FC2ブログ
また昨シーズンの記事を再掲載です。
手抜きというわけではありません(笑)!たいへん厳しいエルゴトレーニングによって皆さんに大きく成長していただきたいからです。ぜひとも大学生ボート選手の、社会人ボート選手のエルゴ基準を劇的に上げていきたい!!
その意識変革に少しでも力になれればと思っています。




大学ボートでいえば、2000mエルゴにおいて男子の場合やはりまず7分が一つの壁で、女子は8分。これはかなり日本で一般的に言われているスコア基準だと思います。もちろん強いチームだとこうしたタイム基準は順次高くなりますが、普通のチームではまずこれを切ろうという最初の目標として挙げられやすいです。
(私はあまり壁とみなさず、選手個々のポテンシャルから具体的な数値目標を提示することが多いです。一般的な見方に対する話題です)
日本のボートではこのタイムがなかなか切れない選手は半数以上いるのです。

というわけで、今回のテーマというのはいつもトップレベルについて話題にしがちなこのブログ、前回に続いて平均レベルについてのお話となります。平均レベルの選手というのは当然ボート界で最も多いボリュームゾーンであります。やっぱり大多数の選手たちが元気でボートを楽しんでいないとボート界全体が元気になりません。

こうした中間レベルの選手層は、もちろんいずれトップレベルに到達することをめざしてトップレベルの情報にも関心があるものですが、今より少しでもボートがうまくなりたい、レベルアップしたいと考えています。どうやったら上のクルーに乗れるか、どうやったらキャッチが早く入るか、課題はさまざま。当たり前ですがどのレベルにあっても、今より向上したいというのは等しく考えているものです。
こうした大多数の選手の成長にもっともっと役に立てたらなと思いますね。




今回は昨年2015年1月末時点(年度では2014年、平成26年度の第27回)の記録から内容を見てみます。

〈19~29歳 男子軽量級(75kg以下)〉で7'00を切った選手は711人中240人。この中では現役・引退後を含む社会人ボートマンも若干入っています。大学生軽量級に限ってみると、653人中201人が7'00を切っています。「え?7分切った大学生は3分の1にも満たないの?」と意外に思う方も多いのではないかと思いますが、軽量級です。
しかしこの全体の653人というのは色々だと思います。この中の下位の記録ではなかなか練習量がとれないであろう医科学生、中には飛び入り参加のCOXや男子マネージャー、院生などもいます。だいたい漕手の記録として600人中200人が7'00切りというところだと思います。実に大学生で軽量級漕手の3分の2近くが7'00を切れないということになります。
19~29歳 男子重量級。さすがに75kg以上のこちらは全体170人中132人が7'00を切っています。大学生に限ると126人中98人が7'00切り。これは多いですから、重量級の7'00切りは必達といえるでしょう。

昨年の大会記録でいくと軽量級も重量級も含めた男子の大学生全体では、779人中299人が7'00を切っているということになります。大学生の38%です。



これは、実際にはあくまで大会記録なので自己ベストで7'00切る選手はさらに30~50人増えるでしょうね。なぜなら、よく見ると軽量級だけでも7'00"0~7'03"0というたった3秒の間に30人くらいがひしめき合っていますから。ボーダーライン上の争いの激しさ、かくのごとし。この選手たちははっきり言ってすぐにでも6分台が出せる、もしくは過去に出していると思いますが、この1秒がなかなか越えられない、というまさに壁を破れないこともよくありますよね。

また、75kg以下の軽量級漕手といっても色々で、オフに74kg近く体重があって代表を狙うようなチームの主力級の漕手もいれば、入ったばかりの1年目で身体ができておらず60kg前半に満たない細身の漕手もいるわけです。そう、参加者全体の3割近くは1年生のはずです。いずれ翌年、翌々年に7'00を切る漕手もたくさんいます。以前から言っていますが大会に出ていないチームもある中でのデータです。
そのように見ると、だいたい7'00を切れる男子漕手は大学ボート全体で半分くらいというところではないでしょうか。生涯ベストではもう少し増えるかなと。大学ボート選手が4年間頑張れば6割ほどは7分が切れる、というのが私の経験からも実感があるイメージになりますね。
大学から始めた未経験選手で7分切れるのはボート界全体でやはり半数というところではないでしょうか。高校からの経験者は実に8割以上は7分切りを達成していると思います。

