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だいぶ日があいてしまいましたが、11月におこなわれたヘッドオブ瀬田に参加した全日本大学ローイング連盟の秋合宿について振り返り記事となります。
ヘッドオブアラも振り返りたかったですが、やはり大学連盟の話がボリュームがありますのでヘッドオブ瀬田だけの単独の話で完結したいと思います。



ヘッドオブ瀬田
11月11日(土)~12日(日)に瀬田川で開催されたヘッドオブ瀬田(Head of The Seta、略してHOS)は瀬田川大橋から下流の平津で折り返し、また瀬田川大橋に上って復路をとるという、往復約7kmのコース。全体で174クルー、延べ519人がエントリーしており、関西の大学やクラブ、OBチームなどがこぞって参加し今年も盛況でした。

その中で焦点をあてたいのは、大学連盟によるヘッドオブ瀬田レースへの参加です。
大学連盟とは、「全日本大学ローイング連盟」が正式名称です。
2022年に大学ボート部の監督を中心に発足したこの連盟、その中に設置された強化委員会の委員長であるD大・T田監督が中心となって計画された合宿になります。
今年3月3~5日の3日間、春の戸田で「連盟合宿」という合同練習が開催されましたね。その模様は当ブログでも詳しく取り上げさせて頂きました。
「全日本大学ボート連盟の合宿開催!~合同合宿の素晴らしさ」

そして秋になった11月に、今度は戸田ではなく瀬田でこの大学連盟が秋合宿をということになりました。本当の意味で合宿とはいかなかったかもしれませんが、全国の希望者を募って多くの大学による混成エイトとしてのヘッドレース参加、という形をとって強化活動をおこなったというわけです。
当初、連盟合宿の際に掲げたねらいは以下のとおりです。
「この合宿は「できる人」を選抜する場ではありません。「もっと強くなりたい」「もっと速く艇を進めたい」と思う人が集う場です。思いを強く持つ者たちが集い、同じ場で漕ぎ、議論する場です。ここで得た情報を自身の大学に持ち帰られ、学生ローイング全体がさらにレベルアップすることを企図しています。」

さらに、参加してもらいたい人として、
「自身の所属チームのみならず、学生ローイング全体のレベルアップに貢献したい人。」

という、これまで行われてきたような「強化合宿」とは少し違う目的や理念をめざしている、そんな内容だったのです。
ヘッドオブ瀬田へのレース出漕となった今回についても、同じ趣旨のもとに実現したといってよいでしょう。
とはいえ、今回は土日の2日間のみで、しかも土曜9時に集合し、リギング乗艇をして夕方に懇親会。
本番のレースは日曜日の9時以降となり、10時半に片付け、記念撮影をして解散というかなりタイトなスケジュールとなっていました。ですので、ゆっくり参加した学生同士が多くを語り合うという時間まではじゅうぶんではなかったかもしれませんが、それでもたくさんの選手たちが全国のライバルたちとともにクルーを組み仲間として交流する意義はたいへん大きく、こうした交流自体が目的であるとともに、これによって知り合った選手同士が自分たちのチームに多くを還元しまた大学ボートの発展をめざすということが強化につながる。大学連盟の強化委員会の目的にも沿う取り組みとなると言えるのです。




以下に掲載するのは大学連盟によるエイトの参加リストです。レース結果も掲載させていただきます。

M8+5クルー、W8+2クルーということで、全国の26大学、男子46人、女子17人の選手合計63人が瀬田の連盟合宿に参加し8+でヘッドレースをしました。さらに、サポートメンバーとして6大学12人のマネージャーや選手の参加。主催の大学連盟として監督コーチの指導者が10人参加したということです。


※シートは間違えていたらすみません
※写真はS田漕艇倶楽部よりY田様撮影を使用させて頂きました


M8+MA
タイム結果22'35
M8+MA Y田様
S:N篠S之介選手 M大3年
7:K保田D斗選手 H政大3年
6:M田T明選手 O阪工大1年
5:H澤S選手  R大1年
4:M野A哉選手 K沢大1年
3:O原S里選手 N体大3年
2:D達M慶選手 K戸大3年
B:T上T夢選手 H島大3年
C:M部Y輝選手 N古屋大2年





M8+MB
タイム結果22'28
M8+MB Y田様
S:Y村Aきら選手 K應大3年
7:T山K希選手 H橋大3年
6:M.S翔選手 O阪大3年
5:O田K太郎選手 N古屋大2年
4:M上Y次郎選手 K西大2年
3:T島Tおる選手 K畿大2年
2:K田R太選手 T北大2年
B:I福Y斗選手 T国際大3年
C:M山R汰郎選手 R大1年





M8+MC
タイム結果22'01 ※折り返し超過11秒含む
M8+MC Y田様
S:W辺A斗選手 H政大3年
7:T峰S健選手 K應大3年
6:S藤S介選手 M城教育大3年
5:M岡K二選手 K沢大2年
4:O南K一郎選手 E媛大2年
3:M田T希選手 K西大2年
2:Y田Y斗選手 H島大2年
B:Y田K大選手 R大2年
C:T中S武選手 R谷大3年




M8+MD
タイム結果22'26 ※折り返し超過36秒含む
M8+MD Y田様
S:S森Y雅選手 N体大3年
7:I地知H斗選手 T国際大1年
6:U路T也選手 W大3年
5:K賀R斗選手 O阪大2年
4:S倉K介選手 T取大1年
3:K田T汰選手 K畿大2年
2:S谷M大選手 K戸大3年
B:T森S吾選手 S台大1年
C:S川T樹選手 K戸大3年





M8+ME
タイム結果21'51
M8+ME Y田様
S:H.Y輔選手 S台大2年
7:K藤K佑選手 T北大3年
6:M口S平選手 S賀大1年
5:S藤R樹選手 M大1年
4:I井T夢選手 O阪工大3年
3:F村K士選手 K西学院大1年
2:N村H貴選手 R谷大3年
B:Y陵S太郎選手 D大3年
C:Y井田Y磨選手 O阪大2年





W8+FA
タイム結果25'36 ※折り返し超過27秒含む
W8+FA Y田様
S:T中Aおい選手 O阪大2年
7:S戸山Y里選手 H島大2年
6:K澤M月選手 N体大1年
5:I篠M子選手 H海道大1年
4:H原R子選手 T取大1年
3:I東Yうか選手 T北大3年
2:K尾H菜選手 O山大2年
B:S田K音選手 H橋大3年
C:I井C尋選手 K戸大3年





W8+FB
タイム結果25'04
W8+FB Y田様
S:K本Y佳選手 S台大3年
7:O向R子選手 H海道大3年
6:M井K望子選手 K戸大3年
5:T橋R子選手 N体大1年
4:K政M妃選手 K西学院大1年
3:W邊Aみ選手 E媛大2年
2:M山Yずは選手 D大2年
B:F井M以里選手 R谷大3年
C:O野A紘選手 T北大(男子COX)3年







というわけで、どのエイトも即席の急造にもかかわらず、しっかり約7kmを漕ぎ抜いていきました。
今回参加した大学は、3月の連盟合宿でも参加していたチームは多かったですが、H橋大、E媛大、K沢大など今回初参加もありました。その中でクルー編成を見ますと、経験者の私大と、未経験の国立大・私大がある程度バランス良く振り分けられたことで、経験者をストロークペアやバウペアに配しつつ、真ん中の漕ぎやすいシートにエイトをまだ漕ぎ慣れない選手を入れてクルーとしてまとまりやすくするシート順に変更するような、話し合いの後が見られた感じがします。最初のメンバーリストからかなりシート順を変えている感じがあったわけです。
また、航路取りや折り返しのペナルティについてはCOXの経験も問われるところがありますが、特に折り返しはエイトの急転回はかなり難易度が高いので、これは仕方ないところもあったかなと思います。広い川で大きなエイトを旋回、180度転回させつつわずか2分で再びハイレートでスタートしていくのは、これはけっこう慣れないと難しいのです。





それでは最後に、今回の連盟合宿に参加しての感想を見て頂き、冬のトレーニングそしてまた2024シーズンに向けて今回ともに参加したライバルたちとの再会と成長を誓って大きなモチベーションにしながらまずは自分たちのチームの発展を、そしてひいては大学ローイングの活性化と発展へと、めざしていきましょう。
ちなみに、前回の戸田での連盟合宿は参加選手55人中28人が東日本、27人が西日本とほぼ半々でした。
今回の瀬田での参加選手は63人中26人が東日本、37人が西日本で、瀬田だったので6割近くが西日本の参加でしたね。サポートメンバーについても12人中7人が西日本でした。

応募者、希望者がかなり多いようなので、参加希望を出しても参加できないことも多い人気の連盟合宿であります。(今回、10月に募集して27大学95人の募集があり、結果的に7艇のエイトの人数である63名の参加となりました。しかし、レース参加者に帯同して合宿に来た部員もいたとのことです)
ぜひこれからも連盟合宿に参加希望をしていって、全国の大学ボートの活性化につなげてほしいと思います。


合宿に参加しての感想
COX・M選手の場合


今回、瀬田で行われる連盟合宿に、チームで何人も参加希望を出したが自分のチームでは2年漕手1人、1年漕手1人、そして1年COXである自分ということで、3人が参加できることになった。
いざ連盟合宿に参加してみると、他大学は2~3年生の参加が中心であり全体のレベルはそれなりに高かった。自分は未経験の1年なのにあえて参加を希望したわけだが、自分のことに手一杯になりがちだったので、2~3年生のほうが気づきが多かったりより深い議論ができたのではないかということは感じた。

土曜日は9時にK都大艇庫集合で、オリエンテーションの説明の後すぐにリギングを開始して昼までの間に乗艇して確認をした。14時からも乗艇の時間を確保してあったが、ほとんどは明日に備え乗艇はしていなかった。
16時からヘッドオブ瀬田主催の懇親会(於:フルカワハウス)で、参加は任意。代表のA川さん、T田C愛さん、N原さんのパネルディスカッション。その後HOS1日目の表彰式があった。
そして18時からも懇親会で、立食形式のパーティーがあった。(於:LaCOSSO)こちらが大学連盟主催の懇親会だった。
2023HOS 懇親会


2日目は7:45にクルーごと集合し、アップをして9時レースに向けていった。
そしてレースが終わり、11時K都大艇庫に集合して記念撮影をし、解散となった。

以下に、感じたことや今回の連盟合宿での気づいたこと、考えたことなどをまとめていきたい。

コーチから言われたこと
「艇は外力を与えなければ進まない」ということ。当たり前だが、何となく進んでいると錯覚せずに常にその力を与え続けているかどうかを確かめながら漕ぐことが必要だ。

漕手から言われたこととして
●技練のときこそCOXは声を出すべきということ
●間違えてもいいからとにかく喋ること。
●他大の漕ぎを比べたときに一番差が出るのはフィニッシュからセットにかけて。
●ドライブでは二段漕ぎは絶対にダメ。フィニッシュまで全部つなげる。
●レースでは残りの距離をこまめに伝えること。

COXから言われたこと
●とにかく陸ではRowingの勉強をできる限りすること。
●たくさん艇に乗ることで慣れてくるので、感じられることが増えていく。
●感じたことをどんどん漕手に伝えて、フィードバックをもらう。
●頻繁にアベレージタイムを伝える。(艇速、タイムを常に漕手に意識させる)

A川さん、T田さん、N原さんの話
●エルゴが回るということから、代表を意識できるようになった。
●練習のしすぎには注意する。体調を崩してしまうため。
●試合前のルーティーンは特に決めない。それができなかったときに良いパフォーマンスができなくなるかもしれないから。
●レース前のアップは特別なことはせず一般的なアップ内容をしている。

