日ボHPに載っていますが、今週末6月25日(日)に日本代表コックス選考が行われますね。
9月に行われるアジア選手権(アジアボート選手権、Asian Rowing Championships)に派遣する日本代表M8+のコックスを、今回選考するということです。


このアジア選手権は、ARF(アジア漕艇連盟、Asian Rowing Federation)主催の最大の大会、要は世界選手権のアジア地域版といえますね。今年は9月4~8日、タイのパタヤというところで行われます。ちなみに、パタヤというのはタイの首都バンコクから東南165km、海に面した高級ビーチリゾート地だそうで、昨年はこのプレ大会と思われるアジアジュニア選手権も行われています。

日本はアジア選手権に関してはこれまで出たり出なかったりでした。2014年アジア大会には大々的に日本代表が参加しておりまして、私の記憶ではシニア年代の代表参加はそれ以来3年ぶりになりますね。
ボート競技だけのアジアボート選手権と違ってアジア大会はARF主催ではなく、OCA(アジアオリンピック評議会)主催のアジア版オリンピックと言える総合競技大会ですね。4年に1度のアジアのオリンピックのような大会で、ボート以外の他競技もたくさん行われます。

2014アジア大会には、LM2X、LW2X、M8+の3クルーが参加しました。

LM2X(S:O元選手、B:S田選手)
優勝 日本 7'00、2位 香港 7'05、3位 中国 7'10

LW2X(S: S廣選手、B: W井選手)
優勝 中国 7'18、2位 日本 7'26"15、3位 タイ 7'26"22

M8+(S:T立選手、7:K林選手、6:I藤選手、5:N村選手、4:H木選手、3:N村選手、2:I井選手、B:K岡選手、C:S々野選手)
優勝 中国 5'46、2位 日本 5'50、3位 インド 5'51


アジア大会は韓国・仁川の開催でしたが、ボートは2013世界選手権も行われた忠州で行われました。ここはタイムが出にくいコンディションが多そうなコースです。LM2Xなどはかなりタイムのかかるコンディションだったでしょう。
特にM8+は相手が中国やインドの重量級選手、中には2m100kgの選手もいたとか。対する日本はこのときほぼ軽量級メンバーでした。アジアは優れたオープン級スカラーもいますし、中国を筆頭にインド、パキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、イラン、インドネシアなど重量級の強い国もあるのですね。

このような振り返り動画も日ボHPに残っています。この年はたくさん代表PR動画が作られましたね。
(Race Reports)17th Asian Games INCHEON 2014

アジア大会自体はオリンピックのように4年に一度、つまり来年2018年にまたアジア大会は行われます。このアジア大会には日本ボートも頂点を獲りに、また力を入れて参戦するでしょう。
しかし、ARF主催のほうのアジア選手権には久しぶりの参加のようです(2013年以来ですかね)。
(読者の方のご指摘がありました。数年前から全日本軽量級選手権の優勝クルーや上位クルーに出漕権が与えられ、各団体が日本クルーとしてアジア選手権には参加してきたと追記させていただきます。昨年も○TTM8+をはじめとして7クルーもの日本勢、多数のチームが参加をされています。日本ナショナルチームの代表選抜クルーとしてのアジア国際大会への出漕は3年ぶりだと思います)



その2014年アジア大会以来、日本代表M8+が久々に編成されることになり、軽量級での小艇T.Tと、今回のコックス選考でクルーを選考ということになったわけです。
やはり、ここからJAPANM8+が東京五輪に出られるくらいの革命的な艇速向上を果たしてほしい。そして、選ばれた漕手8人と選ばれたCOXの全9名のクルーが東京で活躍してほしいのです。

さて、このアジア選手権のJAPAN8、漕手8人は先ほど言った小艇T.TでのM2-レースの結果で現時点で選ばれています。

K又選手、T立選手(T田中央総合病院RC)
T野選手、O塚選手(○TT東日本)
H選手、S水選手(C電力)
A木選手、N溝選手(○TT東日本)

アジア選手権日本代表エイトクルー選考結果について(PDF版)

(アジア選手権のメンバーは上記以外に追加されるとのことですが、おそらく軽量級クルーに関しての選考であって、M8+はだいたい内定ということなのでしょうか。)
O塚選手、H選手など2015ユニバーシアードLM4-優勝&LM2X3位のメンバーもいますし、
S水選手(6'12)、O塚選手(6'16)、K又選手(6'17)などをはじめエルゴベスト平均は6'20を切れるエイトではないでしょうか。マシンローイングなどの公式記録しか知りませんので間違っていたらすみません。
しかしこのブログで再三お伝えしているとおり、日本オープン選手のエルゴはまず6分ひとけたに入り、6分切りが出てこないと世界トップレベルに達しないと思っていますので、ぜひとんでもない記録を出して日本のエルゴ基準を飛躍的に上げてほしいです。





