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軽量級が終わり、いよいよインカレ全日本に向けての長い戦いが始まりますね!
暦は6月に替わり、インカレまであと3カ月。そろそろクルー編成や本番を見据えたトレーニングも徐々にスタートしていくかと思います。




2015年9月記事「統計と記録から考えるインカレ~後編」と、同じく2016年6月記事をかなり加筆修正した再掲載記事です。
統計からインカレを考察することをテーマに書いていきます。
2016インカレの結果やデータまで含めた、2017インカレバージョンです。

ここでは、インカレの歴史を学びながら、各種目の傾向を分析していきます。
今回はその歴史の部分にもうすこし焦点を当てました。

こうした分析は、大学チームの動向や思惑に僅かでも影響を与えるのでしょうか!?
監督コーチはこれから加速するボートシーズン、自チームのクルー編成や選考、重点種目の検討に頭を悩ませる時期になるでしょう。
大学ボートを盛り上げつつ、社会人ボートと日本代表による国際Rowing戦線まで、日本ボートが盛り上がるための塵芥の要素にでもなれば幸いです。

関連記事
「統計と記録から考えるインカレ」

「全国大会としてのインカレ」




今回、以前使用した表を更新し、種目別に分けたクルー数と、何と1974年第1回から2016年第43回インカレまですべての優勝大学も載せます。これはきちんと公表されている記録をまとめたものなので、今回の記事は実名で掲載させていただきます。(さらにスペースの関係上、略させていただきます)
個人的には伏字はまどろっこしいので、好きではないのです。どうかご理解いただけるようお願いします。失礼になる表現もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

資料は、2000年以降はバッチリHPに載っているので調べやすいですが、それ以前は私の所有する大会パンフレット資料による調べです。

また、このブログは間違いや抜け等多々あるかと思いますので、正式な資料として扱わないよう、若干不審の眼で見てください(笑)。誤った内容はもちろん、誤字脱字にも気をつけてはいますが、実際は色々間違いだらけかもしれません。
私は、自分が絶対正しいというような人や組織を全く信用できません。上から目線の偉そうな人はとても苦手です。正義というのは周囲や迫害される人にとっての悪へと容易に変わります。本人は正しいと思い込んでいるのでどうにもなりません。正論をふりかざしたり、自分を絶対正当化して他人を攻撃する方が世の中から少なくなることを願います。信じることはパワーや精神安定を生み出すうえで大切なのですが、信じすぎることなく疑う目や判断力が必要です。無知の知とか謙虚さ、寛容さを大切にしたいと思います。そういう私自身も、このブログも、たいへん未熟で恥ずかしい考えの披露であって、一切正しいことは言っていませんので、しっかり情報を取捨選択してくださいね!こうした主張自体、正しいわけでもありませんので。
ただし、広い世界を知ったり、知識や知恵を得ることで、頑迷さや頑固さや蒙昧さや感情的な攻撃性が、冷静で客観的にものごとを捉えて自らをコントロールできるようになる術だというわけで、学生の方はもちろん、現代人は生涯学ぶ姿勢が大事なのだと思います。





講義1限目
「インカレ史」



では、まず最初はインカレの歴史について第1回から現在までを見ていきましょう。今年は2017年、第44回大会になりますね。

出漕クルー数、経験者クルーのカウントなどは、資料が確かな1993年および1998年以降のみとなりますがご了承ください。
また、経験者・未経験者の判断は、やはり私の独断と記憶などによりますので、こちらもご了承ください。あくまで参考データです。


2017インカレ種目別 男子優勝クルー一覧表


2017インカレ種目別 女子優勝クルー一覧表

※M8+のみ、○連覇とかV○(スペースが足りないので)とかの連続優勝記録、いわゆる連覇の数を入れました


こうやって表にしてみると、種目ごとの傾向というものがくっきり表れる感じがしませんか?

それとともに、だいぶ前から、強い大学、優勝している大学はおなじみの大学ばかりであまり今と変わらないじゃないかと感じるかもしれません。20年ほど前くらいでは勢力図がさほど今と変わらない感じです。しかし、内容や傾向が少しずつ変わってきているのは事実です。
また、こういう表だと、決勝、メダルを何度も果たしていて強いという印象を与えている上位チームでも優勝に届いていないと出てきませんので、詳しく見ることも必要です。



今回に限り、本文でも大学名については実名出させていただきます。重ね重ねご了承ください。
失礼な表現などがあるかと思いますが、各チームに敬意をもって書いておりますのでご容赦いただきたく思います。



70年代
まず1974年に、インカレが新設。社会人の参加が少しずつ増えてきた全日本選手権から分かれて、第1回全日本大学選手権が新たにスタートしました。しかし、資料によると決勝は荒天で中止ということで、インカレの歴史は波乱の幕開けとなったのです。

当初はM1X、M2X、M4+、M8+の男子4種目のみ、やはりオールドファンにはこの4種目が日本ボートでもスタンダード4種目でしょうか。しかし、2-、2+、4-、4Xも、歴史は古く、昔から全日本選手権で採用されてきたのです。
第2回、決勝が無事行われ花形のインカレM8+を制したのは東北大。翌年立命館、さらに東大がインカレM8+優勝しますが、その後東北大が再びインカレM8+を制すると3連覇の偉業を達成します(1978~80)。1979年には全日本M8+も優勝しており、東北大はこれが唯一の全日本M8+タイトルです。その間、M4+も含む小艇で強かったのは法政、中央、慶應、早稲田といったあたりで、慶應と早稲田はM8+でも上位争いしていたはずです。岩手医科大、東京医科歯科大などもM2X優勝がありました。
また、インカレの第5回大会までM4+優勝校は2つあり、(軽)とあります。最初インカレM4+では軽量級種目も行われていたようですね。中京大のM4+優勝もありますし、個人的には1980年の静岡大M4+優勝が素晴らしいと思います。



80年代
80年代に入り、1981、1982年の東大によるインカレM8+2連覇がありました。東大の黄金期です。1979~1982年は全日本M8+4連覇のこれまたボート史に残る偉業を達成、のちに日本代表ヘッドコーチにもなった名将S藤コーチに率いられ、現T大ヘッドコーチU家さんが多くストロークを漕ぐなど、たいへん勝負強いエイトでした。

