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前回の記事で、2月25日に行われた日本代表候補選手たちのエルゴ測定において、多くの好記録が続出したことを書かせていただきました。


いま、日本選手のエルゴスコア、Rowingフィジカルの能力は飛躍的に上昇する時代の幕が開けたといえるかもしれません。
それは突出した選手だけによるのでなく、多くの選手によってなされるものです。激しい競争と高い目標。これこそが日々の努力の質と過程を高めるのです。更新を続け、新しい記録が過去の記録をどんどん書き換え、塗り替えていく。
それは、ただひとつの目的、「世界Rowingへの挑戦」です。いえ、「世界一への挑戦」です。これによって、多くの代表をめざすアスリートが世界交流と豊かなRowing文化にふれ、世界トップ選手との鳥肌の立つようなぞくぞくする全身全霊をかけたレースへの挑戦権を手に入れるのです。




代表の地位とは、それはあくまで世界と戦うための切符であって、世界一をめざすことでそれを決めるレースに名実ともに加わり、世界の偉大なライバルと競り合い優勝をきそってこそ価値があると思うのです。もちろん、近い将来に世界一になる。「世界一になる」と思えば、なれます。思わなくてはなれません。そういう場所です、競技の世界というのは。
一度「世界一になる」と思えば、あとはそれに必要な情報というか知識と、具体的な数字との勝負です。世界一に必要な材料は、いつだってはっきりしているのです。

現在のRowingという競技においては、「エルゴスコア」と「乗艇タイム」です。
この2つの数字を追求し、達成を繰り返し階段を上っていくことだけです。この階段は、高みを見すえることがポイントです。世界標準です。

この数字の達成において、多くのアプローチが存在しますが、まず目標数値が分からないと目的地がはっきり見えません。航海を続けていればいつか目的地に辿り着くのではないかと思う人があるかもしれませんが、それは先の見えない旅です。やがてその航海そのものが目的にすりかわっていくことがあります。しかし、私はそれでは到達できないと思っています。まず目的地を調べ、知ることではっきりと見定めるのです。明確にターゲットを絞ります。そうすることで、航路も見えてくる。
続けていれば記録が伸びる、ではなくて記録を伸ばすために目標を明確に設定し、そのための日々を続けるのです。目標と道すじが明らかなほど、記録の伸びは早いし、より高みに到達できるでしょう。世界強豪国がやっていることはまさにそれで、その目標の標準が日本より高いのです。だったら、日本が勝つにはその標準を世界より上げる。簡単なことです。もちろん、実行は全くもって困難ですが、目標が低いままでは永遠に到達できないのです。目的地が違うのですから。




これまでの日本のエルゴスコアは停滞期といってもいいくらいでした。世界のベストタイムを挙げてクリアを本気で目指す人は日本のボート界にはほぼ皆無だったでしょう。数字を挙げずに漠然と「勝つ」といっても、ボートの艇速は物理運動です。数字とは密接であり、ここのクリアと研究なくして世界一の艇速には到達しえません。
私は、日本の艇が徐々に速くなることは望んでいません。やるなら一気に。目標を一気に世界一に設定して、一気にFinal Aレベルに確実に入り込み勝負強さとそのほか世界を制するために数字以外で必要な要素を磨くべきです。(私は、世界一の持ちタイムだけでは決勝で簡単には勝てないと思っています)




ここ数年、少しずつ若手を中心に記録が伸びてきて全体の層が厚くなってきている現状を、このブログでも紹介してきていました。そしていま、このエルゴ記録のトップが飛躍的に上がりそうなのです。
男子は公式記録6分10秒の壁を、2人のアスリートが突破しました。A川選手とS間選手です。しかし、今後日本記録をどんどん更新しそうなのは2人だけではありません。多くの選手によって競争が行われているといいました。
前回記録のリンクを貼りましたが、この紙面でも直接挙げさせていただきます。

男子オープン
A川選手 6'07"4
S間選手 6'09"0 (BM、U23)
K村選手 6'10"5 (BM、U23)
O塚選手 6'12"1
K原選手 6'13"7
K又選手 6'18"7
T野選手 6'19"1
※6'20切りの選手を掲載させていただきました

ここに挙げた選手以外に、6分10秒台の男子オープン選手は、日本には5~10名ほどいるはずです。
しかし、ここで従来の日本公式記録6'11"4を破ったのが3人も出たことで、時代は一気に変わり、6分10秒台の「6分ひとけた予備軍」が、確実に記録を伸ばしていきます。これはもう、私は確信しています。A川選手は非公式ベストでさらに良いタイムを出している話を聞いていますし(すみません、確証はありませんのでここだけの話です)、K村選手、O塚選手、K原選手の6'10切りはすぐ手が届くところにあります。K又選手のベストは6'14、ほかにも6分ひとけた突入は時間の問題です。
それどころか、私は日本人でも6分は当たり前に切れると前から言っています。まずはサブシックスです。日本代表男子はこれを合言葉にして、チームJAPANとして必達しなくてはいけません。そしてこれは明らかに通過点です。5'59でも、オープン世界一にはまだまだ全く足りないからです。

