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新勧、そして新人育成は、未来のチームを作る事業。1年後、2年後、3年後のチームが、今の準備や構想と春の新勧本番によってまさに作られます。
人を得て、チームを強くします。もちろん今日明日すぐに主力メンバーになるわけではありませんが、間違いなく次世代の主役とリーダーを得ているのです。また、こうした若く初々しいメンバーが、実はすぐに活力を与えてくれて、何度も日々の先輩の競技生活に刺激をもたらしてくれます。確実にチーム力にも影響をもたらします。

若い選手の急激な伸びや成長や変化、純粋な向上心。これは何より周囲を元気づけ、勇気づけ、生きがいにもなってくるのです。この若い力を育てたい、助けたい、輝いてほしい。素晴らしい未来を用意してあげたい。自分ももっと頑張って学び、成長しよう。こうした気持が、新たにチーム組織の結束や活力や向上心にもなるのです。
家族に誕生した子どもが成長していく過程において親が生きる力と喜びを与えられる、地域コミュニティでの子どもたちを見守り成長を促す協力や連帯、いろいろな場面で若い力は同じように周囲にエネルギーを与えてくれるのです。子どもは親や大人の助けがなければ生きられないし人としての成長もできないが、親や大人も子どもによってまた人として成長できる。苦労の連続でもありますが、それに優る喜びと感動があります。

思えば、コーチや指導者は、選手に対しこの一心で頑張ることができ、自らも成長できるのだと思います。まさに、素晴らしい相互の関係。チーム内での人の関係は、無限に増幅し合い高め合う、成長の磁場です。この相互作用を強めたり調整するのが、人事であり組織作り、人のマネジメントなのです。

理想のチームをボートの組織において作り上げ、倦(う)まず弛(たゆ)まずに、ひたすらめざしていきましょう。




1.人を得るために
新勧は、これまで見てきたように理想のチームを作るために人を得る事業です。セレクション制度がない大学にとっては、とにかく重要であり生命線です。
セレクション制度のある大学においても、実は似たような努力が必要になっています。大学の方針と関係者の長年の働きかけにより成り立っていると思いますが、高校関係者とパイプを作って人脈と信頼関係を築きながら良い人材に直接間接にアプローチすることが多いだろうと思います。黙っていても優秀な選手が集まってくるなんていう話はどこにもありません。プロ野球のスカウトや、強豪私立のスポーツ推薦においてなど、他競技にも多く見られますよね。要するに営業活動、広報活動が人を集めています。
選手を得るだけでなく、多くの理解者や協力者、つまり顧客を創造し増やすことにおいても、同様のはたらきかけが必要です。マーケティングによって、現実、欲求、価値を知り、ニーズを満たす取り組みが基本なのです。

人を得るには、人間関係づくりが基本です。人を大事にすることで信頼ができると、新たな人を紹介してくれたり情報を教えてくれたりと資源拡大にとってよいサイクルが出来あがります。人を大事にせず自分たちのことだけしか考えないと、逆の結果になりやすいですね。外づらだけ良くても身内に不満が出たりして信頼されないのでバランスが必要ですが、身内だけで固まると孤立もしやすいし外からの刺激が得られず「自分たちが絶対」になり、井の中の蛙となってしまいます。
ですので、優れた監督やコーチ、顧問といった指導者は、内政だけでなく外交を重視しているわけです。

人を得るのに大事なのは新勧だけではありません。先ほども言ったセレクションなど大学入試制度を利用した経験者獲得のルートもありますし、付属校がある大学は最大限その付属校との関係を生かしたいものですし、自分の大学への進学者が多い高校なども付属校のようなイメージで、何かボート部アピールができるかもしれません。
顧客の獲得についてはOB、父母、大学、一般。とにかくよりボート部を知ってもらい、信頼を高める働きかけをしていくことです。多くの支援者がいて人のパワーが大きなものになり、総合力が高いチームがやはり強い。このことは理屈抜きで当たり前のことだと感じますよね。

ボートを漕ぐだけで強くなるのではなく、漕手やCOXやマネージャーやスタッフまで含めて理想のチームをめざして作り上げていくことが、人としても強くなるし、人を理解して人間を知ることにもなる。ボート部に関わる人を増やすだけでなく、関わる人すべてのパワーを集めることにつなげて、人を動かし人を生かす。
ボートについて知っていくことが、人を知っていくことにもつながっているから、私はボートが面白いのだと感じているのです。

