fc2ブログ
今年の日本代表選考はまだ冬明けぬ2月!
7月下旬に開かれる真夏のパリ五輪をめざしてオリンピックイヤーを戦い抜く戦士を選りすぐる代表選考としては、この時期から代表シーズンの幕開けを告げるのは当然ということなのでしょう。五輪本番まで、あと半年です。
とはいえ、オリンピックイヤーといいましても、今回のSBS予選、SBS本戦を経て、シニアではA代表、B代表、C代表を決めるとのことです。
詳しい代表選考方針については、12/18に出されているこちらの資料をご覧ください。
2024年パリオリンピック・世界ローイング選手権日本代表選手選考方針(PDF)

さて、今回の記事では、2/15(木)と迫ったSBS(スモールボートセレクション)予選、そして2/26(月)-28(水)の3日間でおこなわれるSBS本戦の展望を見てまいりたいと思います。
全日本選手権よりレベルの高い、代表の座をかけた1Xと2-の極限のレース。そして、その戦いが世界で争うレベルに到達していることを望み、要求しつつ。世界戦へつながるトップレベルのレースをしっかりと注目していきたいと思います。

※エントリー段階の情報での記事であることをご了承ください。
※例年と同様、実名表記とさせていただきます。そのうちチームや個人に配慮し伏字に戻していきます。このブログで実名を書いていくと、ちょっとドキドキします。

※今回の記事はオリンピックイヤーの代表選考であり力を入れたので、長文となっております。少しずつ、しかしできれば2/15のSBS予選当日までにお読みください。








まず、2/15のSBS予選ではそれぞれのカテゴリーに出漕するクルーが2000mレースを午前1回、午後1回の合計2レースおこない、その平均タイム上位者が2/26-28の本戦に進むことができます。
このSBS予選では、上位者が進むとありますが、例年ほとんど本戦に進めるというのが傾向です。あまりに離されていると予選落ちとなりますが、具体的にはトップから30~40秒離されても本選に進める状況です。もちろん、トップというのはM1Xで6'55、M2-で6'35、W1Xで7'45、W2-で7'30といった領域です。しかし場合によっては1分離されても本戦に進めることさえあります。とはいえ、代表に挑戦して経験を得たい選手も多いとは思いますが、さすがに40秒は離されたくはないですよね。インカレB決勝~C決勝くらいのレベルですからね。今年はどれくらい予選通過するでしょうか。

そして、SBS本戦ではおなじみ予選、敗復、準決勝、決勝の勝ち上がり方式を3日間でおこないます。
予選でしっかりふるいにかけられ、準決勝のあるカテゴリーではここが熾烈なサバイバルとなり、決勝Aではほぼ代表候補の男女1Xの6人がトップレベルの争いを繰り広げます。本当に紙一重の頂上決戦が見られます。2-だと上位の実力がかなり定まっているケースもありますが、こちらスイープも世界レベルの実力伯仲となるレースを見たいものです。

では、カテゴリーごとに、SBS決戦の展望や、注目選手、注目クルーを見ていきましょう。






1.シニアM1X選考とLM1X選考
まずは、パリ五輪の出場国枠を唯一獲得している種目、M1X。
こちらは荒川選手をはじめ、20名がSBS予選にエントリー。これは、強化委員会のパリ五輪・世界選手権日本代表選考方針により、エルゴスコアの体重別%IDTの上位20クルーがSBS予選に参加できるという参加資格に基づいています。
SBS予選の申込一覧を見ますと、このシニアM1X・LM1Xのカテゴリーが29人エントリーして9人がエルゴで落選し予選に出漕できずという結果になっており、ほかのシニアW1X・LW1X、シニアM2-、シニアW2-、そしてU23の男女スカル・ペアもエントリー20クルーに満たないためシニアM1X・LM1X以外の全員がSBS予選参加できるという結果になっています。
最も競争が激しいカテゴリーといえますが、しかしSBS予選が行われれば厳然とした実力差は明らかになってしまうのはありますので、SBS予選ではまずチャレンジクルーは最高のパフォーマンスを発揮していただきたいと思います。

何といっても、注目は荒川龍太選手(あらかわ・りゅうた選手 NTT東日本)
今回のSBSでは荒川選手が病気その他でSBSに出場できなかった場合、ワールドカップでM1X最上位者と比較評価をおこないパリ五輪代表を決めるという特例も出されていますが、基本的に日本の五輪結果は現時点で荒川選手にかかっていますし、協会からメダルポテンシャルアスリートに選ばれていますので当然と言えます。
日本人のエルゴ6分の壁を破り(というか6分00秒自体のタイムが壁と言われてもおらず、日本人でも6分切れる可能性を実現したというのが正しいですね)、日本Rowing史上初世界大会のM1Xメダルを獲得した選手。日本人M1Xの最高タイム6'42(2023ワールドカップ第2戦準決勝)、日本人M2-の最高タイム6'29(2022ワールドカップ第3戦予選)の保持者です。
今回も、荒川選手が自分で掴んだ五輪出場国枠に自らが選ばれるべきですし、SBSではなく五輪メダルを最大目標に照準を合わせているはずです。とはいえ、現時点でのパフォーマンスをしっかり見せてほしいと思います。
2023 ワールドカップ第2戦 M1X決勝 World Rowing Twitterより700
World Rowing Twitterより
日本史上最強の選手、荒川選手の艇速はドイツのツァイドラー選手をはじめ世界の名だたるトップスカラーと並び追い越したい。



シニアM1Xにおいては、このほか7名がオープンM1X枠で参戦。
まず荒川選手とともにエルゴサブシックスを誇る、櫻間達也選手(さくらま・たつや選手 NTT東日本)。フィジカル面では荒川選手と並んで日本史上最高といえるのですが、やはりM1Xでのレーステクニック、スピードがもう一段階上回れば、世界に伍するワールドクラスのスカラーになれるはず。
S間T也選手




そしてオープンの大器として荒川選手、櫻間選手と並ぶポテンシャルを秘める、山尾圭太選手(やまお・けいた選手 トヨタ紡織)
このたび6'07を出し、しかし私の中ではいつ6分を切ってもおかしくない選手であります。トヨタ紡織全日本M8+優勝の中心選手、艇速としてもまだまだ伸び続ける選手ですね。
この日本のオープン男子トップ3といえる3選手が、いずれも大学からボートを始めているという大学以前でのボート未経験者なので、大学ボートで未経験者の選手の皆さんは彼らをめざして大きく成長していただきたいと思います。
M1X社会人 Y尾選手 決勝 T紡織





それからこちらはU19から代表のトップで活躍してきた遠山秀雄選手(とおやま・ひでお選手 NTT東日本)
エルゴのベストスコアはほぼ6分ひとけただったはずです。今回は6'16で94.1%と高い%IDTを示しています。
M1X T山選手 社会人 ○TT Twitter



それから、トップスカラーのひとり内田達大選手(うちだ・たつひろ選手 NTT東日本)
1000mでは3'20を叩き出す驚異のスピードの持ち主なので、ぜひ7分切りをめざしてほしいと思います。
U田T大選手



U23からシニアにも参戦するのは、菅原陸翔選手(すがわら・りくと選手 日大3年)
世代ナンバーワン、日大のプリンス。将来のオープンクラスの代表候補として、エルゴは6'12~14を安定して出していますね。
シニアもU23も同じレースで代表選考をおこなっていくと思われるので、シニアとU23の併願はシニアでの順位も良ければそちらで選ばれるということになるでしょう。
M1X N大 S原R翔選手 2023全日本JARA


そして同じく日大の宮口大誠選手(みやぐち・たいせい選手 日大3年)
昨年はU23代表として早稲田の岡山選手とM2Xを組み6'27をマーク。
僚友の菅原選手ともに日大のエースといえる選手です。
2022インカレM2X優勝 N大 M口T誠選手


そして最後になんと武田匡弘選手(たけだ・まさひろ選手 関西電力)はやはりオープンのM1Xで挑戦のようですね。
日本人男子軽量級歴代ナンバーワンのエルゴ6'10の記録をもち、6分ひとけたはすぐそこという比類ないフィジカルと、世界軽量級のトップスカラーの資質を持ちながらオープンへ階級を上げる。しかし荒川選手もリオでは軽量級にチャレンジしていたので、今後そのフィジカルを鍛え抜けば第2の荒川選手たりうることも現実になるかもしれません。
M1X T田M弘選手 2020全日本 



以上の8人が、オープンM1Xで争います。
五輪M1X代表が、公にこそなっていませんしまだ変更の可能性はありますが、事実上、荒川選手で決まりというところがあるので、そのトップレベルにしっかり追随する選手が多く出て、M2Xで出漕する方針も出されています。
M1X代表を除く上位4位が高いレベルで拮抗していればM2Xを編成し世界最終予選への派遣を考えるということです。
個人的には、全員で7分を切って、M1X、M2X、M4X全部出したいと強化委員会が思わせるくらいに激戦を演じてほしいですね!