それ以前の私大といえば早慶を中心に多くの伝統校が強かったですが、この80年代一気に台頭してきたのが、現在まで続く大学ボートの2強といっても差し支えない、日大と中央大の両校です。1983年に東大の3連覇を阻み、中央がインカレM8+初優勝を成し遂げると勢いは止まらず4連覇を達成、一躍大学ボート強豪の地位を確立します。その間に1984年ロサンゼルス五輪にも日本代表として中央のM4+が出るなど(ストロークはA部さん)、この当時代表選手に派遣しナショナルチームとの関係も中央が長く強さを継続していく背景にあったのではないでしょうか。1987年、東大が5連覇を狙う中央を破って見事に4度目のインカレM8+優勝を果たしこれも本当に素晴らしいのですが、その後中央がリベンジし2連覇します。インカレM8+の歴史で本当にすごいのが、中央は確か1983年の初優勝から2005年までの23年間ですかね、23年間ずっとインカレM8+では優勝か準優勝のみという信じられない記録を持っています。ある意味10連覇よりすごいのではないでしょうか。インカレM8+といえば中央、のイメージを長い期間ボート界に与えたのです。

80年代は、東海大、日体大も小艇でたいへん強く、強豪私大の新たな時代を築き始めました。東海はM2Xで4回優勝、M4+やM1Xで2回ずつ優勝するなど、インカレタイトルを数多く勝ちとってきました。1984年創部の新興チームだった日体もM1X、M2Xで2回インカレ優勝し、日体は全日本でもM4X3連覇(1985~87)するなどすぐに強豪大学となっていきました。

そして、日大です。日大は1905年創部ですから歴史も長く昔から強豪大学でしたし、1977年には全日本M8+初優勝もしています。ただ70年代の初期に比較すると、80年代ではさらに多くの種目でインカレ優勝をとりはじめ、どちらかというとM8+をメインとした中央に対し、勝てる種目や適性に合わせて柔軟にインカレ戦略をとるスタイルの日大のイメージが作られていった気がします。80年代では、インカレ総合優勝は日大が4回、中央と東海が2回ずつでした。1990年(平成2年)、O林コーチのもと日大はインカレM8+初優勝するとそのまま3連覇を達成。O林コーチはその手腕を買われてかアトランタ以降30代半ばの若さで日本代表コーチとして90年代後半からの約8年間、JAPANを引っ張っていくこととなります。(シドニーではA部コーチがスイープ担当、O林コーチがスカル担当)



90年代
世は平成となり90年代、強豪社会人とセレクションでますます優秀な選手を集める強豪私大が力を伸ばし、未経験者中心の新人勧誘で戦力を一から育て上げる国立大や私大との力が開き始めます。しかしその中で一点集中でインカレタイトルを手にする大学や、素晴らしいコーチ陣と組織力を有してこうしたセレク私大の壁を破る大学もありました。

まず1991年北大のS藤さん、1992年新潟大のO日向さん、1996年愛媛大のT田さんなど、一匹狼型スーパースカラーがクルーボートを組まず一人でボートを研究し武者修行のようなトレーニングを繰り返してM1Xインカレタイトルを手にします。こうした孤高の存在の方々は、個人能力の高さで代表入りし、代表チームの活動も経て洗練され国際的な競技力を身につけられていったように思います。「たったひとりの~」の津田さんが何人もいたということです。まだネットなどない時代、地方大学にはたくさんの才能が埋もれていたと私は感じています。すごい選手、全国にいっぱいいましたよ。

日大中央が2強の争いをする中、94年には慶應大がブレイクしインカレM8+初優勝を含むスイープ4種目優勝、そして95年には東北大が創部100周年を見事に飾るインカレM8+5度目の優勝。96年は今でも語り草の強い逆風の中乾坤一擲、先行策で逃げ切り勝ちをおさめ悲願のインカレM8+初優勝を果たした早稲田。いずれも優勝候補ナンバーワンの中央を破ってのものですが、その背景に優秀なコーチの緻密な研究と戦略、そして何種目も優勝や決勝クルーを出す組織力があったことが理由としてあげられます。
しかしながら、こうした伝統校の意地と総力の結集に対して、A部コーチ率いる中央はさらに強さを増し、多くの代表選手を輩出してインカレM8+3連覇を達成し(1997~1999)、再び中央の時代を盤石のものとするのです。

法政の快速M2Xによる2連覇(1991、1992)、S藤コーチによる北大M2-2回のインカレ優勝(1998は医学部、2000)、外語の素晴らしいM4+優勝(1990)、龍谷の力強いM4+2連覇(1996、1997)など強烈な印象を残した大学ばかりです。



00年代~10年代
00年代、2000年になるとネットが普及し始め自ら発信を行う代表選手なども出てきました。各大学HPやブログ、PVなどさまざまな企画が出てきて日本ボートがボーダーレスの時代に入っていきます。情報共有がなされるかと思いきや、しかし依然として強いチームは強さを保ち続けました。結局は優れた指導者が長年関わるチームが結果を出せると言わざるを得ないのですが、その中で資金力や組織力に秀でたチームが人材を確保、人と物とお金を背景にこうした資源の差で実力格差が開き、大型の連覇というのも目立ってきたのが大学ボートの勢力図でしょう。高校トップ選手が常に毎年同じチームに進むようになり、毎年の強さに波がなく安定した結果が期待できるようになってきたのです。ボートに対する情熱は皆持っている。しかしその熱に人とお金と物が合わさると、個人の夢を超えた大きな事業を組織で成し遂げるということです。

00年代に圧倒的な実績を残し始めたのが、男子は日大、女子は早稲田。そして明治の復活です。
日大は実に10年間で8回の総合優勝を果たし、2008、2009、2012年にはインカレ男子8種目中7種目優勝の準完全Vを3回も成し遂げます。2005年にO林コーチが復帰してからは顕著で、そのO林イズムが浸透した2006~2014年まで、日本ボート史上不滅の大記録インカレM8+9連覇を打ち立てます。男子総合優勝は目下11連覇中。皆さんは高校トップ選手が多いから強いのだと思われるでしょうが、結局は強い大学には強い指導者がいるということです。もちろんO林コーチだけではなく、監督コーチすべてが経験豊富なものすごいチーム力なのが日大なのです。確か40年近く監督を務めていらっしゃる現在のM内総監督を語らずして、今の日大はないかと思います。