そのほか、普段と違うコースとヘッドレースの雰囲気
●瀬田川は、荒川と比べて川幅が狭い場所が多く、結構曲がっている。中央にブイがあったため、より曲がっているように感じた。
エイトがいっぱい出ていたからかもしれないが、波も荒川より瀬田の方が多い気がした。
●ヘッドレースの雰囲気については、連盟合宿のクルーはそこまで明確な目標を立てていなかったので他の大会ほど緊張感はなく楽しめた。

レースについてと、自分自身の振り返り
H橋大のT山さんがクルーリーダーとなり、フィニッシュからセットにかけて各大学の個性が出ていたためストロークのY村さんに合わせることを意識してレースに臨んだ。
自分としてはヘッドレース自体初めてで、ランニングスタート、長い距離でのレース中の展開についてうまくいかないところもあり課題が残った。乗艇中はY村さんとMさんにアドバイスをもらうことが多く、コールが少ないこと(技術的なこと、他艇との距離、残りの距離など)、コール内容が抽象的なことなどを指摘された。
しかしレース後にはコールやラダーを褒めてくれた先輩も多くそれは嬉しかったが、ボートを始めてまだ半年の1年生の割には良くやったということで褒めてくれたのではないかとも思ったので、もっと期待値や要求を高めてもらわなければいけないと自分自身に言い聞かせたい。
終わってみて、すぐ後ろから迫るCクルーに追いつかれそうになりながら何とか逃げ切れて、終わった達成感もありながら不満や課題も残るレース後のクルー全体での感情を感じた。しかし短い時間だったが仲良くなれたのではないかと思う。
自分自身として、褒められたこともあり自分もうまくやれたという点はラダー。ここは自分の強みとして今後も伸ばしていきたい。課題はやはりコールだ。自分の今の一番の課題であり、その最大の原因はクルーの漕ぎの状態を把握できていないことだろう。他大のCOXにも言われたが、何回も乗艇してその把握ができるようにしていきたいと思う。
最後に、今回の交流とヘッドレース参加の機会を今後に生かし、チームに還元していきたい。










大学からボートを始めた1年生として、まだ経験値は高くない段階ではありますが大きな経験ができたのではないかという内容でした。

ほかにも参加した選手やマネージャーのみなさん、この合宿での機会や振り返りをブログなどにつづっていましたので参加して良かったという声を掲載させていただきます。




なんだか、同じ艇に乗っただけなのに漕手達はみんな距離感が近くなって仲良くリギングしていて、羨ましいな~なんて思っていました。午後は、都合が合わずに出艇しないクルーが多かったようです。
そういうこともあって、お昼は他大の方々とご飯を食べに行きました。新歓の話、モチベーションの話、エッセン代の話(どこも厳しいみたいですね泣)などなど…。限られた人数でしたので、深い話をすることができたように思います。

夕方には、懇親会がなんと2つもありました。
S田漕艇倶楽部主催の懇親会には、残念ながら私は出席する機会を逃してしまったのですが、参加者はとっても満足そうに帰ってきました。有名な方々とのツーショット写真がグループLINEのアルバムに追加されていて、微笑ましい限りです。
(私はK都大のマネさんのエッセン作りのお手伝いや、艇庫内の見学をさせてもらっていたら時が過ぎていました…。それも楽しかったです!!)

連盟主催の懇親会では、K都大さんと合同練習をさせていただいた4人も合流し、食べ飲み放題のとっても豪華なパーティーでした。協賛企業の方々とお話して就活(?)をしている人達、他大の監督の方々とお話している人達、もちろん、他大の学生たちとお話している人達もいました。完全に自分の定位置の無い、立食式の慣れないパーティーにおろおろしてしまいましたが、オイシイ-ノミモノの力もあってか、なんとか慣れていないなりに頑張れたと思います。個人的には、マネさんの参加が多分私1人で、とーっても肩身が狭かったです、、。もう少しマネトークできると思ったのに。泣
しかしながら、自分のコミュニティを広げることができましたし、完全フリーの立食パーティーというなかなかない場を経験することができました。懇親会の費用を負担してくださった企業の方々、企画してくださった連盟の方々には本当に感謝です。

2日目は、Head of Seta本番です。
こんな急造クルーで大丈夫なのか?と思っていましたが、流石ですね。3年K藤が乗っていたMEクルーは、1位を獲得しました。他にも、ほぼ連盟合宿クルーでエイトの上位独占です。
いつもと違う水域、メンバーでのレースはとても新鮮で、学ぶものが沢山あったかと思います。

また機会があったら是非参加したい!!と、皆が声を揃えて言うような、とても実りのある合宿でした。私たちの知らない所で、本当にたくさんの方々が関わって下さったと思います。これまでも、そしてこれからも、そのような方々への感謝の気持ちと、それを表現する、言葉にする、伝えることを忘れずにいようと思います。この合宿の成果を部に還元すべく、これまで以上に気合を入れていこうと思います。






懇親会では、A川選手、N原選手、T田選手のお話を聞くことができました。
世界で戦っている選手だからメンタルもフィジカルも全く違うのかと思いきや、意外と自分達と変わらない面の方が多いなと感じました。
同じように、弱気になることもあって、レースで攻めきれないときもあって、ボート部の生活で人に気を遣いすぎることもある、かけ離れた存在じゃないんだ、と感じました。

2日目はついに本番です。
みんなで作戦会議、アップをして船に乗りました。
20秒おきに1艇ずつスタートするレースなので、スタート地点付近でO阪大から連盟合宿に参加した他のメンバー3人やO阪大OBエイトがいたり、ごちゃごちゃしてて面白かったです。
アップが終わったと思えばすぐスタートの呼び込みがかかり、そのままスタートしました。
練習の課題として、レートを上げるところで百発百中うまく上がるって感じではありませんでしたが、本番は、最初からみんなで攻める漕ぎができてうまく乗せられたと思いました。
私は整調でリズムを崩さないことに必死で何も言えなかったけど、長いレースの中みんな声かけしてくれて、なんとか最後まで崩さずスピードもキープして漕げました!

乗せて頂いた船は、D大の2022年インカレ準優勝艇WILD ROVER JOEです。
D大の方、船や設備を貸して頂きありがとうございました!
また来年の試合シーズンにお互い成長した姿でみんなに会えるの楽しみにしてオフシーズン頑張ります!!

(ハイレートで6キロ漕ぐことなんてそうそうないだろうと思っていたら、今度の乗艇メニューに組み込まれてるそうですね。
瀬田川で漕げるならホームの淀川は何とかいけるんじゃないかなって思ってます。)









最後に、大学連盟の強化委員長、D大・T田監督の言葉で締めさせていただきたいと思います。


会の冒頭に強化委員長として、このように挨拶させていただきました。

「インカレに出場しても対戦相手を大会プログラムの名前でしか知らないとかありませんか?相手チーム個人のこともよく知らず、大学の名前だけで相手が強いとか、弱いとか思い込んでませんか?そんな残念な状態になってませんか?折角スポーツをやる以上、普段のライバルと会って、話して、食事して、一緒の艇に乗って、仲間とローイング楽しみませんか?楽しみの上にしか強さは積みあがらないですよ。」

そういう当たり前のことが大事だと言いたかったのです。

ローイングのリアルな仲間を増やし、その末に数年後にこの学生たちが指導者となって、強い横のつながりでローイング界を盛り上げてくれれば、強いローイングに向けて自走してくれると信じています。
この活動は3月(戸田)、11月(瀬田)でやっています。準備は大変ですが、確実に手ごたえがありますので継続していこうと思います。









また2024シーズン、全日本選手権で。インカレで。
大きく成長した姿でともにレースをして、レース以外でも交流してボート仲間の絆を深め合い、そしてお互い高め合ってください!
Rowingの仲間は、SNSの中ではなく、ネットの中ではなく、現実にリアルな存在として冬を、そして夏を、ともに戦い励まし合うことができるのです。
2023大学連盟 秋合宿 集合写真








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2023年シーズンの日本Rowing界における重大ニュースといえば、私が個人的に選ぶ10大ニュースは以下のような感じでしょうか。
(重大ニュースと10大ニュースって、どちらが使われることが多いですかね?)

10位 M方高W4X+、インハイ5連覇達成!(2020年特別大会も含めれば6連覇)※男女通じて5連覇はインハイ史上初
9位 S々野選手(元○TT)、COXとして単身イギリスRowingへの挑戦!
8位 R命館大、W4+でインカレ6連覇を達成!
7位 アジア大会、W4-とW8+が銀メダル!M1Xも銀メダル!
6位 T田M弘選手(K電)、エルゴ軽量級日本レコードの6'10"0を記録!
5位 日本LW2Xの国公立大出身コンビ、K島選手(K沢大~T田中)、H内選手(O阪市立大~MY生命)がワールドカップ、世界選手権、アジア大会の代表に選ばれ出場!
4位 O山R之選手(W大)、大学エルゴ日本レコードの6'03"1を記録!(2022年12月の記録ではありますが)

そして2位と1位は迷いました。

3位 A川選手、世界選手権M1X8位(世界選手権M1X日本史上最高位)でパリ五輪優先出場権を獲得!
2位 A川選手、ワールドカップ第2戦で日本人オープン史上初となる3位銅メダル獲得!(準決勝では日本史上最高6'42"82をマーク)

そして1位は・・・、
1位 NZの東京五輪金メダリスト2名を乗せたT紡織、7連覇中の○TTを破って全日本M8+初優勝!

M8+T紡織1000 JARA


こちらですね。
世界でのインパクト、日本Rowing史上最高の快挙、という点ではやはりA川選手のワールドカップ銅メダルなんですよ。日本人がオープンウェイトで世界大会においてメダルを獲ったんですからね。こんな空前の快挙は日本Rowingはじまって以来、百年の歴史の中で最大のニュースです。しかも6'42というぶっとびの日本M1Xレコードのおまけつき。

しかし、あえてT紡織M8+初優勝を1位に推したのは、NZの代表2人が漕ぐM8+が優勝を果たし、それは多くのヒントと今後日本Rowingが世界に飛躍していくためのきっかけに、必ずなるだろうという大きな出来事だったからと感じたからです。
それは、こちらのインタビュー動画を見せてもらって、日本Rowingへの希望や衝撃を与えてくれたからです。
もうかなりの方がご覧になっているようですが、まだの方はぜひ見てみてください。


Interview with Shaun Kirkham (TOYOTA BOSHOKU ROWING TEAM)

限定公開ということですが、ぜひT紡織の方にはずっと公開にしてほしいと思っています。
こういった内容を、ぜひとも日本Rowingが「Rowing」誌などで掲載してほしいのですが、近年はこうした記事を載せることは難しいようなので、熱心な関係者たちが自ら発信していくしかないようです。
こちらのインタビュー動画、どうやらD大OBの方が制作されたとか!?しかし、NZとも関わりのあったようすのS藤さんがインタビュアーでNZのショーン・カーカム選手にさまざまなことを質問し色んなノウハウやRowingに大切な話を引き出してくださっています。ショーン選手が非常にクレバーであるということがよく伝わってくるのですが、S藤さんの受け答えや質問、そして日本語訳の表現力もこのインタビューの魅力を大きく増幅してくれていると感じます。Rowingをよく知る人たちによるインタビューなんですね。だから、引き込まれるしさまざまなヒントやアイデアがちりばめられているのです。





ここからは、インタビュー内容が分かってしまうのでネタバレになります。
ぜひまだ見ていない方は動画を見終えたあとにお読みください。

キャッチ、スイング、リズム。
たいへん重要な考え方ですね。成功するクルーはポイントをいくつかだけに絞って、合言葉のようにそれを繰り返し徹底します。

ギア比について。
これは日本Rowingにとって、大きなきっかけになるかもしれません。私自身、強豪国のハイレートを見てきたのでSR40以上の志向も持っていましたが、個人的に高いレートは必要だとは思うが、ショーン選手の言うように日本人クルーはギアが軽すぎる傾向はあるでしょう。自分たちの体力レベルやパワーに合ったギア比を試してトライしつつも、しっかり艇を動かせる重いギア比は今後必要かもしれません。ショーンも言っていますが、「段階的に上げる」、こうしたステップを踏むことは重要でしょう。

