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先日、またまた非公開コメントをお寄せ頂きました。
私のブログのコメント欄は、読者の中でどれくらいの人が見てるのだろうか。
私は何かコメントがあったら見てしまいますね、こういうのは。投稿された記事や文章に対しどういう反応や感想があるのか興味ありますから。
5割と仮定しましょうか。よく分かりませんけれども。場合によっては、コメント欄のほうが盛り上がっていたりしますから、見ると普通に面白いですよね。

それで今回のコメントですが、公開しても全然問題なさそうだと、私判断してしまいましたので今回の記事を書くにあたりほぼ全文掲載させていただきます。
コメントくださった方、あしからずご容赦ください。


名前:ストサイ
タイトル:ブログについて
非公開コメント
********************
いつも楽しく読ませて頂いています。
関西の某大の新3回生です。
最近思ったことがあり、各大学のブログは何のために書いているのか、何を目的に書いているのかということです。
考えたのは、OBや現役部員が楽しむため、他の漕手が楽しむため、広告塔としてその部に興味を持ってもらうために書いているのではないでしょうか。また、それらは収入の一つに使えないかなどです。
大学のブログを使って何か出来ないか模索しているのですが、面白い意見があればこちらのブログの記事にして頂けると幸いです。よろしくお願いします。


ストサイさん、コメントありがとうございます。
最近、関西の方からよく質問が来ます。関西のほうがブログ盛り上がってますよね。
というわけで、今回はボートチームのブログについてをテーマにしてみます。斬新ですね、ブログでブログをテーマに。
私のブログは雑学ブログ、ボートに関する何でもござれ的な感じで語っていけばいいのです。

今回のご質問は若干、アバウトな感じもいたします。大学ボートブログで何ができるかの可能性を知りたいのだと受け取りました。面白い意見はないかもしれませんが、色んな意見を面白く書いていくことにはチャレンジしてみたいですね。




質問に関するお答えですが、「何のために書いているのか、何を目的に書いているのか」

大学ボート部のブログに限定します。15年近くはボート部ブログを見てきた私自身の経験をふまえて申しますと、「何のためでもありません」。強いて言えば、「自分のために書いている」部員がほとんどです。

ボート部ブログには、まれに「日々の雑感をつづる」とか、目的のような見出しがついてはいます。
例を挙げましょう。
と思って各大学HPを見回ったら、けっこう色んな大学がHPリニューアルしてますね~。

まずWKがHPリニューアルしてます!
どちらもカッコよくなって、特にK應大ではHCにあの人が就任されていてこれは新しいKO大の予感です。

以下は、大学ボート部ブログの特徴を述べていきたいと思います。




W大は、部員ブログは存在していたと思いますが、最近はFacebookに部員の雑感などが掲載されて、最近主流のFBやTwitter中心の情報発信に移行しています。内容は自身のボート観を語ったり周りへの感謝の言葉などかなり真面目なものが大半のようでした。


Kの部員ブログは、有名な「LIFE」ですね。これ10年以上やってませんでしたかね。いまのHPだと3年くらい前にしか遡れないようですが、見出しは「戸田での合宿生活&部員の素の姿をブログで紹介!練習のこと、仲間のこと、オフの出来事、etc」とあります。内容はW大とは対照的にお堅いものは少なく、部員同士をいじるようなよくある学生のノリから、真面目なボートの話もありで、部員が多いのもあり千差万別。自由なボート部生活を描いています。


それから、N大はこういうのはなし。いわゆるセレクション大の中にはブログほとんどやっていないチームも目立ったりします。是非N大ブログも見てみたいですね。


M大は、これも有名な「戸田日記」。昼釜、夜釜ですね。ほぼマネージャーが書いているようで、選手でなくマネージャーのみが広報目的と自分たちの記録用として活用しているこんなボート部ブログもパターンとしてはあります。日頃は食事メニュー紹介と部員たちの生活のようすが中心ですが、時期になると、選手インタビューと、レース記録のブログに変わります。ここでけっこうアクセスが増えるんじゃないでしょうか。2006年開始(しかもその前からHP内に存在していたとのこと)ですからもう13年目になるわけですね。これは意外な長寿ブログです。


Hは、「漕手日記」という選手ブログと、マネージャーブログがあります。このポジションごとに2つ以上のブログを管理しているチームもありますね。R大とか、T北大とか色々あります。漕手日記は、最近1年COXの方が活性化しようと更新を増やしていらっしゃいます。ブログ担当の方がまず悩むのはここ。全然更新がなくなってしまう停滞期と、活性化して盛り上がる活動期。ブログにも栄枯盛衰がありますが、各部員のブログへのモチベーションを上げようと頑張る、これは練習や強化へのモチベーションを上げようと頑張る主将やコーチの悩みと共通なのです。頑張って巻き込みましょう。


C大はマネージャー日記が充実。「C大のマネージャーのブログ」ですね。これは珍しく、マネージャーが書いたり画像を載せるのはほとんどが選手の練習風景で、選手に関する記事ばかりです。完全にボート部の広報として機能しています。マネージャー日記というと、マネージャー個人の悩みとか私生活の話とかボートに直接関係がない話題も目立ったりしますが、C大のマネブログはしっかりとボートブログなのです。これ以外に「部員の活動記録」という選手コメントがあり、ボートの話題もありますがこちらのほうが個人的な趣味や雑感コメントが多めです。


R大は「漕手のやんごとなき日常」という選手ブログと、「マネの1日」というマネブログです。見出しがありますが、選手ブログは「漕手による女子部と男子部の日記」とあり、マネブログは「マネージャーによる食事メニューの更新」とあり、いちおうテーマが明確です。ただ選手ブログはよくあるテーマ自由な部員ブログで、話題は個人趣味からボートの話、オフの話など色々。見出しの由来は、もともと男子部ブログと女子部ブログが分かれていた名残りです。男子部と女子部のブログが分かれたままなのは、今はT北大くらいですかね?マネブログはその日の食事担当マネージャーが書くことになっていて、最後に必ず夕食メニューを書いて父母向けにこんな食事でしたという報告にもなっているのですが、写真は食事と決まっていたのが最近は合宿風景で部員のスナップショットを撮る流れに変わっています。楽しそうな合宿風景が父母へのアピールにもなるというわけでしょう。




という感じで、偏ったブログ紹介ですが簡単に見てまいりました。これ以上紹介を続けると趣旨が変わってきそうなのでこのへんにしますが、むしろこれらの大学以外に面白いボート部ブログはたくさんあります。
H橋大の「HUBC DAYS」をはじめ、T大、T北大、H海道大、N潟大、G語大、K洋大、S蹊大、S城大など戸田の大学、そしてN古屋大の「だぎゃー新聞」をはじめN古屋工大、ブログの熱い関西でK都大、D大、R命館大、O阪大、O阪市大、O阪府大、K戸大などなど・・・。O山大、Y口大、K州大など全国多くの国立大中心にそれぞれ面白いボート部ブログがあります。


え?もっとふれてほしい?