そして、ボートの喜びは人とのつながりだと私は思います。クルーを信じる、選手を信じる、マネージャーを信じる、スタッフを信じる。監督コーチに教えを請い、多くを学ぶ。仲間のために艇速にこだわる。ライバルを尊敬しつつも絶対に負けない。憧れの選手や先輩に追いつき越えようとしていく。後輩や後進のためにお手本となりリーダーとしての意識を持つ。応援してくれる家族や友人のために感謝の気持で練習やレースに臨む。観客にエールを送られる、声援を受ける、健闘を称えられる。ボートを通じて知り合った人との交流を大事にする。
未知なる自分と未知なる人々とめぐり逢えるところに、スポーツの喜びがあり、共感、驚き、笑いなどはコミュニケーションの最も重要な効用だと思いますが、スポーツもやはり同じ効用があります。つまり、ボートを通じてコミュニケーションが生まれ、人とつながり、理解を深めていくのだと。ボートを通じて人の輪を広げていくことがきっと可能です。
2015全日本納会後現役集合写真




2.目標を持って、本気で理想のチームをめざす
新勧ってむちゃくちゃ面白い。私はそのように思っていますが、とにかくまだまだ突き詰められていないテーマだと考えます。
「部員が少ないから強くならない」と嘆いているチームは、まず「本気で増やそうとしていない」だけだと思います。もっと突き詰めて考えましょう。
どこかで、部員たち自身が今の規模で満足しているかもしれません。満足というか、今が基準になっていると思います。それでいて現状に不満を持っていたりもします。現状を変えようとチャレンジすればいいだけなんですが。今とか入部当時の規模しか知らないために、それがすべての考えや発想の基準になってしまっている。人がどんどん増えて部が大きく変わることに抵抗さえ感じている。無理だとかあきらめも感じている。こういう、今がすべてという基準から自由になってください。

現状で艇庫が狭いとかの問題もあるかもしれませんが、仮にぎりぎりで30人合宿できる環境に現状15人の部員でも、あと15人増やしていっぱいにしようとは、きっかけでもないとそういう気持になかなかなりません。「荷物の置ける自分の空間がなくなるから」とか、「色々と面倒だ」とか、ささいな理由を持ち出します。また、たとえば男子20人、女子10人で30人いっぱいになったあと、男子各学年5人、女子にいたっては各学年2、3人ではまだまだ少なすぎるのでもっと増やそうという意見に対しては、当然ながら「もう合宿できないから無理」という抵抗感が出てきます。こうなるといつまでたっても強くなることなどできません。
そもそも、強くなりたい意志をもって、現状を打開し限界を破ることを繰り返し、実際に強く大きくなっている過去を持つのが今の強豪校です。彼らは創部当初のスタートから、艇やオール、艇庫や合宿所などが十分だったわけがありません。強豪選手も全く同じです。みな最初は弱く、最初は未経験者です。
強くなることに本気になれていない人は、必ずやる前から言い訳をします。無理だとあきらめます。

人の心理なんて、このようなものだと思います。現状が基準になりがちです。けっこう、現状に満足しがちで、現状の狭い世界しか知らなくて、変化に対して抵抗を持ちやすいのだと思います。しかしこうした抵抗感や現状基準の考えが、可能性をせばめてしまうことにもなります。現在など、過去から未来へのほんの一形態です。未来は変えられますし、変えようという意志によって変わる。

人数のキャパの問題で言えば、もう少し多くの通い練習も考えるとか1年生だけは通いで3学年合宿サイクルにするとか他に部屋を借りるとか、こうした工夫が当たり前にさえなってしまえば抵抗も何もなくなります。合宿所改築なども20~30年プランで構想するなど大きな計画もしていきます。最初はたいへんですし色んな苦労も増えるかもしれませんが、こうした苦労を乗り越える力がつきますし、限界や心理的な壁は超えてしまえばそれが当たり前になるものです。
大きな組織は、公正な仕組みと1人1人を大事にする部分を基本にさえすれば、人の数に比例して強さは増していきます。(ボート部としての適正人数の上限はもちろんあると考えますが)


