大学生ボート選手の最大の祭典にして最高の舞台であるインカレが、たいへん熱いバトルの連続で今年も幕を閉じました。


私も最終日だけでしたがいくつかのレースを見ることができました。今年は忙しくて応援できないのでは!?と思っていましたが何とか休みをとることができたのです。これで現役時代の1995年から数えて2017年・・・23年連続でインカレのレースを見続けることができています。これって意外となかなかの連続記録ですかね!?まあ、仕事や病気や色々ありましたので、感慨深くもあります。来年あたり途切れるかもしれませんが・・・。果たして44回すべてのインカレを生で見ている方はいらっしゃるのでしょうか。
ほとんどの大学生の方は最大4回くらいしか出られないと思いますが、4回見たり参加したくらいではインカレマスターへの道はまだまだですよ、学生の皆さん!(笑) 私もまだまだボートを知らないひよっこですからね。

強風や悪天候、寒空などたいへんなコンディションも続いたようですが、大会最終日はインカレらしい暑い夏の一日となりました。
毎年言っておりますが、全ての大学ボートの選手やマネージャー、全てのボート関係者、運営に尽力された方々、応援者の皆さんに感謝をいたします。インカレは、大学ボート、高校ボート、中学ボート、社会人ボート、そして日本ボートに関わる全員で作り上げている大会です。




さて、また今年も経験者、未経験者の対比をまじえたインカレ記事を書きたいと思います。

これまで3年にわたり「インカレ、未経験旋風!」と題してインカレを振り返る記事を書いてきましたが、今年は未経験者の活躍はもちろんありましたが、経験者の活躍がやはりたいへん目立ちました。
高校ボートやそれ以前からのボート経験者は、やはり素晴らしいのです。未経験の方は経験者は経験があるから強いと思われるかもしれませんが、違います。ただ競技歴が長いだけではありません。ボート経験者はやはりボートが好きで、ボートに対する意識が高いから強いのです。勝負強いし、ボートに関する興味や知識も優れているし、それでこそトレーニングや日々の生活における取り組み方と意識レベルが、未経験者より上回っていることがほとんどです。未経験者は、まずボートに対して本気かどうかが、経験者より上回っていないと勝てないのです。そこがスタートで、その上でトレーニングや技術の質で勝るようにしないといけない。



今回、「経験者旋風」と題したのは、いわゆるセレクションのある私大だけでなく国公立大をはじめ多くの大学に進学して大学ボートを続ける高校ボート経験者が増えてきたことが理由でもあります。純粋な未経験クルーの活躍もありますが、近年ではクルーの中で1人は経験者が乗っていてクルーの力を高めているというような、未経験+経験者のミックスクルーの活躍が目立って増えているのです。

そのことにもふれたいですが、経験者チームでは何といってもN大が男子8種目中6種目で優勝。私がインカレ直前記事でN大1強の時代から変わってきていると書きましたが、見事にそんな勝手な予想を吹き飛ばす圧勝でした。N大の皆様には過小評価の非礼をお詫びしたいと思います!
それから、女子についてはW大が昨年の全種目優勝から一転、優勝なしというW大にとっては苦い大会となってしまいましたがそれでもメダル3つはすごいチーム力。しかし、男子も女子も色々ありましたがこの2チームが突出しすぎているというより、多くのチームが差がなく激しく争っている大学ボートだということについて異論はないのではないでしょうか。それを牽引しているのは、やはり経験者のボートへの熱い気持だということです。

最終日は順風ということもあり、多くの好タイムが生まれました。いつも順風や逆風ということはタイム評価を冷静に見て、過大あるいは過小な評価は注意しなければいけないのですが、特にM2+優勝で7'18を出したN大と、W2X優勝で7'14を出したN体大は、これはインカレにおいて素晴らしい進歩だったといえると私は見ています。W1X優勝のM大T島選手7'50もすごいのですが、N体大W2Xはすぐに世界大会に出したい女子ダブルであり、次元の違う艇の動かし方とスピードを見せてくれました。コンスタントと後半の強さを磨き、7'00に迫ってほしいダブルですね。

そして今大会、未経験クルーの苦戦を示すうえで象徴的なのは、T大やH橋大のボート伝統のTS両校が決勝へ1クルーも進めなかったことだと思います。T大はM2+7位、H橋大はM2-7位が唯一の最終日のようです。さらにT北大、K都大などインカレ決勝を争える力のある大学をはじめ伝統の国公立大が軒並み苦戦を強いられた印象です。(T北大はM2-決勝4位と、W4X+7位があります)
しかし、未経験者クルーの活躍ももちろんありました。2017インカレで特筆なのが、M1XS間選手によるD大初のインカレ優勝。同じくM1XT波大のおそらく未経験だが院生2年のH谷選手準優勝。それからM8+T工大が5'56を出して7位入賞、M8+最終日は20年ぶりではないでしょうか。そして、K應大W2-が7'33のインカレレコードを出し2艇身以上離しての鮮やかな優勝。O山大のM4+13年ぶり決勝で3位銅メダル、またR大の4年連続未経験M4-決勝メダルもここに入れさせていただきます。