というわけで最初は時間の関係で上記の私大勢だけにしたのですが、もっとふれてみましょうか、インカレ特集のときみたいに。
私のブログはたぶん未経験大学の方のほうが読者が多いのではないかという推測がありますので。




T大は全体ブログの「ボート日記」、マネブログ、コーチブログと揃っています。選手によるボート日記は最初が2005年からなのでこちらもたいへんな老舗ブログですね。マネブログはT大マネージャーならではの色んなマネジメントの話が満載。コーチブログは学生コーチによる練習報告や雑感などのブログですが、初期の頃はコーチブログらしいボート研究的な内容で熱いですね。これ以前の先代ブログもボートの技術考察が盛りだくさんです。


H橋大は「HUBC DAYS」。これは他大からも相当読まれているのでは。部員が多いので、未経験ならではの視点から、人生悟ったような奥深いテーマ、ひたすら真っ直ぐに熱い記事、ちょっと受けを狙いました的なノリがよい系、意図的にメンヘラヤンデレを装った独白(??)、など独特のタイトルとともにH橋大らしさが出ております。頭がいいと色んな人がいて面白いと思いますが、基本、このブログではボートにまっすぐという感じをあえて見せたがらない方たちも多く、息抜きで楽しんで書いている人が多めではないかと思います。そのへんが強さの秘密であるのかもしれませんが、ひたすら熱い投稿も期待しております。


T北大は選手による「艇庫ブログ」と、マネージャーによる「貞山日記」、そして女子部限定の「カメちゃんの湖畔日記」ですね。T北大も基本、H橋大のように文才にあふれ、中には鬼才にあふれた文章も多々見受けますが、定期的に真面目で熱いブログもありやはり面白い投稿が見られます。


H海道大は最近ブログが盛り上がってきました。これも昔から見られるのですが、毎日のようにブログ投稿されていたブログエースがいたのですが、最近学部が分かれたために全学のブログを引退、他のメンバーが今まで以上に奮起し情報発信が活性化しつつあります。
かなりトレーニング風景や練習報告的な記事が多く、これもH海道大の特徴なのかもしれません。


Gは受験シーズンになると受験生向けのブログリレーの特集がはじまります。これもG語大らしいブログの傾向ですね。日頃から色んなテーマの記事が増えると一年中楽しめますね。


Kも最近ブログ活性化が著しいですね。面白い記事投稿が増えてきましたし、ブログ更新頻度がとても多くなりK洋大の勢いを感じるこの頃です。このように熱のあるブログ文章は、ボート意識の高まりとも言えるかと思います。


N古屋大のボート部日記は、「だぎゃー新聞」。こちらも熱い文章からゆるい日常の内輪ネタまで色々です。記事投稿すると、他の部員からのコメントがたくさんつくのがほほえましいと思います。N古屋大の仲の良さを感じます。部員も相当増えていますし、ボートにまっすぐな感じがとても伝わりこちらもチームの勢いを感じますね。


N古屋工大は、前主将の記事が熱かったですね。部を強くしようとさまざまな試みと、部員に色々な意識改革を訴える内容があり、部員たちに対する意識向上や啓発に使うというのもブログが果たす重要な役割ではないでしょうか。OBへの訴えもありました。国立大で見られる記事内容ですが、ボートのマニアックな情報からチームを強くする方法論の考察まで、色んな考え方を紹介したり提示するという、チームの熱を高めるためのツールとしてブログを利用するのは大事なことの一つだと思います。当番だから受け身や義務で書くのと、自発的にメンバーやブログを読んでくれる人に向けて自分の考えを提示したり発信することと、読み手への伝わり方は全く違ってくると思います。それを現実のミーティングなどでやるのか、ブログも利用していくのか、伝え方はさまざまです。


K都大は「語れ我が友」の琵琶湖周航歌からとったブログ名が変わったようで、副題はその年のスローガンになっているようです。選手マネージャーの違いなく全体ブログとして誰でも書き込めるブログになっているみたいですが、学生生活のことから部員の他己紹介、ボートにまつわるさまざまな話題など、テーマはやはり書く人それぞれで幅広いですね。


Dは「D大ボート部公式ブログ」というタイトル。公式というわりにはかなり自由な感じであり、個人の趣味紹介や同期との絆を語ったり、そして画像を貼って仲の良い部員をいじるというテンプレが存在しているようですが、しかし熱い投稿も多い。他の大学のブログと比べ、画像の多さはかなり特徴的です。凝った内容、ひねりの効いた文も多いですので、気合いの入ったブログが多いと思います。他の大学のブログもそうですが、部員たちに見てもらいたいという部内向けの内容がほとんどだと思います。


O阪大は、昨年あたりからブログ名が「~漕なんよ!~」に変わりましたね。こちらも選手マネージャーが皆当番が回ってくる全体ブログのようです。でもそのほうが意見を発信したときに全体で共有しやすいと思いますね。この人はこんなこと考えてるんだ、とかマネージャー1年目なのにここまでチームのことを考えてるなんてなど、刺激になりやすいのではと思います。かなり熱い投稿も増えてきたみたいです。2019、O阪大は今まで以上に大きく変わりそうな予感がします。


