2年半の沈黙を破って再びブログに登場、Rowing選手のインタビュー。2015年4~5月に連載し、一部で好評を博しましたこのシリーズ、以前から機会があればと狙っていた社会人トップ選手へのインタビューが実現!

帰ってきたRKこと「Rowing no Kokorozashi」が日本Rowing界の世相にズバッと斬り込み快刀乱麻、奇想天外なジャーナリストぶりでアスリートの真実と本懐に迫るという、ブログ紙上を所狭しと駆け回るドタバタ活劇だ。ちなみにRKとは、WRこと「World Rowing」のパクリにほかならない。いや、WRにおける数々のインタビュー記事のひそみにならって、リスペクトしつつ日本でもRowing専門誌のような記事をと、意欲的な記事作成をめざしたのが事の発端である。透徹したジャーナリズムこそが日本Rowingを活性化し意識の錬成を促すのだ。と同時に、Rowingの魅力とは人の魅力、すなわちRowingに関わる選手たちそのものの魅力であるという確信が魂を衝き動かしているところも大きい。ボート選手こそがボートの魅力。若きアスリートたち、生き生きとその燃え盛る生命力を艇上パフォーマンスとして躍動させよ!


今回のアスリートは何と、2年連続M8+日本一になったばかりのホットな選手、天下の○TTM8+において百戦錬磨かつ無敵のトップ漕手たちをリードする艦長であるCOXのS々野H輝選手だ。
2年連続日本一となったエイトのCOXであるS々野選手、実は以前からRKとは個人的に何度かお会いしてボート談義を交わし、メール等のやりとりもさせていただいている方である。以前会った際に、「今度インタビューをお願いします」と依頼していて、今回、「いいですよ!なんかこう、ムーヴメントを起こすなら今かなという気がします!」という熱いやりとりののち、全日本選手権優勝の直後という絶好のタイミングで実現に至った。時には起こせよムーヴメント、というわけであり、それは何かと言われれば東京五輪COXムーヴメントだ。日本ボート改革ムーヴメントにもつながればよい。

戸田の某店にて行われた4時間半というロングインタビュー(実話)。よって、今回の記事も長文注意だ。COXの真髄について語り尽くす熱のこもった漢たちによる対談という名の格闘がいま始まる―。(N○mber風)







Rowing no Kokorozashi(以下RK):まずは全日本M8+2連覇、おめでとうございます。○TT、たいへん強かったですね。
S々野H輝選手(以下SH):ありがとうございます。山内さんは世界選手権帰りのA川選手がM1Xという予想をしてましたけど、M8+の6番でしたよ。
RK:本当にパワフルなクルーでしたね。エイトのことはのちほど色々聞かせてください。ところで、S々野さんは私のブログも読んでくださっているということで、日本一のCOXも読んでいる「Rowingの志」というアピールをしてみたいのですが(笑)、どの記事が印象に残っているか知りたいので教えてください。
SH:いつも欠かさず読んでいるわけではないんですけど、COX技術論の記事はひととおり読ませてもらったと思います。
RK:いつも読んでいますと言ってください(笑)。あの記事はCOX技術を具体的に突き詰めようと思い立ったのがあり、S々野さんとは初期のやりとりで技術についての意見交換もさせていただきましたが、ああいうやりとりがヒントになったのがきっかけで出来上がった企画ともいえますよ。
SH:あ、でも山内さんのブログ、僕のスマホ画面にはちゃんと登録してありますよ!
RK:ありがとうございます!S々野さんのスマホにブックマークされている「Rowingの志」ブログ、それだけで箔がつきますね~(笑)。
SH:「COX技術論」の「世界のCOX」のことが書いてある記事は良かったと思います。アメリカ女子COXメアリー・ホイップルと、カナダ男子COXのプライスでしたね。海外有名選手への興味はマニアックな知識だけではなくて、背景や戦績など色んな情報があることで興味が広がって、真似したいとかこういう選手になりたいといった気持を起こさせてくれると思います。強くなりたい、上手くなりたいという純粋な動機にもなりますし。僕は小中とサッカーをしていましたが、スーパープレー集みたいなビデオを観ることもありました。ボートでは、「良いフィニッシュ特集」なんてのは難しいと思いますけど(笑)、やっぱり、憧れって大事ですよね。
RK:今回のブログ記事でも、S々野さんが日本全国のCOXの憧れになるよう貢献できれば何よりです。

RK:初めてS々野さんと連絡をとりあうようになったのが、2013年のまだT北大4年でいらした時だったと記憶しています。ちょうど東京五輪が決まったとき。
SH:そうでしたね。山内さんの東京五輪決定のブログ記事を見て、COXが五輪に出られる方法はないかということをお聞きしましたね。
RK:あれから4年経ちましたね。行動を起こすなら今、ですか。
SH:もう時間がありません。日本ボート界には、ぜひエイトで世界に挑戦できる道すじを用意してほしいです!


