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さて、ボート初心者や新人コーチに向けて情報提供していこうという記事としまして、昨日言いましたように過去記事シリーズから掲載して春のボートシーズン開幕に向けて艇速向上と意識向上に何か使っていただければと思います。



今回からは「コックス技術論」と題しまして長期連載をスタートいたします。(再掲載ですが)
と言っても、あいかわらず完全な初心者向けというわけではないのですが。

私のブログでは、以前のコーチブログの時からコックスについての記事をいくつか書かせてもらっています。コックスという存在をクローズアップすることで、このポジションをもっと知ってもらい、考えるきっかけにしてほしいのです。それは私自身がコックス出身だからにほかなりませんが、Rowingというスポーツを構成する中でコックスも大きな要素であると考えているためです。
ある意味でコックスの地位向上を第一に、意識向上、技術向上の一助になればという思いがあります。

ちなみに私は、ブログの途中から「COX」と表記するように変えていきましたが、「JAPAN」などと同じように特別な印象を持たせ、「COXは特別なポジションである」と少しでも意識されるように意図していたということを、皆さんにお伝えします(笑)。他ブログに影響されたのもありましたが(笑)。


オッ盾cox①オッ盾cox②
これは現役時代の私です(笑)。めずらしく自分の姿を画像アップしてみます。現役の、レースや乗艇時の写真はあまり残っていなくて、特にバッチリ顔が撮れた写真は一枚もありません(泣)。しかも昔のフィルム写真をトリミングしたので画質も悪いですねえ~。
レースではCOXの写真を顔が見えるアングルで、そして漕手ほどとは言わないまでももう少しだけ数を撮っていただけると、COXとしてはうれしいですね!(笑)


さて、「COX技術論」とは言っても、扱うテーマは技術だけでなくCOXに関することを幅広く、そして少し突っ込んだ話題にまでふれられるとよいと思っています。体系的にまとめるのではなく、各回をさらに小テーマごとに論じるような感じです。



1.COXの存在意義とは?
COXは、日本語では「舵手(だしゅ)」と呼ばれるように、舵取りが主な役割です。物理的な舵取りはもちろん、心理的な舵取りを司ることも重要で、ラダーと声を武器にクルーの舵を取ります。まさに、艇上の司令官としての働きが求められると思います。
そのような役割を果たすには、COXには豊富な経験が欠かせません。たくさんの乗艇経験、膨大な量のトレーニング、安全管理、Rowingのあらゆる知識、レース経験、技術イメージ、多くの引き出し、自己と漕手と艇のコントロール術。それらを積み重ねるには漕手以上の努力と時間が必要かもしれません。精神的な成長も必要です。初心者のCOXというのは経験がないゆえに、思うように効果的な働きができず、最初は失敗の連続です。失敗することで成長していきます。
COXというのは、私自身の選手時代を振り返ってもコーチ時代の経験から考えてみても、なかなか育成には時間と手間がかかるポジションだと感じています。
しかし、経験豊富なCOXとクルーを組むことは絶対的なコーチやリーダーを得て乗艇するようなものですので、だからこそチームや漕手がその重要性を認識してCOXを育てることが大事なのだと思います。力のあるCOXは、クルーの艇速と結束を高めます。
クルーボートは面白いもので、力のある漕手を揃えたからといって必ず勝てるとは限りません。まとまりきらず力を最大限出し切れない場合もあれば、曲がって真っ直ぐ進まない場合もあります。
COXというポジションの価値を高めるのは、まさにCOX自身であり、そしてチームや漕手自身でもあります。COXのパフォーマンスは目に見えにくいだけに、目に見えない無限の働きを求め、クルーを無限に向上させることが、COXに課せられた使命です。
8+、4+、2+、4×+、これらが「+(プラス)」とならずゼロやマイナスになるのも、「+(プラス)」が1にも2にも3にもなるのも、COX次第です。
小さいCOXが、クルーにとって大きな存在となるための方法を、これ以降にわたって考えていくことにしましょう。