女子においては、90年代はまだまだセレクション私大は限られていて、小艇3種目は日体大、そしてW4+種目中心に龍谷大、鹿屋体大が圧倒しており早稲田は総勢4、5人程度の女子部員数だったと記憶します。この頃、高校トップ選手は社会人に進むのが主流でした。早稲田はW2XやW2-中心に出漕し、メインのW4+は龍谷と鹿屋の争いというのが毎年でしたが、アトランタ五輪代表のS田選手、Y田選手など在籍したのち、代表がいるチームとして少しずつ選手層を厚くしていったのが90年代後半。現N稜高顧問をされているY田選手、S山選手、そしてのちに日本代表になるI本選手などを擁しインカレW2X4連覇(1996~99)を達成すると、2002年にインカレW4X+が新設され、これがまさに早稲田のための種目となります。この頃、世界ジュニア代表のトップ選手が多く早稲田の門を叩くようになり、K倉選手などスーパーな選手も出て何とこれも大学女子ボートの金字塔、インカレW4X+9連覇を成し遂げます。W4X+で圧倒的な強さを誇る早稲田女子チームは全体の力とレベルが高まり、インカレ4種目という限られた種目数で多くの優勝を果たし毎年総合優勝、00年代は7回の総合優勝を果たします。

さらにはこうした大学のバックアップと優れたボートマンの指導によって強くなるセレクション私大がいくつも台頭します。
まず古豪と言われて久しかった明治。97年にS監督が就任、女子部を作り優秀な選手を少しずつ集め始めます。そして男子も以前から良い選手が入っていたが、自主自立で主体的にボートを考え部を運営していくという明治のスタイルを育てていきます。「明治を変える!強くする!」という熱意に溢れた明治魂を持つ歴代主将ばかりです。
また、当初から「インカレ総合優勝」を目標に掲げ、日大以上に柔軟に得意種目や一点集中で小艇大艇にこだわらず勝てる種目に力を注ぐようなインカレ戦略をとります。これは中規模の私大や国立大ならどこもとっている方針ですが、「ボートはエイト」の価値観にとらわれず、ボート競技を楽しむ上で「得意な種目、適性のある種目でボートを楽しみ艇速を追求する」というのは私も似たボート観を持っていますが、そこに通じる気がします。明治の得意種目は、2000年代は男子はM2-、M2X。女子はW2-。このイメージが私は強かったです。しかし00年代後半から10年代に入る頃にチームが大きくなってくると、M4X、M4-、W2X、W4Xを得意種目にしてインカレ優勝をたくさんとるようになり、今や高校トップスカラーをルーキーとして迎えM1XやW1Xで優勝したり、M8+やW8+を得意種目にしようとしているステップアップしてきた明治の現在につながってきます。


ほかにも有力チームはこのブログでも再三伝えているとおり、仙台、富山国際、立命館、基本的にはどのチームも最初は小艇でインカレ優勝を果たし全日本も優勝、そしてメイン種目や多くの種目で優勝を狙うチームへと大きくなっています。どのチームも素晴らしく、それぞれのスタイルや方針がありますね。

さらに、こうした規模も大きい有力私大の勢いに押され力が開いてしまったチームの中には、改革をめざし自らのチーム変革によって生まれ変わったチームもあります。その筆頭が一橋でしょう。
一橋は、元々大所帯のチームでエイトを何杯も組める伝統校でしたが、若いコーチと選手の自立によってガラッとチームのスタイルを変え、HUBCという自称に代表される数々のチームアイデンティティ、チームカラー、スローガンなど学生らしい企画的な発想をさまざま生み出して主体的なチャレンジをしていきました。PV、マネージャー組織、OBとの連携、さまざまあるでしょう。そしてN村コーチの招聘もあり、素晴らしい才能のある選手は都市部地方部に限らずどの大学にもいますが、こうした中で代表クラスの選手も育て、対校M8+を軸にする伝統は不動ながらも多くの男子女子種目でインカレトップクラスで争うチームになり、未経験者中心チームのお手本のようになっていったのです。インカレ優勝こそM2-の2回(2014、2016)ですが、M8+は銀銀銅(2013~2015)、W2Xも準優勝(2010)、インカレではほとんど毎年複数メダルを獲っており優勝まであと一歩の成績ばかり。
全員強くて全員高いチーム意識、ボート意識なのがチームとして素晴らしいのであって、総合力として未経験者チームナンバーワンの戦力だと思います。

早稲田男子は2015年に日大M8+の連覇を止め、慶應の勢いも常にブレイク寸前、さらには多くの私大が強く大きいチームになろうとし、国立大は群雄割拠というべき地域ごとのリーディングチームが存在し組織力や規模において素晴らしい成長を遂げています。現在はボート文化や歴史を自チームでも他チームとも共有していく新たな時代をつくろうとしているのです。




このほか、ここに名前の挙げられなかったチーム、大学が多くの熱戦を見せてインカレの歴史は今日まで続いてきました。
むしろここに挙げられない大学がこれからどんどん大学ボートをリードしてほしいのです。

インカレは日本ボートの情熱。そのように表現したことがありますが、まさに情熱と執念をぶつけるような熱いボートの祭典です。
そしてまたインカレは、日本ボートの青春なのだと思います。

終わらない夏を数え続けて、インカレ40年。今年でインカレは44回目を迎え、2023年には半世紀を数えるわけです。しかし、1年1年がかけがえのない、若いボートマンたちによる幾多のドラマを生み出すストーリーです。それがヒストリー、時間の積み重ねと人と世の移り変わり。こうした時間が紡ぎ出す人の物語が、歴史というものでしょう。


若い選手の皆さんは、強い大学に対し速い艇速の見た目にばかり目がいくかもしれませんが、ボートは水上だけで成り立つものではないのです。艇速の背景に、さまざまな人と資金と物、知恵、チームや指導者の経験や哲学、選手自身の研究心や知識やイメージやボート観、日々の生活そのものとこれまでの人生、これらが積み重なってやはり歴史が艇速を作っている部分がある。積み重ねがないところに永く維持できる建物は築けません。
明日の歴史を創るために、これまでの歴史をたどって知ることで、まったく違う時空を切り拓くことができると思えばボート競技の世界は創造的な箱庭に見えてきませんか?