これらの特筆すべき未経験者クルーの活躍がありながらも、未経験クルーのメダルは男女全体で5個にとどまり、全体として経験者が圧倒した大会だった印象と、私の目には映りました。
(ちなみに、優勝のK應大W2-はストロークが未経験の4年主将N方選手、バウがアメリカでボートを漕いでいた留学生のK山選手だったということで、未経験+経験者として未経験クルーにカウントさせていただきます)



「経験者と未経験者なんて本来は関係ない、肝心なのはボートに対する意識と熱意だ」という結論でだいたいまとめるのですが、高校ボート経験者、中学ボート経験者が競技を続ける好ましい状況が増えている中で、大学からボートを始めた選手がもっと強くなって頑張っていただくことで大学ボートのレベル向上を果たしてほしいのです。
どちらも選手数が増えていき、大学ボート人口がいっそう増える中でさらに競い合い、インカレが高いレベルとなって日本の国際競技力向上と普及力の向上が実現することが私の希望です。

今回のインカレでも、経験者+未経験のクルーが増え、とにかく「経験者」と「未経験者」の分類や対決の構図は無意味だと思ういっぽう、現実として未経験者のボートに関する意識、知識、モチベーションなど、あらゆる面で経験者との差が大きいので、常に未経験者を応援することで、経験者の方へのプラス効果が必ずあると考えています。経験者の方々、もっともっと未経験ボート選手を増やしてたくさんの仲間とライバルを作る取り組みをしていきましょう。少子化、人口減少の日本において、ボートの未来は新しい仲間をいっそう増やすところにこそ切り拓けるのですから。




では、今年を含めた過去7年間におけるインカレでの未経験中心クルーの結果です。

過去7年間で未経験クルーの結果

2011年、男女決勝に7クルー、優勝なし、メダル3個(銀1、銅2)
2012年、男女決勝に7クルー、優勝なし、メダル4個(銀2、銅2)、
2013年、男女決勝に8クルー、優勝なし、メダル4個(銀1、銅3)、
2014年、男女決勝に10クルー、2種目優勝、メダル8個(金2、銀4、銅2)
2015年、男女決勝に8クルー、1種目優勝、メダル5個(金1、銅4)
2016年、男女決勝に8クルー、1種目優勝、メダル5個(金1、銀2、銅2)
2017年、男女決勝に8クルー、2種目優勝、メダル5個(金2、銀1、銅2)
今年の内訳はD大がM1Xで金1。慶應大がW2-で金1、M4+で決勝(4位)1。T波大がM1Xで銀1。R大がM4-で銅1。O山大がM4+で銅1。T北大がM2-で決勝(4位)1、R命館大がM2+で決勝(4位)1。




●2017年インカレ全種目 結果一覧 (未経験者中心のクルーは赤)

決勝
男子8種目、決勝32クルー(経験者25、未経験7) 」
M1X 優勝 D大 S間選手2位 T波大 H谷選手、3位 M大 N村選手、4位 K本学園大 N條選手  「全40大学(経験者14)」
M2X 優勝 N大、2位 R谷大、3位 H政大、4位 T国際大  「全33大学(経験者13)」
M2- 優勝 N大、2位 S台大、3位 H政大、4位 T北大  「全28大学(経験者9)」
M2+ 優勝 N大、2位 S台大、3位 M大、4位 R命館大  「全16大学(経験者8)」
M4X 優勝 N大、2位 M大、3位 N体大、4位 S台大  「全34大学(経験者11)」
M4- 優勝 C大、2位 S台大、3位 R大、4位 W大、  「全22大学(経験者12)」
M4+ 優勝 N大、2位 S台大、3位 O山大4位 K應大  「全37大学(経験者11)」
M8+ 優勝 N大、2位 M大、3位 C大、4位 S台大  「全16大学(経験者7)」

女子4種目、決勝16クルー(経験者15、未経験1) 」
W1X 優勝 M大 T島選手、2位 T国際大 K山選手、3位 W大 Y井選手、4位 H政大 I垣選手  「全33大学(経験者12)」
W2X 優勝 N体大、2位 W大、3位 R命館大、4位 R大  「全27大学(経験者14)」
W2- 優勝 K應大、2位 T国際大、3位 R命館大、4位 S台大  「全12大学(経験者9)」
W4X+ 優勝 M大、2位 C大、3位 W大、4位 T国際大  「全26大学(経験者11)」