SH某店にてインタビュー①
〈プロフィール〉
S々野H輝
身長:172cm
体重:55kg(レース時)
年齢:25歳(今年26歳)
ポジション:コックス
サイド:バウサイド(稀に漕ぐとき)
経歴:福岡県立T筑高校→T北大学教育学部教育科学科→○TT東日本
漕歴:11年(高校から始めて、社会人で4年目)
出身:福岡県



RK:COXとしては背が高いですよね。私は166cmほどなんで。
SH:そうですかね。でも、180cm近いCOXもいますし。
RK:私の後輩COXも172cmでしたし、確かに170cm後半のCOXもいますね。減量がたいへんだと思いますが。
SH:今回の全日本、減量は苦労しました。日頃から体重には気をつけているのですが、今回は減量開始時に増えすぎてしまっていたので直前の追い込みはちょっとしんどかったです。


RK:ボートをはじめたきっかけを教えてください。
SH:高校での勧誘です。入学して、勧誘で声をかけられて初めてボートというスポーツがあることを知りました。高校からはまだやったことのないスポーツをやろうと考え、弓道と悩みましたが、試乗会でボートを漕いでみて、それまでに経験したことのない新しい感覚を純粋に楽しいなと思って入部を決めました。あとになって漕がない人が前に座っていることに気がつくのですが・・・。
RK:S々野さんは初め漕手だったんですか?
SH:漕手と言っても、最初の3カ月少し漕いだくらいですね。先輩は僕の小さな身体を見てコックスにしようと決めて声をかけたらしいです(笑)。
RK:そのあと身長が伸びたんですね。私も多少は陸トレ乗艇エルゴはやりましたから、漕手からの転向とまではいえませんね。私と同じで最初からCOX専門といえますね!
SH:強い部ではなかったので、全国大会に行けるよ!という威勢のいい誘いに惹かれたとか、先輩が大学で続けるという土壌もなかったので、推薦で有名大学に行けるよ!とか、そういう謳い文句や理由ではなかったですね。

RK:でも、高校では国体に出られたんですよね。ご出身は福岡県北九州市で、進学校のT筑高校とのこと。
SH:国体といっても準決勝ですし、インハイや選抜にも出ただけという感じで。顧問の先生はボート部歴はそれなりに長かったのですが、競技経験は無く、どちらかというと、僕たちにあれこれ指導されるわけではなく自分たちで考えて取り組むというスタンスでした。T筑高校は僕のときではありませんが、インハイM4X+4位が最高だったと思います。
RK:指導者が特別いないのに全国4位というのは相当な快挙だと思いますよ。高校ボートは名指導者揃いじゃないですか。自分たちで考えてクルーやチームを作っていくという文化ができたのは素晴らしいですね。



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今回の記事ではご本人承諾のもと○TT東日本ボート部公式サイトよりいくつか写真転載させて頂きました

〈ボート選手としての主な実績〉
【T筑高校時 2007~2009】
2008年 国体少年M4X+ 準決勝ベスト16(高校2年)
【T北大学時 2010~2013】
2011年 全日本M4+4位、全日本新人M4+4位
2012年 インカレM8+6位
2013年 インカレM8+4位(大学4年)
【○TT東日本 2014~2017】
2014年 アジア大会M8+銀メダル(社会人1年目)
2016年 全日本M8+優勝 (軽量級、社会人、OX盾、全日本すべて優勝の4冠)、アジア選手権M8+準優勝(○TTが日本代表として単独クルーで出漕)
2017年 全日本M8+優勝 (全日本社会人M8+優勝、オックスフォード盾レガッタ優勝。国体成年M4+準優勝)


RK:最も印象に残っているレースを挙げてください。
SH:2013年インカレ、M8+準決勝です。T北大M8+がインカレ決勝を決めたレースです。
RK:このレースを選んだ理由は?
SH:僕の先輩Y崎さんの、大好きな言葉からお借りします。「この時期ボートに対する気持は特別だったため」。それが理由です。
RK:Y崎さんは、S々野さんのようにT北大から○TT東日本でボートを続けられ、日本代表にもなった方ですよね。1995年T北大インカレM8+優勝の7番ですね!
SH:そのY崎さんが、2005年世界選手権岐阜大会でのパンフレットに載せた言葉なんですよ。「この時期」というのは、その1995年インカレ優勝のときのレースのことですが、僕にとっては2013年のインカレがまさに「この時期」だった。

SH:僕は高校で実績もなく、志願兵みたいな気持で大学ボートに飛び込んでいきました。高校の時、ある方にT北大のボート部をすすめられたんですが、それがきっかけとなって強い国立大に入って私立大エリートたちに勝ちたいと思うようになりました。ボートをやるためにT北大に入ったんです。
そこで、東日本大震災に遭いました。新2年になる直前の3月11日です。名取市にあったT北大艇庫は津波が2階まで達してボートはバキバキに折れ 、仙台での練習環境を失いました。(注:T北大ボート部は当時戸田艇庫に春合宿に来ていたため部員は全員無事だった)その後全国のボート有志の方々から多大なる援助や寄付を、T北大ボート部のために頂いたんです。H海道大からの寄付などは、自らの年間予算よりもはるかに大きい額にまで上ったと聞いています。
RK:すごい話です。震災わずか2カ月後、5月の軽量級ではT北大LM4-が見事準優勝しましたよね!震災に負けない、復興への希望だとNHKのニュースに取り上げられ、私は録画して今でもとってありますよ。
SH:そこまでしてもらって絶対に負けられない2011年インカレ、臨んだM8+。しかし敗けて、敗復落ちとなりました。震災があった年、ものすごく支援をしてもらったのにも関わらず敗復落ちだったんです。(注:T北大は優勝1回、準優勝2回を含み確か16年続けてきたインカレM8+最終日が、この年の敗復落ちで途絶えてしまった)
僕は2年生で残念ながらこのM8+に乗っていませんでしたが、ここから這い上がろうと。ここから再スタートが始まったんです。
2012年、前年の敗戦でこのままでは終われないと、2人も希望留年した先輩がいまして、この年準決勝でW大に2秒届きませんでしたがインカレM8+6位。
RK:順位決定、S台大との東北対決は名勝負でした。毎日更新ブログで有名だった「塾長日誌」でおなじみ、H海道大からT北大院生になったO田さんもバウで乗られていましたね。