水平に漕ぐために、むしろストレッチャー位置を下げる。
私は正直、ストレッチャーが高い方が好みだったのですが、ショーンが言うには強いキャッチポジションを余裕もってとるためだと。確かに、柔軟性としてやや硬い選手は、ストレッチャーが高いと弱い姿勢になってしまいます。

キャッチとフィニッシュのオールの角度をストレッチャー位置により合わせる。
たいへん同感です。特にキャッチでオール角度が揃っていないクルーで速いクルーはほとんどいません。

バイキングキャッチよりもサムライキャッチで。
もうとにかく、リラックスの重要性ですね。

直進性。
これもなるほどなと納得させられる話でした。確かに、サイドのどちらかが強いということは迷信のようなもので、いわゆる「強い」サイドは、「曲げている」だけに過ぎません。まっすぐ進めようとすれば、サイドの漕力やパワーに差があっても、まっすぐ進めることができます。しっかりキャッチして、ドライブでは真っ直ぐ艇を動かす意識でドライブしてください。真っ直ぐ進みます。

身体の小さい選手が大きな選手に必ず勝てる。ダビデがゴリアテに挑む。
これは日本人を本当に勇気づける言葉ですね。本当にそうです。そう信じることがすべてです。日本は世界で勝てます。

ひとつの宗教を作る。
これも思わず納得の話です(笑)。全員がそれを信じて、ひとつの考え方、イメージのもとに統一する。ある表現としては宗教にもなるし、チームという言葉にもなるし、一丸にまとまるという表現にも到達する。
Rowingは合宿をして、同じ共同体で考え方やキーワードなどを共有し言葉や文化を創り上げ、ストイックに崇高な目標に向かっていく。これはまさに宗教的でもありますが、スポーツ自体が宗教にも似た活動です。ただし、宗教というと日本人にとってはいかがわしく怪しいイメージもあるし、精神性と社会性や個人主義と深く結びついている欧米人とは大きく違う宗教観があるわけですが、スポーツも、科学も、人のあらゆる文化的活動も、さまざまな団体行動も、宗教という表現にもなるし他にも色んな言い方ができる、人間の営為です。
宗教論はこのブログでも何度かやってみようかと思っていたテーマの一つですが、たぶん受けが良くなさそうなので書くことは避けて実現はしていませんでした。神や教祖を信じるわけではないのですが、気づけば「Rowingの神様」とか、「Rowing界のカリスマ」とか、やはりそうした存在や考え方は、Rowingを真剣に取り組む人ならどこかに信じていたり崇拝していたりもしますからね。
そうなると、怪しい考え方ではないし、人はやはり文明の初期から宗教心とともに歩んできたわけだし(日本人も例外なく)、受容しながら学び深めていくことは大切かもしれません。私はもちろん新興宗教は大嫌いですが・・・。謙虚で真摯でひとつの方向へ一途であることは、宗教に認められる前に、人が経験的に大切な心構えとして受け継いできたものなのだと思います。





とにかく、日本のRowingにとって、まだまだ世界の素晴らしきボートマンから学ぶことがたくさんあります。
世界のトップを走る国々、東京五輪M8+金メダルに輝いたNZをはじめとして、先人の知恵や経験をもっと学び、私たち自身がそれらを生かし発展させながら、艇速、ボートスピードという表現として世界に示していきましょう。T紡織チームが、2人の偉大なメンバーに学んでともに初めての栄光とかけがえのない経験を手にしたように、日本Rowingも高みへと飛躍していきたいものですね!







2024年、新入生勧誘を大成功させて、黄金期のボート部を作り上げていきましょう!
新勧は春だけやればいいわけではありません。すでに戦いは始まっています。

戸田では戸田コースで練習する高校1、2年を対象に合同進学説明会が11/23におこなわれたとのことです。
保護者を含め説明を聞きに来た高校生は150人。
これに対し、11大学が大学やボート部の紹介をしながら、具体的な入試制度の説明などをしていったそうですね。
11大学は以下のとおり。
A学大、H橋大、W大、G習院大、S台大、T大、H政大、I城大、R大、T経大、D大

未経験者中心、経験者中心とそれぞれスタイルの違いはありながらも、現在ではボートを頑張っている高校生には、どの大学もぜひボートを続けてもらい1年後、2年後にボート部に入ってほしいということなのです。
高校ボート部員はもちろん最も有力な候補ですし、そして未知のスポーツも漠然と考えているその他多くの高校生にもできるだけ大学ボートの魅力をアピールしていきたい。
少子化の流れが加速する中、カレッジスポーツの意義と魅力とをこれまで以上にアピールし、競技人口を工夫次第で増やしていく最大のチャンスが大学、高校、そして中学や地域クラブでの新勧なのです。

今回はやはり大学新勧を通じて、受験生、春から大学生という層に早くからアプローチをしていくヒントと、対面、オンラインと二刀流での新勧について参考になればと思います。

SNS、広告、イベント、PV、さらには各種メディアなどあらゆる媒体を駆使してローイング競技、ボートというスポーツを広めてください。

試乗会はたくさん用意して!!
そして試乗会に来てくれたなら他をたくさん見て回るのを勧めるのもいいけれど、ボート部を一番に勧めてなるべく新入生のスケジュールをボート部で埋めてもらうように。何度もリピーターになってもらい、しっかりボート部の練習に自然に通ってもらうまでアプローチし続けましょう。






新入生との、対面とオンラインのダブルのつながりによって出会いを増やし関係性を構築してボートに魅力を感じてもらえる取り組みをするプロジェクトが、今年も春からまたはじまります。

対校戦やインカレよりも大事な、人を得るための活動です。いちばん大事です。
何度でも掲載します、必ず目標達成!その熱い気持が、新入生の心を動かします。そして、新入生の気持に立って、新入生が必要とするニーズに応えてください。大学で成長できて多くの出会いがある場としてのボート部を、純粋に競技としての魅力を感じてもらうためにボートそのものを、そして何よりボートに熱中し高い目標でがんばる何より魅力的なあなた自身を、アピールしていってください!





2024年シーズン、新勧で大逆転をはかるために。
今回は、2021年オンライン新勧での成功例を考察し、2024年はオンライン新勧で有望新人に対して先手必勝をとりながら、対面新勧でも勝利する、オンラインとオフラインのダブルでの新勧で圧勝していく戦略を考えていきましょう。
二刀流新勧です。

オンラインだろうとオフラインだろうと、決め手になるのは人間関係作りに尽きます。
最初のキャッチは、受験情報、学校情報、景品、新しい環境での友達作り、青春への憧れ、スポーツで結果を出してみたい、対面での短時間トーク、大学全体での新歓ムード、新しいことを始めよう的な多くのイメージ、さまざまなアピールなどなど色々あります。そのきっかけは人それぞれ、ボートに関心が出てくるポイントも人それぞれですが、その中で基本は人間関係です。
こういう人たちがボートという競技をやっているのならば自分もやってみようかな、そのファミリー感や親しみがボート新勧の最大の強みだと考えます。
考えてみれば、サークルや色んな団体も、自分を受け入れてくれる環境だというアピールポイントは共通するものがあります。ボートでは、その点が大学は遊びまくるぞという人よりは真剣に何かに打ち込みたいという真摯さを持つ人に合った環境だということですね。

是非、そういった新入生とできるだけ接触しキャッチできる、そうした機会を色んな手段で作るための工夫をしていただき、最初の入り口を大きく、広くするためのさまざまな方法を準備していってください。


そして、意識するのは「新歓」ではなく「新勧」です。新人を歓迎ではなく勧誘によって、迎え入れる待ちのウェルカムでなくて勧めてリードする攻めのスカウト、こちらから獲得する新勧をしていってください。
ただ歓迎するのは向こうから興味を持たなければいけませんが、多くの仲間を得るには勧誘によって、ボート部をこちらからアピールすることで新入生の考え方に変化をもたらし可能性を広げていき主体的能動的に巻き込んでいくことが不可欠です。
北風のように多少の強引さや押しも時には必要ですが、太陽のように明るく公明正大、コミュニケーションとオープンさと信頼が必要です。そしてチーム全体の熱意とエネルギーが新入生を惹き付けるのです。


そうでないと、強いボート部組織を作るのに必要な人数は揃いません。ましてコロナ禍で部員減が深刻な現状です。今シーズンから右肩上がりで部員を増やし、強いボート部、仲間の多いボート部、一生のファミリーを増やしていけるように勝負をかけてください。

「ボート部に入って仲間がたくさんできて本当に良かった。こんなにたくさんの同期に恵まれて真剣に競技と学生生活に打ち込めることは一生の財産になる」
そう思ってもらえるたくさんの人数の代を実現し、新入生にとって最高の環境を作るのは、上級生の皆さんにしかなし得ないのです。


さまざまな工夫で、チーム全員で目標達成に向かうこの4月の一体感や新勧自体を楽しんでいきましょう!







2021年4月29日記事

「シンカするシンカン―コロナ禍の中で―」



今回は新勧についての記事です。
2023年は各大学が対面も復活し新入部員数が確保できたチームが増えました。
しかしいっぽうで、苦戦した大学も少なくなかったです。

今回の記事では、コロナで思うような勧誘ができなかった中でも新勧で大きな実績を挙げているチームに注目してみたいと思います。
ビッグクラブ復活!そのようにして昨年の部員減少をなんとか挽回していきたいですね。
そして新入部員が入部者数としてだいたい確定するのは、例年だとGW明けあたりというところですね。国立大だと新歓期間が私大より長く4月いっぱいくらいまで継続するチームが多いです。しかし今回、GW前で新勧の入部者速報をお届けするのは、まだまだあきらめず多くのチームに新勧を続けてもらい入部者を少しでも多く増やしてほしいからです。
今年はとにかく勝負!まだまだ入部確定が少なめなチームも、10人、20人としっかり入部させていきましょう!!どのチームも、20人入ればしっかり確保できたという部員数ではないかと思います。大きいところは30人を重要ラインにしているかもしれません。そしてビッグクラブは40人目標、という時代になっているかと思います。






1.各チームの新入部員数速報
さて、まずは私の中で元祖大所帯イメージのT北大ですが、2019年に新入部員50人を達成し、前年の40人と合わせて112人にまで達し、部員100人体制を築きました。しかしながら、2010年前半頃は決して多くはなく、むしろやや少なくなっていた時期が続いていました。しかし、2018、2019年に一気に飛躍したのです。40人、50人と2年間達成すると、これは多くのチームが参考にすべき成功例ではないか。私大のビッグクラブの先達、D大も2016~2019年には4年連続でほぼ40名をクリアして最大135名にまで達し、大学ボート部大所帯ブームを巻き起こしています。そのノウハウはK都大にも影響しK都大も大きくなっています。
このように、それまでどちらかといえば少人数、中堅だった規模がある年に新勧革命が起こることでビッグクラブへと飛躍する。そしてそれはほぼ例外なくインカレの戦績向上に直結しています。

そのT北大でも2020年は新入部員わずか4人と、全国のボート部と同じく大苦戦されました。
しかし2021年、4月28日時点でなんと26人の入部が確定とのことで、100人体制に復活、鮮やかなV字回復を遂げようとしているそうです。私が新歓Twitterを参考に調べてみましたら男子17人、女子9人のようですね。なぜオンライン新勧中心でここまで入部者を増やせたのか?