O阪市は、かなり以前から続く「多事漕論」です。最初のスタートは2006年ですね。国立大は、ほとんどが2000年代前半か半ばにはブログができているはずですね。O阪市大も、O阪大も、部員が多いので1日1件以上、何人も更新することがあるため、投稿数が多くなります。O阪市大は1年半ほど毎月30以上の記事更新があるようでこれはハイペースです。部員雑感という印象の記事が多めですが、ボートに関する独特の視点ややはりボートにかける熱い思いを素直に表す文も多く、読みごたえあります。


最後に、K戸大。私は2005年頃ですかね、当時の主将の方のチームを強くしたいために部員たちを議論や意識向上の渦に巻き込んだブログが印象に残っていますが、いまのK戸大のブログはまず全体ブログがあってそこで部全体に向けた真面目なボート記事の投稿があり、そして各学年ごとの○○期ブログが存在し自由なコミュニケーション目的のような学年ブログがあるようです。
K戸大もめちゃくちゃ部員増えてますから、ブログもさらに勢いを増していくのではないでしょうか。



このほか、本当にもっとたくさんのボート部ブログが魅力たっぷりに日々更新されています。ぜひとも自分のチームだけでなく、他大ブログファンになってみてはいかがでしょうか。
以上で特設ブログ紹介はいったん終わりにさせていただきます。


とりあえず、自分たちのブログだけではなくて、たくさんの他団体のブログを知り、見ていくことで何か発見や違ったヒントが得られることは間違いないのではと思いますよ。
自分中心になりすぎず、自分たちを客観視するのは自己分析のためにも広い視野をもつためにも大切なことです。








さて、では長いこと脱線しましたが本題に戻ります。

そこで最初の問いに対してですが、「何のために書いているか、何を目的に書いているのか」というと、部のブログということで表向きは外部に向けた情報発信のはずだと思うのですが、実際には「自分で楽しんで書いている」「周りの部員に対して少し面白いことを書いて、読んでもらいたい」という内輪向けな内容が多いと思うんですね。
中には、「今シーズンは本当に悔しい思いをした。来シーズンに向けうちのチームは変わらなければ」「ボートの練習が最近楽しくなってきた。この前の合同練習で感じたボートの楽しさ、奥深さ。これを感じてもっとうまくなりたい」というような、練習日記的な内容もありますが、これらは自己分析的なところもあり、自分でボートのことを書くことで自らの考えを整理したり次に向けたまとめをしたりというところがあります。
だから「自分のために書いている」でいいと思うんですね。


建前として、ブログはインターネット掲載だから不特定多数の人の目にふれる、恥ずかしくない立派なことを書かなければいけない。特に支援してもらっているOBや父母、学校関係者の目にもふれるし他大学にも読まれている。しっかりと情報発信をしてチーム価値を高めなければ。。。というお題目もあると思うんです。
OBや父母は、支援してる側として立派な内容を求めたりもするかもしれません。ただ、多くは「学生なんだから学生らしく、自由な発想でのびのび活動してほしい」その様子や実情が分かる媒体としてこうしたボート部ブログを見ている人がほとんどではないでしょうか。毎回レースや真面目な話ばかりだと息が詰まる、みたいに言うOBもいます。
外部に出す情報として最低限の節度、いわゆるネットリテラシーを守ったうえで、(例えば昨今の学生世代が起こすバイトテロやバカッターなどと呼ばれるような悪ふざけが過ぎるSNS投稿は当然NGです)内輪受けに走り過ぎないところでの内輪受け内容であっても、独創性にあふれた内容は良いのではなどとも思います。
よくあるドロドロな悩みの私的な精神葛藤をひたすら綴るのも、読んでいる方は暗くなりますが書いている本人がそれで少しは吐き出して気持ちの整理につながるならいい場合もあるのではないでしょうか。ただ、そういうのはできれば「ボート部のブログ」ではなくもう少し別のところでやった方がイメージダウンにならずに済みますので工夫したほうがいいですね。そういうのはもっと身近な人との間で解消するものです、例えばご飯や飲みや艇庫の部屋の中とかで。

こういうような色々な「内輪の世界」が露呈しやすい媒体になりかけているところもありますが、想定している対象がせいぜいOB・父母までなので、こういった内容も多くなっていると見受けます。



しかしですね。
私が面白く感じるには、「周りも読んで面白い。自分以上に周りのためになる」こんな内容になると、単なるブログから、「ボート部ブログ」として価値が飛躍的に高まると思うんですよね。

よく、「書くことが思いつきません」とか言って、数行で終わるブログがありますがそれはもったいない。
これは当番制になっていて「お前、ブログ当番だよ。今日書かないと罰則があるよ」となって、苦しまぎれに書く内容です。
できれば小学生内容にならず、高校ボート部員もけっこう見てるのですから「大学ボートは違うな」という内容を一発、見せてほしいところであります。


自由に書くのが本来だと思いますが、実は私の今回のブログ記事も、コメント投稿者の方によってお題を与えられたことによって日頃無意識に考えていたことを形にして、「どうすれば読んでいる人が面白く感じるかな」と考えながら記事にしているのです。
そう、テーマが決まっている方が書きやすく、そして逆説的に自由度が広がる場合があります。「スポーツはルールがあるからこそ無限で自由な発想が生まれる」、「自由過ぎることは逆に不自由」ということですね。
ブログにもテーマやお題を与えて書いてもらうと、こういった小学生内容は減っていくと思います。そしてそれには、意義と価値を見出してもらうことです。活性化し面白いボート部ブログは、OBや父母が注目し、支援も増えレース観戦やイベント参加も増え、結果的に人が集まるクラブにつながり資金面の向上ももたらす。マネージャーが頑張っている会費納入も増えるかもしれません。
だって、面白くて皆注目するようになるんですから。

ボートの情報発信の意義は、「ボートを広く深く知ってもらうことで、より多くの人が関心を向けるようになる」「ボート競技の裾野が広がり、知名度アップし自分たち自身の満足度も多くの恩恵も増していく」など、たくさんのメリットが生まれます。
そして先に言った、「自分のために書く」ということにもつながり、ボートの話に関連しさまざまなことを考えそれを表現する練習になりますので、ボートの語彙が増え、表現力が増し、周りのコミュニケーション活性化にもつながるということで、アウトプットする力に変わります。それがまた、情報インプット力にもつながるので、色んな情報を集めそれを編集する力がついていきます。これは学生として、そしてゆくゆく社会人として必要な能力にもなっていくのです。
そう、情報発信力を革命的に高めるには、情報受信力を高める必要があるのです。何もないところからはアイデアや素材は生まれない。世にあるあらゆるジャンル、あらゆる事象や情報や知恵を知ること、アンテナ感度を高めることで多くの情報資源を得て、それを加工し自分色に変えて再び世に放つのです。自分のためではなく周りのみんなのためにです。