続いて軽量級です。
ここも、SBS予選を通過し、SBS本戦での決勝上位4人をLM2Xとして編成。その後の評価レースで乗り比べをし、最も速い組み合わせを日本代表としてアジア・オセアニア大陸予選に派遣するという、東京五輪と同じ選考方式です。
今回、各選手の体重設定が、男子71.2kg以下、女子58kg以下となっており、ここも、1Xなら男子72.5kg以下、女子59kg以下であれば出れたという選手もいたかもしれません。すでにSBSの段階で厳しい体重設定が求められています。

軽量級で今回、再ブレイクの予感があるのが佐藤翔選手(さとう・かける選手 日本製鉄)ですね。
6'18"8は本人のベストに近いのではないでしょうか。荒川選手と同学年で今年いよいよ30歳、リオ五輪挑戦のときはLM4-でストペアを組んでいました。五輪には届きませんでしたが、実に8年ぶりの五輪挑戦を果たすべく、私の中では今もLM4-バウサイドのイメージある選手ですが、LM2Xの代表の座をめざして。
S藤K選手 2日目



ここ3年、ずっと軽量級日本代表のイメージがあるのはこちら古田直輝選手(ふるた・なおき選手 NTT東日本)でしょうか。
2021年の東京五輪では、西村選手とともにLM2X代表に選ばれ、アジア・オセアニア大陸予選で1位をとりながらもIDTの差で惜しくも東京五輪代表に選ばれなかった悔しさが残っているはずです。
「東京五輪へ、日本代表は2クルーの出場決定!!残り2クルーは世界最終予選へ」こちらの記事参照

パリ五輪には3年前のリベンジを果たし、再び最速の組み合わせを勝ちとってパリの地でアイルランド、スイス、フランス、イタリアら錚々たるライバルと最後の五輪軽量級バトルを演じたいものでしょう。
F田選手



一瀬卓也選手(いちのせ・たくや選手、NTT東日本)はU23代表経験もありますし、昨年はWUGで早稲田大の青木選手とともにLM2X代表となりました。スイープのイメージもありますが1Xも万能なので高いパフォーマンスを見せてくれることは確実です。
I瀬選手 WUG



安井晴哉選手(やすい・はるや選手 トヨタ紡織)は今年29歳を迎えますが、ここ数年で代表上位の力がついてきた印象です。もともと力がありましたが、1Xの艇速もエルゴもまだまだ大きな伸びを見せています。トヨタ紡織の日本一のチーム力向上の、中心となっている選手です。
LM1X Y井選手 スロベニア銅メダル



西村光生選手(にしむら・みつお選手 アイリスオーヤマ)は前回、東京五輪をめざし古田選手とLM2X代表となりましたが、IDTがわずかに届かなかったことと世界最終予選を突破できず五輪本戦出場を果たせず。こちらも、五輪、そして代表への強い思いは誰にも負けない。正確無比なテクニックと、ストロークを漕いだ時の艇速の伸びは日本歴代随一、LM2Xストロークは譲れないところでしょう。
N村M生選手2日目



宮浦真之選手(みやうら・まさゆき選手 NTT東日本)は東京五輪世代の軽量級トップ4のひとり。このトップ4は西村選手、古田選手、武田匡弘選手、そして宮浦選手で、軽量級カテゴリーで卓越した4人でしたが組み合わせの評価レースで五輪代表なりませんでした。しかし、宮浦選手こそナンバーワンになってもおかしくない個人技術があります。エルゴでコンスタントに6分10秒台を出すまでには至っていませんが、艇上の力は随一です。
MY浦選手 2日目



エルゴでは、6'18を1年前に出しているのが昨年のU23代表、青木洋樹選手(あおき・ひろき選手 早稲田大4年)です。
U23カテゴリーを卒業し、いよいよシニア代表への挑戦がはじまります。歴戦のトップスカラーが集うこのSBSにおいてパリ五輪代表にまでアピールができるか。
A木選手 2023WUG LM2X



最後のU23挑戦となる山田雄恒選手(やまだ・ゆうこう選手 立教大3年)、まだ代表経験がありませんが、それだけに今年にかける思いは強いでしょう。格上への挑戦でどれだけ限界突破していくことができるか、代表への闘志を燃やしていきます。
R大 Y田Y恒選手 全日本新人M1X




兼康慎選手(かねやす・まこと選手 関西電力)もシニア代表へのチャレンジ、今年はビッグチャンスですね。武田匡弘選手とともに関電の主力としてチームを引っ張り、2019全日本新人優勝の時のように鮮やかな先行でトップ争いをしたい。
M1XK電 K康選手400 O東さん




岡田遼太選手(おかだ・りょうた選手 RA仙台)は2年間を過ごした滋賀レイクスターズ、瀬田川から再び学生時代を過ごした仙台へ拠点を戻したようです。仙台大出身、驚異のラストスパートが代表選考でも炸裂するか。
M1X O田R太選手 予選



大下陽士選手(おおした・はると選手 明治安田生命)は、慶應大出身で今春明治安田生命に進むとのことです。早稲田の青木選手のライバル、U19からずっと鎬を削ってきています。その場をシニア代表選考に移し、不屈のライオンのごとき力漕で軽量級代表へと名乗りを挙げていきます。
2023インカレM1XK應大 O下選手



東大のエース、小野田空羽選手(おのだ・くう選手 東大3年)。このシニア代表選考に、現役東大生の選手が挑戦しているというのがいいですね。いつ以来でしょうか。かつてはたくさんの東大の先輩たちがオリンピックに代表としてチャレンジし、幾多の栄光と挫折を繰り返してきました。U23が本命だとは思いますが、シニアも見据えていただきたいです。
O野田選手 2023U23





以上、シニアM1Xは8人、シニアLM1Xは12人のSBSエントリーがあります。
U23ではさらに13人、全部で男子シングルスカルは33人のトップ選手でSBS予選が行われます。おそらくほとんどが本戦に進み、そこで本当のサバイバルが展開されますが、まずは予選でのとびきりのタイムに期待していきたいと思います!


さて、本当はU23カテゴリーだけにも焦点を当てたかったのですが、こちらはシニアの最後にまとめて見どころ解説のみということでご容赦ください。

U23のオープンでは岡山凛之選手(おかやま・りんし選手 早稲田大2年)が有力候補です。新年の記事で情報をキャッチできておらず失礼したのですが、岡山選手、ご自身のベストを更新し何とエルゴ6'00"2を出したとのことです!!夢の大学生レコード6'00切りを是非達成していただきたいですね!そしてもちろん、荒川選手の5'54にもいずれ挑戦してほしいと思います。
岡山選手、菅原選手のM2Xなどは見てみたいですが、さらに4人ほど高いレベルであればM4Xもいいですよね。宮口選手、そして奥村選手(龍谷大2年)、川上選手(早稲田大1年)などが有力どころ。昨年インカレM1X3位の永坂選手(岐阜協立大3年)慶應義塾高の扇原選手(おうぎはらではなく、おぎはら選手とのことです)、さらに山本選手(戸田中央総合病院RC)も参戦。そして、広島大の清岡選手も代表へ挑戦です。

U23軽量級は、山田選手(立教大)山口選手(関西電力)のトップ争いが予想されますが、巽選手、川竹選手、友草選手、西條選手もベストパフォーマンスを発揮しそうです。また一橋大の菅野選手、スカルでどこまでやれるかにも注目したいですね。












2.シニアM2-選考
さて、こんな感じで、シニアM1X・LM1Xでは大サービスで1人1人写真付きで詳しく見てしまいました。
おそろしく時間がかかりますので、これ以降は・・・。なるべく詳しくふれたいところではありますが、特にM2-は練習の写真など手に入らないのでビジュアルは不足気味になることをご了承ください!
今回だけのコラボクルーも多いですしね。とはいえ、意外とシニアM2-では今回は混成クルーは少数でした。

M2-選考は、見た感じかなり混戦だと思います。
正直、6'30に迫るような世界レベルのM2-が登場するのは難しいかもしれませんが(本当は6'20が欲しい)、6'40切りは狙えます。エルゴ平均6'15~20の領域、M2-6'40のタイム。W2-では7'20相当。そこをまずはしっかり切っていきましょう。そして、M2-の上位2クルーが高いレベルで拮抗している場合はM4-編成し世界最終予選へのチャレンジにつながります。
強化委員会に大きなアピールをするために、SBS予選、そして本番のSBS本戦で最大6'35をめざしていきましょう。5'50切りのJAPAN M4-のために!



まずは大塚選手、中溝選手のペア(NTT東日本)。エルゴのベストで言えば、おそらく6'10前後で今回出場では最もフィジカルが強い優勝候補といえます。大塚選手は、「いつもブログ見てます!代表の記事をもっと書いてください!」と言ってくださるので、今年も未知のタイムを叩き出して、パリ五輪M4-の3番かバウを漕いでいただきたいと思います。荒川選手とともに、M2-日本ベストタイム6'29の記録保持者です。
中溝選手もどんどん調子を上げてくれるでしょう!

A川選手、O塚選手
日本最強2-の艇速、2022年ワールドカップ第2戦(S:荒川選手、B:大塚選手)で日本M2-初の決勝、4位。メダルまであとわずかだった。


林選手と佐々木選手(NTT東日本)。林選手は、2022年のワールドカップM4-で戦っており、今回は佐々木選手とのペアで臨みます。今回はしっかりと仕上げてきているのではないでしょうか。


久保選手と石政選手(明治安田生命)は、昨年C代表としてチェコ遠征をしました。現在、明生のエースM2-といえる艇速を持っています。6'40切りの可能性はじゅうぶんです。
チェコ遠征、K保選手、I政選手



高野選手と岸本選手(NTT東日本)のペア、ベテランと若手の融合ですね。岸本選手が12月に出したエルゴ6'17は、ベストではないでしょうか。高野選手もしっかりスコアを作ってきていて、NTTでワンツースリーフィニッシュを果たしたいところでしょう。


NTTに待ったをかけるのは明生だけじゃない、戸田中のエースペア、今年は小林選手と根本選手(戸田中央総合病院RC)のコンビですね。このお二人は、軽量級のLM2-のほうが絶対に適していますが、オープンにチャレンジです。
昨年の全日本社会人では優勝した明生の久保・石政ペアに肉薄しました。
M2-社会人 T田中



福田(ふくた)選手(東レ滋賀)と柘植(つげ)選手(トヨタ紡織)の混成クルー。柘植選手は、同じチームの是谷選手とはM2-を組まなかったのですね。ベストパートナーを探し、相性のよい2-で勝負をかける。これもスイープの面白さのひとつですね。福田選手も、まだまだエルゴ6'10切り、6'00にまで迫ることができるポテンシャルがあるはずです。


西選手(NTT東日本)と是谷(これたに)選手(トヨタ紡織)の混成。うまくはまれば、トップ争いも可能でしょう。
是谷選手は、柘植選手とともに昨年WUGのM2-で出漕。今回、西選手との新たなクルーで代表をめざします。


蛭川(ひるかわ)選手と濵谷(はまたに)選手(明治安田生命)。大学からボートを始めた国立大出身ペアです。特に、蛭川選手は東大出身の入社2年目、大学からボートを始め実業団でボートを続けています。東大で社会人ボートを続ける選手は、かなり久しぶりではないでしょうか。