SH:そして2013年、僕の大学ラストシーズンです。この年も留年した6年目の選手がストロークとして続けていましたし、僕の同期漕手3人全員が乗っていました。
RK:今年M4-で速かった選手も2年ながら4番に乗っていましたね。今につながるM8+でもありましたよね。
SH:震災から這い上がろうと、どん底に落とされた敗復落ちを挽回すべくここまでたどり着き、自身最後のインカレです。大学でボートを続けるときに決めた目標であるインカレエイト優勝、ここでやらなければいつやるんだと、クルー全員が燃えていました。このインカレ準決勝、相手は前年も準決勝で敗れたW大とC大がいて、そのほかT大もいました。しかしT北大M8+のクルーが一つになってスタートで出て、その後U23代表になるN田君ストロークの強豪W大にコンスタントで出られますが、スパートで差すというボートの楽しいところを存分に味わったレースでした。好順風でしたがスタート500mで1'22が出て、5'47という戸田でのT北大M8+歴代最速レコードを出すことができました。
RK:「この時期ボートに対する気持は特別だったため」とは、そういう流れがすべて背景にあっての言葉だったんですね。
SH:残念ながらインカレM8+決勝では飛ばし過ぎてうまくいかず、4着と敗れてしまいましたが・・・。スタート500mまでは日本一だったんですけどね(苦笑)。
憧れて入ったT北大の成績も悪くなり、震災にやられて艇庫も使えなくなり、練習場所も変わった。しかしそこからエイト優勝をめざして、一から皆と一緒にクルーとチームを立て直し、2年間でインカレ決勝の舞台にまで戻ってきたんです。

(この話をしていくうちに、特にたくさんの支援を思い返しながらだんだん目がうるみはじめ熱く話すS々野さんを見て、本当に多くの人の気持とあふれんばかりの思いを乗せていたのだとRKは感じた。インカレにかける思いは多くの人たちの思いと希望を乗せ、そして情熱と若いパワーを増幅させる。まさにインカレがボート人を大きく成長させるのだと)





RK:T北大でも活躍されたS々野さんですが、社会人強豪チーム○TT東日本での活躍についてもお聞きしたいと思います。トップチームの動向や情報は多くのファンの関心の的です。○TTの強さと今年の全日本についてお聞かせください。
SH:今シーズンは、全日本に至るまでに社会人選手権、東日本選手権、OX盾にM8+として出漕しました。全日本社会人では、ベストメンバーではなかったんですがタイム5'44が出てまずまず、東日本は優勝しましたが社会人選手権からの大きな積み上げはできず。個人的に大きかったのは9月頭のOX盾でした。代表選手6人不在で(世界選手権のA川選手、アジア選手権のT野選手、O塚選手、N溝選手、A木選手、M浦選手の計6人を欠いていた)、国内の漕手が8人ぎりぎりという状態でOX盾M8+に臨みましたが、逆に誰一人欠けてはいけないという意識が一体感を生み、良いパフォーマンスで優勝。初めてM8+で優勝できたという選手もメンバーにいました。その後、代表選手が戻り国体を経て全日本M8+を組みましたが、これが最初は全然調子上がらずスピードと感触がイマイチでした。
RK:○TTほどのチームでも、全然艇が走らないことがあるというのは意外な気もしますが、私も長年ボートに関わりトップチームだからといっていつも調子が良いなどということは決してないということは分かってきました。こうした調子の浮き沈みは世界を見てもよくあることですね。
SH:しかし、直前で一気に変わりました。ロウパーフェクト(4人連結エルゴ)で合わせるなどこれもきっかけの一つでしたが、暫定クルーを全日本前に組んだ時から、メンバーの入れ替えもあるぞとコーチに言われていて、最終的にクルー決定したのが全日本の約1週間前です。
RK:ええっ!?そんなに直前だったんですか。
SH:でもそれがOX盾のときのようにクルーがまとまるカンフル剤になったのかもしれません。M2-は残念ながら4位でしたが、M8+優勝、M4-優勝という結果につながったと思います。
RK:聞くと現在チームは漕手14人体制ですからね。これをいかにクルー編成しいずれも結果に導きクルーとして仕上げていくか。社会人チームでも、このへんコーチやチームリーダーによる編成マネジメントや人心掌握などがカギになってくるのは大学チームと同じ、人事面での戦略的な動向や作戦は興味深いところです。
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RK:S々野さんの公開した2017全日本M8+決勝のコール動画、今回話題になっていますね。私も見させてもらいましたよ!
SH:あれについては自分が意見を聞きたいくらいなんですよね。いくつか反応をもらって、良いと言ってくれる人が多かったので意外でした。もっと否定的な意見もあるかなと思いましたので。
RK:私も常にブログに関する意見を色んな人に聞きたいところがあるので少し似ていますね(笑)。人は何か発信をすると、よりよくしたいと反応が欲しいものなんですよね。
SH:コール内容はどうでしたか?
RK:私の個人的な意見になりますが・・・。まず、私も自分の理想に合っていて良かったコールだったのではないかと思います。スタートのスパートにはじまり、脚蹴りの水中コールが何本も入っていますよね、地点ごとと勝負どころだけとかいう生易しいものじゃなく、ほぼ常に。500mの間に10回くらい水中コール入ってるんじゃないでしょうか(笑)。極論すれば脚蹴り200本が2000mレースであり、常に全力のドライブを続けるのが重要ですから、あれでいいのでは。第2でも絶対出てやるんだという感じ、あそこで完全に主導権を握ることに成功し、良かったですよね。むしろ第3が落ち着いて高い声のトーンもやや落ちていた場面があり、もったいない気がします。
「2017 第95回全日本選手権 エイト決勝(COXコール付き)」