ある情報筋によると、イギリスのU23M8+の半分以上が、すでに5'50前半でエルゴを回しているそうです。それと比較すれば、まだまだ日本とはU23が相手でさえ20秒からの差があるのです。
先ほどの話で言えば、6分切りで満足してもいけないということになり(もちろん日本人初の達成者が出たら、満足も祝福も大いにするべきですが!)、目標は明確に、5'50の最大目標を見ていきたいところであります。世界のトップスコアから想定し、日本人の体格からしたらこれが限度でありかつ世界一になれるスコアであると個人的に考えています。(本当はもっともっと、多くの世界トップ選手のエルゴスコア情報を知りたいところですが)
キウイペアのストローク、ハミッシュ・ボンド選手は190cm85kgで2000mエルゴのベストが5'48、バウのマレー選手は195cm97kgでベストが5'42だとか(2014年情報。マレーはその後10000mなど伸ばしているし、2000mスコアももう少し伸ばしたかもしれませんね)。
これでいえば、85~90kg体重で5'50はいけると、短絡的ですが私は考えてしまうのです。身長は180~185cmもあれば大丈夫ですよ!しかし、この中身の追求です。筋組織や有酸素能力のデータをしっかりと数値目標を定め、そのためのトレーニングプログラムを準備する。そして、ボートはもっとエルゴタイムと乗艇タイムを日ごろから念頭に置いたトレーニングをしていくことが大切です。もちろん、それらを楽しめる工夫が、モチベーションを高めるために不可欠であると思います。

これからは、日本もオープン種目の時代!
軽量級の選手の方々はもちろん研ぎ澄まされた肉体と技術と精神の粋で究極のレースを繰り広げますが、オープンはその高出力エンジンと心技体のMAXパワーの表現で純粋に最高速度の艇速を期待できます。
ぜひ5'50切りと世界一をめざし、サブシックスについては秒読みで通過してください。あとラップ何秒かのところに来ています。






男子軽量級
K田選手 6'16"8
I田選手 6'21"3
F田選手 6'21"5 (BLM、U23)
N野選手 6'22"0
H選手 6'22"2
N村選手 6'22"5
H田選手 6'23"2
S藤選手 6'23"6
K谷選手 6'23"9
O元選手 6'24"1
N村選手 6'25"6
O河原選手 6'25"8
A井選手 6'26"2 (BLM、U23)
N田選手 6'27"4
T田選手 6'27"4 (BLM、U23)
K林選手 6'28"5
M浦選手 6'28"7
N田選手 6'29"3
S山選手 6'29"4
※6'30切りの選手を掲載させていただきました

先の記録会において、6'30切りは以上の19名の方々です。40名ほどが参加し、持ちタイムのベストでは6分20秒台の選手が30人ほどいたと思われます。15年以上前からしたらやはり隔世の感があるというほどに軽量級も層が厚くなりました。しかも、おそらく現在の軽量級の狭き門となった代表枠を狙っての大幅ベスト達成のために、ハイペースでチャレンジした中で崩れた選手も多かっただろうと思いますので、そうした背景も推し量ってこの数字を見るべきです。
軽量級でも、「6分10秒台予備軍」は10名以上はいるでしょう。私は、30秒前後の選手も6'20到達が可能だと思います。そしてさらに、今回6'16を達成したK田選手を筆頭に、あと10秒短縮を本気で狙ってほしいです。何しろ、軽量級でも過去にはデンマークのエース・エベセン選手のベストは6'02ですし、フランスの最速LM2Xストロークのアズーは5'57です。彼らを等身大のライバルとみなさないことには、こちらも世界一へは到達しえないのです。軽量級での6分前後の記録が特筆というか異次元並みのスコアであったとしても(70kg台後半の体重が必要だと思います)、やはりトップ4名平均が6'10切りを果たしていく(できればもっと)ことで、競争の激しいぎりぎりの僅差になるLM2Xを勝ち抜くために、さらにトップ2が6分ひとけた半ばで固められれば。日本はテクニック以前に、フィジカルで世界一になる必要があると思います。それはゆるぎない自信になるからです。
自信こそ、勝つために最も重要な要素のひとつです。世界一の数字をめざすことで、世界一のトレーニングと成果を手にしてください。
ミコライチェフスキ、エルゴ大会優勝 World Rowingより
World Rowingより写真転載。先日2月18日にアメリカのバージニア州アレクサンドリアで行われた第1回2018世界インドアローイング選手権。年齢別条件別の全カテゴリーに、33か国2500人以上が参加した。写真は男子軽量級で優勝したポーランドのミコライチェフスキ選手、181cm70kg27歳。6'07"4だった。






女子オープン
Y川選手 6'41"9 (BW、U23)
S原選手 6'57"4
C条選手 7'07"3 (BW、U23)
※7'10切りの選手を掲載させていただきました