志賀選手と島田選手(東レ滋賀)。こちらは東レのエースペア。6'40の力も持っているはずです。志賀選手のスイープ技術、艇の進め方は多くのチームで高い評価を得ています。そこに日大エースを務めてきた2年目島田選手とのペア、速くないはずがありません。
S賀選手、S田選手




こちらも東レの日大出身ペア、江本選手と江畠選手(東レ滋賀)。このお二人も完全にLM2-ですよね。しかし、オープンとしてのダイナミックかつ大きな漕ぎで上位争いしてほしいです。

中田選手と橋本選手(明治安田生命)の立教出身ペア。どちらもSBSのM2-代表選考では悔しい思いをしてきています。良い艇速をしっかりと安定して出し切り、そして決勝での勝負強さを発揮していってほしいです。2人とも技術はトップレベルです。


吉田選手と田村選手(中部電力)。男子では唯一となった中電ペア。しっかりと存在感を示し、ベストタイムを更新し続けたいですね。テクニックの吉田選手と、パワーの田村選手というコンビとなります。


中曽根選手と植竹選手(戸田中央総合病院RC)。エルゴはややふるいませんでしたが、全日本M4-2連覇中ストロークペアの2人。水上パフォーマンスではあっと驚くような快進撃で、攻めのRowing、圧倒的フィジカルを見せてくれるでしょう。




実際には、M2-のSBS、予選で6'40近いM2-が1~2クルー出て、無風6'50~7'05が激しい争いになってくるでしょう。
しかし、やはりタイムは必要です。1Xで7分切りを狙って代表アピールするのと同様、国内争いがゴールではありませんので、6'40切りを強気に狙って、日本代表はスイープもスカルも高いレベルで世界と争うことをめざしていただきたいと思います!




さて、こちらもU23についてふれていきます。力がありそうなのは、まず上戸選手(明治大3年)と中島選手(日大2年)の混成ですね。エルゴとしても二人とも6'22~23で今回エントリーの中でトップクラス、1Xの艇速でもU23代表になれる力があり、良い2-になるでしょう。
それから、津志田選手と田辺選手の日大ペアも速いですね。
この2艇が少し抜け出しているかなという気がしますが、全14クルーも出ており、かなりの激戦になると思います。
やはりU23代表を決めるには6'45あたりを最大に、6'55前後での激しい争いを期待します。7'00切りのインカレ優勝レベルだと代表にはまだ不足だと思っています。












3.シニアW1X選考とLW1X選考
シニアW1X・LW1Xでは、まだW1XとLW2Xでパリ五輪の出場枠を獲得できていません。
選考方針には、男子と同じく女子の最上位、つまり決勝1着で1番速い選手をW1Xにする流れですが、軽量級トップ4が高いレベルで拮抗している場合、LW2X2艇を組みます。また、1番速い選手が軽量級で、その選手がLW2Xとなった場合はそのLW2X以外の上位者がW1Xとなるとのことです。

とはいえ、まずはW1Xナンバーワン候補はこの人ですね。
米川志保選手(よねかわ・しほ選手 トヨタ自動車)です。エルゴは他の追随を許さないベストスコア6'39を誇りますが、6'50切りはどんどん出てきてほしいところではあります。そして艇速においてもW1X7'30を切れるポテンシャルがあるので、やはり五輪Final Bの力があり、さらにはもっと日本人選手の高みにまでいける可能性が無限大の選手だと以前からとらえています。
男子の荒川、女子の米川ですよ。日本最高の選手がいま同時代に男女にそれぞれいるのです。エルゴはもちろんすごいのですが、エルゴだけではないのです。もっと世界トップで活躍してほしい!
米川選手、現在メダルポテンシャルアスリートの強化事業としてオーストラリア遠征に行っているようです。今も大会に出ているとのことで、コンディションが気にはなりますがタフなスケジュールの中でベストレースを見せてほしいと思います。
Y川選手 2023世界選手権
世界の女子トップスカラーと渡り合う力を秘めている米川選手。



それから、オープンの米川選手に並びかけそうな軽量級選手も目白押しですが、先にオープン選手のエントリーを見てみましょう。

まずは柿島麗選手(かきしま・うらら選手 戸田中央総合病院RC)です。
昨年は軽量級の代表初選出、LW2Xで国際経験を積みましたが、なかなか心身ともにハードだったようで、試練のシーズンになったようです。それでもアジア大会ではW8+に選ばれたりと、代表の自覚が出てくればさらにもう一段高みに上れるのではないかと思います。今回は、減量がハードであるためかオープンでの出漕となります。復調のきっかけを掴み米川選手にチャレンジしていきます。
K島U選手 2023ウェダウレガッタ350



大西花歩選手(おおにし・かほ選手 デンソー)は、昨年C代表としてこちらも国際経験を積みました。
社会人になり急成長している選手のひとり。落ちないコンスタントが強みであり、8分切りのポテンシャルは疑いないがさらに米川選手との差を縮めることができるかどうか。
O西選手 スロベニア350



笠原実選手(かさはら・みのり選手 NTT東日本)はエルゴスコアを見ると状態を上げてきている印象です。長いレンジで大きく艇を進め、経験値の高い選手を超えていきたい。柿島選手との金沢大出身対決も注目です。
K原選手 社会人選手権



川村海選手(かわむら・まりん選手 関西電力)は昨年U23代表。こちらもU19、U23とすべて代表に選ばれてきてシニア初挑戦。しかし、これまで代表になった軽量級ではなく今回オープンでのチャレンジとなり、どこまでやれるか。
K村Mりん選手



松岡奈南選手(まつおか・ななみ選手 デンソー)は今年22歳、早生まれのためU23にも挑戦できますがシニアにも併願。社会人でボートを始めたった4年でここまで来ました。デンソーには高卒でバレーボールなど他競技から転向してボート競技を始めた選手が3人もいます。松岡選手は昨年全日本でW4X準優勝まで来ました。中条選手、榊原選手、大西選手と代表選手に囲まれ力をつけ、特に未経験で代表になった先輩・中条選手の背中を追いかけ代表にチャレンジします。
Dソー M岡選手 DソーHPより



浅井奏音選手(あさい・かのん選手 仙台大2年)もU23ですがシニアにも挑戦。
インカレW2-優勝でスイープの能力の高さも示しましたが、今回は1Xで自分の力を試し、まずはU23、そしてシニアまで見据えていきます。チームの先輩上舘選手のように、U23代表に入るとチームにも大きな影響と意識向上につながるということが証明され、仙台大女子の黄金時代の先頭に立つ旗手をめざすか。
2022インカレW1X A井選手 S台大 知人



以上、シニアW1Xカテゴリーは7人。
上位者が高いレベルにあれば、W2Xでのチャレンジもあるということです。
とにかく世界レベルの力を見せれば、世界への扉は開かれるのです。






そして軽量級、LW1Xは9人が五輪大陸予選めざし代表に挑戦します。上限58kg、ぎりぎりの減量も大きなライバルになっているはずですが、極限の戦いを制する4人は誰か。

まず現状でもかなり拮抗していると思いますが、劇的に復活し今年ピークを迎えそうなのは、この人、冨田千愛選手(とみた・ちあき選手 東大RSL)ではないでしょうか。
何といっても、つい数日前にエルゴ自己ベストを更新し7'04"0をマーク、日本女子軽量級レコードを自ら塗り替えました。
あとは、艇と一緒になるあの感覚。2019世界選手権LW1X銀で掴みかけたという世界を制するための技術を追いかけて。
冨田選手のパリへのチャレンジが始まります。まずは、米川選手とともに7分30秒台の艇速を実現していきたい。
T田C愛選手 2023世界選手権400



廣内映美選手(ひろうち・えみ選手 明治安田生命)は、今や明生のエースだけでなく日本代表にも定着し、日本のエースをめざすところにいます。昨年エルゴ7'10"6をマークし、今季も安定して7'12前後を出しており、やはり日本軽量級の代表はエルゴ7分ひとけたがほしいというところでこれまでの冨田選手、大石選手の領域に近づいています。
このまま一気にオリンピックイヤーも駆け上がるか。
H内選手 2023ヨーロッパ遠征





米澤知華選手(よねざわ・ちか選手 明治安田生命)は昨年のU23代表。エルゴベストは12月に出した7'14か。冨田選手、大石選手、廣内選手の次点というところには確実に位置し、トップ4に入る力はじゅうぶんにあります。あとは1Xのスピード、コンスタント力。オープンも狙える体格ですが、冨田選手をしのぐようなエルゴも今後期待しています。
Y澤選手 MY生命



今回、軽量級だと思った選手がオープンになり、オープンだと思った選手が軽量級をめざす。あるいはスカル系がスイープ系に挑戦、など色々なルート選択が見られますが、大石綾美選手(おおいし・あやみ選手 アイリスオーヤマ)はやはり軽量級スカルに戻ってきました。リオ五輪、東京五輪の代表。冨田選手とのコンビで長年、日本LW2Xのイメージを築いてきました。
パリでも大石選手の力漕が見られるか。そして東京五輪の10位を超え、さらには北京五輪の日本女子最上位9位を超える新しい歴史を作るために。
O石選手 2021ワールドカップ



かなり細身の國元優衣選手(くにもと・ゆい選手 中部電力)は、昨年全日本LW2X2連覇を果たした時は53kgでした。
しかしエルゴ7'33をマークしており体重換算%IDTでは上位にランクイン。U19経験があり、今回シニア代表への最大のチャンスを迎えており是非ものにしたいところでしょう。
K元Y衣選手 C電 2023全日本




成瀬歩美選手(なるせ・あゆみ選手 中部電力)は、國元選手と同じく、中電から代表を狙います。軽量級として7'18のエルゴをマーク、こちらはU19、U23と代表歴を重ねてきてやはりシニア代表は今年ビッグチャンスとなります。トップ4になるために最速の1Xスピードを追求していきます。
N瀬A美選手 2023全日本



四方美咲選手(しかた・みさき選手 陽進堂ホールディングス)はこちらもU19、U23の代表を重ねてきており、シニア代表はやはり最も難しいカテゴリーになっています。しかしこちらも軽量級トップ4の座をめざしビッグシーズンを実現したいところです。
Y進堂 S方選手 2022社会人



渡邊花穂選手(わたなべ・かほ選手 戸田中央総合病院RC)は昨年悲願の全日本優勝をW2Xで果たし、自身最高のシーズンを送りました。今シーズン、さらなる高みへ、代表挑戦で1Xの力を発揮していきます。
W邊選手 T田中



中川奈穂選手(なかがわ・なほ選手 戸田中央総合病院RC)は、同じく渡邊選手とともに絶対に掴みたかったという日本一のタイトルを手にしました。初のシニア代表挑戦ということでどこまでやれるか。
N川選手 T田中




以上、シニアLW1X、軽量級女子は9人です。
繰り返しますが、世界をめざし、世界Rowingに追いつき勝負できるよう、日本のRowingの頂点で戦うトップ選手たちの全日本決勝よりも熱く激しく冷静なレースと艇速を見せてください!!