私のことを申しますと、大学現役の当時はまだブログなど存在せず、月刊の部報がありました。これは父母やOBにボート部活動のようすを伝えるもので、特に父母に対して、親元離れて合宿生活をする我が子がしっかりボート部生活に打ち込んでいる様子をみて安心してもらいさらに活動内容や意義にも理解してもらうための唯一の情報発信となっていました。毎回、部員が原稿用紙2~3枚書いた投稿文を書いて載せるのですが、これがなかなか負担だったんですよ。まさに今でいう部員ブログそのものです。
印刷期限に間に合わせないといけないので、部報担当マネージャーを怒らせるとまずいため、みな期限間際にギリギリで出していたものです。まあ今のブログなどと同じく、無難な間に合わせの文もありましたが、なかなか皆面白く凝った内容もあったりして、他の部員の文章を読むのは結構楽しみでした。

自分の番が回ってきたときはプレッシャーで憂鬱ではありましたが、私はこれでも大学初めころは文を書くのが苦手だったのです。文学部だったくせに(笑)。最初に載せた文は、「高校時代は運動せず、大学になってボート部で頑張れるのだろうか。毎日厳しい練習と生活で辛いが前向きに頑張りたい」みたいな自分でも恥ずかしい内容を書いていた記憶がありますが、そのうちけっこう合宿生活を基本に面白おかしく書く先輩の文章に感化されて、「もう少し周りが読んで面白い文章を書いてみよう」と思ってから少しずつ文を書くのが楽しくなってきた気がします。
そうです、「周りが読んで面白い」ことを考えて書くのです。だんだん、自分の自意識のために書いていた内容が、「人のために」書く内容へ変わっていき、チームメンバーや父母やOBの目まで意識していった結果、「読んでいる人に向けて」書けるように、ようやく変わっていったのです。これが実は「自分のために」なったんですね。

いまのブログも、全部そうです。「自分のために」書こうとしたことなど一度としてありませんが、「人のために」書いていることが、結果的に皆さんに読んでもらえる内容になっているのかなと思います。
必ず自分なりの表現や発想を加えて、「私の」カラーと独自性を加えることは心がけていますが、ふとした表現の先に、「読んでくれる人の心や気持ちに」ふれるにはどうしたらいいかと、それを考えながら書く文章はとても楽しいということが言えます。時間はかかりますけどね(笑)。




というわけで長くなりました。
ストサイさん、
「ボート部ブログはOBや現役部員が楽しむため、他の漕手が楽しむため、広告塔としてその部に興味を持ってもらうために書いているのではないでしょうか。」
それは正解だと思います。ブログが広告塔というか宣伝やボート部アピールのツールになるためには、皆さんがブログを書いて読んでくれる人のためにさまざまな情報やアイデアや考えや思いを伝える、それができるようになることです。
その手段で、今は画像や動画まで発信者のアイデア次第で素敵に伝えられる技術もあります。夢の技術です。ぜひ工夫し、ほかにない独自性を表現して、ボートとボート部の価値や可能性を世界へ発信しましょう。あなたのボート部ブログは、世界へとつながっています。

「また、それらは収入の一つに使えないかなどです。」
うーん、この質問は最初は無理じゃない?と思いましたが、どうですかね。ブログで収入というのはどうかと思いますが、さまざまな魅力発信、情報発信によって、ボート部の知名度が上がり、グッズ販売やブランドアピール、その他CMやスポンサーなどへの利用など色々な活動をすればボート部が寄付以外の収入を得ることは可能だとは思っています。



いずれにしても、新勧も迎えるこの時期で、ブログをはじめ、SNSやHP、PR動画(PV)など、皆さんの持つアイデアと情報によって、見違えるアピールができるようになる発信ツールたち。
ブログを見たら、面白いボートの世界が広がっていた。こんなふうに、「新たにボートを発見した新規の人たち」と「まだ見ぬボートの面白さや可能性に気付いた既存の人たち」に驚きを与えることはいくらでもできると思います。
そして、見てくれた人の考えを変え、ボートに対する見方を変え、さらに人を動かし未来を変えることだってできると思っています。



ボート界に登場して10数年、ブログはまだまだ多くの可能性があるはずです。
インスタやFacebook、Twitter、動画、HPとさまざまな情報発信ツールを生かして、ボートとボート部の魅力を高らかに歌い上げ多くの心を集めていきましょう!



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先日の2月24日、第2回世界インドアローイング選手権(World Indoor Rowing Championships)が、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで開催されました。ロングビーチは1000万都市圏ロサンゼルスの一角をなす港湾都市とのことです。
FISA主催、昨年からはじまったこのエルゴ世界一を決める大会は、コンセプト2社の協賛とUS Rowing、ロングビーチ漕艇協会のパートナーシップで開催しているそうです。
とはいえ、まだ参加者としてはほとんどがアメリカ人、さしずめ全米エルゴ大会といったのが実際ですが、中には1年半前に彗星のごとく世界Rowingに現われたドイツのオリバー・ツァイドラー選手、世界エルゴ女王・ウクライナのオレナ・ブリャーク選手らが参加しており、ドイツとウクライナの参加が若干あります。おそらく大会を盛り上げるための招待選手ではないでしょうか。

ここに今年、2019年1月に日本のマシンローイング近畿大会で男女エルゴナンバーワンとして、T田中央総合病院RCのK又選手とDソーのK総選手がこの世界インドアローイング選手権参加をすることになったのです。(男子は日本人2位だったので繰り上げでした)
MR近畿の主催者であるS田漕艇倶楽部の方々は、今年もデンマークのエベセン選手らトップ選手の招待や、優勝者へのこういった世界大会挑戦権の企画など、年々斬新で画期的なアイデアを盛り込んだ攻めの運営をされているのは本当に素晴らしいです。世界大会招待には、(株)スターラインジャパンさんによる多大な協力もあっての実現でした。
つまりこれらは、選手、選手の所属チーム、大会主催者、大会協賛社と、多くの協力があって実現したチャレンジであり、日本ボート協会を軸としたボート日本代表チームとはまた別のチームでの世界挑戦だったわけです。

