関係を強固にして、人の交流が活発に開かれた組織体として永く続く歴史を創っていくのです。
それが、1人1人を大切にし、みながクルーとして目標を一つに艇を進めていくというボート競技の特性そのものを象徴する営みにもなると私は考えます。

そのためにこそ、目的やモチベーションを見失い、途中で漕ぎをやめたり艇をおりるようなメンバーを極力出してはならないのです。退部者や離脱者は、組織で多く人を増やそうとすればするほど顕在化してくる問題と考えますが、ここをクリアするのは必要なハードルであるとも思います。

ボート競技全体で、継続するメンバーが多い体質を築き上げ、ボート競技に関わっていることに誇りや幸せを感じられるようにしていく。Rowingに関わっていくことに、魅力と充実を感じ続けられるようにする。
Rowingの魅力、プラスやメリットを、どんどん発見し発信していくことが必要ですね!








それでは、現在そして将来のRowingに関わる方たちへ、ボートを続けるための取り組みをいくつか考えていきたいと思います。



1.魅力的なチーム作り
もう、まずはこれに尽きますね。基本的に、ボートに関わるにはチームに所属しなければいけません。ボート競技は資金やボートのインフラ、チームメンバー、スタッフがいないと活動が困難な競技です。既存のチームで活動する以上に個人の競技力向上を強く志向するような日本ボートの第一人者T田選手やごく最近スロベニアに渡ったというN野選手でさえも、スポンサーや海外クラブの存在を必要とします。そして代表チームの活動で強くなるきっかけを得ています。

魅力あるチームは、多くの人を集めます。交流が活発です。S田漕艇倶楽部などはこれにあたるでしょうし、今後高校や大学や社会人においては、魅力のあるなしでチームの発展度合いが二極化していくことも考えられます。私はすべてのチームができるだけ均衡してほしいのですが、スポーツにおける資本主義はボート競技でも例外ではなく、資本優位なチームが人も資金も情報も強く、魅力あるチーム作りにも着手できるようになります。しかし、小規模チームも、しっかりと差別化し独自化によって、戦略を持つことでじゅうぶんに魅力あるチームを作ることができます。

人の心を引き付ける魅力という引力は、当たり前ですがメンバーの心もずっと引き付けたままにしておくことが可能です。人の輪があり、自分自身の心と身体が成長でき、さまざまなチャレンジや目標によって多くの経験や財産が得られる組織は、ずっとここにいたいと願うようになるでしょう。
そういう魅力あるチームを、自らの努力で作り出すのです。ただ漕いで、ボートの練習を手伝って、勝つことだけを考えるのでは、今はよくても継続していくことに限界も出てきます。この3つはボートチームたりうるための基本事項ですが、それだけがボートチームではありません。漕げなくなるときもあるでしょう。サポートがうまくできないときもあるかもしれません。怪我やスランプ、年齢などで勝てない日もやってきます。自分のためにやるボートもありますが、人のためにやるボートもあります。そして、人のためにやるボートは、これは不思議なもので自分の充実と幸福につながります。

チーム価値を高めるために、色んな活動をします。これは広報や営業といってもよく、実に広範囲な活動がありますので、新勧、普及にもつながります。チームグッズや、チーム活動の広報、記録編纂、さまざまなチームや選手との協力した活動、メディア、SNS、出版、HPやサイト、交流イベント、講演などなど。人と接し、人にアピールしたり交流する活動なら何でもいいですね。また、ボートやチームのことを世に知らせる活動全般が価値も高めますし、内部に向けてはチームメンバーとボート談義をしたり仲良く食事するだけでもチームに貢献していることになります。メンバーが、チームが好きになる。お互いの距離を近づける。それが魅力づくりというものでしょう。
そして何より、人間力ですね。競技力も必要かもしれませんが、人間力のほうがこれに優ります。個人としてもチームとしても人間性を高めるための取り組みを数多くしていくこと、これが魅力あるチーム作りに直結します。魅力あるボートチームとは、魅力ある人の集まりなのです。ボートが大好きで、人のために行動ができ、公正なルールを守って競技全体のことも考えられる。新勧活動で心がけてきたことは、日々の競技活動でさらに高めていくことです。
笑顔と自信に満ちたチームにできるよう、チームにいつも風を吹き込んでください。




2.退部させない工夫
タイトルに退部率の激減と入れているということで、そのあたりの工夫を考えてみました。
前々回の記事で、たくさん入部したチームが多いと言いましたが、これまで30人入った、40人入ったという話をいつも聞いていましたが、3年後に120人とか150人になったという話を聞いたことがありません。せいぜい多くて90~100人前後です。下手すると40人くらい入っても1年で半分くらいやめるとか、1年後2年後に入部した数とあまり変わらない、40、50人くらいの全体規模になっているチームも聞きます。それだけやめてしまっているわけですね。これは悲しいことですし、こうならないためには意識改革も必要ではないかと。