それでは、U23も見ていきましょう。
オープンで11名、軽量級で13名がエントリー。
オープンのW1Xでは浅井選手(仙台大2年)が一歩リードか。しかし、インカレW2X優勝の飯塚選手(立教大1年)、インカレW1X優勝の加藤選手(早稲田大2年)、インハイW1X優勝の木部選手(館林女子高3年)と揃っており、松岡選手(デンソー)、鴇田選手(明治大1年)、山本選手(岐阜協立大3年)らも加わり、8'00~8'05のラインで激しい戦いになるのではないでしょうか。明治の青山選手、東北大の野村選手、広島大の瀬戸山選手、立教の藤田選手も上位に加わる力があります。

軽量級のLW1X、エルゴの%IDTよりも艇速勝負で見るとこちらも大激戦。
高校生ながら岩本選手(美方高3年)兼松選手(加茂高3年)の活躍も予想されますが、エルゴどおりに猪野選手(早稲田大3年)、新見選手(東京海洋大3年)がトップ争いしてほしいですね。馬野選手、阿南選手、横田選手と実力派揃い。川端選手、久保選手、田知本選手もやるでしょう。荒川選手と杉原選手はエルゴには現れない水上の力があります。一橋の杉田選手も小柄ですが是非上位争いしてほしいですね!












4.シニアW2-選考
シニアのW2-も盛り上がっていますよ!10クルーがエントリーです。かつてここまで女子の代表でスイープ種目が盛り上がったことがあったでしょうか!?あまりないですよね。基本、女子スイープはオープンしかなかったですからね。
こちらもW2-での派遣もありますが、2クルーが拮抗していればW4-編成が現実的です。男子と同じかそれ以上に、女子フォアがかなり実現しそうな現状です。これは昨年のワールドカップW4-の挑戦と、アジア大会での銀メダルの結果がそうした機運を呼び込んでいますね。


しかし、最有力は2クルー。昨年のワールドカップ第2戦でS中条選手、3高野選手、2榊原選手、B木野田選手のW4-が最高6'39をマークし、日本のW4-も勝負できるのではないか?と期待を抱かせたクルーでした。しかし世界のトップとは20秒あります。これを本気で短縮しようというのが、女子フォアプロジェクトといえます。9月のアジア大会ではS中条選手、3榊原選手、2高野選手、B木野田選手で中国まで5秒、銀メダルという結果でした。そしてW8+も、米川選手、冨田選手、柿島選手、廣内選手というトップスカラーが加わってCOX仙田選手の力もあったと思いますが、ベースはW4-の4人でした。
つまり、この4人がすでに最有力であると言えるかもしれないのです。
ちなみに、ワールドカップからアジア大会で中条選手(S→B)と木野田選手(B→S)のサイドが変わっていますが、それほど影響がなく適応できるのも、女子は基本スカラーばかりだから、というところもポイントかもしれません。ぶっちゃけ、スカルを多く漕いだ女子選手はどっちサイドでも漕げますよね!?

そういうわけで、この熱いW2-カテゴリーを見ていきましょう。



榊原選手(デンソー)と、木野田選手(明治安田生命)のペア。写真はワールドカップのW4-からですが、こちらの早稲田出身ペア、ほとんどエルゴベスト平均6'55に近いペアだといえます。勝手に言っていますが。
エルゴ的には7'20も出せるW2-だと思います。実際には7'30前後で争われると思いますが、やはりこのダイナミックで長いドライブは魅力ですね。
S原選手、K野田選手 2023ワールドカップ第2戦W4-



そして中条(ちゅうじょう)選手(デンソー)と高野選手(関西電力)のペア。事前のエルゴがふるわなかったようですが、こちらもベストは6分台の二人ですからね。それに加えて、高野選手のスイープ歴は立命館大出身で長きにわたり熟練されており、中条選手は社会人でボートを始めたのでまだまだ限界知らずで向上していきます。勢いのある中条選手がストロークというのがまた魅力かもしれませんね。
C条選手、T野選手 2023ワールドカップ第2戦W4-



さて、この最有力、平均7分切り2クルーに挑戦状をたたきつける8クルー。
やってくれそうなのは、西原選手(プリントパック)と飯島選手(明治安田生命)の、元祖・大学でボートを始めていきなり大学1年で7'20前後を出したペアです。すごいんです、このお二人。東北大と一橋の出身ですね。飯島選手の2-技術は確かなので、あとは西原選手のアタックと勢いですね。かなり上の2クルーに競りかけてくれると思います。


西田選手と鈴木伶奈選手のNTT東日本ペア。これは、オープンのスイープとしての実力は折り紙付き。西田選手の2-は素晴らしいですし、鈴木選手はスイープのスペシャリスト。フィジカル万全なら、7'20を出してもおかしくない2人です。基本、このお二人はスカルよりスイープで大成していただきたい選手です。鈴木選手のバウサイドもしっかり対応できるか。


角谷(かどや)選手(アイリスオーヤマ)と上舘(かみだて)選手(仙台大4年)のまおまおペアです。これも速そうですね!角谷選手が1Xではなく2-を選択したのは意外でしたし、2-のイメージはありませんでしたが、スイープ技術は高いので、必ずや上舘選手と素晴らしい2-艇速を表現してくれるでしょう。スイープなだけで、実際は2Xと変わらないのです。ただ、2-特有のバランスと非直進性の難しさに対応できるかですね。
K谷選手、K舘選手


松田選手と長谷川選手の明治安田生命ペア。松田選手は明生に入ったようです。こちらも立命館でW4+全部勝っている選手ですのでスイープの達人。立命館大には、インカレ4連覇女子がたくさんいますね!
長谷川選手も松田選手も170cm以上の長身なので、このW2-対決は大きな漕ぎが見られるのも魅力ですね。

そして学生ペアは2クルー。どちらも、もちろんU23併願です。
上野選手(中央大3年)と井上選手(立教大1年)の混成。こちらも170cmの長身、エルゴも7'20前後のスコアを保持。しかしスイープ技術はこれからという印象で、シニアのテクニックの高さにどこまで追随できるか、レースごとに伸ばしていくと思います。

岸本選手(仙台大3年)と藪本(やぶもと)選手(仙台大2年)の仙台大ペア
こちらは2-としての完成度を高く仕上げてきそうな雰囲気です。速そうですね~!

山本選手と上林選手のデンソーペア。榊原選手や中条選手と違って、スイープは未知数なイメージですが、社会人なので短期間でしっかり良いスピードに持っていきそうな予感がします。エルゴ平均は7'20台は確保していそうです。

そして、谷口選手と日比野選手の中部電力ペア。日比野選手のバウサイドは見たことがないので楽しみです。このへんも、サイドの対応は難しいところもあるでしょうが、先ほど言ったようにスカルでRowingを始めた選手としてはうまく対応できると編成の幅も広がりますね。しっかり勝負していきたいところです。



そして、U23だけのエントリーでは、向井選手と髙橋選手の立教大ペアがチャレンジ。昨年からの大幅な進化を見せたいところです。




以上、シニアW2-、10クルーによる勝負。世界に競り勝つ、そんな2-、いや2-だけでなく4-の結成を期待しています!
U23は3クルーの勝負。高いレベルをアピールして、やはり4-、2-の派遣を勝ちとってほしいですね!











運命のSBS、予選がはじまり、そして本戦で候補が決まります。
クルー編成のための評価がなされ、そして本当の本番へと、五輪予選、世界戦へとそれぞれ向かっていくこの勝負の春。
今までにない注目度と、新しいチャレンジへの期待感で、日本Rowingの成長を見届けていきましょう!!





スポンサーサイト



最後に、新勧で成功するために必要なこと。

それは・・・、熱意です。気合です!勢い!!
とにかく気持ですね。やっぱりこう、気持が伝わって、新入生の心が動いて、背中を押されて入部を決める。
「熱いぜ!!ボート最高!!!ウォーッ!!!!」
こういう勢いとノリは、何だかんだで大事ですね。

え?いつもとブログ自体のノリも違いますか?キャラがこわれたんじゃないか?いや、私はけっこうこんな感じの性格なんですよ。クールに見えて実は熱い・・・。
いつも長ーい文章を読んで下さって、本当に頭が下がります。「長い文章ですね」とストレートに言わずに、「熱い文章ですね」と気を使った言い方をしてくださる方もいます。自分で読み返しても「長ぇーな!」と思うことがよくあります(笑)。
でも別に、くどくどした理屈が好きとかいうわけじゃなくて、単にまとめるのが下手なんです・・・。ネタを盛り込みすぎる悪い癖があります。あと、同じことをよく繰り返す。
理想としては、難しいことでも簡単に、シンプルに伝えたい、といつも思っています。本当ですよ(笑)。


理論や理性だけでは人は動かない。やっぱり、感情やハートが大事です!