強いチームというのは、ボートというスポーツを心から楽しめる環境や意識になるということ。ボートを深く知って、強くなる方法を考え続けていられるから楽しいのだと思います。勝てる方法を知っているだけじゃなくて、困難があっても乗り越えられる対応力や実行力こそが、強さの秘訣です。未来を変えられるから強いのです。
そしてまた、チームが強くなるにはチームを大きくすること。チームが大きいとは部員数だけでなく、チーム内外の人の多さです。色々な多くの人と関われる仕組みや機会を作りましょう。色々な意味で、可能性が広がります。ここでの可能性とは、世界と同義の言葉かもしれません。広くなればなるほど、外にも内にもオープンになって、たくさんの刺激が得られます。刺激が得られると、若さとエネルギーが湧いてきます。
強くて、活動が楽しくて、活気があって、生き生きと自由に楽しく、アイデアを実現して、いつも成長を続けていくような、素晴らしいチームを作ることを想像しましょう。

新勧は、アイデアと、仲間との協力が必要です。まだ現実にできていない夢を実現する活動なので、まさに学生にとって成長ができ、なおかつ楽しくやりがいのある事業です。
自由な発想力と、実行力や責任感と、企画力や創造性、コミュニケーション力や交渉術、計画性や徹底力、議論やモチベート力、サービス精神や人間的魅力、多くの社会的能力が身につけられることでしょう。

こういう人がどれくらいの人数必要だ。そのためにやることはあれやこれだ、あんなことを試してもいいな、こういうアイデアを実現して反応を見てみようか。選手が何人いて、そうすると指導役も増やす必要がある、マネージャーもこの規模になるとこの人数が必要だし、専任のスペシャリストなど新たな役割も作るべきだろう、こういう人に声かけて候補者を何人作ろう、それぞれ適任の人材はこんなタイプだな・・・、実はこういうふうに未来のボート部設計ができるのが新勧なんです。

うちの部はエイトで勝ちたい、クォドで決勝常連になりたい、などなどそれ以外にもある大会や種目で連勝記録を作れるようにしていく、とかチームによって色んな展望があるでしょうが、そのためには人材確保がまずはスタートであり、そして人材育成であり、そして人には意志と役割を持たせてモチベーション維持をしなければいけません。
目標のゴールは明確にするべきですが、そのためのルートは、常に自由で柔軟で創造的であるべきです。
2015日立明M8+ 練習風景岸蹴り後




3.甘い勧誘をしない
これは、私の個人的な意見です。勧誘の時に、事実と違うことを大げさに言ってだますように新入生を入部させたり、エサをちらつかせて入部させるようなやり方は絶対しないことです。メリットを強調することと、甘い勧誘は全く異なります。
新入生は入ってみて、「話が違う」という結果になります。めぐりめぐって、お互いに不幸をもたらします。

新勧でたくさんの部員を獲得してきたチームの中では、例えば合宿生活であることや練習部数などなるべく本当のことを言わないで隠したり、ボート部はラクだよと言ったりして信じ込ませ、とりあえず入ってしまえば何とかなるという考えでずっとやってきたチームもあるかもしれません。何をきれいごと言ってるんだ、入部させてしまえば新入生も考えが変わるし、そうしないことには始まらないと。うちのやり方にケチをつけるのか。

しかし、これは悪徳商法や詐欺と発想が変わらず、それで最初の入部が増えても常に退部のリスクがつきまといますし、前に言ったブラック企業ならぬブラックチームがやることです。まず新入生を不幸にしますし、長い目で見ても自分たちの首を絞めるだけです。学内や外部でも悪評が立つことにもなるでしょう。例えばSNSが浸透した昨今、「ボート部に入ってだまされた。あそこはブラックだ」というツイートが拡散したらどうするのでしょうか。
こうしたことが、現在は社会問題化しているのです。時代の流れであり、きちんとした組織になりましょう。体罰問題や新歓での飲酒の厳禁などと同じく、昔は通用したことが今は時代が変わったと考えてください。