それからT大は、4月26日時点で21人だそうです!T大も例年にもまして今年はたいへん新勧に力が入っています。新勧サイトの充実ももちろん、やはり新歓Twitter、連日新歓情報もりだくさんです。T大は今年特にOBOGの活躍、インタビューなどを特集して、ボート部の経験が社会に出て実際にこれだけ役に立っている、素晴らしいOBOGを輩出しています、ということをかなり全面に押し出している感じがあります。また、部員紹介も多く、T北大とともに部員やOBOGの情報を載せて、新勧でもボート競技アピールでも欠かせない「人の魅力」をしっかり伝えています。ボートの魅力の前に人の魅力に新入生も惹かれるのです。かっこいい人、魅力ある人がいるからボート部に惹かれるのです。



K都大も順調ですね、こちらは4月28日時点で1年生が18人、そして新2年生も入部しており2人ということで合計20人ですね。さすが2019年に大台の40人入部をクリアした一昨年の新勧ビッグ3です。



それから、常に度肝を抜く入部者数を誇るK戸大、こちらはなんと4月28日時点で44人入部!!
男子30人、女子14人だそうです。これはやばい。K戸大はいったいどんなマジックを使っているのか?なかなかその秘訣は調べにくいところがあるのですが、新歓Twitterは当然のように賑わっており、毎日新勧イベント情報と部員紹介がやはり多く、たいへん楽しそうな雰囲気がK戸大の魅力となっています。試乗会、各種ミニゲームなどイベントもりだくさん。
K戸大 新勧イベント
K戸大新歓Twitterより転載させていただきました。
この「ボート体験会」が試乗会ですね。試乗会ラッシュによって、多くの参加者数を確保しとても楽しい雰囲気や親しみやすさを武器に大量入部を実現しているようです。
オンラインでの履修登録会、K戸大の「Web新歓祭」という、K戸大の150もの団体による合同体育会・サークル説明会への参加などによってボート部イベントにつなげるという他の大学でも見られる手法かと思いますが、しかしすごい。K戸大の学内でボート部新歓は楽しい、すごいという評判や知名度も高いのでしょう。

これらの入部者速報(2021年4月末)はまだGW前なので、各大学とも5月半ばくらいまでにあと5~10人くらいは増やしたいところなのではないでしょうか。

K戸大 履修登録会
以前は新入生に対面でやってあげていた履修登録の相談も今はオンライン。
K戸大Twitterより




K戸大 試乗会
めっちゃ楽しそう~な試乗会。
こんな楽しそうな雰囲気の新勧イベントを写真や動画で必ずおさめて、たくさんTwitterやインスタに流す。自分も参加してみたい!と思ってもらう。これが新勧戦略。
K戸大Twitterより









2.T北大のシンカン
こうした個々のチームに対する新勧研究は、ボート界全体の新勧力を上げるため、活性化のため、T北大、T大、K都大、K戸大はじめ多くのチームの関係者の方々にはご容赦とご理解お願いいたします。

さて、この中でT北大についておもに調べさせていただき、その秘訣を考察しました。本当は実際の話やねらいなども直接お聞きしたいのですが、それはまた機会があればというところで、とりあえずここではT北大のSNSやHP等から読み取れる新しい新勧の傾向を探ってみました。


まず新勧というのは流れがありますね。
①最初にできるだけ候補となる新入生をキャッチして分母を増やす
②新勧イベントへの参加を促し、ボートとボート部のアピールをしていく。
③これを繰り返し、相互理解を深めコミュニケーションと情報のやりとりをさらに増やして入部合意に漕ぎつける


これがいわゆる私の分析する①ファーストコンタクト、②セカンドコンタクト、③サードコンタクトの3段階であります。
の大々的な告知・周知の人数、のイベント参加人数とアピールの質、の人間関係を深めるアプローチ、この質と量によって入部者数が多いか少ないかが決まってきます。

T北大新歓Twitterを見させて頂きました。大学ボート部の中には、すでに3月上旬頃の合格発表から新勧をスタートさせるチームも国公立大中心にあります。これらは入学式前の新入生の囲い込み戦略であり、発想は企業のリクルーター制度による就活での優秀な学生の囲い込みなどと似たようなものです。他部や他サークルに有望新入生をとられる前にとってしまえという青田買いの戦略です。
T北大は早い時期からの新勧に積極的ではなかった印象がありましたが、数年前からかもしれませんが、今年の新勧スタートは早かった。2月下旬の大学入試前期試験から受験生に対し手厚い情報フォローなどをしています。いや、さらに1月から共通テストのカウントダウンをTwitter上で毎日アップして、受験生への励ましとボート部アピールも開始しているのです。ちなみに、約30年続いた大学センター試験は2020年で終了、2021年からより思考力や判断力が必要となる「大学共通テスト」という名前となって共通一次テストの名称と内容が変わっています。

そして、2月からは連日ボート部員の部員紹介や、ボートの基礎知識などをまじえ、受験生とそして入試に合格した新入生へ必要な大学情報を盛り込んでボート部の印象を与える情報戦略がはじまっていきます。
オンラインならではです。
これまで対面新勧では、4月の新歓活動が解禁される初日から体力勝負、人海戦術でひたすらビラ配りと声かけをやる戦術が必要不可欠でした。できるだけ多くの新入生とファーストコンタクトをとらねばならないからです。しかし飛沫が飛び交うといってもいい濃厚なこの対面接触では、マスク着用とソーシャルディスタンスを守るとはいえ、コロナが落ち着くまでは制限によって機会が限られてしまいます。
これからのコロナ禍でのオンライン新勧では、「受験生と4月からの新入生に必要な大学の情報をできるだけ伝えることで、ボート部の存在をアピールしていく」方法が、ファーストコンタクトを増やす戦術になっていくのではないかと。そして各種新勧イベントの工夫による、セカンドコンタクトの充実です。








3.オンラインの合同新勧イベント
T北大の新歓Twitterを見ると、3月あたりからは各種動画も用意し、簡単な競技イメージのPRを開始していきます。この時点で、新入生のアクセスはまだ増えていないことが予想されますが、早くも大学に入ったあとのことを考える動きの早い新入生はボート部HPや各種SNSにアクセスする人も出てくるでしょう。すでにHPでは新勧情報は充実させておきます。4月完成では遅いです。

ボート競技を印象づける動画やアピールに加え、4月が近づいてくると大学の各学部の情報や入学式、各種オリエンテーションなどの情報もリンクしたりしますが、対面新勧ができれば従来どおりの勧誘活動もしていきます。

しかし、T北大では今年、4月10日と11日に「オンライン・スプリング・フェスティバル」というイベントをボート部主催でおこなったそうです。これが新入生を集める大きな新勧イベントとなりました。大学と交渉し大学公認イベントのお墨付きを得た上で、体育会や文化部など大学公認団体による全43団体のオンライン合同新勧イベントを開催したのです。ボート部が主導して主催してしまったのがさすがですね。
T北大 ONLINE SPRING FESTIVAL

オンライン合同新勧イベントのページ
https://peraichi.com/landing_pages/view/onlinespringfestival2021

各団体の先輩とオンラインで話し、質問をして何部の先輩かを当てる。当たったら豪華景品付きと言ったような特典付きであり、こうしたクイズやコミュニケーションを通じて最初のつながりを作る内容みたいですね。
景品や賞品は、お遊びの要素でしょうが、こうした特典は新勧のおもてなし、食事のおごりなど新勧戦術の王道ですね。

スカウトの前金とかと同じ?いやいやそんなことはない、賄賂ではなくあくまで抽選みたいなものでありこれらは全て新入生と話してボート部のアピールをしながらお互いコミュニケーションをとるための場を作るためのものです。新勧は新歓とも言いますね。新入生の入学を祝い、歓迎、歓待するためのもてなしです。新入生も大学生活を充実させるためにどこかの団体に所属したいのです。これがダメと言ったら、営業の接待とかのあからさまな歓待だけでなく、世の中のあらゆるイベントやおもてなしやサービスのすべてが批判されることになってしまいます。テレビもネットもCMも広告も飾りもお世辞も全部ダメという極論に行き着いてしまいますので、贈り物や特典はやはり大きなアピールや歓迎のひとつとなります。全ての商売、お金かけて消費者や取引先にまず投資して得してもらおうとしています。その上で利益を得たり世の役に立とうとします。イベントって、皆何かのメリットを求めて参加するものですからね。それが友達作りや人脈作りとなるのです。

このオンライン合同新勧イベントでは、以下のような新入生にとってのメリットを提供します。
①新入生の友達が作れる
②先輩と話せる
③色んな部が見れる

大学ではともに学びともに過ごすたくさんの友達がほしいですね。そして先輩と話して、学部学科の情報、テストや単位や授業やおいしい学食・お店など色んなお得情報、学生生活の情報、キャンパス情報がほしいですね。そして真に学生生活を謳歌し充実させるための課外活動、自分に合う部活サークルを見つけたいですね。

そしてまた、①を特化させるための前夜祭というのをT北大では用意しており、新勧イベントの前に新入生同士仲良くなるためのZoomミーティングも開催したそうで、これは同じ学部学科の友達を見つけるイベントとして、特に勧誘をしないイベントだったそうです。


この合同新勧イベント、しかしこれこそが参加者を個別にボート部新勧イベントにつなげていく重要なファーストコンタクトとなったことは言うまでもありません。この合同イベントで、色んな部活や団体を知ってもらうのも大切ですが、その中でやはりボート部を知ってもらいたい。

いうなれば、合同就職セミナー、合同就職説明会とまさに同じ、各企業の相談の市場です。就職をしたい学生が、どんな企業や業界・業種があるのか何も分からないところから少しずつ知って、情報を集めてどんな仕事がやりたいのか自己分析も始めていき、多くの企業の採用担当とのつながりを得ながら候補を絞り込んでいく。たくさん並んだ部活サークルの団体の相談イベントは、たくさんの企業が集まったイベントと同じく集客力があります。この合同新勧イベントによって、疑似企業ブースならぬ、疑似新勧ブースが作られているのです。かつての対面新勧では新勧ブースがずらっと並ぶはずですよね。それをめぐって、勧誘の波をくぐって、新入生は自分に合う団体や人とめぐりあう。

ボート部単体だとオンラインにおいてなかなか集客力を作れないが、多くの団体、できればT北大やK戸大のように全公認団体を集めるやり方でたくさんの新入生を集めます。その中でボート部の卓越した新勧力が生きてきて、他の団体よりもアピールができれば、大学で何か新しいことをしたいという意欲ある有望な新入生をボート部イベントに参加してもらうことができると思います。どの部活やサークルも新入生集めに苦労しているのだから、皆参加して、新勧力に磨きがかかっていきますね。新入生はコロナ禍が続けば、自然とこの団体の市場、団体の百貨店、合同新勧イベントに参加が年々増えていくことと思います。

また、新入生にとっては、まず新入生同士の友人ができること。これが大きい。そして、感染の心配なしに色んな部やサークルを見て回れるので、色んな団体を知ることができこれも大きなメリットです。
新入生が友人をたくさん作ることは、ボート部にとっても大きなメリットともなります。この新入生がボート部イベントに来てくれれば、つながった他の新入生も一緒に参加してくれるのです。また、「ボート部新勧イベント楽しかった!」とSNSで言ってくれれば大きな宣伝となりますし、入部した新入生は迷っている友人の背中を押してくれたり、イベント一回参加してみなよと新たな新入生を連れて来てくれます。大量入部のパターンでは絶対に必要な、友達を連れてくる、横のつながりで続々入部者が続いていく連鎖式に増加する入部パターンです。
大学の新勧イベントで知り合い仲良くなった友達。就活ではさしずめ就活情報を共有し励まし合う就活仲間といったところですが、就活で知り合った人が同じ企業にみんなで一緒に入ろうというのはなかなか難しいしある意味ライバルにもなるかもしれませんが、新勧においては友達全員、同じボート部に一緒に入ってもらいたいところですね。








4.オンライン新勧の工夫
このようにして、合同新勧イベントでファーストコンタクトをとるわけですが、T北大の新歓Twitterによると160人定員のところ、200人の予約があったということでかなり盛況だったようです。
この200人というのは、全員がボート部の入部者候補にはまだなりませんが、ビラ配りで確保した対面での200人よりもずっと、大学で何かをしたい、充実できる団体に所属したい候補ということで有力候補になりえる、入部の確率が高い存在とも言えます。この200人が文化系込みではなくスポーツをやりたい母集団ならなおさらボート部に合っていますが、文化系の人材も私ならもちろん最初に選手をすすめますが、ボート部ならマネージャー候補ともなっていきます。どんな文化系人間も、ボート部では活躍の場がありますからね。

そしてその後はT北大では毎日のようにボート部の新勧イベントを用意しており、まず新勧合同イベントで登録してもらったアドレスが名簿代わりとなるので参加者全員にイベントやアプローチを当然かけていくことと思います。
TwitterやインスタなどSNSでは新勧情報、ボート部情報をたくさん発信し続けます。このあたりがT北大のすごいところなので、ぜひ見習いたいですよね。何といっても、2年間で100人体制のビッグクラブに持っていったチームですよ!
T北大 新勧イベント
T北大Twitterより
埋め尽くされた4月の新勧スケジュール。合同イベントの合間にもボート部イベントがあり、多くのポジションごとに同時進行しながら複数イベントの準備と実行をしているのがわかります。

イベント参加を重ねると、スタンプラリーが増えてブラックサンダーがSWITCHに!?わらしべ長者もびっくりの出世魚ですね!しかしこうした景品はあくまで話題性を添えるだけのイベント要素。従来の食事会、一発芸などもそうですが、新勧イベントを楽しんでもらうためのゲームというかエンターテインメントの一つだと思います。本当の魅力はボートと、ボート部と、部員にこそあるのです!