結局、新勧では「入部します!」と新入生が決心するのは、そういう気持の高まったときのタイミングですよね。
雰囲気、勢い、周りから促されて、ノリ、気分。
でも押しすぎて強制する感じとか、誘導的に言わせる感じだともちろん逆効果なんで、そこは強引すぎないことも大事だと思います。相手の気持を考えてあげる。人それぞれで、即決派と慎重派とあるでしょうしね。

笑顔や明るい雰囲気、にぎやかさ、勢い、ワイワイした楽しい感じ。
やっぱり人は、楽しい部活、友達の輪、飲みの席、家族団らん、活気ある職場、人気があってガヤガヤしたお店、一体感のあるイベントや会場、そういう場が好きなんですよね。

しかし、毎日がお祭りということはありえないし、ノリと勢いだけで入部を決めてしまうと、熱気というのは必ず落ち着いて冷めるもので、これは注意が必要です。新勧にそのようなムードづくりが不可欠な反面、ちゃんと新入生には伝えるべきところを伝えておかないと、「勘違い」したまま入部してしまうこともあるかもしれませんので、注意したいところだと思います。
しかし、気持が高まったピークで、入部に踏み切るということはパターンとしては多いと思います。

ただ、最後まで気持に盛り上がりを見せることなく、冷静に入部を決める人もいると思いますので、これも性格で色んな人がいると思われます。ちなみに私自身のことを思い出してみると、食事会などで気持は高まったが、すぐに決断を迫られることがありませんでした。とりあえず参加していた練習の中でも決心できず、その後1カ月近く経って特に起伏もなく流れの中で入部していった感じでした。まあ、「入部宣言」がなかっただけのパターンですね。そういう例もあるかもしれませんし、入部に至るまでの経緯というのは実に色んなパターンがあると思います。


まあ、そんな感じで、気持の浮き沈みをとらえる。ムードをコントロールして、一気に勢いという波をつくりあげる。最高のパフォーマンスにもっていく。そうしてボート部に対して高まった気持を、なるべくこの高いレベルで維持できるように入部後の育成へと導いて下さい。熱気は冷めるといいましたが、なるべく高いところに維持する努力はできます。情熱は、燃やすだけでなく持続がより重要です。レースはもちろん、日頃の練習に対しても、一流のアスリートはセルフコントロールを身につけていると思います。競技に関してそうであれば、こういう新勧での流れに関しても、メンタルのマネジメントは可能だと思います。

あと、大事なのが「ボートが好き」、「ボート部が好き」。新勧する側のボートに対する気持ですよね。こういうのは、やっぱり新入生には伝わりますよ。


新勧ではいつも、新入生のモチベーションを高めるのが大事ですし、そのためには自分たちの新勧に対するモチベーションがさらに大事です。「組織においてはお互いモチベーションを高めあうのが大事」と以前言いましたが、何についても言えることなんですよね!
「コーチはモチベータ―だ」と言われます。しかし、コーチだけではありません。「誰もがモチベータ―たれ」というのは、人と人が関わり合う場では、常に重要なことだと思います。

そして、レースや練習に向かうときと同じように、「熱く(気持)、冷静に(理性)」新勧をして、多くの人の気持を動かしてください!
人を惹きつける魅力が、人を巻き込むことができるパワーが、新勧での成功につながります!

では、新勧の方法について考えていきましょう。

新勧というものを、以前記事にした「マネジメント」の観点から、考えてみたいと思います。


大学ボート部の新勧における顧客とは、新入生です。まれにボート経験者もいるかもしれませんが、基本的にはボートを知らない一般の新入生に対してボート競技やボート部をアピールしていくことになります。

新勧というのはいってみれば、多くの部やサークルと競い合って、新入生という顧客に「ボート競技」という商品を、「ボート部」という環境や組織を選んでもらうことなのです。有望な新入生を獲得するための自由競争なのです。
我々は、「ボート競技」そのものの価値を売ろうとします。しかし、ライバルは手ごわいのです。「野球」「サッカー」「テニス」「バスケットボール」など、多くのメジャースポーツとの競合に勝たなければいけません。また、真に強敵なのはボートの売りと似ている「大学から始める人が多いスポーツ」で、例えば「アメフト」「アーチェリー」「フェンシング」「ラクロス」「ヨット」などいろいろな競技があります。
そもそも強力なライバル、「サークル」との争いに勝たなければなりません。彼らは「楽しい」「ラクだ」「友達がたくさん作れる」「自分の都合に合わせて参加できる」「バイトやほかのサークルと掛け持ちもOK」「彼氏・彼女もできる」「上下関係はあまりないし、幹事をやったりサークル運営は社会経験にもなる」「他大との人脈もできる」など、実に強力な売り文句を持っていることでしょう。
(少し失礼な言い方をしてしまってすみません。要するに楽しいイメージばかり売って、ハードルを低くし気軽に入れるような謳い文句が多いということです)

ボート競技は認知度がなく競技人口も少ない中で、これはなかなか厳しい争いです。ここで単に、他の競技と同じように「ボートはすごく楽しいスポーツだよ」というのでは、弱いような気がします。
そもそも、競技の良さをアピールするだけでは、これは「製品」「商品」そのものを売ろうとする企業と同じではないでしょうか?

そこで、『マネジメント』にはこうあります。製品からスタートしてはならないと説いています。「顧客」からスタートせよと説いています。
つまり、大学に入ってきた一般学生が何を求めているのか?一般学生のニーズを満たすことが、新勧では重要なことだと考えます。
「すなわち、現実、価値、欲求からスタートする。我々が何を売りたいかではなく、顧客が何を買いたいかを問う。
『われわれの製品やサービスにできることはこれである』ではなく、『顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである』と言う」
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

そう、理想としては一般学生、大学に入ったばかりの新入生が価値ありとし、必要とし、求めている満足を満たすことだと思うわけです。
おのずから「ボート部に入部したい」というまでになるのはまだまだずっと先の話にしても、新入生が求めているものをボート部に入ることで得られる、そこをアピールできるはずなのです。

新入生の現実・価値・欲求とは何でしょうか。
以下に挙げてみます。

まだ高校を卒業したばかりで、大学生になるにあたって人間的に成長したい。そのための環境に身をおきたい。社会人になる前の基礎をつくりたい。
大学という新しい未知の場所で、多くの人との出会いがほしい。信頼できる仲間をつくりたい。自分を受け入れてくれる居場所がほしい。自分を知ってほしい。自分の価値を認められたい。必要とされたい。
自分の殻を破りたい。可能性を試してみたい。自分が飛躍できる何かを見つけたい。自分を高めたい。自分を変えたい。
一つのことにチャレンジしてみたい。新しく打ち込めるものがほしい。本当にやりがいのあるものを見つけたい。

そのほかにも、人によっていろいろなニーズがあることと思います。
こうしたことに対し、ボート部に入ることで実現できるよ、ということを伝えてあげればいいのです。
これらはほかのスポーツやサークル活動でも、同じように言えることではないかと思われるかもしれません。そのとおりです。
しかし、新入生自身がこれらのニーズを表に出すことは多くないと思います。初対面の人に本音を打ち明けることはなかなかしないでしょうし、そもそも本人が気づいていないこともありえます。それを、新勧で新入生との人間関係を築いていく過程の中で、気づかせてあげるようにマーケティングしてあげればいいのだと思います。
私はそもそも、ボート部がたくさん入部者を増やすには新勧のプロになるつもりになればいいと考えています。どの部にも、どのサークルにも負けない、最高の新勧を目指すことです。
人気の部やサークルが人を集めるということに対抗するには、新勧の力や魅力によって、入部者を増やすのです。

ボート部にあってサークルにないメリットとは何か。強力な売り文句を持つサークルの勧誘とは、確実に差別化ができます。逆転の発想をします。

「ボートはキツいよ」「練習はしんどいよ」「学校の友達と遊ぶ機会は減るかもしれないけど、同じ目標を持って競い合った一生の仲間ができるよ」「合宿生活だから、自由はそんなにないけど、だらだらしない規則正しい生活。集団生活の良さを感じられるし、大人数の食事は楽しいし。家族みたいな部のつながりは他には得られない絆」「バイトもあまりできない。合宿生活だから。でも、こんなことは今しかできない。得られることがいっぱいある。お金では買えないものが、たくさん得られる」「彼氏・彼女はがんばればできる(笑)。自分に自信がつくし、ボートを真剣に漕ぐ姿と練習で培ったボート体型は本当に格好いい」「組織をまとめる責任感は半端じゃないが、先輩から受け継いだ部を強くするための運営はサークルとは比べ物にならない経験ができる」「同じ競技者としての他大やOBの人脈はとても貴重だし、先輩後輩の絆、何より同期は一生ものだ」「お互い、強くなりたい、勝ちたいという成長を望んでいる理想的な人間関係の中で、精神的にも肉体的にも人間的にも成長できる」「体力はもちろん、コミュニケーションの力がつく」
基本的に、「楽しい」を売りにしているサークルと逆で、厳しい・辛いからこその「真剣にがんばっている」組織だというアピールができるのですし、その上での成長や感動や信頼や人脈や経験などとても多くのものが得られるということ、これらを新入生と本音で話せる部分というのは大きいはずです。

どこまでを新入生に伝えるかという問題もあります。「練習時間が多い」とか、「合宿生活」という現実を、最初は言わないやり方もあると思いますが、どうしても入部後に新入生のイメージと現実のギャップが生じてしまうと思われますし、いらぬ誤解や不信を生んでしまう可能性もあります。
ちなみに、R大学では昨年18名が入部しましたが、「練習は厳しい」「合宿生活(寮生活)」ということを最初から堂々と伝えていった結果、いま現在退部者は1人も出ていません。これは現役部員の意向によるもので、自分たちのやっていることに誇りをもって新勧をしたことが、よいアピールにつながったようです。これだけが理由ではないと思いますが、入ってみて「話が違う」というような誤解がないように新勧をすることは、お互いにとって大事なことです。
これらの伝え方は部によっての方針にも関わるでしょうし、やはり最初のハードルを低くしないことには人数が入らないという考えもありますので、慎重に部で話し合って決めるべき点だと思います。最初は通いで徐々に慣れてからとか、いろいろな方針があるはずです。正しく魅力や価値をアピールしたいのは同じです。
個人的に、私はせっかく入ってくれた部員がやめてしまうのがいやなのです。毎年たくさんの人にボートに関わってほしい一方で、退部者など離れていく人を可能な限りなくしたいという考えが私にはあります。もっと人を大事にしたいと思っています。