冬のマシンローイングに出ている大学生は基本1~3年生までの3学年。4学年全部で純粋に増やすと約400人、マシンローイングに参加しない強豪大学(N大、M大、H橋大、N体大etc・・・)のエルゴを想定すると7分切りは少なくともプラス80人以上はいそう。生涯ベストでもなく1000~1200人ほどいると思われる全ての大学男子漕手の中で、シーズン中には500人以上は7分切る選手がいることでしょう。
そして、例えば一昨年インカレ準決勝以上に進んだ男子漕手は8種目全部では合計324人になります。最終日に残ることができる男子漕手は合計160人。(一昨年インカレに出た男子はCOX含め802人、オッ盾は198人、合計1000人)
そうするとだいたいインカレで予選・敗復を勝ち進んで準決以上に進むにはどれくらいのエルゴが必要か、最終日にはどれくらいエルゴがあればいいか。エルゴが艇速をすべて反映するわけではないので確実なデータとはいえませんが今までのエルゴ記録から予想はつくのではないでしょうか。





コーチ経験など、これまで私が関わってきた経験からエルゴ記録について述べてみます。
大学からの未経験者が年間合宿で週10部ほどトレーニングを積んでいる前提での1年ごとの達成水準として、
大学1年目で6'50~7'20
大学2年目で6'40~7'10
大学3・4年で6'35~7'05
といった範囲が標準的かと感じています。大学ボート標準です。平均のめやすなのでこの数値も体格・体力・意識などによって、さらに範囲が広がります。現実にはこの範囲になかなか収まりませんで、上も下も10秒広げた方が合っているかもしれません。
この上限値は75kg以上、下限値は65kg以下の選手イメージですが、このスコアに達しない選手ももちろん多いです。身体ができてこなかったり体力数値に伸びがないなど、普段の練習サイクルに課題が必ず見られますので、トレーニングと意識の面で、見直しが必要です。

上限値よりも10秒以上記録を出せる選手がいれば、上には上がいますから、どんどん伸ばしチームを引っ張ってほしいですね。
3年目以上でこの範囲に収まっていれば、インカレ最終日~インカレ準決勝を目標にできるレベルだと考えます。しかし最近では男子クルーでエルゴ平均6'50では、M8+はもちろんその他の種目も敗復突破が難しくなってきていることを感じています。ちなみに私はインカレのレベルに対するエルゴやタイムの基準値を自分なりに持っていますが、そういう目安を目標にクルーを作ることをおすすめします。

また、1チーム内で上記のようにできれば30秒以内くらいに記録分布が収まっていたいものですが、現実にはもっと差ができて、下手すれば一番回す人と回せない人の間に1分つくこともあります。実際のレースで並べれば同じように1分の差がつくでしょう。さすがに1分差ある選手同士で目標に向けたクルーを組むのは難しい話です。
同じチームでは15秒差くらいまで縮まるとかなり力が接近して高いレベルで拮抗し望ましいですが、現実には経験年数や体格の差もあり、まずは30秒差以内を目標に縮めるとチーム意識はいい状態が保てるのではないでしょうか。同じ練習メニューに取り組んでいるわけですからね。
(もちろん、ビギナーのエンジョイクラスとエリートクラスで分かれたチーム組織が確立しているところはこの限りではありません。しかし、チーム目標を1つにまとまりたいときは中間と下位がほとんど存在せず全てが標準以上に押し上げ上位をうかがう状態が望ましいです。全員を大事にして意識を高め、全員が参加するチーム状態なら可能だと思います)


※2016年現在、インカレ優勝や全日本優勝をめざすチームなら男子エルゴ
大学1年目で6'30~7'00
大学2年目で6'25~6'55
大学3・4年で6'18~6'48
この分布が必要だと私は考えていますね。一番上は6'20切り。一番下は6'40台。これが必須になってきます。
女子は本当はプラス50秒くらいが私個人の基準値ですが、とりあえずプラス1分で考えてください。




1年目の冬について。1年目から6'50が出せれば、ボートに対し高い意識が継続できたなら3年目には6'35の達成は期待したい選手です。平均的な体格(170~175cm)でしっかり取り組んでいる70kg選手なら7'00切れるかどうか、65kg以下でまだ線が細ければ7'05~7'20くらい。7'00切れない選手の中には、前半飛ばし過ぎだったり有酸素能力に課題が多くて2000m持たないという選手も多いです。
1年目の冬で7'30も切れないようだと、インカレでぎりぎり勝負できる7'00切りの基準を4年間でクリアするにはかなり見直すべき課題があり、インカレで活躍したいなら焦らないといけないというか、意識を変えないといけません。時間が無制限ならマイペースでもいいのですが、大学ボートは限られた時間です。自分が伸びてもライバルはもっと先に行ってしまいます。しかし2年目3年目と身体ができあがれば一気に伸びる可能性が高いです。
(ちなみに、私は今はインカレ上位狙うにはどんな体格であろうと最低限度6'50のクリアを要求したいですが。インカレ以外のレースではもちろん基準は大きく異なってきます)