講義2限目
「インカレ種目別の傾向」



では、講義1限目を終了いたします。

次の2限目は、種目別の傾向を再掲載いたします。
お気に入りの種目、狙いたい種目などの傾向や分析をどうぞ。

このブログのオールドファンならご存じ(?)、以前にも「インカレ講義」というシリーズで分析した種目ごとのおさらいや傾向を挙げていき、今後のインカレ戦略などにおいて参考にしてみてください。
今回調べた範囲で分かった統計的な数字をもとに、各大学の実績や動向もまじえ、種目ごと紹介をしていきます。


M1X 解説
【M1X】
過去およそ20年、エントリー数は安定している。出漕44~58クルー。経験者は9~15。
58クルーまでになると予選はJ組、つまり予選10組となり、準決勝は4組だが5杯レース、準決勝上がりは20クルーになる。これが48クルーのエントリーになると、準決4組の4杯レース、つまり準決勝上がりは16クルーの枠に勝ち残る必要あり。インカレでは24クルーのエントリーと、48クルーのエントリーが、1杯増えるかどうかで準決勝枠がかなり違ってくるので、準決勝に上がり、かつ組み合わせ運も大きく関わるため、この差は大きい(24クルーのほうがより大きな差ですが。24クルーで準決勝2組8クルー、25クルーで準決勝4組16クルーとなる)。
今後、このエントリー数で変わる準決勝枠についてたびたびふれるが、ボーダーライン上のクルーには大きな問題となるが、結局は高い目標を持ち、優勝やメダル確実の実力を身につけることでクリアできる。色んな考えがあるものの、私が個人的に準決勝進出にあまり価値をおかないのは最終日や決勝に価値をおいているからである。運頼みで一喜一憂する問題にはしたくないものだ。しかし、2日目敗復落ちで終わるか3日目準決勝で戦ったかは選手やチームが感じる印象が全く変わるのも事実ではある。
ただし、最近1、2年は男女全種目でエントリー数は増加傾向。各種目出漕クルーとレベルは年々アップしている。
M1Xは未経験のよく鍛えられたクルーが決勝に行くことも多く未経験者メダリストや順位決定進出も多く出る。ここ6年だけでも、決勝は2011年(3位)の東大W田選手。2011年(4位)、2012年(3位)の佐賀大医学部N村選手。2012年(準優勝)の東大K村選手。2013年(3位)、2014年(準優勝)の岡山大F見選手。2015年(4位)の医科歯科大Y橋選手、2016年東大M垣選手。それ以前も多く存在するが、未経験での優勝はなかなか難しい。
経験者でのチャンピオンはスーパーな選手が多く、ジュニア代表経験者、現U23代表や将来のJAPANなどが優勝を争うような、やはりレベルは高い種目。


M2X 解説
【M2X】
過去およそ20年、出漕37~58クルー。経験者は10~15。
この層がM4XやM2-あたりに流れることもあり、エントリー数は読みにくいが、だいたい40~50くらいでM1X並みに出漕は多い。比較的出しやすく、シングルで勝負よりダブルのクルーボートなら、というイメージと、少人数チームがインカレをめざすときにこの種目を対校に選ぶことも多く、出漕大学は多彩でバラエティに溢れている。かつて1990年前後は日体、東海、法政、そして2000年代になると明治、仙台、富山国際、立命館、そして2014年の筑波など、この種目を対校にインカレ優勝して、以後4人乗り以上にステップアップしていくような経験者中心のチームが多い。創部間もない新興チーム、少数の経験者の力を生かす、低迷期や部員減を打破する際の少人数で結果を出そうとするなど。立教も、優勝には届かなかったがそのような理由から対校にしてメダルを得た時期があった。反面、伝統校も必ず組んでくるような種目。勢いのある小規模チームと、有力大学との激突が見もの。
たいへんクールでかっこよく、小艇と言いながらその枠を超えた素晴らしいスピードがあり、メジャー感がありながらも独特な存在感が光る種目だ。


M2- 解説
【M2-】
過去およそ20年、エントリー数は年によってややばらつきあり。出漕11~32クルー。ただし近年は20~30強くらいで推移。経験者は5~12。
M1Xでふれた、エントリー数24クルーのラインを前後することが多く、25クルー以上で準決勝4組16枠、24クルー以下で準決勝2組8枠(自動的に最終日確定)という、3日目に行くにはたいへん大きな違いが生まれやすい種目。実際、レースに出る選手からすれば16が8になるのは準決勝枠が一気に半分減るのでたいへん大きな問題。最近はM4XやW4X+もそれに近い。
国立大が決勝や順位決定に残る割合が最も高い種目だと、個人的に感じている。事実、国立のインカレM2-優勝大学は多く、1998年の北大医学部、2000年の北大、2004年と2008年の東北、記憶に新しい2014年の一橋など。メダルや決勝も多く、近年では2010年京大3位、2012年山口大4位、2013年東工大3位、2014年一橋優勝、2015年茨城大3位、一橋4位、2016年一橋優勝、筑波4位というように、ほぼ毎年決勝で互角に近い勝負をしている。M2+と同じく、M2-種目を対校にする大学は多くないため、未経験者中心チームがインカレタイトルを狙う際に狙い目であるかもしれない。しかし、優勝には無風で6'55は必要、現在では6'50かそれを切る目標が欲しい。
大学ボートのキウイペアが、果たして彗星のごとく現れるか。