そして、この中でボート部説明会が、従来の食事会や試乗会などに当たる重要イベントか。
T北大は実は4月はコロナの影響で活動禁止、合宿解散が続いていると聞いています。乗艇練習や艇庫での練習ができていないのです。ですので、今年は試乗会ができないというボート部新勧で手足をもがれたような状況で26人すでに入部させているのです。自宅で自主トレをしながらも、エルゴを持ち帰ったりZoomサーキットなどをやったりしてモチベーションに苦労しつつ、これだけの新勧実績を挙げているのです。
そういうわけで、試乗会ができない中、ボート部説明会ではさまざまなゲームやクイズ、イベント的要素を入れたようで、新入生を楽しませるいっぽうで、ボートの魅力、動画やオンラインでの熱いトークも新入生に話したりしながらボート部と部員の魅力が存分に伝わる熱いオンラインZoom対談がおこなわれたことは容易に想像できます。
T北大 ボート説明会
T北大Twitterより
ボート部説明会が、新入生とオンラインで話せることで入部にグッと引き寄せる、対面イベントに匹敵する重要なイベントとなった!この凝ったデザインも、さながら電子ポスターとして威力のある広告になったでしょう。


この4月17日からのボート部説明会で、一気に入部者が増えていったようです。
入部者が増えるタイミングはある程度、法則やパターンがあります。熱い先輩のボートへの思いが伝わり、楽しくもボートの魅力とボート部のたくさんの先輩の魅力が伝わったとき。新入生の自己紹介や話をしてもらう番になり、「今日は本当に楽しかったです。ボート部の入部を考えているんですけど~・・・」「ですけど、・・・??」「・・・入ります!」「おおーっ!やったー!ありがとう!!!」といった背中を押された場面ですね。そしてその熱がほかの新入生にも伝わり、続々と迷っていた新入生も入部に傾いていくという流れですよね。
4月17日に第1号の女子入部者が出て、そこからわずか10日で25名にまで入部者が続いたそうで、このイベントスケジュール表を見させてもらうと、入部者決定の推移が参考になりますよね。やはり説明会という重要イベントを中心に入部者が増えているようです。








5.新勧は人間関係づくりとコミュニケーション
入部というのは、人間関係から決まっていくのだと思います。
その意味では、方法が生身の接触による対面ではないオンラインによるものだろうと、Zoomの動画映像での会話や、オンラインでのたくさんのボート部の先輩が熱く語る姿を見て、だんだんボート部のことを知ってきて、先輩と直接LINEやビデオ通話テレビ通話などもやっていることでしょう、人間関係ができてきて、温かいLINEメッセージや自分に向き合ってくれるスマホやPC越しの表情を見たりして、心動かされていくのだと。

また、友達がボート部の入部を決める、これも大きな要因となります。
皆さんも振り返ってみてそんな経験あるのではないでしょうか。
私自身のことを申し上げますと、中学の時は卓球部に入ったのですが、仲の良い友達が入ったので深く考えずに同じ部活に入部することにしました。友達が別の部に入ったらそちらに入っていたと思います。彼は最初テニス部に入ると言っていて、私もテニスにしようかと思っていたのですがねえ。なぜ卓球に変えたのか。
それから、高校ではクイズ研究会というところに入ったのですが(笑)、たまたま見学に行って、そこで知り合った同級生と話すようになり何度か行っていたらその流れで入ることになりました。
そして大学ではボートに勧誘され、合宿ということで踏ん切りがつかなかったのですが先に入部を決めた同期の人柄が分かってから、仲良くなったし大丈夫かなと思って入部を決めました。4月末、ちょうど今頃の時期です(2021年4月29日記事)。
こうして見ると、かなり周りに流されやすい人間ですね(笑)。こんなに自分がない人間だったのか。

そういうことで、以前からの友達や、そこで知り合った同期の存在がなければ、一人では決して入部をしていなかったと振り返ります。新しい世界に飛び込むよりも、先に人間関係ができているかどうかがポイントだと思うんですね。
実際にボートの競技や世界にはまっていくかどうかは、その人次第ですが、入部するかの入り口は人間関係ができていることが大切だということです。先輩との縦の人間関係か、あるいは同期との横の人間関係。新勧ではどちらも重要です。

あとは、高校や中学だと先生との人間関係や、あるいは父母や兄弟、OBとの人間関係というケースもありますが、これは身近にボート関係がいるかどうかの、ボートに縁がある別のパターンですね。
縁もゆかりもなかった大学新勧の一般的なケースでは、短い期間にいかに人間関係を作るかなのです。短期に知ってもらい、信頼を築く。だから情報発信、SNSや電話やLINEやメールなどの通信、実際に会って話すなど、新勧は情報とコミュニケーションがすべてなのです。








6.オンラインで準備する情報量の多さは、対面コンタクトを多くすることと同じ
T北大の新勧のパターンでは、だんだんとボート部を知っていく中で新入生は入部に近づいていくと思いますが、最初のとっかかりはある人は受験情報の早い段階、そして入学間近の大学の情報、そして大学の部活などを調べたとき、新勧合同イベントに参加して。あるいはどこかSNSで流れてきたりリツイートやフォローした新勧情報だったかもしれない。
最初は軽い気持ちで、何もボートのことなど知らないが、しかしT北大のすごさが部のイベントに参加するようになって、だんだん分かってきます。

T北大の場合、
受験情報→大学情報→部活紹介→競技紹介→合同イベント→部単独のイベント→個別コミュニケーション
という段階で入部に近づいて行くと思いますが、どこから新勧ルートに入っていったかは新入生によってそれぞれですね。

しかし、だんだんT北大のことを調べようと、もっと知りたいと思ってHPや新勧パンフなどボート部情報を見てみると、おそらくそこですごい部活だということが分かってくると思うのです。
この情報量、アピール力、たいへんな作り込みと組織としての完成度が、やはり対面にまさる新勧力となったのではないでしょうか。
T北大の新勧パンフレット、見てください。
もう電子パンフ、オンラインパンフの時代ですね。印刷の実物もまだ必要かなと思うところではありますが。
そして圧倒的な、充実の情報量。たいへん細かい選手プロフィールやボート情報は、新入生にとって読み応えのある、まだ「よく分からないボート競技」への好奇心、色々知りたいボート部情報への要望を満たしてくれる案内書となるのです。

2021 T北大新勧パンフ 電子版

この力作、新勧パンフの電子版。リンクさせて頂きます。
他にも多くの大学で電子パンフ、ダウンロードできるPDF版など、パンフレットは人の手で配布することなく、ましてや郵送などすることなく新入生がオンラインで目を通すことができますね。

これだけしっかりした内容、素晴らしい出来のパンフレットであれば、ボート部に入るかどうか悩んでいる段階の新入生にとって大きな安心や信頼となり、やはりしっかりした団体なのだと入部への背中を押してくれるはずなのです。
これ以外にも、新歓Twitterではとにかく情報が充実して、関心を持った新入生はたくさんの情報を得て、間違いないと決心させるに十分すぎるボリュームと内容だと思います。
この情報戦略、これを総合した新勧力です。



T北大のHPでの新勧ページです。新勧パンフや各種新勧用の動画あり。
2021新勧PVもYoutubeではなくこちらに埋め込まれているようです。
T北大HPより 新勧ページ

そしてT北大新歓Twitter。たくさんのヒントがここにある!
T北大ボート部 新歓Twitter

T北大の皆様、ぜひ色々参考にさせてください。








7.まとめ
早い時期からの告知・周知。
段階を踏んだボート部アピールと情報発信。
新入生に対するタイムリーな情報提供、タイムリーなイベントの用意。
SNS、オンラインZoom対話の駆使。
合同新勧イベントとボート部新勧イベントの使い分け。
パンフ、情報量、そしてPV、さまざまな文字と動画での新勧文句のアピール。
最後は熱く真摯な言葉をオンライン、あるいは通信で語り、新入生としっかりコミュニケーション。


これらがいまのオンライン新勧に必要なエッセンスでしょうか。


まだまだ新入部員数がたくさん必要だというチームの皆さん。5月は合同イベント、部のイベントの流れでオンライン新勧を継続してやってみてはいかがでしょうか。対面と違って、オンラインならばやろうと思えばいつでも新勧ができると思います。継続していれば、次の代となる高校生からの問い合わせもあるかもしれませんし、2年生からのアプローチもあるかもしれません。

結果を出しているチームは、必ずその秘訣があります。
私としては、大いに参考にしながら全国のボート部がたくさんの部員で、たくさんの仲間が増えたという声を聞きたいですし、多くのクルーと艇がコースを埋めて熱いレースを見せてほしいと思っています。

まだまだ、多くの工夫、アイデアによって、新しい仲間を迎え入れるシンカンの方法は、シンカし続けます。
全国で知恵を出し、共有し、ボートで成長するストーリーを数多く紡ぎ出していきましょう!