1年目の冬は、測定のたびにエルゴのペースや効率よい引き方なども分かってきて、10秒以上ベスト更新することも珍しくありませんので、とにかく自分が一番伸びていると感じている時期は波が来てますから、貪欲に伸ばしてください。
エルゴでメモを取る漕手


大柄で優秀な素質の選手は大学1年から6'40前後を回してきましてR大だと近年では学年に1人出るかどうかという割合です。全国で見ると1年目から6'30前後という抜群の素質も数名現れたりします。さらにはまれに6'20前後が競技全体で数年に1人出ていて(H橋大A川選手や昨年のR命館F田選手)、これは他競技でもトップクラスの体力を誇ると思われるようなボートにおけるスター候補であり、間違いなく日本では代表で活躍できる選手です。
しかし私が思うに、欧米でエルゴ記録がたいへん優れている国は、最初からこれくらいの記録を出す素質の選手がごろごろいるのかと思われます(あるいはこれ以上のすごい記録)。こういう素質が「すごいすごい」とちやほやされ特別視されるのでなく、当然のレベルとして周りにたくさんいて競い合える環境があれば、さらにナショナルチームはもっとレベルが高くてとなれば、それは切磋琢磨の結果5分台もたくさん出てくるのでしょうね。

しかし、1年目に65kg未満の体格の漕手だとエルゴに慣れていないのも重なり7'00~20くらいの記録がほとんどです。大学2年でだんだん安定してきて、身体の出来上がりとともに、回るか回らないかがはっきり出てきます。ボートへの意識開眼が遅い選手もいたりするので、モチベーションや達成意欲により、個人差もあってさまざまですが。



私のチームでは学年問わず部内で一番回る選手が6'50付近だったときもあるし、7'00前後までしか出なくて苦労した代も多いし、今は6'30前後が数人出てきたりして、そのへんは如実に夏の結果に反映されています。

インカレで敗退すると、技術やメンタル云々も理由に上がるものの、結局「敗因はエルゴだ。体力差だ。水中の強さだ」という結論に落ち着くものです。私も何度も負けてきましたが、だいたいここに帰結します(苦笑)。それをチームとして繰り返していたら、何やってるんだという話です。
日本代表も同じです。敗因は第一にほとんどこのエルゴなんです。ずっと取り組まないと向上しない能力であり、夏に挽回できないのがエルゴです。(代表レベルでもクルーの組み合わせやイメージ統一も最大10秒くらいの影響も見受けますが)
決勝や準決勝で僅差の接戦だとメンタルとかテクニックや作戦の話も言われますが、敗復落ちのクルーに足りないのはまず体力だというのはほぼ間違いなく明白です。優勝レベルのエルゴを持つクルーがあっけなく敗復落ちする話は聞いたことがありません。エルゴを頑張る選手は技術もメンタルも知識もすべてにおいて意識が高いです。

素質ある高い能力の1年目が、一気に先輩全部を抜いていくこともあります。素質だけでなく練習への取り組みが優れている場合もありますし、こういう選手の存在を生かせるかどうかにチーム力が問われ、また優秀な選手に追随しチーム全体でレベルアップするチャンスにもなります。私はこういった選手の可能性は大好きで、1年目冬とか2年目の早い時期からインカレ対校ストロークや真ん中などにバンバン起用しますね。
こういうことが起こるから、私は新勧はビッグチャンスだと言いたいのです。4月のキャンパスは人材の宝庫です。
しかし多くは標準的な体格ですので、時間をかけた育成が必要です。

細身の選手が多いとどうしても7'00や6'50が壁になるのですが、色々な選手をまた最近でも見てきて、65kgでもトレーニング次第で最大6'40もしくはそれ以上いけるなという手応えも今は感じています。トレーニングの内容とボートへの取り組み方、意識、環境、この改善がすべてです。
全く同じ素質の選手が、チーム状況や部員の意識、指導者の意識などによって自己ベストが20秒とか30秒くらい変わることもあるように感じたりもします。つまり、チーム環境やボートへの意識で、「7分の壁や8分の壁」は吹っ飛んで消えてしまうとも言えます。
単純に、目標が高いからそこに元から壁を作らないんですね。
とはいえ、平均的な日本人体型からは男子7分、女子8分を切るのは標準以上の良い記録なんですよ。


こういう点において、さまざまな改善により、「回らない」という課題はクリアできると感じています。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://rowingcox.blog.fc2.com/tb.php/258-361d0235