M2+ 解説
【M2+】
過去およそ20年、エントリー数は年によってややばらつきあり。出漕6~14クルー。経験者は3~7。
付きペアを持たない大学も多く、事前に借艇の交渉からスタートすることもあるかもしれない。永遠の狙い目種目、というわけではなくなって、それなりのレベルを毎年維持しており、近年レベルアップが著しい種目の一つだと感じる。しかし、伝統校はM2-と同じく、セコまでの位置づけにすることは少ない種目なので、インカレ各種目のレベルは平均化しているがM2+は経験者クルーが最も少ないこと自体が、決勝やタイトルに近いと言える。しかし今後、付きペアを対校にする大学も現れることだろうしさらにレベルが上がりエントリーが増えることは予想される。
昨年も未経験者の慶應大がN大をあと一歩で優勝まで追い詰め惜しくも準優勝、立教も未経験の3、4年漕手コンビと4年COXというクルーで3位。
主将を乗せてインカレや全日本のM2+を狙ってくる大学もあったりする。かつて1997年に日大は当時4年主将でのちに3度五輪出漕したU選手が若手と組み、2年ののちの主将S本選手と、U選手と同じくNTTに進んだ2年COXのO村選手と組んでインカレM2+で優勝、2014年やはり日大が4年の主将副将で組み優勝。またインカレではないが2013年まだ1年生の未経験新人漕手2人を全日本M2+に出し7'45で7位になった一橋は現代表のA川選手のデビュー戦だった。ベテラン漕手が若手COXを育てたり、若手有望漕手をベテランCOXが育てたりと、意外な名選手がM2+を経験しているなどエピソードに事欠かない。優勝を義務付けられたトップ選手の出漕や、若手のチャレンジ種目にするなど、他種目に劣らず育成効果や編成の妙がある種目だといえる。
決勝は接戦の連続で駆け引きに満ちたたいへんスリリングな展開の多い、個人的にとても面白いと感じる種目。


M4X 解説
【M4X】
過去およそ20年、エントリー数は年によってややばらつきあり。出漕15~31クルー。経験者のエントリーが多めで7~14。昨年は過去最多で31クルーの出漕だった。
M4-よりも出漕クルー数が多く、経験者中心のチームは高校メイン種目だったことからM4X種目に思い入れが強いことを感じる。やはり近年はエントリー数24クルーの境が読めない種目の一つで、準決勝4組になったり2組に減ったり。
近年では、4年連続で日大と明治のワンツーフィニッシュが続いており、両者の対決は4年間で見れば2勝2敗ずつの五分。日大、明治の対決に、M4Xを対校かセコにしてきたセレク私大が絡む決勝となっている様相。
M4Xは未経験チームもエントリーは多いが、スイープ系と違い、こうしたセレク私大の存在で決勝にはなかなか残れないことが多い。実に9年間未経験クルーが決勝に残れていないが、過去には2006年茨城大の準優勝があり、優勝した仙台大まであと1秒の大接戦という実績が燦然と光る。ほかには2001年と2003年とも医科歯科大の4位、2004年外語大の4位など男子でスカル種目を重視する未経験チームだ。1997年には東北大の優勝もある。M4X種目での未経験クルーの優勝はこの1回だけ。
しかし、決勝には6'10に迫るタイムが必要なのでたいへんレベルの高い種目だが、順位決定は6'25くらいでも残れる場合があるので、最終日のチャンスはある。優勝には6'05がスタンダードになってきており全日本とほぼ変わらないレベル、未経験が優勝するには対校で挑まないと厳しいだろう。順など好条件が揃えばそろそろ6分切りを見てみたい種目。


M4- 解説
【M4-】
過去およそ20年、出漕8~18クルー。近年エントリー数はずっと16前後で安定している。経験者は6~13。
今後もしばらくずっと、エントリー25クルー以上の準決勝4組にまでは増えないだろうと思われる。安定の準決勝2組8枠。
2000年代半ばまではM4+のほうが明らかにレベルが上だったが、つい最近ではM4+と遜色ないどころか、M4-が上回る勢いも見せ始めている。2013~2015年まで明治、立教が対校にして優勝を争っており、2007~2012年までM4-6連覇を果たした日大も少しメンバーを高めにしている。昨年は中央も対校に据え、早稲田、慶應、京大、仙台、一橋、東北あたりもエイトのセコかサードを持ってきている印象。出漕数は少なめだが、みなレベルが一定以上で、6'40を切れないクルーはほとんどいなくなっており、M4+でいえば、だいたい6'53を切れないクルーは出漕してこないというレベルになっている。そして、枠の限られた準決勝に進むには6'30切りは絶対条件か。
国立大や、未経験者が多い私立大チームは、対校かセコにしないと優勝は難しい種目になってきたと言える。


M4+ 解説
【M4+】
'93は67クルーと多過ぎたが、'98~'15までは、出漕33~52クルー。しかし近年はエントリー数がずっと40前後でこちらも安定している。経験者は7~13。
準決勝は4組16枠はだいたい安定しているので、6割のクルーは敗復落ちする計算になり、一定以上のレベルがないと予選、敗復を突破できない。しかし、M2-以上に未経験中心チームが準決勝に残りやすい種目。中堅、小規模チームが対校で狙うことが多いためであり、大規模な伝統校もセコにすることが多かったため。しかし近年は、セコを色んな種目から選ぶ大学が増えている。
昨年、2015年はM4+も全体的なレベルが上がり、6'50を切らないと準決勝に上がることさえ厳しくなってきた。
国立大の優勝は2000年以降、2004年の岡山大、2006年北大の2回。しかし90年代以降から見ても未経験チームの優勝は確かこの2校だけで、他の種目と同様にセレク私大が決勝を埋めることがやはり多い。とはいえ未経験が決勝に来ることも他種目より目立ち、この優勝した2校以外にも、2004年筑波大4位、2005年新潟大3位、筑波大4位。2008年大阪市大4位、2014年東大4位、2015年一橋4位。さらに昨年は一橋3位、東大4位と国立大の勢いが見られる種目。
優勝の岡山、北大以外に2000年以降メダルは新潟大だけだが、地方国立大も戸田の国立大も健闘が見られる種目。最近は日大、明治、東海、仙台、法政、中央などがM4+の強豪という印象だが、2000年代前半は東経、立命館、同志社、龍谷なども対校を組んで得意種目にしていた。