それから、もちろんボート競技自体のアピールも重要です。しかし注意したいのは、「ボート」そのものではなく、「ボート」を選ぶことで得られるイメージや価値を新入生に伝えることが大事なのです。
今の段階ではまだまだボートはマイナーであるがゆえに、こちらでも他との差別化が可能です。これは大きな武器です。「ほかのスポーツにはない」価値の提供ができます。

今なら、まさに「オリンピックへの挑戦」「東京オリンピックを一緒にめざそう」ということが最高のタイミングで言えるでしょう。これはアメフトやラクロスには残念ですが、ボートならではの売り文句です。もちろん、その他のオリンピック競技も言える台詞なので、彼らに負けないアピールをしていきましょう。そして、「大学日本一をめざす」「初心者が多くスタートは横一線なので、上位が狙える」というフレーズも、大学から始める人が多いいくつかのマイナー競技とともに売りにできる点だと思います。
他にもボート独自の売りは、いろいろあります。「水面を滑っていくような爽快感はほかでは味わえない」「仲間とクルーを組み、同じ一つのボートを進めていく、この一体感がボートの醍醐味」「エイト種目は花形で、皆の憧れ」「究極のチームスポーツ」「シングルスカルという個人種目もあり、多くの種目とほとんどの部員が試合に出られる」「初心者からでもトップレベルをめざせる」
多くの写真やパンフレット、PVなど、ビジュアルでアピールをして、新入生に視覚的にもイメージをしてもらいましょう。
基本的には、ボート競技自体に興味・関心を持ってもらい、格好いいスポーツだ、やってみたいと思ってもらい、とにかく試乗会でボートを実際に体験してもらうというのが新勧の王道です。
(新歓期間に、試乗会でボートコースにて他団体の練習クルーの方には迷惑をかけるかもしれませんが、新勧に必死なので、どうかご理解とご協力をお願いします!)


そして、最後に「自分」をアピールしましょう。
せっかく、ボート部は魅力的だ、ボート競技は格好いい、と思ってもらえても、「こんな人のいるところには入りたくないな」となってしまってはいけません。
部員の人間性というものが、最後には決め手となるのです。自分を売り込み、相手に強く印象付けておぼえてもらいましょう。
誘ってくれたボート部の先輩に憧れを感じた、優しい、熱い、人柄が素晴らしい、熱心に口説き落とされた、というように「人間性」で勝負するのです。「類は友を呼ぶ」と言うように、熱い先輩は熱い新入生を引き寄せることでしょう。人が人を呼ぶのです。
「○○さんがいたから入部しました」という言葉をもらえたなら、これこそ新勧冥利に尽きるというものです。



このように、新勧で新入生を入部に導いていくためには、新入生のニーズに合った「ボート部の価値」、そして「ボート競技のイメージ」、「ボート部員」、これら3つをアピールしていきましょう。
そこから色んな売り文句や行動が生まれてくるのではないかと思います。

ほかにも、たいへん多くの秘訣やノウハウがあるかと思います。
ビラやパンフ、PVには写真や映像の魅力を詰め込むのも大事ですが、そのハートをキャッチするコピーやメッセージ、提案は、新入生のニーズに合ったものか。新勧で新入生と出会い、アプローチを重ねて説得していく中で、心に響く言葉と行動を示すことができるか。新入生その人を知り、ボート部員である自分を知ってもらう中での、よりよい人間関係づくり。
毎年研究を重ねていくことが必要ですし、新入生の気質や求めるものも時代によって変化していくことでしょう。新勧を究める道に終わりはありません。

そしてできれば、「たくさん新入部員を入れる」「部員をやめさせない(続けられる)工夫をする」「新入部員を育成して部を強くする基礎をつくる」ということをセットにしていけるとよいと思います。新勧・継続・育成の3点セットで計画を立てましょう。


繰り返しますが、新勧とはボート部にとって「強化」「普及」につながり、組織としても「存続」「発展」する上で最も重要といってもいい毎年の大きな事業なのです。

さあ、毎年毎年、1年1年が新勧においても勝負の年。
これはインカレに対しても変わりませんし、むしろインカレより新勧が最も大事であるということをこのブログでは一貫して強調してきています。ボートブログでこれだけ新人勧誘や普及に対して熱く語っているのは他にないと思います。(ボートブログ自体が今や希少かもしれませんが)

今回は、2014年2月のブログ開始当初の時期に書いた記事、「新勧必勝法」シリーズです。
10年前の記事ですが、今もなお、いやいっそうのこと新勧の重要性は最も高く、チームにおいて最重要事項です。
本来なら11月頃から、いや、年間で新勧を向上させる取り組みをするべきなのですが、やはり春が近づいてきていますので新勧担当者だけでなく全体で新勧意識を上げていく助けになるよう、ぜひ1年生の方にも大きな関心をもっていただけるよう、掲載していきます。





今回は、新勧を取り巻く状況を見ていきましょう。

その前に、用語のおさらいです。
「新勧」と「新歓」はよく混同して使われるのですが、微妙に意味が違います。

「新勧」は、その名のとおり「新人勧誘」「新入生勧誘」の略です。ボート競技はどうしても一般の認知度が低く、メジャースポーツに対してのマイナースポーツに位置づけられてしまうので、待っていれば新入生が入部を希望してくるということはほぼありえません。こちらから新入生に直接アプローチして、入部をすすめる、勧誘をしていくということが必要なのです。勧誘というと色々あるのでやや言葉のイメージが悪いのですが、競技や部のアピールをしていくことはどうしても必要で、企業の広告・宣伝や営業活動に似ているわけですね。体育会も、文化部も、サークルも皆それぞれ新入生に入ってもらうための勧誘活動を展開しています。モラルとルールを守った中で、正しく、新勧をしていくことが重要です。その中でいかにボート部に入ってもらえるか。

「新歓」は、「新人歓迎」「新入生歓迎」の略ですね。入学してきた学生を歓迎するための行事のことです。「新歓コンパ」とか、新入生や新入社員を歓迎して食事や飲み会が開かれるのも、「新歓」の言葉を使いますよね。私が現役の時は、4月の勧誘は「新勧」、すでに入部した1年生を歓迎し飲食店で催す食事会のことを「新歓」と呼んで使い分けていましたね。
しかし、歓迎するといっても、よく「新歓コンパ」を催すサークルなどは、やはり新入生が入ってくれることを期待して開くわけですから、現実には「新勧」と「新歓」は混同して使われています。
どちらがいいのかというのは、その微妙なニュアンスの違いによって使い分けるとよいのではないかと思います。

そもそも、PCやスマホで「しんかん」と入力して文字変換すると、「新歓」のほうしか出てこないので、「新歓」のほうが何だか一般的で多数派です。ITの影響はボート用語をはじめ、豊かな日本語を駆逐する恐れがあるのではないか!?「じょうてい」は「乗艇」ではなく「乗挺」と出てくるし、「一艇身」と打ちたいのに「一挺身」が出ることがあります。身を挺するわけじゃないんですけどね・・・。「そうしゅ」「ていこ」とか「がっしゅくじょ」など、変換にひと苦労の昨今です。しかし、安易な変換ミスをゆるさない、ボートマンのプライドを大事にしたいものですよね!(意味なく力説してみます)



基本的に、新入生はチラシ配りや個別説明などの「新勧」をくぐり抜け、「新歓」行事を渡り歩いてその部やサークルの活動内容・メンバーの人間性・人脈など社会性・雰囲気・組織の良さ・自分に合ったところなのかどうかなどを見極めていく上で、比較して決めていく過程や時間がどうしても必要です。そのために大学が用意したのが、「新歓期間」であるわけなんですね。
このあたりが、企業と就活生の採用プロセスに似ていなくもないところではありますが・・・。企業のほうも、有名どころの大手はもちろん、そこまで知名度のない企業であればさらに大手に負けないアピールのための多くのエネルギーと工夫が必要になるのは当然のことなのです。


多くの大学で認められている、学内で勧誘活動をしてもいいですよという新入生歓迎期間。(新歓期間)
入学式前後のおもに4月にこの新歓期間が設けられていると思いますが、実は大学によってかなり事情が異なるようです。

少し調べてみましたら、国立大は約3~4週間ほど設けられているところが多いようです。また、大学によっては2月、3月のうちから合格者に向けてビラ配りや説明会が許可されているところもあり、ボート競技の理解ある大学では語学クラス対抗のボート大会を4月に開催し、新勧の後押しとなるイベントを催す大学もあります。全学規模のボート大会を開催する大学はいくつかあります。国立大の新勧への熱意や努力は、常々見習うべきものがあると思っています。
かたや、私立大。課外活動に対してなかなか理解も協力も最低限といったかたちで、東京のR大学、G大学、M大学、H大学あたりを筆頭に学内で勧誘活動が認められているのは4月上旬のわずか1週間ほど。R大学やH大学はキャンパスによって5日間か、もっと少ない場合もあります。関西の私大も似たような感じみたいです。この限られた時間の中で、新入生に対して怒涛のように勧誘をしていくのです。(大学内で新歓活動をしてもよい期間で、もちろんこの期間以降も大学外では新勧を継続します)

私立ではスポーツ推薦のある部には手厚いが、それ以外の勧誘活動に対してはさまざまな歴史的経緯などもあるのでしょうが、期間が短すぎる印象があります。新歓時期のトラブルや事件が過去にあり、特に規制を強めている傾向があります。事情は分かりますが、このように、大学によっての新勧の条件の違いというのも、各ボート部の規模の差に出てきているところがあるような気がします。
実際、非セレクションの私大にとってはあまりにも時間がないので、期間を延ばしてもらったり公認団体として大学へ理解を求めて行ったり、もっと協力を引き出したりなどの働きかけがもっと必要なことは間違いなさそうですね。他部やサークルへモラル遵守や協力を呼びかけることも必要かもしれません。