はじまりました、2024シーズン!
そうです、まだ2023年11月ですが、2024シーズンはすでにはじまったのです。


今回は2019年からコロナを越えて、じつに4年ぶり開催となる2023年第16回ヘッドオブアラについての記事です。

関西では、一足先に開催された、11月11日(土)と12日(日)のヘッドオブ瀬田。瀬田川のヘッドレース。国道1号線の瀬田川大橋からスタートし、南郷平津のいわゆるセーヌ看板で折り返し、瀬田川大橋に復路をとるという往復約7kmコースです。
そして関東では、11月25日(土)に開催のヘッドオブARA、荒川のヘッドレース。外環自動車道の幸魂(さきたま)大橋からスタートし、国道17号線の戸田橋前までの下り片道の約5.3km(5250m)コースです。

まさに東西のボートの聖地、瀬田と戸田でおこなわれるヘッドレースということで、新たなシーズンの黎明にふさわしいイベントですね。
このヘッドレース形式は1艇ずつ間隔をおいて出発しタイムを競うレースですが、現在ボート競技は2000m静水無風の直線コースで6クルーが一斉にレースをするオリンピックのルール形式が主流になっています。しかし、このヘッドレースはボート競技の原型ともいえる形で、曲がりくねってかつ2艇以上並べての公平なレースが難しい、川幅もない川において、正確なタイム計時もない時代に後続クルーの艇首(ヘッド)が先行クルーに追いつき、艇尾にぶち当たるかどうかで勝敗を決めるというレースをおこなっていたことからきています。(S田ローF川さんのコラム、ボートの常識と非常識「瀬田川の大将を決める」より)



そんなわけで、ボートのメッカであり日本のボート文化を育んできた瀬田川と荒川でヘッドレースが行われるようになったというのは、日本においてとても重要なことだと思うのです。
イギリスでもテムズ川で毎年3月に行われていますし(6840m)、アメリカのボストンはチャールズ川で10月3週頃に行われるヘッドオブチャールズレガッタ(HOCR)の3マイル(4800m)のヘッドレースは世界最大で最も有名です。ヘッドオブチャールズは世界中のボートマン1万人以上が参加し2日間で一気にヘッドレースをする世界最大のボートイベントとして知られています。一度はHOCRに参加してみたいですね!他にもオーストラリアのボートの聖地ヤラ川でヘッドオブヤラなどがあり、世界中でヘッドレースが行われているのです。

ヘッドオブ瀬田はやはりS田ローのF川さんの声かけではじまったと聞いており、今年2023年は第31回目だったとのことです。日本では最も歴史がありますね。2020年はさすがに中止でしたが、2021年、2022年とコロナ禍においても継続して開催してきたいまや伝統のヘッドレースです。
また、ヘッドオブ荒はT大OBのU家さんがヘッドオブ瀬田にならって戸田の素晴らしい水域である荒川でもやろうということではじまったと聞いています。ヘッドオブ荒は今年で16回を数えるとのことですね。いずれも多くのボート関係者の手作りによる開催と運営になっています。



先々週のヘッドオブ瀬田、盛り上がりましたね。全体で174クルー、延べ519人がエントリー。
LM1XではU23代表をめざすO村S太郎選手(R谷大)が25'10の好タイムを叩き出し、シニア世代のM1Xよりも上回りました。O村選手、U23代表の有力候補ですね。W1XではT田C愛選手、N原選手が競演。しかしT田C愛選手はヘッドオブアラが本気モードのようです。
2日目の8+種目では、全日本大学ローイング連盟の合宿に参加した26大学、男子46人、女子17人がM8+5艇、W8+2艇で「連盟エイト」として大挙出漕、急造の混成にもかかわらずいずれも見事な統一性を見せて上位独占して活躍し大会を盛り上げました。また、「M2X」で出漕したA川選手とT田C愛選手の男女混合ダブルもM2Xトップタイムで盛り上がったようです。代表のお二人は、連盟合宿の懇親会でのトークでも盛り上げながらも、ヘッドオブアラには本気モードで出漕予定とのことです。

前回2019年のときは、ヘッドオブアラはヘッドオブ瀬田と同じく代表選考として東京五輪への最初の関門に位置づけられていました。
しかし今年2023年はあくまでも12月の強化合宿への参加のための選考となり、2月におこなわれるSBSの予選と本戦で勝ち抜いた選手が代表の座を勝ちとることとなります。SBS予選(2/15予定、2000mT.T)に出場するには、12月の2000mエルゴと2月の2000mエルゴの提出で好記録を出すことが必要です。また、SBS予選を通過するとSBS本戦(2/26~28予定、2000mT.T)に出ることができこれに勝ち抜くことでパリ五輪代表、ないしはU23代表の候補に内定といった流れです。
(SBS本戦ののち、3/5~6の評価レースを経て、シニアとU23のA代表・B代表などが決まっていきます)

東京五輪の時と違い、パリ五輪の今回は直接的な代表へのステップではありません。
とはいえ、ヘッドオブアラのレース自体が強化活動の一環ということになり、高いパフォーマンスを発揮し自らの艇速をアピールすべく今年も多くの挑戦者があさって11/25(土)に荒川に集結します。こちらの激戦のロングレースの模様を確認していくことにしましょう。






ヘッドオブアラの要項、当日スケジュール
11/25の土曜日レース当日は、朝から予定が詰まっています。そして12時以降のスタートに向け、11時頃には5km以上上流のスタート地点に向かうために岸蹴りをとありますが、荒川河川敷での岸の出艇場所が混み合うために早めに準備してくださいとありますね。ご注意ください。


ヘッドオブアラ。
私はネーミング的な語感としてヘッドオブ荒川のほうがいいのではなどと思っていましたが、オーストラリアのヘッドオブヤラみたいでこちらもいいのかもしれません。ヘッドオブセタと対になりますしね。ああ、ヘッドオブの字がゲシュタルト崩壊していく・・・。いや、そんなこともないですね。崩壊しやすい字は他にいろいろありますからね。

それはどうでもいいとして、スタートリストが発表されています。
ヘッドオブアラのスタートリスト
M8+ほか、強化選考M2-、M1X、LM1X
強化選考M1X、LM1X
強化選考W2-、W1X、LW1X
強化選考LW1X、一般M1X
一般M1X、一般W1X、シニア世代M1X

今まさに代表候補の猛者たちが連日戸田コースと荒川で練習を入念にこなしているようです。




大学エイト、大学フォアやシニアエイトなどが先にスタートし、いよいよ12時10分過ぎ頃から代表合宿参加の選考レースがスタート。
スタートリストには、ボートファンならおなじみの選手が勢揃い。

この中で果たしてどの選手が代表合宿へ名乗りを挙げていくのか。そして、その先のSBSでパリ五輪や世界選手権への挑戦権の切符を獲得していくのか。
五輪出場権争いの大陸予選や最終予選などはたいへん熾烈な争いになるでしょうから、そこで戦えるパフォーマンスを示していく必要がありますね。男女とも、世界レベルのペアリング能力とスカリング能力とを、荒川の水域で見せてほしいものです。M1X、W1Xは変わらず参加が多いですが、M2-、W2-も今年は参加が増えましたからね。特に強化方針でもうたっているように、女子のスイープ挑戦が増えそうなのがファンとはしては楽しみなところです。もちろん男子スイープも世界で競い合ってほしい!




うーん、荒川はレース観戦しにくいところが残念ではありますが、戸田橋付近のゴール前では熱いレースを観ることができるのではないでしょうか。伴走してレース動画など撮ることができたらよいのですが、荒川の環境だとドローン撮影など可能なら迫力あるヘッドレースの模様を観られるかもしれません。いずれそういうことも実現できるといいですね!










ヘッドオブアラの各種目プレビュー
M2-(シニア、U23)(12時11分~14分頃スタート、7クルー)
まずはM2-。
シニア代表挑戦が4クルー、U23代表挑戦が2クルー、オープンが1クルーです。
シニアでは、○TT3クルーとTレ滋賀との対決といった様相。
S:N溝選手、B:O塚選手が一歩リードするか。しかしTレのS:S賀選手とB:S田S輔選手はトップ抜けしてもおかしくない力があります。S:N選手とB:T山選手は甲乙つけがたいですね。S:T野選手とB:K本選手がどこまでこの3艇に割って入るか。
オープンにはなっていますが、S:S々木選手、B:H選手も同等の力がありますよね。
U23では、K應大のトップ2、S:Y村選手とB:T峰選手が、この秋はヘッドオブチャールズ、ヘッドオブ瀬田、そしてこのヘッドオブアラと大きなヘッドレースの出漕にたいへん積極的です。K應大の代表への意欲が現れています。そして対するはM大のトップ2、S:K澤選手、B:M川選手です。K應大対M大、来春対校戦のエイトでもストロークペアの候補といったところですが、どちらもテクニシャン2-の印象がありますのでどのように荒川を攻略していくか。



M1X(シニア、U23)(12時16分~12時30分頃スタート、39クルー)
ここは、まず世界のA川選手(○TT)がどんなスピードで突き進むかが最大の注目ですが、A川選手に続いて発艇するのがT田M弘選手(K電)、なんとM1Xのオープンに階級を上げるようです。これは、パリ五輪ではA川選手とT田M弘選手とのM2Xがあるのか、あるいはS:A川選手、B:T田M弘選手のM2-か・・・?可能性は低いですが、色んなオプションがあって良いと思います。
前回2019年のヘッドオブアラのタイム記録、A川選手が19'02(500mAve.1'49"0、2000m平均で7'12)、T田M弘選手が19'06(500mAve.1'49"4、2000m平均で7'13"6)というとんでもないペースでかなり接戦でした。もちろん、2000mを7'12~13のペースで漕ぐのは、戸田コースよりはタイムが出るコンディションだったということなのですが(下流方向、あるいは潮や風向き等さまざまな要因)、今回もこれくらい接近した世界レベルのタイムを期待したいですね。
このほか、A井選手(MY生命)、U田選手(○TT)、F田選手(Tレ)が出漕します。

LM1Xシニアでは、F田選手(○TT)、N村選手(Iリスオーヤマ)、S藤K選手(N本製鉄)、A木選手(W大)とこのあたりはパリ五輪LM2Xの代表の座をめぐって熾烈になるでしょう。I瀬選手(○TT)、I政選手(MY生命)もじゅうぶんにチャンスはあります。MY生命はさらにH田選手、N田選手、H谷選手が出漕予定。O下選手(K應大)のシニアでの躍進なるか。

U23オープンではS原選手(N大)、K渕選手(K電)、O山選手(W大)、J戸選手(M大)を筆頭に挑戦。うーむ、この4人でM2-2杯やM4-とかでもいいな・・・と思ってしまいます。スカルもスイープもどちらもいけますね。
また、N大、K應大、M大などなど、多くの選手がU23オープンに挑戦。
U23LM1Xでは、T国際のK内選手やW崎選手が代表に近づくことができるか。N大、K電など有力どころもひしめいています。



W2-(シニア、U23)(12時31分~33分頃スタート、7クルー)
今回のヘッドオブアラの目玉かもしれません。
アジア大会でのW4-2位、W8+2位の立役者、S:S原選手(Dソー)、B:T野選手(K電)とS:C条選手(Dソー)、B:K野田選手(MY生命)のJAPANペアをはじめ、今回、N原選手(Pリントパック)もS水S選手(K電)とW2-に参戦ですね。この3クルーはハイレベルなパフォーマンスを示してくれるでしょう。MY生命のS:H谷川選手、B:I島選手もおそらく拮抗していくと思います。
U23ではS:I上選手(R大)、B:U野選手(C大)のペアがうまくはまるかどうか。S立学園出身コンビですが、クルーを組むのは初めてでしょう。どちらもスイープはまだまだこれから、未知数のW2-に期待。S:M井選手、B:T橋選手のR大にも攻め続けてほしいですね。
そしてオープン参加ではありますが、○TTのS:S木選手とB:N田選手は、これはぴったりのW2-コンビのはず。得意のスイープで、シニア代表にも大いにアピールしてくれるでしょう。



W1X(シニア、U23)(12時37分~12時44分頃スタート、24クルー)
W1Xは、代表に最も近い8人がいきなりスタートしますので注目です。
Y川選手(T自動車)、T田C愛選手(T大RSL)、O石選手(Iリスオーヤマ)、H内選手(MY生命)、K谷選手(Iリスオーヤマ)、Y澤選手(MY生命)、K島選手(T田中)、O西選手(Dソー)です。Y川選手以外はLW1Xであり、軽量級はパリ五輪に向けたいへんな競い合いとなっています。
U23では、W1Xは激戦。A井選手、K本選手、Y本選手のS台大トリオ、社会人や大学勢も多数います。
U23のLW1Xでは、まだ高3の2人、T田N花選手とI本Y愛選手のM方高コンビがいきなりU23代表にのぼりつめてもおかしくないかもしれません。大学勢がしっかり勝負していきたいところですね。



M1XW1X(一般・シニア世代)(12時49分~13時03分頃)
さて、代表チャレンジ組のあとは一般参加カテゴリーですが、代表挑戦と言ってもいい名選手が目白押しです。
S間選手、A部選手など○TTをはじめ、MY生命のK保選手、H本選手、N島選手。RAS台のO田R太選手、T田中のN本選手、U竹選手。T田D作選手(E媛大学黒汐会)も健在です。SイフトのS名選手も出ますし、N大、M大も勢揃い。
女子も○TT、Dソーがしっかり出ますし、シニア(代表ではなく年配の方々のカテゴリーのシニア)でも主催者のU家さん自ら出漕するのは、ヘッドオブアラではおなじみですね。
こちらも、ひいきの選手を応援して、ぜひヘッドオブアラを楽しんで観戦してください!