M8+ 解説
【M8+】
'93は29クルー、'98は28クルーの出漕があったが、'99以降、ずっと出漕は18~24クルー。経験者は4~9。
17年間、24クルーまでをぎりぎりキープしているので、ずっと準決勝は2組で8クルー枠、予選敗復を上がると即最終日確定というのは変わらない。しかし今後、エイトの挑戦が増えるかどうか、注目である。この8枠をめぐり、とにかく予選と敗復のサバイバルは熾烈で、枠がエントリー数の1/3程度で少ないので、他種目に比べ経験者クルーのエントリーが少なめのことなどあまり気にならない。予選4組の中には事実上の決勝や死の組が毎年のようにできあがることになるが、優勝候補からしたら毎度のことで、単なる前哨戦でしかない。本当の勝負は準決勝、そして決勝だ。
この種目には、国立大の伝統校が威信をかけて当然対校をぶつけてくるので、他種目のような私立との大きな差は生まれにくい。しかし、ぎりぎりの接戦や勝負どころを勝ちきる勝負強さがほしいところだ。インカレは結局のところ、タイムに表れる十分な地力をつけるのは大前提で、最後は紙一重を制することができるかどうか、ディテール(細部)を詰める争いになる。スタート、コンスタント、スパートの綿密な確認、レース戦術、メンタルトレーニングなどだ。決勝常連の強豪はこうしたノウハウをきちんと持っている。
国立大については、過去8年で6回決勝に進み3年連続メダル(銀、銀、銅)の一橋、そしてかつてインカレM8+優勝回数の多かった東大(4回優勝)、国立大の中で最も長期間上位を争い続け毎年必ず結果を出す東北大(5回優勝)。さらには関西の雄、京大(2007年準優勝)、いわゆる旧帝大のほとんど(北大、名大、阪大。九大は最近部員減のようす)は対校M8+で挑んでくる。それ以外にもM8+常連校は多く、いつもだいたいエントリーする大学が決まっているため、クルー数も安定している。
その中で、決勝の顔ぶれを左右するのはやはりセレク私大の存在。日大を筆頭に、安定した力を常に発揮する早稲田と慶應にプラスして、最も強い国立大が未経験チームの最右翼になってくる状況だが、ほかの私立大も早慶並みに強い仙台、かつての王者中央、最近では東経や日体もM8+にシフトして決勝を窺っている。法政や明治もかつては決勝常連、いつ復活してくるか。昨年と同じく、明治と仙台は今年確実に打倒日大の対抗だろう。また、その他の有力私大も小艇ではなくM8+挑戦をしてくることがある。
また、常連といえば東工大、大阪市大、神戸大、滋賀大などの歴史ある国公立大もいつブレイクするか個人的に注目している。
ここに挙げた大学だけで20クルー。それ以外は毎年代わる代わる挑戦したりしなかったりという形。エイトを毎年対校として作り上げていくこと自体がチーム運営として本当に大変だが、同時に誇りであり名誉なのだということを付記しておきたい。

ちなみに、1974年第1回インカレは決勝が荒天で中止。第2回インカレM8+優勝は東北。第3回インカレM8+優勝は立命館。
新制の1974年第1回からのインカレM8+の通算優勝回数ランキング(2017年6月現在)
第1位・・・日大(15回)
第2位・・・中央(13回)
第3位・・・東北(5回)
第4位・・・東大(4回)
第5位・・・早稲田、慶應(2回)
第6位・・・立命館(1回)



W1X 解説
【W1X】
過去およそ20年、出漕17~41クルー。しかし、ここ10年エントリー数はずっと30~40で安定している。経験者は3~14。
女子については、2000年半ばころから経験者が占める割合がかなり増えてきたので、それ以前はあまり参考にならないかもしれないため、近年の傾向を中心にまとめていく。経験者の数は10以上で、今年は最大の39クルー中14クルーのエントリーがあった。
経験者と言っても、W1Xは国立大やノンセレク私大では自信のある選手を出漕することが多いので、未経験者が上位に行くチャンスはある。しかしここ3年、決勝はほとんどJAPAN経験者のような顔ぶれになることが多い。ただ、スーパーな未経験者が出ることもあるのがM1XやW1Xの魅力。1995、96、98年3回優勝の相模女子大T井選手は神奈川津久井高の経験者、2001年の福島大S藤選手も地元の経験者だったのではと思われるが、これ以外に優勝は届かなかったが連続で決勝に行った未経験選手がいる。
2002~2003年(準優勝、3位)の北大H選手、2003~2006年4年連続決勝(準優勝、3位、準優勝、3位)の東京外語大B東選手、2006~2008年3年連続決勝(4位、準優勝、3位)の学習院大Y堀選手、2010~2011年(3位、4位)の岡山大N崎選手、2011~2012年(準優勝、3位)の一橋S木選手、そのほか2006年同志社女子大M月選手の準優勝、2007年山口大T塚選手と2010年医科歯科大S中選手の3位銅メダルなどがある。
いずれも、体格を武器にというよりは、研究熱心で意識高くボートに取り組んでいる努力家タイプの選手が多いようだ。


W2X 解説
【W2X】
過去およそ20年、出漕14~36クルー。しかし、ここ10年エントリー数はずっと30弱~35で安定している。ここ10年では、経験者は6~12。
傾向としては、M2Xと同じく小規模チームと未経験者チームの対校クルー、経験者中心チームとの激突といった種目で、色んな大学の出漕がある。2001~2006年まで早稲田の6連覇があったが、最近は毎年優勝校が入れ替わることが多く、群雄割拠といった様相。基本は有力なセレク私大が決勝を埋める中で、ここのところ2、3年に1度くらい未経験が決勝に駒を進めて盛り上げている。昨年は早明と立命富山ということで女子4強激突といったおなじみの対戦だった。
2000年以降、決勝に来た大学は、2000年東北4位。2002年東京商船大3位(現・東京海洋大)、立教棄権。2003年立教準優勝。2004年名大準優勝、医科歯科3位、立教4位。2007年外語4位。2009年一橋4位。2010年一橋準優勝、学習院4位。2013年東北4位。
こうして見ると未経験の決勝自体が少なく、やはり女子は男子以上に経験者クルー優位になっている。私の調べでは、女子の未経験によるインカレ優勝は1989年W4+金沢大、1993年W2-金沢大、1995年W2X金沢大、1999年W2-東北大、2001年W2-北大、2002年W4+北大、そして2014年W2-名大のたった7回のみ。(早稲田などいくつか経験者・未経験のミックスクルーによる優勝はある)
平成元年からインカレ女子28年の歴史で112回の決勝のうち優勝7回なので、7%に満たない確率になってしまっているが、2013年東北大の全日本W2X優勝もあり、大学からボートを始めた女子も必ず優勝できることを証明している。
未経験者の女子がより活躍するには、高い意識と指導体制などのチーム運営、あとは情熱だけ。強いクルーを作って、経験者とともに大学女子ボート全体がもっと高いレベルで競い合えることを望む。