そこで、このハイレベルなオープンウェイト漕手8人をまとめる今回のCOX選考です。
日本代表COX選考も、かなり久々のことではないでしょうか。前回、○TTのS々野選手が選ばれたのは公募の結果だということでしたが、今回は上記所属チームから推薦されたCOXが参加し比較による選考を行うようです。
2017 年 アジア選手権エイトのコックス選考について (PDF版)

コックス選考は、漕手のようにエルゴ足切りや乗艇トライアルなど数値による選考はできません。また、勝敗で優劣をつけようにも、漕手の能力に大きく左右されるところもあり、同じクルーでレースできればCOXの差だと誰の目にも明らかですがそんなことはもちろん不可能ですよね。
結局、漕手投票による結果を受けてコーチが決めるという選考方法になるようです。
実際、評価するのは難しいのですが、私が思うには「クルーの艇速」を一番速くできるCOXが選ばれるべきだということです。
ともすれば、「このCOXの乗る艇は漕ぎやすい」「このCOXはムードよく練習できる」といったところ、つまり自分との相性で漕手は評価するところもあるのではないでしょうか。それも大事ではあると思うのですが、究極には漕手と同じく、「クルーの艇速」を速くできる、つまり最もタイムを出せて勝負にも勝てるCOXが選ばれるべきです。COXはボート選手ですから。
言い換えれば、タイムを出せるスピード・バランスコントロール能力と、競り合いに冷静で強く、主導権・キープ・出る・攻める・逆転など展開自在な勝負勘に卓越した能力です。

その点、ラダーその他マイナスやロスを減らせる能力とともに、モチベーションを高めパワーとスピードを出しやすく集中させてくれるという艇速アップの能力を評価してほしいです。私は、COXはただ艇速のネガティブさを減らすだけでなく艇速のポジティブさを増幅できるところがあると考えています。ネガティブフォースを減らしポジティブフォースを増やすということです。これは漕手にもできる役割ですが、乗りやすいとか漕ぎやすいだけでなく、艇速を出しやすいCOXであることが重要だと思います。
そうしていくと、項目にある「コール能力」も重要ですし、また艇が乱れたときにすぐさま良い状態に戻せる反射神経なども失速を防ぐのでこれも重要です。

COXとは、最大艇速ポテンシャルをいかに引き出すかだと思っています。そこには目に見えるはたらきと目に見えにくいはたらきがあります。艇の針路のぶれをラダーで制御することもできますし、漕手の見えるところの指摘だけでなく、重心と体重のコントロールやスピードのコントロールができるCOXのほうがより艇速を高めています。風と波を読み、気流の道と水の道の最短航路を選び、艇を感じ、漕手を感じる。感覚を研ぎ澄ませこれらを集中してタイミング良くスピードと安定と律動を生み出す。パワーを生む。
「このリズムは1'20のラップのものだが、安定してきたがまだ端々が少し粗い。さらにキャッチ立ち上げが強く硬い確かなロック感になるとドライブの初速が安定しフィニッシュの減速が少なくなる。1'18のリズムを作れる」
などと、きちんと感覚と指示内容がリンクしたコールを行えるでしょう。当然ですが、1'20のスタートスパートより1'18のスタートスパートを出せるほうが能力があるということです。
漕手の心技体をきちんと艇速として最大限以上に発揮し、なおかつコーチ的な漕手育成のためのはたらきやレースに向けたアプローチまでできるといいですね。
こうした最大ポテンシャルを引き出す仕事は、やはりコーチにも共通します。勝敗に関わるポジションだけに、漕手と、そして艇に対して仕事ができることが重要ではないでしょうか。そしてこうした仕事を行うために人間性も持たなければ漕手の信頼性や説得力を持つことができません。

このように、間接的に艇速を高め、漕手の成長に関わるポジションであるCOXは、必然的にコーチの役割と共通するところがあります。そしてもちろん、直接的なラダー操作や重心制御、コール、指示などの関与などCOXならではのプレーもあります。
漕手出身コーチは何と言っても感覚をそのまま言葉にできる表現力と共感力があれば優秀なコーチになりますが、COXは普段から言葉を武器にしているのであとは感覚とCOX独自のプレーを磨くことです。観察力もコーチには重要ですが、ボート選手はみな観察力は優れていると思います。



以上、特に代表COXに必要な能力について自分なりの意見を述べてみました。
もう一度簡単に言えば、「タイムが出せるCOX」「勝てるCOX」を選んでほしい、あくまで艇速に関わるボート選手として評価し、この点において競争をどんどん活性化し、COXのレベルアップによって漕手もレベルアップし、日本のボート競技力全体までレベルアップしてほしい。
COXは、それほど重要なポジションであり、艇の内外からスピードに貢献できる役割だということです。

代表選手は、日本ボート全体の代表というだけでなく、日本ボートの全員が注目する選手でもあります。代表選手のレベルアップは、その注目によって競技全体のレベルアップにもつながるのです。
ボート意識に優れたCOX、そしてもちろんボート意識に優れた漕手がもっと増えることを期待しています。

そしてアジアで勝ち、世界で勝てるエイトを作りましょう。
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