順位決定
男子8種目、順決32クルー(経験者21、未経験11) 」
M1X 5位 R谷大 Y田選手、6位 N体大 O友選手、7位 T経大 H選手、8位 S台大 T居選手
M2X 5位 N体大、6位 T経大、7位 T取大、8位 M大
M2- 5位 M大、6位 N古屋大7位 H橋大8位 R大
M2+ 5位 W大、6位 R大7位 T大、8位 C大
M4X 5位 T国際大、6位 H島大、7位 H政大、8位 I城大
M4- 5位 N大、6位 H政大、7位 D大、8位 T海大
M4+ 5位 N体大、6位 T国際大、7位 W大、8位 O阪府大
M8+ 5位 K應大、6位 W大、7位 T工大、8位 N体大

女子4種目、順決16クルー(経験者13、未経験3) 」
W1X 5位 K屋体大 S方選手、6位 D大 N田選手、7位 N体大 Y川選手、8位 I城大 I川選手
W2X 5位 T波大、6位 H政大、7位 C大、8位 O阪市大
W2- 5位 W大、6位 N体大、7位 M大、8位 H政大
W4X+ 5位 S台大、6位 H政大、7位 T北大、8位 N体大



先ほどふれましたが、この中で純粋に未経験クルーといえるのはD大M1XのS間選手だけだと思います。K應大W2-は素晴らしい経験者とのミックスのようですし、M4+も2人未経験+2人経験者のもよう、またT波大は院2年、R大もO山大も1人ずつ経験者が乗っているフォアです。しかし、例えばR大は2年生の未経験が乗っていますし(R高ボート部ですがあまり練習していなかったので未経験扱い)、O山大は3年と2年のクルーで激戦のM4+3位、いずれも若いクルーでした。
さらに、D大は対校M8+を出していますが、M8+以外にも多くの種目で上位を争い、その中で毎年U23代表レベルの選手が優勝しているM1Xにおいて、未経験でしかも3年生で優勝というのは画期的であり、188cmという長身とおそらく6'30を切るであろうエルゴも推測されますが、全国の大学からボートを始めた未経験者を大いに勇気づける快挙だったと思います。新勧の成功からはじまる優勝への大躍進、この毎年の着実な成果がみのり、人材獲得、育成、強化、組織力マネジメント、すべてそろってのチーム改革を成し遂げたことと思います。
しかし、インカレ優勝は通過点。S間選手も3年生とのことですし、ここを新たなスタートとしていっそう謙虚にまた真に代表レベルめざしてますます強くなっていただきたいと思います。ボート競技は、一度の成功や優勝で満足しては真に継続した本当の強さは得られない競技なのですから。慢心したり勘違いしたチームは、再び長い低迷を味わうことになります。私自身それに近い経験をしました。結果が出たとしてもあまり強いと勘違いしないほうがいいのです。これは、世界における日本代表も同じだと思っています。
驕る平家は久しからず、井の中の蛙大海を知らず。自分に戒めたい言葉です。

しかしご覧のように過去7年で見てみると、未経験クルーが2種目優勝は素晴らしいですが、決勝進出クルー数は増えていません。これは経験者中心のセレク私大の巻き返しが強力だった今大会の傾向を裏付けるかと思います。N大(金6。決勝全6クルー)を筆頭に、M大(金2、銀2、銅2。決勝全6クルー)、S台大(銀4。オッ盾含み決勝全8クルー)、C大(金1、銀1、銅1。決勝全3クルー)が現在の4強チーム。そしてH政大(銅2。決勝全3クルー)、N体大(金1、銅1。決勝全2クルー)、T国際大(銀2。決勝全4クルー)、R命館大(銅2。決勝全2クルー)。このあたりの有力私大が今年は決勝に数多く進出させました。W大(銀1、銅2。決勝全4クルー)、K應大(金1、決勝全2クルー)のWK両校はその実力からするともっと決勝に来てもおかしくないですが、色々な要因があるかと思いますが、以前から強い大学のほかにたくさんの強い大学が現れてますます激しいレベルアップと争いが繰り広げられている現状だといえるでしょう。
また、小艇や多くの種目への出漕で活躍するとこうした見た目の戦績は増えますが、実際には強豪校はM8+、W4X+のメイン種目に力を入れていますし、順位決定には数多く残っていたりします。メダル獲得数や総合順位は、本当の戦力や実力を必ずしも表すわけではないのです。大所帯チームの増加によるインカレへの多種目エントリーも、近年のインカレの傾向として際立ってきており、少数部員の大学に対し戦績面でのアドバンテージになりやすくなっているかと思います。