ともかく、基本的に合宿生活などで入部への精神的なハードルの高いボート部は、この新歓期間で目標に掲げる一定数の部員を入部させないとアウトです。これ以外の期間で途中入部者が出ることは、ほとんどないからです。
まず新勧では、一般学生にアプローチができる新歓期間に、いかにたくさんの新入生に声をかけてボート部をアピールできるかが勝負です。そこで興味を持ってくれた新入生に、試乗会や食事会などの次のステップに誘うという手順が必要となります。
「体育会やサークルが大学の中で新歓やってるのは、○日までの今だけ。大学で新歓期間が決められているからね。だから、この期間中によく考えて決めないとどこにも所属できずに学生生活を送ることになってしまうよ」という事実を、まず新入生に伝えたほうがいいと思います。
充実した大学生活を送るためにどこかに所属したいと考える新入生は、さまざまな候補の中からどこを選ぶか、その期間の中で一生懸命考えてもらった方がいいわけです。
極端にいえば、大学4年間がその数日や数週間で決まってしまう大事な決断となるので、新入生の立場や気持ちに立った対応をしたいところです。

その中でいかにボート部に入ってもらえるようにするか。次回は具体論を見ていくことにします。


2024年、最初のブログ更新がたいへん遅くなってしまいました。
この「Rowingの志」ブログを開始してついに10年を経過し11年目に突入いたしました。もうまったく未知の世界です。
昨年の同シリーズでふれましたように、今年から、「日本ボートのゆくえ」のタイトル改め「日本Rowingのゆくえ」と題してまいりたいと思います。しかし、「日本ボート」と「日本Rowing」の呼び方はブログ内では併用していくかもしれません。

ブログ更新が遅くはなりましたが、今年はいよいよパリ五輪2024のオリンピックイヤーとなります。
オリンピック開催は、コロナ禍という未曾有の世界的疫病などの災厄がない限りは予定通り行われます。時間は待ってはくれません。このパリ五輪で、新しい日本Rowing飛躍のきっかけにしていただくよう、Rowing界全体で盛り上げていく必要がありますね!


この時点になって、明けましておめでとうございますとは言えませんので、本年も皆様のご健康とご発展とをお祈り申し上げます。
実は私、1月1日の正月早々に重い風邪を引いてしまいまして・・・。若干心身ともに挫けた年始スタートとなりました。思えば、このブログを書いてきた10年は個人的には健康との戦いでもありました。まだ続いてはいますが、自らの身体というものは、スポーツパフォーマンス的にも健康的にも一生向き合い自己マネジメントや自己探究の旅でもあります。自らの心の面もそうですが、それを続ける先にその時点での答えをいつも探していく必要があるのだと思います。

また、1月1日には喉の痛みを自覚し始めた午後に、あの揺れを埼玉県で感じました。車を運転して信号待ちのタイミングだったのですがはっきりと感じるあのゆらりとした大きな揺れ。これは遠くで大地震が起こってしまったと感じた関東の方多かっただろうと思います。能登半島地震に被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早く復興がなされ日常に戻れるよう願っています。
石川県Rowingの津幡や金沢、小松などでは幸い大きな被害は少なく、練習環境的にも現状トレーニングができる状況であると聞き及んでいますが、能登半島近辺に実家等がある方々は被災されておりRowing関係者をはじめ大変なご苦労の中にあることを僭越ながら心配しております。
空港での惨事もありました。皆さん、2024年の年始に災い続きでネガティブに感じた方も多かったかもしれません。2024年、甲辰、大丈夫なのかと。
しかし昔から言われているように、禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し。災い(不幸)と幸福は表裏一体、代わる代わるやってくるものです。一喜一憂せずに、事業を成し遂げるためにはマイナス要素、試練や障害を乗り越えて、目標に全力で向かうのみだと思っています。どんなに困難や災いが降り注いでも、それを乗り越えることで目標に向かう。スポーツが教えてくれる大原則です。だからこそ、自分にとって、そして関わってくれる周りにとっても、大きな価値と意味が生まれるということですよね。
震災復興、チーム目標の達成、日本Rowingの勝利。もちろん災害復興とスポーツが一緒というわけではありませんが、どれにおいても、難しく、困難がつきまといますが、苦労や課題を乗り越えて、不可能なことを可能にしていくために周りの力を借りて全力で向き合い目標達成に邁進することで、大きな成果と喜び、そして学びや自分と周りにとっての大きな意味と価値が得られるのだと思うのです。








さて、それでは2024年の日本Rowingの展望を見つつ、ゆくえを占ってまいりたいと思います。
2022年に第100回全日本選手権という節目の記念大会がおこなわれ、2021年東京五輪翌年に五輪会場である海の森水上競技場を使用しての盛大な大会となったのは周知の事実。この海の森というオリンピックレガシーを利用して今後も全日本ローイング選手権をはじめ、多くの大会開催をしていく流れになるかと思います。
そしてまた、1974年に全日本選手権から枝分かれして始まった全日本大学選手権「インカレ」も、2023年に第50回記念大会を迎え、インカレは次の半世紀に突入していくことになります。

今年、2024年はどんな歴史が作られるでしょうか。
すでに今年度の大会日程が確定しているようです。
日本ローイング協会 大会情報

国内大会
2/15(木)   SBS予選タイムトライアル 戸田 (予備日2/16金)
2/26(月)~28(水)  SBS本戦  戸田
※その後の選考で、シニアA代表、B代表と、U23のA代表、B代表を決定
※パリ五輪代表選考については日ロ―より今後のシニア選考方針にて発表予定

3/22(金)~24(日) 第35回全国高校選抜ローイング大会 兼 JOCジュニアオリンピックカップ 天竜
5/25(土)~26(日) 第74回全日本社会人ローイング選手権 戸田
6/20(木)~23(日) 第102回全日本ローイング選手権 海の森
7/6(土)~7(日)   第15回全日本マスターズレガッタ アイエス総合ボートランド(宮城県登米市)
7/27(土)~8/4(日) パリ五輪 イル・ド・フランス国立オリンピック海洋競技場(ヴェール・シュル・マルヌ)
7/27(土)~28(日) 第44回全日本中学選手権 川辺(岐阜県)
8/9(金)~12(月) 第72回全日本高校選手権 本明川(長崎県)
9/4(水)~8(日) 第51回全日本大学ローイング選手権 戸田
9/7(土)~8(日) 第64回オックスフォード盾レガッタ 戸田
9/14(土)~17(火) 第78回国民スポーツ大会ボート競技 富士しゃくなげ水上競技場(佐賀県佐賀市)
10/18(金)~20(日) 第65回全日本新人ローイング選手権 戸田
10/27(日) TOKYOレガッタ2024 海の森


これによりますと、まず代表選考。ご周知のとおり、SBS(スモールボートセレクション)がさらに昨年より少し繰り上がった日程で、2月中におこなわれます。これくらいの早い日程でないと、五輪予選に間に合わないわけですが(アジア大陸予選4/19-21、世界最終予選5/19-21)、その後のおもにクルーボートの選考において時間をかけて決めたい強化委員会の意図もあるでしょうね。アジア大会でも明らかなように、日本Rowingは今やアジアでも確実に五輪出場権を獲得できるとは全く言い切れません。アジアのライバルの強化策が上回っていれば日本はM1X以外五輪に出ることができません。簡単な話です。日本の強化策と組織力、選手のパフォーマンスが上回れば、スポーツは実力の世界ですので五輪には出ることができます。
すでに現在の強化合宿中の段階から、世界を意識していないといけないわけです。
現状では、ここ2年ほどにおいてシニア代表でのエルゴは個々にはA川選手、T田M弘選手などオープンと軽量級のトップで伸ばした選手もいますが全体でそれほど伸びてはいないので、そろそろ行われる2月の記録にも期待をしましょう。

(シニア男子)2023年12月2000mエルゴ体重別%IDT(12/26)
(シニア女子)2023年12月2000mエルゴ体重別%IDT(12/26)

私は思うのですが、例えばエルゴベスト4で日本4-など組めないかなと・・・。
日本8+はノウハウの面でも組織力・資金力の面でも確かにまだ現実的ではありませんが、フォアという種目は若干それらが劣っていても速いクルーを作ることができると考えています。

日本M4-案  カッコはシーズンベストでなく自己ベストと思われるスコア
S:A川選手(5'54)、3:S間選手(5'58)、2:Y尾選手(6'07)、B:O山選手(6'03)あるいはO塚選手(6'07)

すでにA川選手は昨年世界選手権の活躍でM1X優先出漕権を得ているため現実的かどうかはさておき、あくまでクルー案の例ではありますが、このように、エルゴスコア(クルー平均6'01~02)でベストの4人のフォアを組み、国内合宿で時間をかけて徹底して最速日本M4-の艇速を高めれば、体重も含めてエルゴ的には5'50切りの艇速を出すことができると思うのです。ギリギリ五輪Final Aに行けるかというあたりの艇速ではありますが。日本の課題はエルゴスコアとともに艇速技術ですので。最近は、エルゴに見合った艇速を出す技術はまだまだ上げられるのではという印象があります。
エルゴ優先で日本M4-、一回組んでみたらどうかとは思うのですが。リオ五輪まではLM4-挑戦していましたし。
トップがクルーボートを組むことでそういうところから全体のフィジカルアップを促し、その実績と経験で次の五輪メダルにつなげていくという強化ができれば・・・などと想像はしています。
もちろん、トップクルーだけが勝負するのでなく、これに絡む選手がどんどん伸ばして、M2-、M8+、M2X、M4Xと出てくれば日本Rowingチームとして理想です。
そしてもちろん、日本の軽量級は世界選手権では常に上位争いする陣容を継続してほしいですよね。


また、日本W4-は、勝負できる完成度が出てくれば、これは挑戦しそうな雰囲気が現状ではありますよね。
日本W4-案 カッコはシーズンベストでなく自己ベストと思われるスコア
S:Y川選手(6'39)、3:C条選手(6'57)、2:S原選手(6'54)、B:T野選手(6'56)