「ボートで厳しい練習や合宿生活を続けると、必ず離脱者やついていけない部員が出る」。こんな風潮が、私が現役の頃からまことしやかに言われていました。しかし、退部問題はそんなに単純なことではありませんし、必要な人数だけ残ってくれればいいというような駒のような扱いは決してやってはいけません。(こんなボート部は今時ないでしょうが・・・)企業経営もそうです。もうそんな時代は終わらせましょう。なかば使い捨てのようにただ厳しいだけのノルマや練習、規則でしごくような体育会やブラックな企業は、いまの時代必要とされませんし、下手をすればそんな組織は問題になって、SNSで糾弾される世の中です。内部で通用してきたことが悪弊として社会の日の目に曝されて裁きを受け、会社が存続しえないなどの死活問題に発展することも起こります。

新人40人入れられるような新勧力のある大所帯チームは、ぜひとも3年後に150人超えをめざしていただき、エイト10杯の大艦隊編成チームを実現してください!これは自分で言ってて少し言い過ぎではありますが(苦笑)、大所帯でのチーム運営の未来図を詳細に描きつつ、緻密なプランで1人1人の無限の可能性を引き出してほしいと思います。

というわけで、120人超えという現在最大の大所帯チームを実現しているD大のT田監督に少し話を伺ってみました。D大では、昨年41人入部があった中で、退部者はたった4、5人に抑えたということで退部率1割程度という驚異の数字。ボート部の現実を知っているOBの方々からは、これがかなりすごい数字であることはおわかりいただけるのではないでしょうか。10人中1人やめるのと、40人中4人やめるのとではまたちょっと意味が違います。大人数はやはり離脱者多くなりますから。

監督によりますと、退部者を減らすための取り組みとして、D大では「ブラザー・シスター制度」というのがあるそうです。
新入部員1人1人に、上回生が兄、姉として付くようにし、私生活から競技の悩みを相談できるようにするというものだそうです。兄、姉は後輩の面倒は何でも見るということで、こうした疑似的な兄弟関係が、新人のボートの指導だけでなく生活指導や引いては大切な人間関係となり居場所としても精神的なホームになっていく効果があるということです。
部員が発案し、OBが京都の花街に倣って助言したということで、素晴らしい取り組みですね。

ネットでも調べましたら、こういった記事が出ていましたのでご参考に。

舞妓さんは街全体で育てる、京都花街の人材育成

ブラザー・シスター制度とは

私のチームでも、かつて大量退部があった翌年に「トレーナー制」という名前の制度を設け、上記のブラザー・シスター制度に近い、新入生1人に先輩の担当1人が付いて色々教えたり相談に乗るという決まりを作ったりした時期もありました。似たようなことをすでに実践しているチームもあると思いますが、このように同期との関係だけでなく先輩が親身に関わる体制を作ることが、私自身の経験からも退部者激減には有効であると感じていますね。せっかく合宿生活なのですから、最大限そのメリットを生かすことです。

また、私自身コーチとして関わっていたときは、部員減が底をついたのち、自分の担当する男子に関してはほぼ一人も退部者を出さないような取り組みをしていました。その内容は前々回に書いたとおりのものですが、新人クルー担当にはボートに詳しい上級生を必ずつけ、自分の練習を犠牲にしてでも一生懸命1年の練習を見てあげるというのがありました。意識が高い上級生は、部内トップの上級生だけでの練習を優先させがちですが、そういう上級生こそその高いボート意識は後輩やチームに役立てるべきです。これにより、ボートが好きな意識が高い後輩が増えるので、同期に対してもその後の未来の後輩に対しても、抜群の相乗効果があるのです。

そのほかには、とにかく地道に毎回話をしてコミュニケーションを絶やさないことにあります。ボートに興味がわく、ボート競技やボート部のことを色々と知る、目標がはっきりする、親しく話せる関係をつくる。特には、相手の話を聞いてあげることですね。何でも些細なことを聞いてくれる存在がいるという環境を、人は簡単には捨てないようになります。こうしたことで、悩みに答える引き出しを増やしていけば、ボートに対するモチベーションを高めてあげることができるのです。




3.ボートチームは家族
野球やサッカーもメジャースポーツとはいえ、やめる人は多いですよね。メジャー競技とボート競技の差別化策としては、ボートはたくさん入部させるのにやめる人が少なく、結束が強い。まるで家族のようだ、チームの強い結束を感じる、となるようにするべきです。