ヘッドオブアラの攻略情報


さて、最後に私も現役時代によく乗艇練習した荒川のコース。
選手の皆さんがどういった戦略をもってヘッドオブアラの難解なコース攻略をめざすか。

直線コースのレースにはない、川でのヘッドレースの醍醐味。その戦略性。自然の曲がりくねった川のコースにおける、レース戦術をともに考えてまいりましょう。


主催者のU家さんの作成したレースルール、レースガイドもよくお読みください。
HoAのレースルール


HoAのコースマップ
おやじスカラーさんのヘッドオブアラにおけるコースマップです。
さらには、ヘッドオブアラの公式サイトにはコーストレースという艇上から撮影したコース説明の動画なども掲載されていますので、そちらもご覧ください。
Head of the Ara HP(暫定HP)

※荒川は右側通行です!つまり漕手から見れば川の左側半分を航行してください。



まず、約5.3kmの1Xというレースタイム。戦略には、目標設定が欠かせません。

2019の結果では、先にお伝えしたとおり1位のA川選手が19'02(Ave.1'49)、2位のT田M弘選手が19'06(Ave.1'49"4)。U23で1位のS田S輔選手が19'51(Ave.1'53"7)、U23でLM1Xで1位T植選手が20'00(Ave.1'54"5)。
2018の結果を見ると、1位のA川選手が19'17、2位のO河原選手が19'46、3位のN村選手が19'49、4位T田M弘選手が19'53。
2017の結果を見ると、1位のA川選手が19'33、2位のS藤K選手が19'38、3位のN村選手が19'46、4位O塚選手19'50。
その前年2016は、+1分以上かかっており、コンディションが逆だったようです。さらに2015の1位タイムS山選手は19'10。(ペナルティ加算で3位ランクダウン)ですが、これは500mあたり1'48の艇速となり2000mあたり7'12、5.3kmのロングレースとしてとんでもないタイムですが、荒川には上げ潮の逆流と、下げ潮で順流のコンディションがあり、タイムの出ている年は順流のコンディションのようです。

ほぼ平常コンディションにおいて、代表で現在トップの実力を持つA川選手は500mあたり1'49~50の艇速で走っていることになります。これが代表トップクラスのペースであり、オープンと軽量級を合わせた上位10位に入るには、だいたい20分が高い基準でクリアすべきタイムとなり、これは500mあたり1'53の艇速となります。2000m換算7'32ですね。総距離5.3kmですから、速いですね。順流込みのタイムでもあります。
20'30くらいのタイムが、大学上位が入ってくるくらいのタイムでした。2018年は、20'30前後を出したのはU23代表となったN大・K村選手やN体大・T山選手、K應大・A井選手たちでした。500m1'55~1'56くらいのラップです(2000m換算で7'40あたり)。


女子は、S原選手とY川選手の熾烈な1位争いでその差3秒、2人とも22'34と22'37でした。これは500mあたり2'07~8のラップ。2000m換算では8'30前後のペースとなりますが、女子は順流から逆流に変わる時間帯だったようなので、無風よりラップ+1~2秒かかるくらいのコンディションだったかもしれません。
過去数年のタイムを見ると、女子の代表入り最低ラインはやはりこの22'30あたりでしょう。500mあたり、2'07ペースですね。
順流で速い年だと、2'00~2'03くらいのペースをキープしないといけない高速タイムの年もあります。

ストロークコーチやスピードコーチを皆さん装備していらっしゃるでしょうから、こうした数値をめやすにペースメイクをするといいかもしれませんね。スピードコーチは、GPSがやはり正確でしょう。




目標タイムを設定したら、次は勝負所の設定です。コース情報を頭に叩き込みましょう。

●コース前半●
まず幸魂大橋(さきたま・おおはし)からスタートして白いポールを目印に、橋を通過し赤ブイの内側を安全に通ることができるようです。この、橋から最初の赤ブイ②の通過が地図で見ると約500m地点あたりになりますね。
5.3kmは長丁場ですから、500mまでスタートスパートをかけるクルーはまずいません。300mでも長いでしょう。多くは、ランニングの最初5本くらいで回転を上げたら、すぐコンスタントレートにいくと思います。あるいは200mまでは攻めるか。クルーの作戦が表れます。5.3kmT.Tの1XでのSRは、30以上の高めでいくか、オーソドックスにSR28あたりか、さらに低めでいくか。目標とする500mラップを出すためのSRを選択します。
スタートして、およそ40秒の立ち上がりをまずはどう戦うか。しばらく直線なので、スタートもコンスタントも集中しやすい区間となるでしょう。それだけに、どういう攻め方をするかがポイントです。


次に、ロングレースはやはりコンスタント勝負になります。2000mではコンスタントが全体7割ほどですが、5km以上になると9割以上コンスタントです。ここで日頃の練習の成果が出てきます。
スタートの赤ブイ①、2個目の赤ブイ②からS-side側に針路をとり、最初のなだらかなカーブを越えます。こういうところはまず勝負所でもありますね。少しずつ、前のクルーにプレッシャーをかけられるように駆け引きもしましょう。
3個目の赤ブイ③がだいたい1000m地点のようです。ここではゆるいS字の逆カーブになるので、ややB-sideに針路をとります。ここで最短ルートをとれば距離が短縮できるでしょうが、岸に接近しないといけないので難しいでしょう。漁船係留もあるので接近は危険かもしれませんね。ちなみに、追いつかれて進路を譲るクルーは東京岸側を通っています。

さらに、彩湖水門の入り口付近も細かいS字になり、S-side→B-sideと緩いカーブを乗り切っていきます。この細い川幅、入り組んだ2又の水路を抜け、さらに笹目橋の橋脚をうまく通るためには、HoAコースガイドに詳しいのでこちらもよく読んで、乗り切ってください。
赤ブイ⑤を過ぎると、笹目橋へ。ここで約2kmとなり、レース前半がほぼ終わり、中盤戦に入っていきます。
笹目橋の橋脚は狭いのでよく振り返ることも大切ですね。2100mの笹目通過、脚蹴り10本ミドルスパート!

2018おやじスカラー HOAコース前半
コース前半、幸魂大橋~笹目橋
HoAコース説明の図より転載させていただきました。上の2又に分かれた貯水池は彩湖ですね。




ヘッドオブアラ、コース画像前半
私も作図してみました。地図蔵サイトを利用させていただきました。



●コース後半●
そして、コース後半戦です。
笹目橋を通過すると、100mほどでS-side側に水位観測塔が見えるそうです。この付近に赤ブイ⑥があり、S-sideに針路をとります。さらにB-sideへと、笹目後に緩いS字があります。S-side側に笹目水門があります。これは、戸田コースと荒川に注ぐ笹目川の合流ポイントです。
2018おやじスカラー HOAコース後半

その後は、川幅が広くなり広大で長い長い直線が延々続きます。まさに、戸田コースがはじまる地点から1500m地点あたりまで続くので、2km弱の直線が続くのです。ここが中盤から後半にかけたヘッドオブアラの一番の勝負ポイントかもしれません。目印も少なく、戸田コース側を見れば見慣れた建物も岸の上に見えるのですが、ここはしっかりスピードコーチ等を頼りに全力の水中で、艇と一体化し最高のコンスタントを演出しましょう。ここでいかに、前のクルーを追い越すか。
地力の発揮しどころです。

B-side側の27km看板が見えたら、C大艇庫の戸田コース1500m過ぎに差し掛かり、最後のS字カーブがやってきます。
このまま針路まっすぐだと、S-side側から迫ってくる岸に衝突しますので、B-sideへ。残り1500mを切ってきます。
500mほど進み、S-side側に26km看板が見えると、赤ブイを通過、今度はS-sideへ切ります。
残りは800mほど、6kmT.Tなどでもラストスパートはもうゴールまで700m前くらいからコンスタントレベルで徐々に上げ、500mのロングスパートをかけるクルーが多いです。有酸素ベースの長いレースですから、スパートを入れたつもりでもスプリントのようには上がらず、長持ちするのです。
このスパートのかけるタイミングは重要で、いかに体力を使い切ってタイムを縮めるか。1秒を争うヘッドレース、ロングスパートに魂を込めて勝負をかけるのです。

あとは見慣れた荒川の岸の景色をバックに、代表合宿の切符をかけて最後の力比べをしていきましょう。
ライバルとは数秒の差になってひしめき合ってきます。数秒を縮める戦いをして、しっかり戸田橋手前のゴールラインでフィニッシュしましょう。
ヘッドオブアラ、コース後半画像






ヘッドオブアラを制し、代表合宿への参加権を、そしてシニアはパリ五輪、あるいはシニアとU23とU19が併催でおこなわれるカナダのセントキャサリン世界選手権に大きく近づいてください。

その中で、日本のライバルたちとのレースをしながらも、世界へ戦う同志でもあり、ともに世界トップと戦うための日本クルーであるという思いを強く持って、みなで強く強くなりましょう!!
荒川の難しいコースを楽しみながら。







過去記事ですが、Rowingの真理であるコンスタント力。
ボートは2000mなのに、何十km、何千kmと漕いでひたすら有酸素能力を鍛え上げます。
それは大きな出力をしてもそれをイーブンで、繰り返し継続することができるからです。疲れない。疲れにくい。そのような心臓と循環システム、供給システムを体内全域に張り巡らして、筋繊維と骨格、内臓にいたるまで鋼のRowingフィジカルを築いていく。さらには疲れにくい上に強く長く効率的にボートを動かすテクニック(身体操作と艇操作)を、冬場に完成させていきましょう。




先ほど(2021年11月)、あるブログを拝見しましたのですぐ更新させていただきました。
これくらいボートを考えていくことが大事だと思います。


H橋大のA木選手、ここ2年ほど注目させてもらっていた選手の方の一人です。今年の東商戦ではM1Xでグングン突き抜けていましたね。
船から教わる

つまるところ、インカレも全日本もすべて、2000mレースをどう戦うかということを考え抜きます。
地力をつける練習をするのが勝つための努力で大半を占めるのではありますが、同時にその地力を2000mレースでどうやって発揮しレースペースで表現しさらに最終的に相手より先にゴールするか。このレース技術も、大きなRowing技術のひとつ。そしてもちろん、1ストロークの質を高めるのも一般的なRowing技術。効率よく強さ、長さ、スピード維持をするための身体操作の技術のことですね。また、体力を有効に使う体力技術もありますし、艇そのものをセッティングする技術も必要です。

そして、この特に身体操作については、本当にうまく身体を使えると体力的なキツさをはるかに飛び越えて面白く楽しいのです。
思いのままに、意のままに艇のスピードを高められ、水を飛ぶことの自由と物理宇宙の真理を感じながらスピードを味わえます。それが身体の構造とマッチする。まさに人艇一体。浮いて、飛ぶので、滑空する感じです。

それを続けるにはまた色んなコツを会得して、やはり心拍有酸素のしんどさや筋持久無酸素の身体の悲鳴もありますが、基本乳酸溜まりすぎなければHR高くても全然耐えられます。


それから、インプットとアウトプットということで言えば、ボートで強いチームは技術や知識のインプットが多いから強いのですが(多くはさまざまなコーチやリーダーの存在によって)、アウトプットも同じくらい重要です。インプットが多いだけだとそのチーム、そのクルーでしか強さを発揮できません。選手が自立して真の意味でボート意識を高めボートを楽しむには、さまざまにアウトプットを増やすことです。行動や実践のアウトプットだけでなく、言葉のアウトプットです。言語化、発信、会話、コミュニケーション、記録保存ほか。アウトプットの多い、ボートを通じた発想力とアイデアがメンバー同士で行き交う、ボートが楽しいチームを作りましょう。
もちろん、先ほどの記事のおそらく趣旨である、艇からのインプット、艇速としてのアウトプットという、感覚の受信と発信、人と艇の対話もボートの大きな楽しみです。