代表だけが唯一の世界挑戦ではなくて、ボートではこのように無数の海外挑戦が存在しています。




さて、この世界インドアローイング選手権、例によってエリートレベルだけでなく、ジュニア層から高齢カテゴリー、パラ種目もありでものすごくたくさんのカテゴリー分けがされていますが、そのエリートレベル男子オープン(Senior Open Men)に参加した日本のK又選手は6'13"2とMR近畿の記録とほぼ同じ好スコアを出したものの、カテゴリー23位(33名中)でした。
優勝は5'42を出したドイツのツァイドラー選手。そして2位の5'47~5'59の6分切りいわゆるサブシックスの選手が21人いました。ほぼUS Rowingの選手です。22位が6'02なので、6'13で23位のK又選手は残念ながらこれらの争いについていけず結果的には自己記録との勝負になったというわけです。特に、US Rowingの選手は5'50前後で10人が争っており、やはり日本としてもこのラインで勝負できる選手が複数出てこないと、世界オープンAファイナルで戦うレベルに到達しないのかな、と感じます。
男子オープンの記録


また、女子についてはエリートレベル女子オープン(Senior Open Women)に挑戦したK総選手が7'12"9でこれまたMR近畿の記録を上回る好タイムでしたがカテゴリー25位(36名中)。
優勝は6'25を出したエルゴ女王、ウクライナのブリャーク選手(自身の持つ世界記録は6'22)。そしてその後US Rowingが続きます。トレーシー・アイサー選手(6'33)、シュメッターリング選手(6'34)、ドゥーナン選手(6'38)、ムスニツキ選手(6'38)、オブライエン選手(6'38)、レーガン選手(6'42)、ミューラー選手(6'46)、オピッツ選手(6'49)と、リオ五輪や2018世界選手権で優勝したアメリカW8+の選手が目白押し。これらの記録は参考になりますね。他の選手の記録の傾向から、各選手の自己ベストは今大会の-3秒以内といったあたりではないかと見ます。そのことから2018世界選手権優勝のアメリカW8+は6分30秒台後半ほどと推定されます。2000mW8+の優勝タイムが6分前後なので、エルゴと艇速の相関もほぼ合っています。また、2018世界選手権W4-優勝の選手が6'43と6'47と2名いました。こちらはエイトよりやや記録が落ちることを想定しエルゴベストのクルー平均6'42前後といったところでしょうかね・・・。2018世界選手権で6'25で優勝していますので、エルゴはさらに6'40を切るかもしれません。
日本がW4-で優勝レベルをめざすにはクルー平均6'40近く、そしてW8+で優勝をめざすには6分30秒台を揃えたいところです。日本記録6'41を持つY川選手レベルが4人ないし8人必要ということになりますが、60kgそこそこであれば6分50秒前後でも勝負可能だと思います。体重はエルゴの記録に大きく影響します。
その中で、K総選手としては自己ベスト7分ひとけただと思われますが、女子オープンもハイレベルな記録を更新し続けてほしいところです。
女子オープンの記録


このように、アメリカの選手ばかりが参加している中でもまだまだ上位に食い込むにはもっと時間が必要、世界のレベルというかアメリカのレベルを実感した日本のチャレンジャーだったわけですが、こうした根本から意識の変化を求められる場でレベルの差を体験し、これからの両選手の活躍にますます期待したいところです。
2019世界インドアローイング、K又選手とツァイドラー選手
世界インドアローイング選手権、ロングビーチの会場にてK又選手(185cm)とエルゴキングとなったツァイドラー選手(203cm)
K又選手には無限の成長とあくなき世界挑戦を続けてほしい
K又選手Facebookより写真転載(ご本人了承済み)



ちなみに世界インドアローイング選手権、このままアメリカ中心のイベントになるかと思いきや、来年はパリで開かれる予定になったそうですね、World Rowingによると。2020年世界インドアローイング、inフランスはパリということで、フランス代表や欧州各国からの参加も増えるでしょうか。
さらに成長した日本選手が大勢エントリーできるところを見たいものですね、このオリンピックシーズンに!






海外で研鑽を積みチャレンジを続ける選手はほかにもたくさんいます。

私のブログにもお父さんがコメントをくださり、息子さんがヘンリーレガッタにチャレンジしアメリカの大学ボートでもエイトのストロークとして活躍するK島選手という現在21歳新4年生になる若い大学ボート選手がいます。まず、全米高校選手権M8+優勝という実績を持ち、ヘンリーに2回出場、ヘンリーでは優勝候補と当たり惜敗。さらに2016年にはロンドンRCに所属し参戦。ストロークを漕ぐエースですよ!
動画掲載させていただきます。

「2015ヘンリー 1日目」
「2015ヘンリー 2日目」
「2016ヘンリー 1日目」スタートでちぎる展開
「2016ヘンリー 2日目」序盤アップになるシーンあり

これからがますます楽しみですが、本場アメリカで強くなりこうした可能性あふれる若い選手が日本代表に入って世界Rowingで活躍するというのも、本当に夢があります。そうした夢のある話が実現してほしいものです。
K島選手はアメリカの大学卒業後も競技を継続されるとか?ぜひとも、日本に新たな風を吹かせるスター選手の1人になってほしいと思っています。






それから、ニュージーランドでボート留学する選手が増えていますね。
以前、NZのオタゴ大学にボート留学をされていた代表のS原選手をはじめ、K應大やK都大、T北大の選手たち。これ以外にも多数NZへ武者修行に行く大学ボート選手がいたと記憶します。2017年インカレM1X優勝、2018年U23代表のD大S間選手もオタゴ大留学されたそうです。数々の代表選手を生み出していますね。