こういう入部のさせ方をすると、当然ながら新入生は不信感を抱きますよね。また、こういうことをやって平然としている上級生に対して、いいチームだ、ボートはいい競技だ、などとは決して思わないのです。
新入生も最初は不安だらけでちゃんとついていけるかどうかが心配なので、情報は隠すのではなくむしろ明確に提示していきます。練習は軽いものから入って段階的に慣れるようにするとか、合宿についても最初はしばらく通いで練習部数も週3か4など少なめで、導入時期も週末泊まりの体験をやってから本合宿に移行していくとか、体力に自信がない新入生でも対応できるようにしていくよ、と配慮したカリキュラムを用意していけばいいだけです。
「確かにボートはハードなスポーツ。決してラクではないけど、先輩たちも最初は弱いところから皆強くなっていったんだよ」と、堂々と伝えればいいのです。それでも不安そうなら、勇気づけたり周りが助けるから大丈夫とフォローすればいい。
不安や心配を生じさせることを恐れて「ラクだから平気平気」などと、最初に嘘を言ってはいけないと思います。

それから、甘い勧誘をして入ってきた部員が、ボートに対してモチベーションが高いわけがありません。新入生にひたすらお願いして入ってもらう腰の低い勧誘とか、媚びるようなやり方もおすすめできません。せいぜいお願いするのは新歓イベントに来てもらうときくらいでしょう。
「気楽に入って、いつ辞めてもいいよ」的な、そんなプライドのない組織でいいのでしょうか。ボートをやるつもりで入ってもらうのがボート部であって、居場所だけ提供する慈善団体ではありません。強いチームを作るのであれば、誇りを持った部員獲得をしてください。
なかなか最初から決意が固い新入生も多くはないと思いますが、入ってもらったら大学4年間頑張って自分を大きく成長させる前提でいてほしいものです。強く迫るのではなく、堂々と勧誘をして信頼を得ていくといいと思います。
それなりにしんどい思いをして説得し、自信と誇りを持って新入生と正面から向き合わないと、本当の良い勧誘はできないのです。良い新勧こそが、良い選手・良いマネージャーを生み出すと考えています。良い新勧とは、やはり人間力を必要とするのです。


また、エサをちらつかせるというのは、「体育会は就職有利だからボート部に入れば心配ない」といったものです。この就職目当てに甘言で釣る勧誘はやめてください。あるいは、寮生活だけを目的に入居感覚で入ってくる人間です。
これは、セレクション制度の大学にも当てはまる問題だと思います。大学に入れるからボートを続ける人もいるかもしれませんが、本気でボートをやるつもりがない人間は大学で続けるのはやめたほうがいい。ボートと勉強を頑張る目的で大学ボートに入ってきてください。

このご時世ですから、就職を全く意識しないで体育会やボート部を選ぶという学生はいないと思います。将来のことですし、多少はそれが目的にないと言えば嘘になるでしょう。立派な社会人になるために、良い就職をするために人間的に成長できる環境として、もちろんボート部を選んでいただきたいと思います。
しかし、それが1番でボート部を選ぶ人には注意してください。なぜなら、ボートの練習や仕事を頑張らないで、なるべくサボって部に居座ろうとする輩が出るからです。私はこういう手合いはボート部に入れないほうがいいと思います。

集団のきまりや時間のルールは破る、自分のことしか考えない、練習をしないで周りに迷惑かけても何も恥じない、こういう存在になるからです。注意して反省するならいいのですが、平然としていたり反発までしてきます。怪我したふりをして練習をしなくなるとか、通いの選手やマネージャーなら全然部活に出て来なくなったり、合宿している部員なら練習もきちんとせずにしょっちゅう外に出てボート以外の娯楽に熱心だったりとか、とにかくひどいです。精神的に幼くて少しわがままであるならアプローチの仕方もあるのですが、無自覚だったり、確信犯的だったりどちらもあります。
周りのモチベーションを下げ、チームに害しか与えない存在で、しかも決してやめるわけではない。彼らは就職や住居が目的で部にいるのだから、やめるわけにはいかないのです。卒業して就職の目的を果たしたら、はいさようならとなります。