以前にブログで書いた、こちらの言葉をお送りします。そうです、ボートは技術を追求しそれが分かってくると苦行ではなくなるのです。面白い、楽しいから続けるのであって、ぜひ多くのボート部員の方々には技術の楽しさが分かるようになってほしい、ボートが苦しいのではなく楽しいことに早く気がついてほしいです。2024年はそういうシーズンにして、そうやってインカレや全日本を迎えてほしいですね。



「8.技術は楽しい
技術は、本当に面白いです。
私はRowingの技術を考えてきて、それが楽しくて続けてきたといっても過言ではありません。
基本、それ以外のマネジメントだとか新勧だとか普及アピール方法だとかは後付けで必要性を感じてきたもので、私のボートへのモチベーションは常に技術の追究にありました。自分はボート全般には詳しくはないが、技術にかけては専門の技術屋だと。Rowingの技術を考えることに関して究めたいなとずっと思ってきました。

そして今なお、技術について考えれば考えるほど楽しいです。ボートをずっと続けている人のほとんどがそうじゃないですかね。
技術の面白さ、艇がうまく進んだときやスピードが出たときの喜び、普段ボートについて技術をあれこれ考える、新たな発見やアイデア。これがあるから、ボートで辛いことや苦しいことも乗り越えられる。技術というものが、一番のモチベーション装置だと思っています。

艇がうまく進んだとき、自在に身体を動かせたとき。それができなかったときのただ苦しいボートと比べると、もう全然違うスポーツがそこにあるんです。技術が分からなくて、単なる苦行になっている人は、とにかく技術によってこんなにも変わるんだということを知ってほしいです。
そして何より、感覚の面から良いイメージを持てれば、腰痛でボートが漕げなくなってしまうとか、ボートが進まなくてつまらないという人が減ることにつながるのではないかと考えています。そうしたことに少しでも役立てればと思っています。」





それからもうひとつ、過去記事ではありますが、2000mを制する上でのトータルタイムメイクの最重要項目、コンスタントについて述べておりますのでご参考にしてください。
スタート飛ばして心理的優位をとるか?コンスタント勝負で生理的優位をとるか?どちらで勝負するか、Rowing哲学のひとつであり、レースの駆け引きの最たる選択のひとつですね。








「勝負はコンスタント」
2015年6月22日の記事


2000mをイーブンペースでどれだけ高い出力とスピードをキープできるか、そこのキープ力がいわゆるボートでもよく使われる地力(じりき)という言葉に当たると私は解釈しています。いうなれば「コンスタント力」ですね。

地力とは本来持っている力、実力を意味する言葉ですが、ボートにおいて地力の意味するところは、エルゴ、そのシーズンで示してきた実績、練習で見せてきたスピードやタイム。こうした形で間違いなく持っているだろうという能力だと思います。
しかし、本来の地力どおりに決着が着くかどうか、レースはやってみなければ分からないところがあり、それがスポーツや勝負ごとの醍醐味にもなっています。いつも以上に素晴らしく力を発揮したクルーやチームが勝つことがしばしばあります。以前も話題にしましたが、周りの思惑や当人たちの予測を超えて、実力はレースで発揮されてこそはじめて実力といえます。

「地力に勝るクルーが、他を圧倒した」といった表現では、スタートでリードするも詰められたりしながら粘ってリードをキープするイメージではなく、スタートもコンスタントもラストも全部が上回ってどんどん離していき、持っている艇速つまり実力自体が違う勝ち方というイメージですよね。ここでは、本命がその評判に違わぬ強さをレースで発揮して、結果以上に地力というものの差を強い印象として与えたイメージも入っているでしょう。



時に、スタートではこの地力以上につぶれる覚悟で飛ばし序盤に水をあけたり、ラストで信じられないスパートを見せて1艇身2艇身の差をひっくり返す大逆転、というものも見られますが、基本的にはもともとのこの地力、ざっくりいえば冒頭で言った「コンスタント力」を高めることがトレーニングでは最も大きな目的となります。スプリントの無酸素だけを練習するクルーはいません。2000m通して高いスピードを持続することが最もタイムにつながる王道であることを皆が認識しているからです。
UTでタイムを出すのも、ATやTRや2000mT.Tでタイムを出すのも、このコンスタント力強化のためです。冬場のエルゴ120分や60分や20分なども、さまざまな身体能力を高めますがコンスタント力強化のためです。2000mレースで速いタイムで艇を進めるには、これら練習段階で確実に数値が出ていることが必要です。

「スタートが得意」「スパートが得意」という選手やクルーも中にはいるかもしれません。それは特長であり武器にできる部分ですが、「コンスタント力」が抜き出ているクルーにはそれだけでは決して勝てません。スタートが得意でもせいぜい300m以降でつかまって中盤より手前にはちぎられてしまうし、スパートが得意でもそれを発揮するには後半まで大きく水をあけられないようについていけるコンスタント力が前提だからです。下手すれば全力のレートMAXでもトップクルーのコンスタントスピードに及ばないことがありますからね。

高いレベルにおいては、このコンスタント力なくして勝負はできません。コンスタント力が重要といっても、本当に同じレートで同じラップを続ける完全にイーブンなペースではなく、スタートは40~60秒ほどの全力漕を行いSRが高めに出る分「スタートで最高速」に達するまで加速を続け、あとはずっと続けられる高いコンスタントな巡航スピードをキープしていきます。ラストはまた生理学的に残りの有酸素、無酸素の体力をオールアウトしてまた加速に転じラストアタックをしていきます。しかしベースとなるのは常に、トレーニングで培い身につけた「コンスタント」なのです。
人はレース展開など目に見える差などで「心理的」な影響も受けますが、ほとんど全て「生理学的な体力」の優劣で勝負をし、一定した高い艇速へその体力を変換するために「技術的」な勝負をしています。(この技術は、身体技術と精神技術の両方がまた影響しますが)



スタート飛び出し戦法は、有効性があるという経験を持つ人が特にボートには多いと思います。確かにリードして見て漕げるのは有利。それは事実なのですが、注意したいのはそのスタートの飛ばし方です。格上相手に無理をしてレートを上げ、全力限界まで水中強度をMAXで漕ぐことを続けると、リズムに無理が出ることがあります。また、エルゴ2000mでも後半に必ず落ちる傾向のある選手は、やはり1000m持たずにつけが回って自滅することが多くなります。

タイムに見るペースにおいて、例えば1'25-1'30-1'30-1'30(5'55)というラップなら理想に近いですが、スタート500mを飛ばしていき1'23-1'32-1'35-1'35(6'05)となってしまうと、1'30ペースのコンスタント力を持つ似た実力のクルーなのにスタートで1艇身近くリードをとれるが700mで早くも失速、1000mで追いつかれ後半バテて落ちてしまい結果3~4艇身離され、10秒差の完敗。こういう、艇速が不安定な負け方をしてしまいます。私はこうしたペースの間違いを、「スタートの2秒欲しさにトータルで10秒損した」とよく表現しています。言い方を変えれば、スタート500mで体力半分使ってしまった感じかもしれません。
相手との差、つまり目に見えるレース展開を全く気にしないクルーはまずいないと思いますが、できれば効率良く2000mタイムを出して500mではなくゴール地点で勝っていることをめざしたいものです。2000mにわたって、体力と精神をすべて艇速に使う。それが技術です。

さらには、こういう第1Qのタイムが出せるクルーならもう一つコンスタント力を磨いて1'26-1'28-1'28-1'27(5'49)というようなところをめざしていけば、素晴らしいコンスタントの展開と2000mトータルタイムの改善が期待できるのではないかと考えています。スタートで無理しすぎている体力と技術をもっとコンスタントの艇速に利用する。全力コンスタントです。コンスタント自体が強くなるので、それを生かしてスタートとラストで体力を有効に使い切る展開力もある。
もちろん、言うは易く行うは難しで、現実は生きたレースであり、こんな数字を使ったゲームのようにはいきませんから計算通り簡単にうまくいくわけではないのですが、こうしたラップイメージで高いレベルでのスピードをキープできるクルーが世界などではトップを争っています。スタート第1Qの差ではなく、中盤大きな割合を占める平均艇速のラップで勝負をする。



そのコンスタント力とは、どういうものか。トップクルーとして身につけたいコンスタント力は、ただ「強く長いドライブ」だけではありません。エルゴが出ているのはやはり前提ですが、かなりテクニカルなスピード、そしてリズミカルなスピードです。リズムが良いというのは安定し、持続し、変化やアクセントがなくスムーズであること。出力が安定しているので脱力もスムーズ、艇の動きが律動的でスムーズ、揺れがなくただダイレクトに人の動きに調和している。
先ほど巡航スピードと言いましたが、乗り物の巡航速度というのは移動に伴う経済速度のことも意味します。エネルギー消費効率が良く、身体エネルギーの経済性も高いので、いわばエコノミカルなスピードとも言えます。血液循環、エネルギー代謝がよくマッチしていて、生理的にも身体工学的にも矛盾のない、永続性が保てる持続性が重要です。
乗り物なら「いかに少ないエネルギーでより遠くへ移動するか」といったところですが、ボート競技で他クルーとの優位性を得るには「多い燃料をすべて無駄なく逃がさずより高い移動力に変える、かつ持続する」という、無駄や不安定さを省いて効率を高めたスピード持続です。よいリズムと安定性は、より無駄なく艇に出力が伝わるので、精神的にも身体的にも疲労しにくくなります。
勝負はコンスタント



このようにして、強く長いのは前提として、これがコンスタントとしてずっと続けられ、決まったリズムとして感じ続けていくことで失速をしないようにしていきます。出力MAXを出そうとしても、やはり無理がある中で、つまりリズムが一定できずドライブやリカバリーにムラがあったりでどうしても持続性に欠ける巡航速度では、決して高いレベルではないということです。ボートにおいて負けるクルーは必ず不安定で、失速しやすいです。よく後半ブレードがバラバラになったなどと言いますが、ブレードワークが乱れたのは身体や技術や精神や艇が乱れたからです。

また、失速が少ないので艇速を戻すためのドライブが減ります。究極は、常に一定のドライブ。エルゴでコンスタント1'40ならずっと1'40表示が続くイメージ。艇速も同じで、1'41、1'40、1'42などと1ストロークごとに変動せず、全員がコンスタントラップをキープすることです。私は「フォワードを合わせて漕ぎを合わせろ」ではなくて「ドライブでリズムが決まるから、水中でリズム作ろう。それを続けよう」という考えです。水中が一定しないと空中(リカバリー~フォワードの、ドライブ以外の動作)が一定しません。

これには簡単に落ちない体力も必要ですが、集中力とリズム感覚がかなり重要です。「遅れない」だけでなく「急がない」ことも重要になるので、COX的には「冷静に」「落ち着いて」「艇を感じろ」といったアドバイスが有効ですね。リズムは早い遅いだけでなく「感じて一致する」ことが何より必要なんです。水中、フォワード、出力、リラックス、艇の前後に揺り返すかのような波の動き。(加減速でそう感じるだけで、艇はずっと前進していますが)
すべて艇と調和しないといけませんが、それは人のリズムとも一致するのです。



安定、一定して持続していけるコンスタントスピードを身につけたクルーは、2000mレースにおいてしばしばエルゴに差があるクルーを破ります。こうしたコンスタント力という能力が、地力を示す2000mタイムにつながっていくのです。
そして、こうした高いレベルのコンスタント力を身につけたクルーは、スタートやスパートでも応用がきくので、事前の持ちタイムだけでなく実戦になってライバルが高い能力を発揮してきたり追い込まれたりした際にも、生きたレースをどんな展開でも制することができるようになるわけです。