そして現在、N村選手がNZで奮闘中です。N村選手はS賀大医学部ご出身、医学生にして2011インカレM1X4位、2012インカレM1X3位という実績を持つ屈指のトップスカラー。卒業後は日本代表チームのドクターもされていたのですが、昨年4月2018年にまだまだボートを選手として続けたいとボート留学を決意されたそうで、オタゴ大学のある南島の都市ダニーデンにて奮闘中だそうです。先日ニュージーランド選手権にも出漕されたとのことで、NZローイングの空気をたっぷり吸収し日々素晴らしいボート漬けの毎日を送っているそうですね。この人を追いかけて、K都大医学部ボート部の1年生などもボート留学しているそうですね。ボートを始めて間もない1年生がですよ!
医学部ボート部も、近年本当に素晴らしいボートマンが増え、ボートの素晴らしさを伝えてくれる人たちが多くなってきたと私は感じています。以前から傑出した医学部ボートマンはいらっしゃいましたが、近年はチーム全体で強くなったり、周りに影響を与える方が多くなった印象を受けるのです。

N村選手のブログもありますので、ご紹介させていただきます。

Rowing Doctor @ 円山川






さらに、私の後輩でK又選手と同期のよきライバルだったA藤選手が、2018年にはイギリス留学の途中で名門ボートクラブの門を叩き、人脈をたどってGB代表選手のいるモレシーBCに所属することができました。留学の忙しい勉強の中で過酷なトレーニングと本場のコーチングを受け、秋の全日本選手権M1Xに果敢にチャレンジしました。しかしボート競技を引退して1年半近いブランクがあったため、それを数カ月で取り戻そうとするのはかなり困難でした。名門ボートクラブで詳細につづった練習日記をもとに帰国後は急ピッチで1Xトレーニング、そして私も実は個人的にコーチ依頼を受け何とか戸田に行けた2回だけでしたが乗艇を見させてもらい、未だ粗かった1Xでの動きを練習相手となったR大の選手とともに修正し本番に臨みました。

2018全日本M1XでこのA藤選手は、予選で何と上記のNZ留学帰りのN村選手らとも対戦、激しいレースをしました。A川選手をはじめ代表のトップ選手らがひしめくハイレベルな中、A藤選手は予選タイム10位につけており、最終日順位決定を目標に奮戦しましたが準決勝3着という結果で最終日を目前にして彼の大きな挑戦は幕を閉じました。
たった4、5カ月の練習で代表クラスに勝てるほどボートはもちろん甘くはないということも言えるのですが、彼の行動が大きな挑戦と言ったのは、イギリスに留学して論文や講義に忙しい中で、異国においてボートへの再チャレンジを決意、いくつもの偶然とつてを辿って名門クラブに入り体当たりのコミュニケーションですっかりメンバーの一員になってしまった見事なチャレンジ精神です。私は彼の話を聞き、冒険家だなと思いましたがそれ以上に人に好かれるのが得意だと改めて感心しました。
ボートの世界は、結局は人のつながりです。その中で、いかに素晴らしいボートマンとめぐり合い自ら大きな影響を与えられ自分が強くなり世界を広げられる環境に身を置くか。ボートにおける成長は、コミュニケーションの成長です。そしていかに人を動かし巻き込むか。彼はそこが上手なのです。
2018全日本M1X A藤選手

また、後輩にはもう一人、ドイツで海外留学をしながらボートも続けている選手がいます。彼の活躍を聞くのも楽しみです。
海外挑戦とは、そうしたチャレンジの高みに位置する冒険だと思いますが、同時に高いレベルであれば一気にトップの世界まで飛び越える、スキップする飛躍でもあると思います。どれだけ高い意識の世界からスタートできるかもトップに挑戦するには大事なことなので、海外Rowingで特に高い意識の空気を吸い込んで日本と世界でその精神を発揮することにつなげていきたいものです。
そしてまた、こうしたチャレンジにおいて人間的に大きく成長し自分の魅力にしてください。






最後に皆さんご存じリオ五輪LM2X代表のN野選手ですね。2018年スロベニアに単身渡り、ボート武者修行を敢行されました。1人で多くのスポンサーを募り、スロベニアの超有名選手イズトック・チョップ選手(Iztok Čop=ツォプ、コップとも書かれるがスロベニア読みではチョップで良いみたいです)の紹介を受け、スロベニアのブレドRCというクラブに所属され競技生活とスロベニアのレースにもどんどん出ていったというものすごいチャレンジです。

N野選手のブログ( 2018年5月頃~9月頃の記事)にはかなり事細かくスロベニアのRowing事情などが記されておりたいへん参考になるのですが、日本よりレベルの高いRowingができるだろう、ここにはRowingの本質がありそうだということで、N野選手らしい自己探求的な記述を含めた奮闘記が綴られています。
全日本軽量級や国体でたびたび日本に戻り、ご家族も現地に呼ばれるなどして、海外で活躍し代表を狙うトップ選手のひとつの形を示していましたが、2019シーズンに向けた日本代表選考の過程で日本でのトレーニングを継続しないと不利という現状を受け海外での挑戦の日々は志半ばに断念せざるを得なくなりました。スロベニアの次はイギリスで、というプランがあったそうです。

日本の代表選考プロセスにも、まだ色々と課題はあるようです。公平性を期するという理由はあるとはいえ、世界で勝てる選手選びというチャレンジもしてほしい。しっかりとした知見と権威のもとに選考し、世界一をめざす代表チームを組織する。代表に入れば強くなるという強化体制を築き最高のトレーニングとモチベーションのもとで世界と戦うチームをめざしてほしいのです。







これ以外にも、多くのボートマンが代表チームとはまた別のところで海外のRowingに挑戦している例がたくさんあります。
競技としてのトップレベルをめざすのでなく、学業や仕事の余暇として交流を楽しむ海外Rowingもたくさんあります。

ただ、今回紹介した例は、代表を経るわけではないが海外のトップレベルすなわちやはり現地での代表クラスの高いレベルのRowingを感じ、そこに圧倒的な魅力を感じることで「強くなる」「速くなる」ことを楽しむチャレンジャーたちです。今よりもっと強くなって、速くなって、最終的には日本人として世界トップに挑む戦いをボートで求めたい、そんな夢を感じるチャレンジです。
やはりRowingは代表という国と国との競い合いのレース、世界一を決めるスリリングでエキサイティングなレースに楽しみの究極の一つがあるということです。
海外にふれ、それぞれのRowing文化とRowing意識を吸収し、それによって日本のレベルを高くし日本のボートにまた多くの刺激をもたらしよりよい、より面白い日本Rowingを築き上げていく。魅力たっぷりのボートマンであふれてほしい。