SH:なるほど。確かに第3Qが少し落ちてしまっています。
RK:レースは生き物だから、レベルが高くなるほどスピードを先に落とした方が負けになりますが、勝負どころが展開の中で次々やってきますからね、水中コール連発はむしろ必須です。しかしただ上げるのではなく、COXは水中の「張り」「弛み(ゆるみ)」に敏感でなくてはいけない。「ゆるめるな」というコールがありましたが、あれはいいですよね。弛みは緩みでもいいのですが、強くてつながった張りのある水中が、まったり弛んでしまうとスピードが落ちリズムが重くなる。エルゴでは毎ストローク、タイム表示として出てくれるので分かりやすいですが、艇上ではそれをCOXが感じてマネジメントしないといけません。水中マネジメントです。
SH:水中マネジメント!このキーワード、好きそうな部員の顔が浮かびます(笑)。

RK:COXの語彙は、反応してくれなければ困るのでキザっぽくなりすぎない程度にとっておきの表現があるといいですよね。水中マネジメントが艇速のマネジメント、タイムのマネジメントになります。あとは、漕手は疲れが来て乳酸との戦いになる前に、集中力との戦いになるので、この集中力をつなぎとめ鋭敏にさせ続けるサポートをCOXがしなくてはいけません。どこかで意識が飛んだり散漫になったりするじゃないですか、集中がなくなると即水中が鈍ってきますので絶対に集中を続けさせるようにします。
私は現役時代はCOXとして実力がありませんでしたが、コーチをやってエルゴ2000mT.Tのコール役をひたすら経験することで鍛えられた気がします。あれは、漕手と傍らで付き添うコール役との完全に共同作業ですし、2000mコール役も一緒に一体化して集中しないと漕手の刻一刻と変動する心技体に対応し調整することができません。漕手が揺れ動くのは、出力、集中、身体リズム、音感によるRowingのリズム、緊張度合とリラックス、攻める気持、自信、勢いに乗れているかどうか、タイム表示に振り回されるメンタル、ベストへの強い執念と平凡なタイムへの妥協、などさまざまです。コール役も一緒に2000mを戦い、タイミングと言葉の選択と集中力が相当養われます。安定して強い水中と一定のリズムを継続することが目的です。それがイーブンペースのハイレベルなタイムやベストスコアにつながります。あれで個人的にはかなり鍛えられた気がしますね。漕手のT.Tは一発で終わりますが、コール役は4、5回連続して付き添ってレースやりますから。
SH:たいへん勉強になります。
RK:S々野さんのインタビューなのにこちらが語ってしまって申し訳ありませんが(笑)、それくらいコールは重要だと思うんですよね。レベルの高くないクルーがただ脚蹴り連発しても失敗すると思うので、こういうのは漕手もCOXもレベルアップしていくことが大事だと思います。逆に例えば、ずっと我慢して勝負どころだけの脚蹴りイベントで勝ったレースもあります。答えは一つではないと思います。

SH:ちなみに、うちのチームでは脚蹴りとは言わず、「アタック」と呼んで統一していますね。あと、アタック10本とか言っても数えてるのは最初の数本だけでしたね(笑)。
RK:まあ、本当に10本全部数えられてもね(苦笑)。5本目くらいで言ってるこっちも飽きちゃうし、雑念が入ったり他のことが必要になったらそっち優先でOKでは。要はコールの声のパワーとかも大事ですよね。
SH:技術的には、「前から」の立ち上げ、それと「体重乗せる」、「フィニッシュポジション」、ここをポイントにコールを入れていました。
RK:「前から」はキャッチの立ち上げなので、大きい艇になるほど最重要ポイントですよね。「体重」は、体重と重心の混同に注意しないといけないですよね。(S々野さんと体重と重心のイメージが一致していることを確認)
それから、「キャッチポジション」ではなくて「フィニッシュポジション」を重視されていたんですね。
SH:ストロークのT野選手がフィニッシュを(身体の角度で言うと)浅くとっており、リカバリーで体重を戻すのが早いために、あとの選手の方がフィニッシュで後ろに重心が残る傾向がクルーの課題だったんですよ。早く重心を切り替えるためにフィニッシュポジションを深くとりすぎないこと、そして強く押し切ることを意識してもらっていました。
S々野選手 COXコール