こうした変な部員の存在も、もとはと言えば最初の甘い勧誘が引き起こした結果です。実は一概に彼らだけを責めるわけにいかず、自分たちに原因があります。最初の対応や見極めが肝心だとはこういうことです。仕事やアルバイトでも、「人手不足なんだ。ラクしてれば給料あげるから入って」と言われたので入ってみたら、「本当に全然仕事しない奴があるか。給料は出せない」と豹変したら、これは詐欺でしょう。入れる方も入れる方だし、入る方も入る方ですが、最初の契約や約束事がおかしいのだから、嘘を言って入れた側が間違っているのです。この場合、契約を破っているのは契約をさせた側ですよね。楽して人を増やそうとしたり、甘いことを言って人数が入りさえすればいいと考えると、こういう結果を招きます。


問題があったりあまりにもやる気のない人間を闇雲に入れるのではなく、「この人は少し甘さを感じるけど、皆で頑張る環境に入ったら変わる。人間として成長できるだろう」「この人はちょっと問題がありすぎてトラブルを起こすかもしれない。人の話を聞く態度も非常によくない」といったような、人を見る目や審査・判断の力が必要です。しかしなかなか入部前に気づくことは難しいし、性急に選別しすぎても部員がなかなか増えないでしょうから、入る前によく話したり決意のほどをチェックしてください。新勧でもセレクションでも企業採用でも同じこと。約束事をしっかり交わして、人間性とやる気を確認してください。勘違いしたまま取り返しがつかなくなることがないように。新勧はこのように人を見る目を養い、人との接し方を学べる貴重な機会でもあるのです。

ボート部は「ボートをやるために集まった集団」で、多くの大学でその目的は「ボートを通じて勝利をめざすなど心技体を高め、部員が人間として成長する」ための組織でしょう。「就職をするために集まった組織」ではないし、「家賃なしで学生を自由に住まわせるための寮」でもないはずです。「ボートを通じての成長」をすることが結果的に就活で評価されるような人間への成長につながるのでしょうし、「ボートをやるため」に合宿生活をして練習効率を高めたり集団生活でチーム意識や連帯感を養うのでしょう。
就職が目的なら資格学校に行けばいいし、金をかけずに住みたいなら寮費の安い学生寮を探せばいい。そうすれば遊んだって自分のやりたいことをやったって、自由ですよね。このどちらかが第一目的ならボート部を選ぶ必要は全くなく、これらはボート部にとっては二義的な問題です。ボート部においてはあくまで「ボート競技をやるのが目的」で、就職だとか寮生活は大切なことだし勧誘文句の1つにはなりますが2番手以降のサブだということです。


こうしたことは、なんのためにボート部に所属しているかという話にもつながります。単なる居場所だったらサークルに受け入れ先はいくらでもあるでしょう。
何かの形で部に貢献する気持や行動をするなら、色んな人が部に在籍してもいいのでしょうが、ただいるだけというような部員が果たして部員と呼べるのでしょうか。チーム一丸と言っているのに、強い気持を持たずそこに参加しない人がいれば、チームの力は弱まります。こういうことも、新勧を迎える際に部全体で話した方がいいのです。
それほどチームへの貢献がなくてもいるだけで少しでもチームにプラスになるからと所属を認めるかなり寛容なチームもあるでしょうし、チームとして一丸の雰囲気を大事にして一定の高い意識をひとしく求めるようなチームもあるはずです。どちらにしても、リードしフォローしあうチームワークが大事ですが、チーム方針や理念の確認をしてください。

しかし、本当に怪我をしたり精神的に悩んでしまったとか経済や家庭の問題が発生したとき、そういう部員は、これは別です。ボートをやりたいのに出来なかったり、事情を抱えたりと、ボート部生活にトラブルや悩みはつきものです。人は怪我や病気、精神が落ち込むと、弱気になってしまいますし、自分をうまくコントロールできないことも時として起こります。
問題が起こったときこそ仲間の力が必要なのであって、困ったときは助け合う。それがチームです。こういうときには周りがしっかり支えて勇気づけ、今まで以上に立ち直って強くなれるために全力でフォローしたり、役割を与えて少しでもチームに貢献できる存在になってもらうように、しっかりとサポートします。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」、この精神を体現します。

チームとして強くなることが個人に還元されるから、新勧を甘くしないことや特別扱いしないこと、助け合いなど、今見てきたこれらのことが大事になってくるのです。甘やかさない、これは逆に1人1人を大事にすることです。そして全体と関わらせるように仕組みを作って働きかけます。高い意識が皆へ乗り移っていく。こうしたことが、理想のチームへとつながっていくのです。