W2- 解説
【W2-】
'93は4クルーと少なかったので、'98~'16までは出漕7~16クルー。長らくM2+と同じく予選2組で大会2日目からのスタートが多かったが、13クルー、16クルーで予選4組と増加傾向の年もある。経験者はここ10年で6~10。
経験者の参戦が増えたのが、クルー数の増加につながっているので、かつてのように未経験が優勝や決勝を狙いやすい種目ではなくなりつつある。しかし、まだまだスイープをしっかり漕げている女子は少ないため、今後いっそうレベルが上がる種目だろうと思う。2014年インカレ優勝の名大、3週間後の全日本でリベンジを果たした立命館、2015年優勝の早稲田、いずれも7'40台の決着で素晴らしいタイム。昨年も高いレベルだった。いずれ7'30台に突入してくれば、男子顔負けで立派なレベルになってくる。
昨年までW2-は唯一明治が早稲田を上回る7回の優勝をしていたが、早稲田が昨年優勝して優勝回数が並んだ。早明対決、この種目でもヒートアップ。


W4X+ 解説
【W4X+】
新設された'02~'16まで、出漕16~28クルー。経験者は5~11。
W4X+種目も、この5年ほど24クルー以下と25クルー以上をいったりきたりで、準決勝枠が8か16か読めなくなっているが、経験者クルーや未経験クルーのチーム事情や人数によって小艇でいくかW4X+を対校にするかで、変化している状況。
早稲田、明治、日体、富山国際、法政などの常連チームに加え、立命館、龍谷、筑波、仙台、東経、立教など経験者主体のチームが決勝や最終日を争う。その中で、近年では東北、神戸、そして学習院、一橋、京大など未経験チームも渡り合っている。ほかにも大阪市大、関西大、阪大、大阪府大などをはじめ関西勢のレベルアップも著しい。
経験者クルーの壁がM8+以上に高く厚いのがW4X+のこれまでだが、未経験クルーの決勝は、2007年の外語(3位)、2014年の東北(3位)の2回。M8+のように毎年1クルーは未経験が食い込んでくると大いに盛り上がる。
優勝タイムは無風の7'05あたりでずっと変わらない印象。もう少し上がってくれることを望みたいが、例年全日本でもう5秒ほどレベルが上がるイメージがある。
インカレ優勝回数は、表を見ればもうおわかりだろうが、念のため。

インカレW4X+の通算優勝回数ランキング(2017年6月現在)
第1位・・・早稲田(14回)
第2位・・・明治(1回)

早稲田が2011年、明治にW4X+10連覇を阻まれたが、もうすでにまた5連覇している。
JAPANの代表選手を出していく方針でチャレンジしないと、この2校には永遠に勝てない。それはM8+優勝についても同じです。



OX盾M8+ 解説
【OX盾M8+】
最後に、オッ盾特集です。
正直、私にはオッ盾は知られざる世界に近かったので、これまでインカレほど詳しく見てこなかったのですが、今回調べて色々なことが分かったので他のインカレ種目以上に少し詳しめにお伝えします。

前回の記事でオッ盾参加が1993年を境に減少していったと書きました。しかし、その後も早慶東商を中心に積極的に出漕する学生チームがあると。そもそも、オッ盾は大学セコM8+ナンバーワン決定戦の趣旨があった大会だと。
1993年のオッ盾は55クルーも学生が出ていて、出漕大学には国立大だけでなく、立教、明治もあれば、法政、東海、龍谷、立命館など今では経験者で固める私大も出ていました。これらの大学は明らかに経験者だけでなく、未経験者も当時は多く在籍していただろうと思います。そのへんが、ボート部への全国的な入部増加が見られた特徴的な現象でもあると思うのです。(むしろその後、経験者オンリーに変わっていった)

そのほかに、1993年のオッ盾は実に全国の多彩な大学が出漕していますので、いかに盛況だったか紹介させていただきます。
大規模なチームはエイトの2杯出し3杯出し当たり前です。

早稲田A~C、慶應A~C、東大A・B、一橋A~C
明治A・B、立教、法政、青学、東工、東経、東海A・B、成城、成蹊、早大理工
東北A・B、北大、小樽商大、福島大、新潟大、金沢大
千葉大、静岡大、名大A・B、名工大A・B
南山大、名城大(庄内川クラブと混成)、愛知教育大(愛知教員BCと混成)
京大A・B、同志社、立命館、龍谷、滋賀教
阪大、大阪市大、大阪府大、近大、神戸大、関西学院
岡山大、広島大、山口大
九大、熊本大、琉球大

以上、混成を除くと学生55クルー

全国津々浦々、北は北海道から南は九州沖縄までエイトが戸田に集結。国艇前はどんな状況だったのでしょうか。
一番びっくりしたのは沖縄の琉球大学がエイトで出漕していたことですね。この年W2Xにも琉球大は出漕しています。ボート部あったんですね。某「日本を漕ぐ」動画サイトで、沖縄で漕がれていた際に琉球大の昔の情報は出ていなかったと思いますので、私も調べるまで知りませんでした。この動画は面白いので見ていない方にはおすすめです。
それから、この年M4+などは出漕67クルーですから、M4+だけで67大学が出ているわけで、こちらも今はもうなじみがなくなってしまった大学も多く、さらにバラエティ溢れるラインナップになっていますがここでは割愛させていただきます。休部、廃部状態の大学は多く、こうした大学が、ぜひ復活してまたインカレに出てきてほしいのです。
つくづく、大学や高校のボート部というのは現役だけではなくて、OBOGの組織による継続的な支援やノウハウ継承が重要だと感じています。