変わり続ける日本Rowing。いつでも世界への扉を開けて、Rowingは開放的な空間としていつも新鮮な風を吹き込み景色を変えていく、ワクワクの尽きない魅力空間であり続けましょう。

さあ、いよいよ新勧の本格的なスタートまで約1カ月となりましたね。
以前から私のブログでは新勧に関する記事を多く掲載し、皆さんにボートの新規競技者を増やしていただき、それ以上に大切な学生時代のかけがえのない仲間を増やすために少しでも役立つような情報提供を心がけてきました。

ここ近年、「ボート部に入ってよかった」「私の大切な同期」といった内容のボート部ブログもよく見かけます。そのときの自分自身の入部決断の意志も重要だったのではありますが、それ以上にあなたたち同期全てを入部勧誘してくれた、入部させるために必死に動き回り新入生の心を動かそうとした、先輩たちの努力があってこそなのです。すなわち、ボート部挙げての新人勧誘活動の成果によるものであり、皆さんはその努力の結晶なのです。
それが、新勧する側になってはじめて実感できるというのも、またボート部生活において重要な経験になります。

最近、現役部員と新勧について話をする機会がありましたが、「新勧の字が違います。新歓ですよ」と言われたのですが、両方あるんですね。当然私のブログはあえて新勧を使用しています。誤字ではありません。むしろこちらが正統で、20年以上前はこの字しか使っていませんでした。昔の資料を見ればわかります。新歓は歓迎イベント限定の単語でしたが、1990年代後半頃から大学側も4月の一連の活動に「新歓」の字を使うようになり、特にPCやスマホでは新歓としか変換されなくなったので、新人歓迎、新歓コンパの影響でこちらが大多数派になっていきました。しかしほとんどのボート部はサークルではありませんから新人勧誘の略字で良いと私は思っています。いつもこういう話をしていますが(笑)、まあどちらでもいいですね。ニュアンスによって使い分けてください。私の考えるニュアンスでは、いくら歓迎してもボート部には簡単には入部してくれないから、勧誘が成功してはじめて入ってくれるという意味で新勧の字にしています。歓迎ノウハウより勧誘ノウハウのほうが重要ですからね。結局、部員が背中を押したり説得しないと新入生も決意できないのが大学新勧だと思うのです。高校はまたもう少し違うイメージがあります。
しかし、「新勧」とYahoo検索したら3つめに私のブログがヒットしたな・・・。恐ろしいですねネットは。




さて、それで新勧についてなのですが、これまで新勧のノウハウについては色々載せてきており、今も多少は参考にしていただける内容ではないかと思いますので、今回は新勧というものがいかにチームの強化に直結し、重大な役割を果たしたかということについて、私の経験と関わったチームのことをまじえてお話ししたいと思います。

私の関わってきたR大のチームでは、少ない部員数に長年苦しんできました。インカレだけを目標とするなら、小艇でチャレンジしていけばよいのですが、うちの大学には対校戦がありました。この有名なNRM三大学レガッタの対校戦では、19年間、全種目出漕がずっとできず、それどころかエイト1艇を組むのがやっとという状態が毎年で、エイト以外にダブルとシングルが出せればいいという空気、フォアなどはずっと組めずに来たのです。19年間ですよ。ちょうど私はその部員減少期に現役期間を過ごしまして、「NRM全種目出すのは無理」とみんなあきらめており、「新勧を頑張って全種目出そう」と言い出す人間は19年間誰ひとりいませんでした。全種目出せないようなチームが、そこで皆さんご存知、大学ボート最強のN大とM大に挑むのですから、まあ部員全員で組んだエイトで勝負になるわけはないのです、はっきり言って。

新勧というのは、まさにこうした一見達成が不可能なことにチャレンジする行為であるのです。
毎年頑張っても最大4、5人しか入部がなかった大学が、「いや、これはもう目標のレベルを飛躍的に上げるしかないな」とようやく気づいたというか心に決めたのが2010年頃です。私もコーチをやって12年くらいになる年でしたかね。遅きに失した感もありますが、学生の活動に対しこうした根本からの意識面に深く介入せざるを得ないのは葛藤もありました。しかしコーチの役割はチームを勝たせること、部員の心技体の成長。チャレンジできるチームへと生まれ変わるための指導や意識改革は不可欠でした。
当時の新3年生に協力してもらい、色々勧誘の案を出していきました。そこで2011年は震災の直後でしたがR高出身の新入生中心に男子6人入ってくれました。久しぶりに5人の壁を超えたのです。この代がひとつキーになりました。

2012年、この調子で「部を強く大きく」を合言葉にもっと増やしていきたかったのですが、私はちょうど新勧を迎える4月に病気になってしまい、長期入院する羽目になりました。このことは自分の中でも大きな出来事だったのですが、この年は大した協力もできず、しかし男子はまた5人入ってくれました。これで上の学年もだいたい5人ずつでしたので各学年約5人平均になりました。
ここからです。この少人数チームが変わるのは。R大艇庫の男子部屋の収容人数というのが、実は最大20人までなんです。何とかNRM全種目出漕も果たしましたし、男子部員が全部で20人になったところで、当時は最大に達したという雰囲気になってしまっていたのです。

ここを私は変えたかった。

忘れもしない2013年の2月24日、いまだ病気療養中の私は部員にかけあって新勧ミーティングをやるという話をし、現役部員に対し分厚い資料を渡し、2時間にわたるプレゼンをしました。
そこで、「いままで男子など毎年5人ずつくらいしか入部がない。女子は増えてきたが今のチームは男子の人数が課題だ。目標は高く、男子10名、女子5名、マネージャー5名の全20名を目標にしてほしい」と伝えました。
このとき、4年生が抜けたら2学年で男子11名、女子5名、マネージャー11名の合計27名しかいないんだよ。そこで毎年20名ずつ増やす部にしよう。対校戦の全種目出漕だけでなく、インカレ全種目出漕、対校戦でも全員出られないくらい激しい競争をしてレベルの高いセカンドクルーまで組めるチーム規模にしようと。