では、高校ボートで実績のある経験者を多く抱える有力私大がインカレ上位を寡占し、その壁は厚く破れないのか。
そうでもありません。
全体のインカレ参加大学のうち、インカレ最終日に残るチームの割合は、過去4年を調べたところ次のような数字です。

2014年 全83大学 最終日30大学 約36%
2015年 全79大学 最終日33大学 約41%
2016年 全73大学 最終日29大学 約39%
2017年 全72大学 最終日29大学 約40%

インカレに出た大学のうち、4割は最終日に残っているということですね。
これは最終日に残る大学が少なければ、それだけ特定のチームばかりがたくさん最終日に残っておなじみのチームばかり上位独占している印象になりますが、最終日に残る大学が多くなるほど色んな大学が上位に残っていて最後まで戦っている印象になります。最終日枠は男女12種目×8もあるのですから、96クルーがいけるわけで、全チーム最終日はほぼありえないにしても可能性はあります。調べてみると決勝に残って総合順位にランクされる大学数は毎年20弱、この決勝常連20大学というのはかなり全国のセレクション私大の数に近いのですが、セレクション私大20数チーム+国立強豪の数チームでだいたいインカレおなじみチームは30大学くらいでしょうか。このインカレ最終日おなじみのチームで最終日枠96クルーのうち実は80近く占めてしまいます。
常連20大学+毎年入れ替わる大学が30大学くらいにものすごく増えて、5割超えが毎年続けば、かなり活気ある戦国模様になって、各チーム盛り上がるはずなのです。インカレに出ている半分以上のチームが最終日に残っていれば、最後の日曜日が本当の勝負!という感じがもっと強まるに違いありませんし、大会観客数増加にも役立つでしょう。


そういうわけで、高校ボートの経験者の方々は、特定のチームばかりに偏るのではなくて、全国さまざまな大学に進学する傾向がもっと広がれば、インカレはもっと面白くなるような気がしています。それは、もちろん高校から大学でボートを続ける人ももっと増えないといけません。なぜなら、ボートで強くなりたい人は結局強い大学に行きたがるし、エイトやクォドで勝負したいボート経験者は、地方大に行くと組めないというのではこれもなかなか難しく、結局は戸田の大学や瀬田の大学に行かないといけなくなってしまう。
例えば、Y子東高からH島大でボートを続け昨年インカレM1X準優勝したN口選手や、I治南高からK学大でボートを続け今大会インカレM1X4位になったN條選手。こうした選手がもっと増え、またそれが大人数になることで地方大でもM8+や4人乗り以上の艇でインカレ決勝を賑わせる、かつてのK児島大M8+決勝のようなミラクルがたくさん起こるインカレになることを期待したいですね。ボート経験者は、色んなチームの中で中心選手となり、ボート意識の発信者や巻き込む核となりチームを強く大きくできる。そうした存在となり、日本ボートのレベルアップに大きく貢献していければ、どんなに素晴らしいでしょうか。




いま、大所帯チームが全国で増えつつある。それは喜ばしいことです。
しかし、まだそうしたチームが10や多くて20大学くらいまでなので、現段階で目立ってしまいこれらのチーム同士が鎬を削り戦績の面でも寡占状態になるのは仕方がないことです。こうした流れがもっと拡大し、ボート部はどこの大学や高校でも部員が多い、という状況になれば。インカレで多種目出漕チームが40とか50大学ある、ほかのチームでも少数だがたいへん意識の高く挑戦心と野心のある大学が全国に多数ある。そんなインカレならば、きっと毎年入れ替わるように色んなチームからスーパーなクルーが現れ、OBたちは毎年か少なくとも数年に一度盛り上がるインカレを応援することができるでしょう。全国どこからでも優勝を狙ってくるインカレが望ましいと考えています。毎年、ワクワクです。

大学で起きている部員増加とレベルアップの波は、すでに高校や中学ボートでも起こっている現象です。そこに必要なのは、ボート経験を持った大人たちや以前からボートに出会ったボート経験のある学生たちの熱いRowing愛です。
まだボートに出会ったことのない将来の仲間やライバルを増やし、インカレや世界をめざす競技者とボートを楽しむ人たちを巻き込み意識や文化を深めていく。Rowingの世界のもっと高みへ、深みへと巻き込んでいく、先達となる経験者旋風。



ボートを経験した人たちが、たくさんの仲間を集めてRowingの素晴らしさや喜びを共有できるチームを作り、育て、強化し、そしてまた競技そのものを育てていくことが大事なのだと思っています。

それぞれに魅力たっぷりなボート経験者とボート未経験者、お互いの協力とレベルアップのために!競い合い、助け合い、仲間としてライバルとして、インカレで生き生きと光り輝いてほしいですね!

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