4.役割ごとの勧誘
大学ボート部ですと、漕手、COX、マネージャー。主にこの3つの役割があると思います。
しかし、私はこれらをあまり厳密に分ける必要はないと思います。組織を専門化することはマネジメントの上で大切だと考えていますが、お互いに垣根を作ってコミュニケーションが少なくなったり、お互いの権利や立場ばかり主張しあっては、組織を存続・発展させるという目的に向かいにくくなることがあると思います。ボート部は「全員が高いボート意識を持った部員」です。特別扱いはありません。漕手もCOXもマネージャーも、ハードにタフにチームの成長に全力を傾けましょう。自己中心や立場を越えて、チーム意識を持つのです。

ですので、例えば選手が部のマネジメントの仕事に参加したり、マネージャーに選手を経験してもらうといった方法も必要かもしれません。漕手が組織のマネジメント、たとえばお金やチーム強化や多くの課題に無関心でいると、ボートは速くなっても人や物を大事にする意識がいっこうに向上しないかもしれません。あるいはマネージャーがボートの勉強をせず知識や経験がないようでは、効果的なマネジメントや工夫という面で選手や部のニーズに応えられないことが多くなってしまいます。COXだって、時には漕いだり漕手の気持ちや感覚を知り、マネージャーの仕事に中心的な役割を果たすことで、艇上や陸上での働きが格段にレベルアップします。
こうすることで、自分を客観的に見ることができますし、それぞれの立場を考え尊重しつつも、立場だけにとらわれずに部全体を動かしリードする力も身についてくると考えています。


おそらく、チームによってメンバー構成の点で課題や不足を抱えている部分があるだろうと思います。
選手はじゅうぶんだけどマネージャーが足りないので選手の練習時間がじゅうぶんとれない、マネージャーは多いけど選手の入部が少なくマネージャー体制に合ったクルー数が組めていない、COXが絶対的に不足していていつも漕手転向に頼っている、などなど。また、私個人の意見では人数が増えれば、新人コーチをはじめ部員トレーナーや学生コーチ、専任主務など常駐マネージャー、その他学生以外のスタッフまで含めて多くのスペシャリストとしての役割が必要になってきます。役職も選手マネージャー問わずしっかり増やして、きちんとチームへの責任を果たす体制を作っていき、組織として成熟していかなくては全体が動かなくなってきますね。

このような、役割ごとの認識を考えた上で、新勧に当たらなくてはいけないと考えます。
やはり、どこまで理想のチーム像のイメージを確かに作れているかどうかが、人をいかに得るかにつながってくるのだと思います。つまり、需要をみきわめてこそ新勧で得られる供給がうまくいくのです。強くなりたいと願うボート部にとってのニーズとは何か。
どういう人が強くなるためには必要で、皆の中でも色んな要望が上がっていて、OBなどもエイトでいってほしいとかきちんとしたボート部運営ができる体制にしてほしいなどのニーズを持っていたりすることでしょう。
それらをふまえて新勧の方針を決めていくとよいのではないでしょうか。




5.漕手向け、COX向け、マネージャー向けの勧誘
あとは、アピール方法ですね。宣伝の内容と、勧誘の内容を、しっかりと工夫します。
ボート競技とボート部に興味を持ってもらえるアピールがまず基本です。漕手もCOXもマネージャーも、ボートとボート部の魅力を伝えることが共通項です。
その上で、それぞれ役割をフィーチャーします。フィーチャーとは、特色とか特徴づけるといった意味ですが、特集する、売りにする、主人公にするといった意味があります。(まあ、現代用語ですが)


・漕手向けアピール
例えば、漕手がとにかく欲しい場合は漕手がどうやったら入ってくれるかを徹底的に考えます。漕手をやってみたいと思ってもらうために集中的なアピールをします。漕手に徹底してフィーチャーするのです。
2015 エイト漕手バウペアのフォーム