ちなみに、この1993年オッ盾、優勝したのは社会人の中部電力でしたが、社会人トップクルーの参戦はこの中電だけだったこともあり、決勝は同志社、一橋A、京大Bと学生が残りました。中でも同志社が中電に2.5秒と迫る大健闘でオッ盾見事準優勝。
さらに、このようにセコがオッ盾準優勝した同志社は、インカレ対校M8+も速く敗復で6'07を出しますが、慶應、日大、明治という激戦の敗復で惜しくも3着敗退となってしまっています。

ここに載せたオッ盾出漕大学は当然全部エイトであり、ほとんどはこれ以外に本チャン(対校第一クルー)がインカレM8+やM4+に出ているわけです。
この1993年前後が、いかにボート部員がいたか何となく想像していただけるのではないでしょうか。とはいえ、現在、この時代まで男子はあと240人ほど増やせば追いつくのですから、できない数字ではありません。ただしそれには既存の大学の多くが2~3割増すか、あるいは10大学くらいは完全復活したりほとんどの大学が部員減を解消していくような目標を持たないと難しいかもしれませんが。



さらに、オッ盾の小ネタです。今でも伝統校は下級生中心だったり育成クルーとしてオッ盾に出漕しているのですが、地方国立大や私立大なども積極的なチームがあり、毎年オッ盾に出る常連校があります。社会人チームの方も、オッ盾でいつも出てくる大学があるなあ~と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。オッ盾常連はあの大学です!

では、1993、1998~2016年までの20回分でのオッ盾出漕回数における大学チームのランキングです。やはり実名です。主なオッ盾戦績も入れましたが、現行のインカレよりも先に始まった歴史あるオックスフォード盾レガッタ、1993年以前は優勝経験もあるのでしょうが、分かる範囲だけでの集計ですのでご了承ください。

1位 東大 17回 (主な戦績 2000年6位、2007年7位)
2位 岡山大16回 (主な戦績 2005年7位、2008年8位、2013年8位)
3位 一橋大15回 (主な戦績 1993年決勝3位、1998年決勝4位、2009年7位、2014年決勝4位)
4位 東北大14回 (主な戦績 1993年7位、集計外だが1995年決勝4位)
4位 熊本大14回 ※2005年から12年連続出場中 (主な戦績 2009年6位)
6位 京大 13回 (主な戦績 1993年決勝4位、2011年7位、2012年8位、2013年5位、ほか入賞多数)
7位 慶應大12回 (主な戦績 1993年5位、2012年6位、2014年Bクルー6位・Aクルー8位、ほか入賞多数)
7位 神戸大12回 (最高は準決勝)
9位 北大 11回 (主な戦績 2000年決勝4位)
9位 早稲田大11回 (主な戦績 2006年6位※やや逆で6'12を出し戸田中と3秒差、2010年5位、2015年7位、ほか入賞多数)

以下、9回が滋賀経、山口大、関西大、大阪市大。8回が防衛大。と続きます。

そういえばオッ盾によく出漕しているな、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?岡山大、熊本大、山口大などはインカレM8+にはほとんど出漕しない大学ですよね。M4+対校のイメージです。
東大、一橋、東北、慶應など、2杯、3杯とオッ盾に今もなお複数出しをする大学も多いですが、上記の出漕回数は、複数出しの大学も1回でカウントしていますのでご了承ください。

それから、調べていて個人的に注目したのは大阪工業大。2001年以来、2014年に久しぶりにオッ盾に出てきたのですが、予選で6'13を出し、敗復回りで準決に上がると6'14、NTTとわずか2秒差の大健闘。おそらくNTTはラスト流したのですが、大工大は順位決定で7位入賞を果たしました。2015年の昨年も順位決定8位となり、今では強い社会人チーム5、6杯出ている中での2年連続オッ盾入賞は素晴らしいですね。今年はオッ盾だけでなくインカレもM8+を出しています。
関西の大学はインカレM8+に出さず、オッ盾M8+に上級生で固めた、よく鍛えたクルーを出す傾向があります。

私は個人的な考えとして、全日本を何度も勝っているような社会人トップクルーはオッ盾とは別の大会にA級大会を設けて、オッ盾はあくまで学生だけの大会にするべきではないかと思っています。名前自体が「オックスフォード盾レガッタ」で、学生のための大会のはずですしね。社会人A級大会、社会人B級大会、学生セコNo.1のオッ盾。これらのすみ分けをしたいものですが、まあ、これ以上大会が増えるのは難しいところでもありますね。









さて、いかがだったでしょうか?講義形式で前後半2部に分けてお送りした今回の企画。


種目ごとの傾向は、全日本選手権にも参考にしていただけるかもしれませんし、インカレの歴史をひもとくと、今につながる多くの人たちや足跡を知ることができて、ボートに関する豊かな知恵と興味を得ることができるのではないでしょうか。
優勝したり、決勝に残ったりするというのは、このようにいつまでも語り継がれる歴史になっていくことでもあります。それと同時に、記録に残らずあとになって調べることができなくなれば、皆で歴史を共有することが難しくなってしまいます。

私が言いたいのは、ぜひクラブというかチームの歴史をしっかりと記録して、歴代の精神やボート界の経験を受け継いでいくことです。
私が調べてこうして公表したことを通じて、初めて知ることがあったかもしれません。それはしかし、先人が記録を残してくださったからこそです。
日本ボート協会には、過去の代表や多くのボート競技の歴史を。各チームの方には、大会結果やイベント行事の記録を通じて、多くの先輩たち、ボート人たちがこれまでチームを作り支えて引き継いでいったこと。同じチームの歴代のボート人自体の存在。こうした記録をまた、自分たちがきちんと次の代に残していくことです。
強い組織は、歴史を大事にします。現在や未来を見通すためのバイブルにします。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶなどと言います。記録は未来への贈り物であり、歴史は未来を切り拓くための知恵と教訓の宝庫です。

ボートは長い歴史を持つチームが多い競技です。ぜひとも、これからのますますの発展のために、部報や会報など、記録を大事にしていただきたいと思います。その都度、編纂し整理しては価値を再発見し、現在や未来に意義ある活用をしていきましょう。



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