私にとって印象的なキーワードがあります。2016年、FISA(国際ボート連盟)が五輪種目削減の危機に際し発表したマット・スミス事務局長の声明文における言葉です。
「世界で一つのロウイング・ファミリーが今、為すべきことは、“自国の利益”は横に置いておいて、ロウイングのグローバルな将来のために最善の決断を下すことである。私たちの決断は、IOC の決断に対する私たちの回答となるわけであるが、それは 2017年2月の FISA 臨時総会で私たちの NF 代表者によって為される。確固とした、魅力的かつ持続可能なオリンピック・プログラムを、私たちは 2 月の臨時総会で確立しなければならない。それは、私たち全員が愛好するロウイングの健全な将来を確約する以外の何物でもない。」
参考資料「IOC “Olympic Agenda 2020”に沿ったオリンピック・ロウイングのプログラムと FISA のアプローチ」

結果として翌年の臨時総会において、東京五輪ではLM4-がW4-に変更という形に決着したわけですが、この「ロウイング・ファミリー」という言葉ですね。これだ!というとても強い印象を受ける言葉です。FISA自身がファミリーと表現しているように、Rowing界はファミリーではないかと。ボート競技では合宿生活が多いという理由もありますが、生活も同じ、食事も同じ、練習も同じ、目標も悩みも課題も同じ、ということでRowingには家族のような絆が得られるというか育むことのできる最大のメリットがあります。

こんなに、家族のようにチームとして人と深く関われる競技がほかにあるでしょうか。
先の「ブラザー・シスター制度」とも関連しますが、ボート部の家族のようなつながりは、多くの人がボートに価値を置いていることの大きな要素ではないでしょうか。
それだけではありません。ほかのチームも、ボートに関わっているということで家族のように親しみを覚えることができ、共通の認識や言葉を持ち、さらには国が違ってもボートをやっているといえばすぐに仲良くなれるという話もよく聞きます。世界のボートが、みな大きな家族なのです。
家族の絆を作るために、色々となすべきこと、果たすべき役割や責任もあります。あなたは家族の一員だ、とメンバーを認める気持ちがまず大切ですよね。

でも家族ってまた、利害や利益を越えたつながりでもあります。損得勘定で動くものじゃない、そこにはやはり愛情や無償のつながりがあると思うのです。「ボートは金にならない」とか「ボートはマイナーで利益がないから嫌だ」とあからさまに言う人は、金になる競技を選んでほしい。金とは違う大きな生きがいと喜びをボートには感じるのです。それは、人です。
だから私は人を増やし、人を離れさせないことがボートのめざす道だと思うわけです。そして、人とともに自らもお互いに成長していく。

「家族のような、一生の仲間ができる」
これを、大きな新勧売り文句にしていただけたらと思います。新入生にはすぐにはピンとこないかもしれませんが、それがRowingの競技アイデンティティーの大きな一つだと。だって、私がいうように、一度ボートチームに入ったら、現役引退しても一生OBとして関わってもらうんですからね(笑)。OBは兄であり姉であり、そして現役チームの親ですよ。若い人の力になり支えになり、ときに相談の相手としてアドバイスを送り、精一杯輝き今までよりも大きくなるための、自立のための、サポートに徹するのです。
ですから、現役からもOBをしっかり知ってもらい、絆を作ってほしいものだと思います。OBは現役のピンチには助け、優勝したりイベントやお祝いには駆けつける。遠方からでも見守ってあげる。そんなつながりはとても素晴らしいものではないでしょうか。

Rowingファミリー実現のため、日本ボートはその強い絆を築くにあたってさまざまな工夫と試みが必要でしょう。
しかし、そんな家族のようなつながり、本当に貴重だと思いませんか?ボートの話題で、ボートに関わることで、お互いの距離が近く親しく、そして共通の目標も持つことができる。生きがいを与えられる。そんな競技をめざしていきましょう。そうなれば、退部とか離脱とか、そんな問題は一気に吹っ飛びますよ!

ちなみに、「ボートは家族」ということを調べていましたら(ロウイングファミリーの言葉が載ったFISAの記事を探していたら)、このような本当の家族がチームを組んでいる記事もありました。家族でエイト!?
世界トップのスピード追求をする国際競技の話題もいいですが、こんな記事もたくさんあると色々刺激になりますね。

World Rowing 2017年3月記事 The family team, the rowing team








素晴らしき、ボートのつながりを!
魅力的なチーム作りと離脱者をなくすためには、多くの苦労もありますが、実現可能な未来でもあります。人が離れていかないよう、強い引力でチームメンバーを、家族をつなぎとめるのです。
いつまでも関わり続けてもらう、ワクワクした空間を作り続けていきましょう!

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