RK:○TTの強さの秘訣は何でしょうかね?
SH:やはりパワーのある選手が揃っています。そこに尽きるでしょう。
RK:確かに、パワーこそ安定したパフォーマンスを発揮します。一番信頼できるテクニックだといえるかもしれませんね。M8+のエルゴスコアは?
SH:そこは了解をとっていないので個々には公表できませんが、エルゴのクルー平均は20秒は切っています。
RK:おお、やはりすごい数字ですね。
SH:計算上はM8+なら5'43が出るはずなんで、今回もそれくらい出たのではと。
RK:無風でそれくらいでしょうね。5'40切れるポテンシャルはあるでしょう。
SH:そこはまずクリアしなければいけないタイムだと思っています。

RK:決勝のレースプランはどのようなものだったか聞いてもいいですか?
SH:レースプランは事前に決めています。コーチと漕手で確認し、どこでアタックして、どこで切り替えるか。切り替えとは、スタートからコンスタントのところですね。
RK:ここが永遠のテーマですね。スタートからコンスタント。飛ばし過ぎではもたないし、短いまま効率の悪い漕ぎになってしまう。コンスタントで落ち付け過ぎると水中の強さやレートが低くなってしまう。リオ五輪のアメリカW8+も、飛ばしてきたカナダとオランダに対し先手を譲りますが序盤のリズム作りに神経を使って世界一のコンスタントを作り、中盤以降堂々と抜き去った。
SH:今回スタートは、特別相手より出ようとはしていません。スタートスパートのまま300mを大きく過ぎてしまうと、結局乳酸が溜まり後半に落ちるからです。無酸素は40秒までです。
RK:いわば40秒ルールですよね。私も必ずそこを意識して、それ以降のスピードは有酸素で対応しないと負債を抱えたレースになります。エルゴでは相手とのレース展開がないのでそこを遵守させます。しかしレースはタイム表示を確認しながら漕げるわけではなく、勝負と位置取りとスピード感の展開があります。展開を読んで、40秒以降まで引き延ばすかどうか、ここが戦術の駆け引きになります。
SH:今回は少し伸ばして結果的に1分くらいで切り替えになりました。そのために第3Qで少し落ちてしまったかなと見ています。
RK:結局、勝負を優先するか、トータルタイムを優先するか。一見、結局はトータルタイムがいいほうが強いということになりますが、必ずしもイーブンペース最強というわけでもなく、戦術面での先行策は後続クルーの力を思い通りに発揮させなくすることができます。
SH:そうですよね。できれば先行して、相手を見てレースを有利に進めたいですからね。

RK:来シーズンはどうなんですか?M8+は3連覇に向けて。
SH:そうですね、そこが目標になります。うちのチームでは全日本のエイトが絶対なんです。これまで全日本M8+4連覇がチームの最高記録なので、5連覇をめざして頑張ります。




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RK:では、COXのS々野選手個人について、もう少し内側に迫っていきたいと思います。COXとしての自分の特長は何ですか?
SH:うーん、特長はないですよ。社会人トップチームに入って正直、色々と技術的な壁に苦しんでいます。僕は才能溢れるCOXと比べてセンスはないし、COXに向いているなとも実はあまり思っていないんです。今年の代表COX選考では、乗り比べによる落選を経験しました。
RK:それではちょっと(苦笑)。特長はありますよ、自分で言うのは難しいかもしれませんが。
SH:けっこうネガティブなんで。強いて言えば、「見捨てないこと」(自分も他人も)ですかね。頑張っている人に付き添ったり、一緒に向上しようと、どこまでも付き合えることです。
RK:それってコーチに必要な姿勢かもしれませんね。S々野さんは教職もとられていたそうだから、教師としても必要なことかも。
SH:ラダーも器用で上手なタイプではないし、思ったこと感じたことをすぐに言葉にできるわけでもない、そんなCOXです。しかしM8+は組織の力であり、個人の力で進める艇ではありません。時間をかけて信頼を築くことができるのではないかと自分では思っています。
チームの先輩COXだったO村さん(2000~2013年○TTの正舵手)は、話を聴いて想像する限りでは、良い素材と自身のセンスを生かして素晴らしい料理を作り上げるシェフというイメージの人ですが、自分は肥料から始めて種をまき育て見守るようなタイプではと。例えば先ほど言った今年のOX盾M8+ですが、僕が間に入ったりして地道にはたらきかけたこともあってか、漕手同士で教え合ったり、コミュニケーションを密接にとるようになりました。それによって、今まで伸び悩んでいた漕手が生き生きとし始めたんですね。プライドの高いエリート選手の集まりであるこのチームには今まであまりなかったことで、そういうきっかけづくりになれたのではと。
RK:それってとても大切なことだと思いますよ。COXってまさにそういう潤滑油の役割というか、間に立っての媒介の役目を果たせる存在と思っています。
SH:触媒とでもいうんですかね。そういう地道で陰のはたらきなら自信はあるのかなと。そもそも、漕いでもらわなければCOXがいるだけではボートは進まないですからね。ひとりでは何もできないんです。
RK:今風に言えば陰キャですか!?(笑)よく意味を知らないで私も今使ってみましたが。しかし、陰のはたらきあってこそ光り輝くクルーがいるのだし、陰に徹してきた私などからしたら、陰こそ主役だと思っていいと考えます。COXはもともと見えないはたらきをする存在ですし、立派な特長ですよ!
sasanoさん伴走


