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それでは、新入生はいったいどの時点でボート部入部を決心するのでしょうか?
今回は新入生の立場や気持ちに立って、ボート部に入部したいと思ってもらえるアピールについて考えていきます。

その前にまず、入部動機となる決定的な要因とは何か。ボート部のどこに惹かれたのか。
このことを考えるにあたって、私自身の経験をもとに、新勧に関わってきた新入生のようす、実際の部員たちの経験や意見、そしてやはり新入生の気持になって考えそしてまとめていきました。
そうすると、どうしても以下の3つの要素に集約されるのです。


1.「ボート」という競技
2.「ボート部」という環境
3.「ボート部員」の人間性



1の「ボート」という競技は、ボート競技の持つイメージや価値といえます。競技そのものをやってみたい、楽しそう、カッコいい、勝ちたい、初心者でも上位をめざせる、身体を鍛えたい、打ち込めるもの、未知のスポーツという新しいチャレンジ、といったような純粋にボート競技を選択することによって得られるメリットであり、期待値です。他の競技とは違うボートの持つ独自性の価値ともいえます。

2の「ボート部」の環境は、まさにボート部組織の持つ環境の価値です。雰囲気が良い、自分を認めてくれる、自分を受け入れてくれて自分に合っている、合宿生活のアットホームさ、あるいは合宿生活という厳しい環境、競技生活や集団生活により人として成長できる場、体育会に興味、自分を変えてくれる。このように所属することによって得られる、コミュニティ、社会的環境としての価値です。
高い目標を持った部なら、日本一をめざす環境というのもあるでしょう。

3の「ボート部員」の人間性、これは人そのものの魅力ですね。人に惹かれてボートを選んだ、つまり部員の先輩に憧れを感じた、優しい、熱い、信頼できる、人柄に惚れてついていこうと思った、あるいは説得や熱意に負けた、口説き落とされた、必要とされて応えたいと思った、このような要因です。まあ、強烈な新勧にやられた、スカウトされてすっかり口説かれたというところもあるでしょう。


ボートの魅力と一口に言いますが、これら3つに分類され、どれも入部を決める要因にはなっています。しかし、どれか一つ、やはり新入生それぞれの現実・欲求・価値を満たしてくれる、ニーズを満たしてくれるという要因によってボート部を選んだわけです。
以前R大で入部の一番の決め手となった要因についてリサーチをとったところ、1、2、3の比率は、10:15:10くらいの感じでした。
昔からR大では「雰囲気が良くてボート部にしました」という2の入部動機が目立っていたのですが、ここ最近は「ボート競技自体に魅力を感じたから」とか、「先輩がすごくいい人だったのでここしかないと思ったから」とか、1と3の動機も増えてきて、新勧での魅力を伝えるバリエーションや工夫が進んでいるのだと感じています。


実は、皆さんがいまボートを続けている動機というのも、結局はこの3つなのだと思います。
ボートを続けていく中で、厳しい練習の中での高いモチベーションとなっているのがこの3つの要因なのだと思います。どれも大事な要素で、ボートを続ける中ですべての価値が高まっているとは思いますが、やはり特にどれが最も自分にとって重要なものなのか、人それぞれ現実・欲求・価値は異なると思うのです。
やっぱりボートが好きだから続けているのか、このボート部の環境が自分を形作り成長させてくれるかけがえのない場所だからなのか、人が素晴らしくて仲間やボートに関わる人たちが自分にとって何より大切な存在というのが一番の理由なのか。
これらを自分自身の原点だと常に考えて、そしてまたボート部を選んだ理由、続ける理由が人それぞれで異なることもまた、理解し尊重することが必要なのでしょう。



これら3つを、私は入部につながりボートを継続する上でプラスに働く要因として、入部に対する「ポジティブ要因」と呼ぶことにしています。
新勧では、大きく分けてこの3つを常にアピールしていることになります。
新入生である相手に響くメリットや価値を探しながら、色んなアピール・説得を繰り返してください。これが、新入生に対するマーケティングとなり、ニーズを引き出しそれに応える行動につながるのです。

大学に入って何をやりたいのか。夢中になれるやりがいや本気で成し遂げたい目標を見つけたいのか、自分を成長させてくれる環境や信頼とつながりが得られるコミュニティに身を置きたいのか、一生に残るような運命的な出会いや大学でしか出会えない多くの素晴らしい人たちという財産を得たいのか。
そのいずれにも、ボート部は応えられます。




さて、入部に対してじゅうぶんにポジティブになったら、そこで入部を決めてくれるのか。いいえ、まだ壁があります。
入部に心がじゅうぶん傾いても、クリアすべき条件があるのです。

1.親や周囲の反対があります。おもには親ですが、すぐに理解が得られない場合があります。きちんとした活動をしている大学体育会組織であると、ボート部についてしっかり理解してもらう必要があるのです。
この点に関して、ボート部の組織や構成・沿革、活動の理念・内容・実績等を理解してもらうための親御さんへの資料を作成し渡してもらうのも有効かもしれませんね。

R大では6月頃に「父母会」という恒例の親睦会を開いています。やはり親御さんや家族の理解と支援なくしてボート部活動は成り立ちません。このイベントは15年近く続けており、部にとって大事なイベントです。部員の父母や家族を合宿所に呼んで、我が子が親元を離れて頑張っているようすを見てもらう目的で毎年続けています。これ以外にも部報など通信物やHP、SNSなどで父母にも多くの情報を発信します。