ビラやパンフレット、ポスター、そして今ですとたいへん有効に使われているPV。そしてHPにおいても、漕手特集をします。ボートを漕ぐ格好いいフォームから、艇を進める迫力あるシーンと感情豊かな表情のアップ。漕手のインタビューや、メッセージを入れて、漕手の良さや成長できる点、魅力や誇りなどを語ったりします。辛く苦しいこともあるけれど、それを乗り越えて艇と一体になって進んだときの楽しさや、クルーで勝利をめざして身体も心も考え方も鍛えられるのだと。
もちろん、実際に勧誘するのも中心になるのは漕手自身。漕手が自ら漕手候補を勧誘します。鍛えられたボート選手が、新入生と接するのは効果抜群です。日頃からボートについて真剣に考えている漕手ほど、漕手の魅力について熱く語ることができるでしょう。



・COX向けアピール
COXも同じです。私は自分自身の経験とコーチからの経験で、最初からCOX志望で早い時期からCOXであるほうがCOXとしての自覚や責任を持ちやすいと思います。漕手から転向したCOXも、漕手の経験が生かせるメリットがありますが、怪我やエルゴが回らないなどで転向する例が多く、しばらくは漕手を引っ張る意識を持ちにくかったり漕手に未練を残す場合があると感じています。(もちろん、ほとんどはCOXの魅力に気づいてくれます)
私は最初からCOXの先輩にCOXとして勧誘されました。COXとして入部したわけなので自覚も早く、徹底的にCOXを考えることができたと思いますし、いい意味で漕手に強気で(笑)リードすることができたと感じています。何より、COXという役割に誇りを持ち、責任感をしっかりと持てることは大事ではないでしょうか。

背はそれほどなくても、COX向きな人材に対し、ガンガンCOXの魅力をフィーチャーしてください。売り文句やCOXの魅力については、拙著「コックス技術論」などのブログ記事もご参考に(笑)。

「COXは水上のF1ドライバー」「COXは艇上の指揮者」「大柄な漕手の力を、頭脳とハートで1つにまとめるリーダーだ」とか、色々とありきたりなようですが売り文句を使ってみてください。案外、COXは運動神経や体格に自信がなくてもできるポジション、というのが一番の魅力だったりしますけどね。いや、COXも運動神経必要ですが。COX特集のPVやポスターなんかもぜひ見てみたいですね~。全部COXでなくともよいので、半分以上は漕手やほかの役割もあるといいかもしれませんね。2015 全日本新人W4X+コックス岸蹴り



・マネージャー向けアピール
マネージャーは、いくつかのPV等を拝見していますと、某大学PVの影響で「もうひとつの活躍できる場所」といった感じでフィーチャーしている部分がありますので、こうしたチームはきちんとマネージャーを獲得できているのではないかと思います。
しかし、マネージャーの役割を、食事作りや身体のケア、色々なPC仕事や事務仕事と、それぞれに少し限定されたイメージを刷り込んでしまうところもあると思います。専門分野をアピールしつつも、それだけにとどまらない幅広い活躍をイメージさせるとよいでしょう。
マネージャーというのは、仕事を生み出すのが仕事だと個人的に捉えています。部を強くするためなら何でもやるし、時には選手をしっかりとリードする。その組織のための行動こそが自分を成長させる。自分のためにやるのがマネージャーである。そして自分から動き、自分が組織を強くする。結局、人と金と物と情報と顧客に関わる全方位の役割です。

マネージャーこそが実は主役であるようなフィーチャーの仕方もしていくと、入部時に固定観念を持たずに良いのかもしれませんし、そこまで考えてマネージャー募集をする体育会や運動サークルはあまりないと見ていますので、差別化にもなります。ボート部マネージャーは、マーケティングとイノベーションの達人であってほしいですね。
トレーニングの記録をとるマネージャー



それぞれ漕手は漕手、COXはCOX、マネージャーはマネージャーが勧誘や説明や説得をする中で、どの役割もボート部の中で共通の目標に向かって成長ができる不可欠な存在なんだというアピールをするとよいのではないかと思います。


新入生が憧れを抱くような勧誘をしたり、とっつきやすく新入生の自分でもできそうな楽しい部分も見せつつ、ボートそのものに興味を持ってもらうこと。
理想のチーム像というイメージがあれば、おのずと素晴らしい新勧のアイデアが出てくると思うのです。



ぜひ、これらを参考にしていただきつつも自由な発想で、自分たちにしかない新勧を創造していってください。
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