RK:好きな種目とその理由は?
SH:もちろん8+です。理由は一番難しい種目だからです。難しいからこそ、チャレンジしたい。例えば4+の4人や5人はまとまりやすい。グループ単位としてもベストな人数だと思います。でも、9人はまとまりにくい。人間関係の構成人数としても難しいですよね。艇としても難しい。それだけに、チャレンジしがいがあるんです。
RK:確かに、人が多いし艇は大きいし、一番難しい種目だからこそエイトは特別なんでしょうね。
SH:あと、2+にも興味ありますよ(笑)。
RK:いやー、あれは面白いですよ。たぶん、COXにとっては一番自分が動かし関与している感があるんじゃないでしょうか。
SH:M2+、M4+、M8+のCOX三冠を達成した人はいるんですか?
RK:いえ、さすがに知りません(笑)。それ三冠なのかも知らない(笑)。インカレならN大あたりにいてもおかしくないですが、全日本となるとどうですかね、いないんじゃないでしょうか。
SH:これも、COXとしては目標のひとつですね(笑)

RK:尊敬するボート選手やボートに関わる人を教えて下さい。身近な人でもOKです。
SH:三人います。A部さん、T辺さん、M澤さん です。
そうですね、まず、T辺さんからいきます。(C大出身、元日本代表)○TTの前監督をされた方で、人として尊敬しています。紳士で、まめで、とても丁寧な方です。自分に厳しく、人に優しい。僕が○TTに入るきっかけとなった監督でもあります。そして決してボートが強いとか実績とかを自慢しない人です。3度もオリンピックに行ったすごい人なのに。結果や成績を自慢することはないですが、やりきったことの話は聞いたことがあります。僕にとって、この人とならボートがなくても一緒にいたいと思える人です。
それから、M澤さん。T北大の現ヘッドコーチで、先輩です。ボートに対する情熱、もうその一言です。インカレM8+優勝の代、先ほどのY崎さんと同期の方です。
RK:長年T北大に関わっていらっしゃいますね。男子のM8+実績、近年は女子の全日本実績と、名指導者ですよね。背はたぶん私と同じくらいなのに、漕手としてインカレM4+準優勝、インカレM4X優勝の実績をお持ちであることを知っています。
SH:最後にA部さんです。(C大出身、元日本代表、現S台大監督)こちらも、たいへん尊敬しています。会うとボートの話になるのですが、どちらともなく話していたのに、「ごめんね、引き留めて。ありがとう」といって、去って行かれます。必ず一歩引いて、めちゃめちゃかっこいいんです。
RK:A部さんのお人柄は、色んな方面で聞くところです。まさに紳士、カリスマですよね。A部さんを慕って、全国からボート選手が集まっていきます。ボート競技が誇る人格者、人間性の鑑でいらっしゃる。私もボートに関わる者のはしくれとして、そんな人たちのつくるクルーだからこそ、偉大なライバルとして勝負し、かつ学びたい成長したいという気持にさせてくれます。


RK:ボートのここが好き!ボートの魅力とは何でしょうか。
SH:そうですね・・・。努力である程度のところまで行けて、それに応えてくれるところですかね。自分を肯定してくれます。あと、もう一つの魅力はヒーローがいないこと。特にエイトです。誰かが突出していても勝てない。何というか、「全員が同じタイミングで同じ内容について悩み、全員が同じタイミングで喜べる」というのが魅力かなと。
RK:確かに、全員が揃って同じことで悩んで解決しようとする日々ですよね。
SH:ボートは結果に対して全員が責任を持ちます。そこで実力の差や個々に違いがあっても、それは全員の責任になります。例えばキャッチやフィニッシュなど、全員が同じことに同時に解決に向かっていきます。他のチームスポーツでも、なかなかここまで課題や責任が1つのこととして共通しているスポーツって少ないですよね。
RK:それこそが究極のチームスポーツと呼ばれる理由だと。
SH:また、精神と肉体が限界の状態でクルーに対してどうふるまうのか、自分とクルーとどう向き合うのか。自分を出すのか、それとも引くのか。何か、常に試されているというか、葛藤の連続なんですよね。こういう極限の中で人間性を高めてくれるのがボートという競技だと感じています。
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RK:現状の課題は何ですか?
SH:ラダーは常に課題ですが、クルーによって異なるのでこれは置いておいて。
僕の課題は、短い言葉と、瞬発力ですかね。社会人チームに入った当初は、極端なくらい考えてしゃべるタイプでした。しゃべるのに準備が必要なんです。考えてしまう。しかし、今のチームで必要に迫られたというか、考えないでどんどんしゃべれるようになってきています。
RK:なるほど。例えば若いときは口が動かないことはよくあるかもしれませんが、それもトレーニングというか日常での必要性で大きく変わるでしょう。無口が饒舌になる例はたくさんあると思いますし、慎重すぎて口が重かったり腰が重いと組織で動けない。
SH:乗艇中に、以前は長ったらしく喋っていたのですが、だいぶ短くわかりやすい言葉になっていったと思います。あまりに簡潔でもそこには意図があるので、乗艇から上がってから補足説明はするようにしています。短くなりすぎて分からなくてもいけないので、キーワードのコールと、簡潔ながらも分かりやすい説明とのバランスをとるのが今の課題ですね。