いま現状でベストのW4-はアジア大会銀のC条選手、S原選手、T野選手、K野田選手でしたが、やはりここはあえてY川選手ですね。たぶんバウサイなのでストサイチェンジが必要になります。あるいは、C条選手、S原選手、Y川選手、T野選手で技術の高いT野選手をストサイにする手もあるかもしれませんね。エルゴ平均6'51のW4-ができるので、6'30切りも可能ではないでしょうか。しかし、このタイムもFinal Bは確実ですが五輪決勝はやや足りないので、無風6'25までいければメダルが見えてくると思います。
こちら女子も、W2-、W2Xを中心に世界レベルを用意して、W4-トップクルーみたいな体制を作り、オープンの人材がもっと増えればいつか8+プロジェクトを始動したいですよね。世界の国の戦略のように、どれか日本のトップクルーの艇種を確立することです。
もちろん女子も軽量級は常に世界トップを争う意識と体制で。軽量級種目というのは、オープン種目以上に見応えのあるレースや漕ぎが多い。やはり階級の差は必要だと思いますので、世界選手権ではもちろん世界最高峰の舞台として、そして五輪でもロスの次では種目の復活を模索していきたいですよね。

世界のスタンダードのエルゴスコア、艇速タイムと戦ってそれを確実にクリアする。その意味で日本のRowing意識自体が上がれば国内だけでも強化ができますし、あとは世界に出ていって絶対勝てる、周りをみおろすくらいの精神状態で勝つために遠征できるようになること。世界戦をこなして自分たちの位置と課題の確認ですね。そして海外の環境や食事、レースそのものへの適応。そこをつかんで、パリとそしてその次のロスまで勝てる強い日本への5年間を過ごしてほしいですね。



そして2024年レーススケジュールに話を戻します。5月に全日本社会人が前倒しになりました。
そして6月に全日本選手権で、少し意外なスケジュールになりました。私は今年オリンピックイヤーであるためパリ五輪が7月下旬に迫っているので、これまでのように5月や6月に全日本をやらずに10月頃にずらすのかなと予想していましたが、五輪の1カ月前に日程を決めましたね。まあ、色々な考えや都合があるかもしれませんが、まずは五輪優先で日本Rowingには動いてもらいたいと思っています。五輪代表選手にとっては全日本に出るにしても五輪のほうが本番ですから。これは他競技見ても一緒の話ですね(全日本が早めに行われて五輪代表の選考会になる競技多いですが)。
五輪代表とはならなかった社会人トップ選手においては、全日本社会人が全日本の1カ月前にあるのはむしろ例年以上に本気度が高まりそうです。もちろん、トライアル的な意味合いが出ますが、色々試しつつ8+を分けたりすでに種目を決めているチームは重要度が増すでしょう。
学生は、やはり苦戦が予想はされますがしっかり仕上げてきたチームはもちろん優勝を狙い、全日本の種目半分以上のタイトルを学生がとれるように。全力でチャレンジしてほしいですね。


マスターズは、昨年悪天候によって戸田コースが水位上昇、残念ながら中止となってしまいました。今年は登米市アイエス総合ボートランド、つまり長沼ボートコースで開催となりますので、大いに年長ボートマンの方々活躍してきていただきたいです。


そして9/4~8の日程で、第51回インカレです。
海の森という噂もありましたが、戸田で開催となっています(話し合いはあったでしょう。しかし、私もインカレは戸田開催に賛成派です)。そしては今年も9月上旬で5日間の日程です。台風来ないでほしい。来るなら8月中までで。
大学生だけの日本一を決める大会、果たして今年は新たなヒーローが生まれるでしょうか。あるいはやはり強豪が強さを見せる大会となるか。新勧を頑張って、ぜひインカレ出漕数ももっともっと増やしていきましょう。全国的に創部も増えてほしいです。








国内大会も盛り上がりたいですが、Rowing競技の発展に欠かせない国際大会での活躍。
海外の大会もスケジュール確認しておきましょう。

おもな国際大会
4/12(金)~14(日) ワールドカップⅠ イタリア・バレーゼ
4/19(金)~21(日) アジア・オセアニア大陸オリンピック予選、パラリンピック予選 韓国・忠州
5/19(日)~21(火) オリンピック世界最終予選、パラリンピック世界最終予選 スイス・ルツェルン
5/24(金)~26(日) ワールドカップⅡ スイス・ルツェルン
6/14(金)~16(日) ワールドカップⅢ ポーランド・ポズナン
7/27(土)~8/4(日) パリ五輪 イル・ド・フランス国立オリンピック海洋競技場(ヴェール・シュル・マルヌ)
8/18(日)~25(日) 世界選手権、U23世界選手権、U19世界選手権 カナダ・セントキャサリン
8/30(金)~9/1(日) パリパラリンピック イル・ド・フランス国立オリンピック海洋競技場(ヴェール・シュル・マルヌ)
9/6(金)~8(日) 世界コースタルローイング選手権 イタリア・ジェノバ
9/13(金)~15(日) 世界ビーチスプリント選手権ファイナル イタリア・ジェノバ
9/11(水)~15(日) 世界マスターズ ドイツ・ブランデンブルク


このようになっております。


先ほどふれたように、7月下旬にパリ五輪が開催されます。
現状、A川選手によりM1X種目のみ五輪優先出漕権を確保。
それ以外の種目は、まず4月中旬に韓国でおこなわれるアジアオセアニア大陸予選で五輪出場をめざし、そのためにSBS本戦を勝ち抜き代表クルーを編成する。強化委員会、代表コーチの立場から見るとすると、できるだけレベルの高い争いをしてもらい、その中で出場枠がとれそうな種目をできるだけ多く編成したいところです。
アジアオセアニア大陸予選での枠は以下のとおり。
M1X(5)※A川選手がとっているため日本は出場しないと思われる
LM2X(2)
W1X(5)
LW2X(2)
実はこれだけなんですね。ではオープンはというと、全部、5月中旬にスイスのルツェルンでおこなわれる世界最終予選、ここですべてのオープン種目が2枠のみ、つまり前年世界選手権と各大陸予選で出場枠をとれなかった世界の国が、上位2か国という狭き門を争います。オープンで上位2位になるには、どの種目も基本五輪Final Bの実力がないと勝ち残れませんが、例えば男女2Xや男女2-の2人乗り種目は五輪出場枠が全体で13か国、男女4Xと男女4-の4人乗りは全体で9か国、そして男女エイトが全体で7か国だけとなります。ですので、種目ごとに実際にはレベル差が存在すると言ってよいかもしれません。
これに対し、男女1Xは全体で32か国、男女軽量級2Xは16か国であり、他の種目より出場しやすそうな印象を受けます。ただし、1Xは確かに1位から32位までかなりレベル差がありますが、軽量級2Xは、軽量級1種目だけなので大変ハイレベルです。

SBS本戦をおこない代表候補を決めたのち、日本としてはまずやはりLM2X、LW2X、そしてW1Xを最優先にクルー編成をおこない、アジア大陸予選を突破できるクルーを選んでいきたいところでしょう。そして、やはりW1X種目は五輪出場の可能性がかなり高いと思われるので、日本のローイング競技の五輪の実績や今後を考えても最も強い選手を選ぶのではと正直考えられます。私としては、世界トップに伍するクルーボートを日本は志向してほしいところでありますが。まずそこだと思うんですよね、日本Rowing全体のレベルアップと意識アップとして。1人のスーパースターだけを育てる競技ではないと思いますので。
色々な現実と考えはあると思いますが、果たしてどんな編成になるか。そして、世界最終予選でもハラハラドキドキするような戦いは見られるのかどうか。SBSにチャレンジするハイレベルな戦いから、期待しております。


さて、それからパリではパラリンピックもあります。日程はオリンピックの1カ月後の8月末から9月頭。欧米のパラの超人的なフィジカルの強さも聞いていますので、日本としては現状は最大限達成できる目標を設定し、素晴らしいレースをしていただきもっと普及に力を入れていくのが重要であると言えるでしょう。


今年はオリンピックイヤーなので、8月中旬には世界選手権、U23、U19がカナダのセントキャサリンで併催されます。
オリンピックイヤーということで、シニアの世界選手権については非オリンピック種目のみ開催、男女軽量級1X、男女軽量級2-、男女軽量級4Xの6種目のみ。これは日本からはシニアB代表として派遣するかどうか。また、パラ種目も非パラリンピック種目が開催となっています。
U23、U19は通常どおりの種目ですね。そろそろまた、A決勝で戦う日本が見たいところです。


そしてコースタルローイング。こちらは、9月に2週に分けてイタリアのジェノバで開催。
長い距離を沖で漕ぐ世界コースタル選手権よりも、おそらくあのダッシュして500m漕いで砂浜に戻ってくるスタイルのビーチスプリントを日本は重視するのではないかと思います。2028年ロス五輪で正式種目となったのはビーチスプリントです。
しかし、2023年、世界ビーチスプリントでは日本は苦戦しました。五輪正式種目となったことで、5年後の本番をめざし、各国が強化に本腰を入れればやはりどんどん競技レベルが高くなっていきます。その世界との強化レースにおいて、日本は世界の列強を上回る人的投資、経済的投資をして、強化ノウハウを高めてながら実戦経験を無限に積んで代表チームを強くしていかないといけないのです。まずは強化の組織強化と予算向上をしていく必要があることでしょう。クラファンで努力されている現場の思いと、これにやはり協会からの主導した強化策と計画がやはり合わさっていくことが重要なのではないでしょうか。








2024年、それぞれが、それぞれのカテゴリーの中で優勝めざしたRowingで、熱い熱い戦いを展開していきます。
そのカテゴリーでのボートマンたち。新しい「日本Rowing」の名のもとに力を合わせ、大きなチームとして、ファミリーとして、意識や思いを共有し一丸となる。それぞれのレースでトップをめざしチーム力を発揮していきましょう。
甲辰(きのえたつ)のごとく、「新しいことに挑戦して成功する」。「これまで準備してきたことが形になる」。そして、一番最初に、昇り龍のように空へかけあがる日本Rowingを具現化し、Rowing界全体で大きなエネルギーと意志を高めていきましょう!