女子オープンについては、男子のように競争が激しい状況をもっと作りたいところです。女子オープンの人材自体が少ないところがあります。ボートは他競技からの人材確保が急務だと思いますが、このカテゴリーが最も強化すべきであり、五輪において最もいまチャンスがある種目が目白押しなのです。バレー、バスケ、陸上、その他多くの競技で高身長の選手を揃えて女子オープン強化計画を図りたいところでしょう。JAPANの女子エイト、見てみたいです。
しかし当面はW2X、W2-、W4X、W4-のいずれかの選択になるでしょう。W1X中心のトレーニングになるところはあるにしても。
このエルゴ記録会で6'41"9という素晴らしいスコアで、自身のもつ日本ベストをさらに更新したY川選手。この周辺に3、4名同水準の記録をもつ選手がいれば・・・。しかし、それに続くのはS原選手とC条選手、ぜひとも6'50を切ってほしい選手であります。今回の記録はふるわなかったようですが、T北大のN原選手、Y吹選手は7分10秒台のベストを持っていると思いますし、R命館大のT野選手は7分ひとけた。DソーのK総選手も7分ひとけたのベストを持っており、そのほか多くの「6分台予備軍」がいます。日本女子オープンは60kg台半ばあたりの選手が多いと思われるので、7分前後までの記録が多そうですが、もっとフィジカル強者になる必要がありそうです。しかし、65kgあたりでも、女子の究極では6'50まで出せると思いますし、この体重でこのエルゴスコアであれば世界トップで勝負できるようになるでしょう。しかし、日本人の体格でも世界一をめざすなら平均で170~180cm、70kg前後、6分30秒台の選手を揃えたいところではありますが。
女子オープンのエルゴ世界記録は何度も紹介していますが、ウクライナのオレナ・ブリャーク選手の6'22"8(2017年)、30歳になったばかりで193cm82kg。それから18歳でのジュニア世界記録がギリシャのソフィア・アソウマナキ選手の6'28"2、190cm85kgです。
オレナ・ブリャーク エルゴ世界記録 World Rowingより
World Rowingより写真転載。
女子オープン世界エルゴ女王、ウクライナのオレナ・ブリャーク選手は6'22"8の記録をもつ。






女子軽量級
U京選手 7'21"9 (BLW、U23)
N瀬選手 7'22"0 (BLW、U23)
T屋選手 7'27"2
F本選手 7'27"2
※7'30切りの選手を掲載させていただきました

女子軽量級は、もう少し記録がほしいところでしたね!U京選手(R命館大)、N瀬選手(M大)のスコアは日本の大学女子としては申し分ない素晴らしいスコアですが、世界に行くとU23としてもさらにシニアになるとこれからというところです。
しかし、女子軽量級も、こちらも以前と比べると格段に層が厚くなっています。今回は参加者自体が少なかったようですが、例えばリオ五輪代表のO石選手がマシンローイング近畿大会では7'12"2で見事に優勝。このほか、7分20秒台は各チームに多くいます。しかしこちらも、世界一には7分切りを要求したいのです。代表には7分ひとけたが揃ってほしい。
これからのますますの記録更新に期待したいところです。
世界では、南アフリカのグロブラー選手が持っていた6'54"7が破られ、アメリカのカヴァーロ選手がつい最近世界インドアローイング選手権で6'54"1を出して、女子軽量級世界レコードを更新しました。アメリカ女子軽量級は、いま相当強そうですね。オランダ、NZ、アメリカ、ルーマニア、ポーランド、南アフリカ、中国、イタリア、イギリス・・・その他、軽量級LW2Xの争いの熾烈さはたいへん厳しいものであり、1~2秒に10か国が入ってしまうほどなのかもしれないのです。
クリスティネ・カヴァッロ 女子軽量級 World Rowingより
World Rowingより写真転載
世界の女子軽量級も、進化の一途をたどっており、世界レコードの争いも激しい!世界インドアローイング選手権でも優勝したアメリカのクリスティーン・カヴァーロ選手、22歳の新鋭(写真中央)。165cm61kgという体格で6'54"1を記録したばかり。5年前に17歳でエルゴのジュニア軽量級記録7'05"7の記録も持つ。実績は2014年U23世界選手権LW4X5位など。






このように、世界記録の例も挙げながら目線を上げつつ、日本のエルゴ記録大幅上昇のための記事といたしました。彼らエルゴ強者と世界最高峰のレースで互角以上にわたりあうために、フィジカル革命は必ず成し遂げなければいけません。
世界標準に達するためにも、世界一になる決意をもって、2018、2019、そして2020と限られた時間、リミットの時間の中でリミットを常に破る挑戦をしていく必要があるのです。

相手は強いですが、ライバルは超人ではなく、同じ人間です。
できないことはなく、できると思います。だって、実際にできている人がいるわけですからね。それも、集団でたくさんの代表選手が同じレベルと標準を目指し実現している。日本も必ずできます。それには、目標を高くして、数字を意識して、必ずやるという決意が不可欠なのです。これを、個人ではなく、チームとしてみなで挑んでいくことに価値があると思っています。ボートはクルーを組むスポーツ、チームスポーツなのですから。




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