RK:今シーズンの目標を聞かせてください。
SH:国際大会に、世界選手権とワールドカップにエイトで出ることです。
RK:おお、出ましたね、ムーヴメント!もちろんCOXとしてですね。これは個人の実力だけの話ではありませんが。
SH:だって、今年出ないともういいかげん間に合わないじゃないですか。
RK:確かに。というか、もう2018年になりますからね。
SH:負けてもいいから、出ることが第一歩です。未だエイトでオリンピックの枠を獲得できるレベルではないですが、僕はとにかく出て、コテンパンにやられて生のスピードを体感したいです。そこから成長したい。パワーがない選手は、自分にパワーがないことを置いといて、テクニックでカバーしようとします。しかし、パワーがないことは事実なんだから、その弱点や課題と向き合わざるを得ません。下手なんだけどパワーがあるクルーに思い切り負ける経験をすれば、いやでもパワーが必要だと思い知らされるはずです。
RK:そのパワーの無さと、日本ボートは向き合わなければこの先ずっと克服できず今のままだと。技術は勝ってるとかは、確かに負け惜しみですからね。あとは、そういうゴリゴリのパワークルーに一緒に乗るとか、一緒にトレーニングするとか、そういう世界基準が自分たちの基準と同化するような、真似をするような、そういう試みも不可欠ですね。
SH:逆もしかりです。力任せに漕ぐ選手が、分かりやすくするために例えばオープン選手が、テクニックで上回る軽量級の選手に負ければ、漕ぎをもっと洗練させようとするはずです。
東京五輪ムーヴメントに関するブログ過去記事
「東京オリンピック!」 2013年9月
「東京オリンピック!2」 2013年9月
「JAPANエイト、バルセロナの挑戦」 2013年9月
「東京五輪へ向けて。軽量級の種目改正問題と、重量級のチャレンジについて」 2016年9月





RK:では、ボート以外のことも聞きましょう。オフの過ごし方は?
SH:日曜がオフなんですが、日曜でも個人練習に付き合ってと言われればコースに出ることもあります。基本的には、部屋を掃除してアイロンをかけ、靴を磨いていたりします。
RK:社会人の休日を過ごしていますね(笑)。
SH:ただ、1日家にいるのは耐えられないので、少しは外出します。外で美味しいもの食べに行ったり、誰かと会ったり、ブックカフェでひたすら本を読んでいたり、ウィンドウショッピングをしたりしていますね。


RK:仕事で力を入れていることや、最近の関心事をお聞きします。
SH:そうですね、自分のせいでボート部の評価が下がるのは嫌なので、仕事は頑張っています。関心事は、最近ボディビルが面白いかなと。自分がやるわけではないですし、関心があるといっても特別オタクなわけでもないですが。あれって言い方は悪いですが頭がよくないとできないですよね。トレーニングや食事の高度な知識が必要です。食事のプロセスもたいへん細かく管理、計画し実行しています。目標と現状のギャップを埋めるために、現実を見つめ仮説と検証を繰り返すことができなければならないのかなと思います。あとはそうですね、健康には人より気を使っていると思います。
RK:減量など体重の管理が必要ですもんね。ちなみに減量が必要なCOXのために、日本一COXの食事の例を。
SH:朝は水か白湯(さゆ)で始まります。朝食はナッツとアボカドと納豆を食べて、ミックスジュース(バナナ、卵、牛乳、ヨーグルト)も飲みます。それから、ショートニングやマーガリンが入っていないフランスパンなどです。
RK:ナッツは脂肪のかたまりでは?(笑)
SH:身体に必要な良質な脂肪も含まれますし、脂肪の代謝を助ける効果があると聞いています。あとは、甘いものやスナック菓子は基本的に食べません。外出のときやイベント事、頂き物の場合などは別ですが、自分でお菓子を買って食べることはしないルールです。
RK:すみません、今日は一緒においしいデザート食べましょう(笑)。
SH:ありがとうございます(笑)。





RK:社会人でもボートを続けようと思った理由を聞かせてください。
SH:(○TTチームから)声をかけてもらったから、というのが一番の理由です。社会人チームでは、ずっと長く1人のCOXが在籍することが多く、COXの採用ってもしかしたら10年に1度とか、それくらいじゃないですか。自分はチャンスだと思いました。大学が教育科学科だったので、教職になる選択肢もありましたが、そのときしたいことがボートしかなかったので、社会人で続けられるのなら、続けようと決めました。


RK:社会人ボート選手とはどうあるべきと考えていますか?
SH:競技のピラミッドで頂点であるべき存在だと考えています。実力がまずないといけない。社会人選手の実力がないと、日本のボートが廃れると思います。学生が勝っているようでは、社会人で続ける理由がないですからね。それから、ボート選手として、人として、お手本でなければいけない。これはたとえ負けていてもです。結果というのは相手のいることなのでコントロールできませんが、成果は自分の努力次第です。そこの部分で常に若い人のお手本となり、トップにいなければならないのです。
今僕は○TTというチームにいます。僕らの可能性が高くなることが、日本のボートの可能性が高くなることとイコールだとしたら、それはすごく楽しいことだと思っています。そのために、自分たちがリーダーであり続けなければいけません。
S々野さんスーツ