2.フィードバックの重要性
漕手もですが、COXはまず初心者クルーに乗って基本を身につけていくことが多いと思います。しかし、初心者ばかりの練習だけでは大きな成長はあまり望めません。漕手もCOXも、パフォーマンスに対しての適切なフィードバックなしには、なかなか自らの課題に気づくことができず、自己流では上達がはかどらないからです。できればコーチがしっかりついて、あるいは上のレベルの漕手が乗る機会を増やすことでフィードバックを与えること。これが気づきとなり、向上のスイッチとなります。フィードバックとは、選手のパフォーマンスに対する評価、情報、アドバイス、感想・意見・注意などです。

少し脱線しますが、ビジネスでは「日常的にフィードバックが行われている組織は強い」と言われます。(あらゆる角度や立場からのフィードバックが有効だとする「360度評価(360度フィードバック)」という用語もあります)
COXというのは、まさに漕手に対して、艇の状況やさまざまな評価と情報をフィードバックするのが重要な仕事です。
漕手の場合は、COXからのフィードバック、コーチからのフィードバック、また前後の漕手から、そして艇やオールからの物理的なフィードバックなど多くが得られます。シングルスカルでトレーニングすれば、常に艇とオール、艇速やバランスからフィードバックを受け続けることになり、漕手のトレーニングは気づきの連続です。
しかしCOX自身は、意識していないとその評価の対象が常に漕手優先となり、フィードバックが少ない場合があります。自分自身のミスや課題に気づかないことも多いのです。漕手やコーチは、COXにも多くの評価を与え、高い要求をする必要があると思います。また、COX自身が漕手やコーチに自主的にフィードバックを求める姿勢が重要です。受け身ではいけません。私はこれを、COXによるマーケティングと考えています。COXに対するニーズを引き出してください。COXは漕手やコーチのニーズ、クルーや艇速のニーズを掴んでいき、パフォーマンス向上しなければいけません。そして目標意識が大切です。
(結局、これらはCOXだけでなく、漕手もマネージャーも、コーチにもいえることです。まさに、日頃からいろんな角度でのフィードバックが行われることによって成長を続け、強い組織になって目標が達成できるのだと思います)

このようにして、漕手とCOXは相互に関わることでレベルアップするものだと思います。意識の高い漕手によってCOXは成長し、また経験豊富なCOXによって漕手もまた成長しクルーとしてともに艇速を高めていくという関係性です。



3.COXがさらに成長するために
また、COXはひと通り基本を身につけてある程度一人前になったかなと思うと、漕手への要求ばかりになって自らの成長が止まってしまう場合があります。これは先輩漕手やクルーリーダーも陥りやすいので気をつけてください。自らの向上のために、そしてクルーのために、より貪欲に成長を求め、先ほど言ったようにフィードバックを求めるようにしましょう。

冒頭に掲載した写真なのですが、これは私が大学3年の時、1、2年の下級生漕手と組んだオックスフォード盾レガッタのM8+クルーでのものです。
当時、私は1年指導を任されていて、8月のオッ盾に出てレース経験を積みたいということで7月頃にM8+を組みました。私が3年COXでクルーリーダー兼・新人コーチ、練習メニューも技術指導もすべて自分が考えて引っ張っていかなければいけない一番上の立場で、社会人コーチは不在でした。大学クルーにはこのようなコーチ不在の状況もよくあるとは思うのですが、こういう時のリーダーは客観的なアドバイザーがいないために、とかく自分の欠点は棚に上げて下級生を引き上げようと一方的な要求ばかり先に立ってしまうものだと思います。
結局、自分の苦手だったラダーワークにはまったく気が回らず、3年目は選手としての成長は止まっていた記憶があります。反面、4年になってから後輩COXと対校の座を争うシートレースをする機会が設けられ必死に上達しようと努力した甲斐あって、ずいぶんCOXとして向上したように思えた、という経験があります。

必死に向上しようとすることは、当然必要なのですが、それには自分が自分に要求するしかありません。意識を高めるしかありません。やはり受け身では選手としての伸び代はたかが知れていて、能動的にレベル向上をめざすことが勝つためには重要なのです。
それから、この私の経験からも言えるのですが、自分の意識と同時に、やはりCOXにも競争環境が必要です。漕手と同じく、選考にさらされ、切磋琢磨によってCOXも成長が促されます。また、最初のうちは目標とするCOXを決めて、お手本やライバルを内や外に作ることもよいでしょう。

漕手のように常に体力・技術の比較や競争が日常的でないことが多い分、COXはより意識的に向上の機会を作ることが重要だと思うのです。
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