ちなみにこの父母会は、ボートを実際に漕ぐ乗艇体験をしたり、毎日学業や競技をして生活している合宿所や艇庫を見学したりマネージャー手作りによる食事会などを通して、多方面からボート部を知ってもらいます。部員から日頃の親の支えに感謝の言葉を贈ったりと、部員にとってもたいへん有意義なイベントです。照れくさそうにしながらもお互いに親子の絆が改めて深まるようすを私も何度も見せてもらってきました。こうした形で父母という存在が、子どもである部員自身の、そしてボート部の強い味方になってもらうのです。
このような機会を作っていないボート部には、ぜひ実施することをおすすめしたいと思います。
2015 父母会集合写真


それから親に関わる問題でもありますが、2.経済的な事情お金の問題は、やはり大きな壁です。
また、多くの大学ボート部は合宿生活だと思いますが、3.合宿への抵抗、不安。あるいは厳しい練習や勉学との両立への不安ともいえます。
そして、4.他にやりたいことがある。おもには勉強、バイト、留学、資格、趣味、遊び。


これらは、入部に対して逆方向に働く、いわば入部に対する「ネガティブ要因」と呼んでいます。これが全くない新入生はまずいませんので、入部に向けて必ずクリアすべき条件として避けては通れません。私自身を振り返っても、ほとんど該当しました。
どの新入生も、こうした要因は大なり小なり抱えていますので、ここを先輩が親身になって相談に乗ったりアドバイスすることで協力し、クリアすることで晴れて「入部」へと到達できるわけです。


本人は「入部します」と宣言しても、ここがクリアできずになかなか練習に参加できなかったり結局続かなかった例というのが毎年数多くあると思いますが、これでは本当に入部したとは言えないでしょう。

ネガティブな要因については、合宿入りや、1週間あたりの練習部数や休みが少ないなど、真剣にハードな競技生活をしていることを言わないと表に出にくいところですので、注意してください。
こうした取り決めは、新勧においての重要な方針となるので慎重に協議してください。
そして、これらのネガティブ要因は、現にこれらをクリアして入部した先輩自身が、解決策を提示できるはずです。クリアできれば、入部は目前です!

しかし、最初からハードすぎる練習をさせるわけでなく、誰でも段階を追った基礎トレーニングから入るわけですし、例えばインカレ上位を狙うといった目標を公言している大学チームは、ハードな練習をしていることに誇りを持って堂々と新入生に伝えればいいと思います。「先輩たちも最初は皆初心者で弱かったんだ」と分かってもらえばいいのではないでしょうか。それがたった1年、2年で大きく変われるんだと。




最後に、この3つのポジティブ要因、売り文句のアピール例を少し、以下に挙げていきます。


1.「ボート」という競技・・・イメージを売る
〈例〉
・ほとんどが大学から始めるので、誰でも勝負できる。勝つ喜びを味わえる
・仲間とクルーを組み、同じ1つのボートを進めていく、この一体感がボートの醍醐味
・水面を滑っていくような爽快感はほかでは味わえない
・究極のチームスポーツ
・エイト種目は花形で、皆の憧れ
・シングルスカルなど、多くの種目がありほとんどの部員が試合に出られる
・初心者からでもトップレベルをめざせる
・東京オリンピックをめざそう!
・身体をバランスよく鍛えるので、スマートでかつ筋肉質な理想の体型を作れる
・チームスポーツでもあり個人競技。対人能力や考える力がつく
2015NRM M8+ ボートのイメージ



2.「ボート部」という環境・・・環境の良さを売る
〈例〉
・同じ目標を持って競い合った一生の仲間ができる
・たくさんのライバルや支援者もいて、本当に人として成長ができる素晴らしい環境
・合宿生活ならではのメリット。集団生活の良さを感じられるし、色んな価値観の中で多くの刺激が得られ、多くの人生勉強ができる。大人数の食事は楽しいし、家族みたいな部のつながりは他には得られない絆
・高い目標を持ったチームとして、組織運営や役割分担の中で、さまざまなスキルが身につく
・お互い、強くなりたい、勝ちたいという成長を望んでいる理想的な人間関係。精神的にも肉体的にも人間的にも成長できる
・同期・先輩・後輩との出会いはもちろん、他大学との交流、OBとの交流など、本当に多くの人との出会いが自分を変えてくれる。ボートは人との交流がさかん
・体力はもちろん、コミュニケーションの力がつく。ボートはコミュニケーションのスポーツだ
・毎日が学びの連続。今しかできない経験
2015全日本の納会後



3.「ボート部員」の人間性・・・自分を売る
〈例〉売り文句ではなく、自分を売るコツです
・言葉だけでなく、行動でアピール。親切に、優しく、礼儀正しく、新入生の気持を思いやる
・堂々と自信を持って、自分の目標やボート部の理念を語る。目指しているものを具体的に語る。新入生はその先輩の目標や夢に向かう姿に憧れる
・ホスピタリティ精神。おもてなし。入ってもらうために優しくする部分があるわけだが、決して見返りを求めてはいけない。無償の行為が大事
・笑顔はパワー!笑顔が人を惹きつける
・笑わせたり、ジョークもたくさん盛り込む。面白い先輩。にぎやか。勢い
・どんどん連れて行く、ひっぱる積極性。リードする
・「ボート部には君が必要だ」ということを、何度も伝える。口説き落とす
・覚えてもらい、印象を持ってもらう。信頼感を得る工夫
HD 人間性で勝負



ビラ、パンフ、ポスター、PV、新勧用HPなどなど、多くの配布物や広報・宣伝においても、この3つをアピールしているはずです。
上で挙げたアピールはほんの一例ですので、ぜひともより多くアピール材料を増やして、価値や魅力を創造していきましょう!
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