RK:日々のモチベーションになることは何でしょうか?
SH:ふねに乗るのが単純に楽しいです。ふねが走ってると楽しい。
RK:これはボート選手として一番の原動力ですかね!ちなみに、艇というよりふねという言葉が多いですね。
SH:はい。それから、目標に対する挑戦の日々。挑戦そのものが楽しいです。
RK:アスリートですね。
SH:もちろん、楽しいことばかりではないですけど。あと、練習が終わった後にメンバーと一緒にご飯に行くのが楽しい!これも日々のモチベーションになります。若手メンバーはけっこう外で食べてますね。


RK:今のボート界への要望はありますか?
SH:コックスとしては、エイトで世界に挑戦する場がほしいです。本当に。
RK:やはり今日の一番の趣旨はそこですね。というか、最初にS々野さんと私を結びつけたのも、そこでした。
SH:日本が100年以上取り組んできたスイープのクルーボートの方が可能性があるのではないでしょうか。もっと本気に、ひとつになれ、日本ボート!!!
RK:心の叫びが聞こえますが、やはり多くのボートマンが思っていることだと思います。特にCOXは、チームリーダーの決断で常にその活躍の機会を奪われてしまいがちな存在です。これって、私も現役選手時代からずっと味わってきました。仕方のないチーム事情もありますが、代表はそもそも夢を与えるのが役割ではないかと。競技の舞台で活躍してこそ選手。その選手たちの生殺与奪を握っているのが、指導者であり監督や強化部長や会長など人事権のある役割の人です。可能性を閉じ込めるのが彼らのはたらきではなく、広げるのが彼らの仕事です。強化責任者に能力がなかったり、それ以前に弱気や保身を考えていたら選手たちの可能性を閉じ込め奪うだけです。チャレンジの最たる旗手や象徴が、代表チームでなくてはならない。
SH:僕は、代表チームに魅力が増すことがまず必要だと思います。それは世界に挑戦することも含まれているでしょう。代表が強くなる、その代表をめざす、魅力あふれる代表チームになる。そして若い世代が将来は自分もカッコいい代表になりたい、と好循環が生まれます。


RK:自分がボート界に貢献できることは何だと思いますか?
SH:今のチームでは、地域貢献活動の一環として、ボート教室を開催しています。他県の高校中学の生徒たちに、ボートを教える活動ですね。埼玉、富山、青森に行きまして、今度は長野に行きます。
RK:それは素晴らしい活動ですね!
SH:自分はこういうチームにいながらも決してエリートではありません。だからこそ、僕みたいにセンスがない人が頑張っているという姿を見て、何かを与えられているのではないかと思っています。
RK:しかし、そんなS々野選手の内面を知る人は少なく、強いチームの日本一COX、外見の勝っている華やかな部分ばかり人は見るでしょう。こんなことを考えている等身大の人間として見てもらえたら、また違って見えるはずですね。ところで、センスがないと自己評価している人はセンス(感性)があると思います。





RK:ではずばり、あなたにとってボートとは?
SH:自分をみつめて、自分を成長させてくれるものです。


RK:長時間ありがとうございました。最後に、チームの皆や応援してくれる人へ一言メッセージをお願いします!
SH:可能性を信じ、広げ、一緒に世界へ挑戦しましょう!!日本は世界をめざせると思っているので。


SH:今回はインタビューという形でしたが、人と話すときのほうが、自分で何を考えているか発見できるし、アイデアが出てくる気がします。比較により課題も鮮明になります。これを読んでくださっている読者のみなさん、私でよければぜひ、お話しましょう!
RK:本当に今日はありがとうございました!
SH:こちらこそ、ありがとうございました!
S野選手とRK 2ショット
忙しい中、快くインタビューに応じてくださったS々野選手と






いかがだったでしょうか、超ロングインタビュー。この場には、途中からもう一人ゲストが入ってきて真剣に日本一COXの話に耳を傾けていた場面もありました。
少しネガティブに見せつつも、内面はものすごく負けず嫌いで誰よりも自分の可能性に自信を持ち、こんなに溶岩のようにグツグツと煮え滾る熱い選手はいないという炎のCOX、S々野選手。まあ、あのCOX動画を見ればそれは感じ取れますよね。私はクールなCOXより、熱いCOXが、熱いリーダーが好きだ!

以前のコーチインタビューでも感じたことですが、ボートを通じてその人独自の考え方や行動がよく表れてくるものだと思いますし、また逆にボートというスポーツの独自性がその人の考え方や行動を形成していくところがあるという再確認をした気がします。まさにボートは個人を形作り、また人と人をつなげる触媒のようなものだと感じます。
ボートを通じ、その人の人間性が浮き彫りになってくる。インタビューは面白いなと改めて感じたRKでした。

COXは、その気になればいつまでも現役が続けられる特異なポジション。カナダには、還暦間近まで代表COXをやっていた女子COXもいます!(2017世界選手権は出てなかったですね)
まだまだ、S々野選手はこれからの選手だと僭越ながら思います。今後どんなクルーを組んで、どんなボートマンと化学反応を起こして、どれだけ爆発的に成長するか分からない。世界へ挑戦することとは、そういったビッグバンのような成長の爆発を生み出す環境へ飛び込むチャレンジだと思っています。COXもれっきとしたアスリートです。いかにボート意識を飛躍させ、クルーの艇速になっていくか。このアスリートたるCOXが、ボート選手として世界で活躍する日を。
多くのCOXたちの見つめる中、東京に挑戦するCOXを一人でも多く見たいのです。


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