当然、現役には少し戸惑いも見られましたが、艇庫のキャパを超えれば近くのアパートを借りればいい。いざとなれば1年生は通いも考える。工夫はいくらだってできる。とにかく、男子10名、女子5名の選手数がR大には絶対必要なんだということを訴えました。
そしてその入部20名達成のためのノウハウを、細かくまとめたのがその分厚い資料です。新入部員を勧誘する謳い文句や入部プロセスまで、勧誘現場でのノウハウを全部員が共有しなければ目標はかけ声だけに終わってしまうからです。目標達成にはその方法を全員が考えることが欠かせません。
そのノウハウは、私がその後このブログでも新勧プロジェクトシリーズの記事としてまとめたものです。「新勧プロジェクト 2019」

その結果、どうなったでしょうか。
まずは、その新勧ミーティングで、「僕、絶対10名入れてみせます!頑張ります!」「すごいやる気が湧いてきたんで見ててください!」という部員からの熱い反応が返ってきて、現役がこの目標を自分たちのものとして達成に向かっていったことです。

私はこの頃、毎年現役に新歓期間に励ましのメールと状況を聞き出すやりとりをしていましたが、当時のメール、まだとっておいてあります。
新歓期間5日目
「今日も20~30人近く試乗会に来てくれるそうなので、頑張ります!」
「ドタキャンとかがけっこうあったりしてメンタルはズタボロですけど頑張ります!(笑)」
「今年は、けっこうアツイ男たちがあつまってます。絶対10人入れます!!!」

・・・こういう勢いは、やはり「新歓」をこえて、「新勧」でしょう。レースと同じように、魂をかけた心技体の戦いが必要なのです。
新歓期間最終日
「男子漕手は、ここまでN田、A田、A藤、I口の4人は確定です。今日で男女合わせて40人が来るので、さらに頑張りたいです。」
「今年の新勧は、寮生活のことも、朝練のことも辛いということを隠さないで、R大ボート部が本気で日本一を目指している集団だっていうことを新入生には言ってきました。その結果として男子は例年を超えて現段階7名の入部、試乗会最終日に40人を集めることができたんだと思います。新入生に自分のやってること、めざしているものを言葉に出して伝えることで、自分たちのモチベーションも上がってきたので、残り数日NRMでも勝つためにやっていきます」
「この秋からは男子部全員未経験になるということも言いました。だからこそ、この大会でセレクション大学に挑んでいく姿を今度は行動で見せたいです!」

こうした返信を、新入生との連絡やレース前の忙しい期間のさなかに部員は送ってきてくれていました。



そして、結果として男子10人、女子3人、女子マネージャー6人の19人と、目標20人にわずかに及びませんでしたが(一瞬達成したはずですが、4月や5月は人数の確定がはっきりしない時期でもあります)、経験者は女子1人だけでしたので純粋に18人を新歓期間に入部させることができ、上の学年の11人と比較しかなりたくさんの入部者を生み出すことができたのです。
もちろん、その入ってくれた新入生たち自身の、ボート部へ入部するという決意のおかげがあるわけです。
しかし、その入ってくれる決め手になったのは、新勧の目標を高くしてそこに挑んだ先輩たちのチャレンジ精神と、新勧ミーティングでの熱い気持ちも大きく作用していたのではないかと思うのです。

この2013年に入った代は、たいへん体格などの素質十分でしたが何よりボートへの意識が当初から高く、翌2014年に2年生ながらインカレM4-とM2+で準優勝するクルーの主力となります。全日本新人M4+で優勝し、さらに2015年にはインカレM4-優勝、全日本W8+3位。2016年に全日本M4-優勝して引退するという、男子も女子もチーム史上最高の戦績をおさめた代となります。
男子のほうは10人入ったと言いましたが、怪我の影響ですぐやめたのが1人、夏を待たずして別の部に入り直した1年が1人いましたので1年夏の段階で結局全員漕手の8人となりましたが、
最終的に4年間でのエルゴベストは
6'18 184cm78kg
6'22 185cm80kg
6'29 177cm70kg
6'34 180cm82kg
6'40 176cm80kg
6'50 178cm68kg
6'54 174cm70kg
というハイレベルな学年となり、あと1人はエルゴに伸び悩み日本一になるための選択と言って最終学年で自らCOX転向し大幅減量を成し遂げるというこれまたすごい精神力の持ち主でした。

女子も、経験者1人、未経験者2人という構成でしたが
7'34 164cm57kg
7'35 169cm62kg
7'36 163cm54kg
というこれまたハイレベルな3人でした。
男女いずれも、1年の夏や秋の段階でおおよそ+30秒くらいの記録からスタートしていますので、このへんは未経験選手の伸び幅の例として参考にして頂けるのではないでしょうか。

新勧でこれまでを超える人数が入って、その後のトレーニングやボートへの意識づくり、という別の要素も入ってくるわけではありますが、新勧ではどのように勧誘し、どのくらいイベントに集めればいいのか、このへんもふまえてボート部でめざしている目標とかやはり理念といったあたりが新入生にしっかりと伝わる、というところもポイントだと思うのです。
入る段階での新入生の決意のほど、ボート部に求めるもの、これらがある程度しっかりしていれば、あとは環境や先輩の関わりによってしっかり育ち、強化に直結するとこの経験でも私は確信しています。

すべてのはじまりは新勧。チームを大きく、強くしたいという気持ち。チームが小さく、弱かったからです。
新勧によって、日本一になったということが間違いなく言えると私は思っています。
チームの新しい歴史、いまのチーム規模は、まさに新勧への意識が変わったところがスタートだったのだと言い切れるのです。




私の経験は、これでもまだまだかもしれません。
男子10人、女子5人、マネージャー5人の20名目標は当時の状況としては高い数字でしたが、もっと大幅に集めている大学がたくさんありますので。それこそ、できればもっと多くの仲間がいるといいとも思いますし、規模が増えれば目標も高くしていきたいところです。
しかし大切なのは、強くするためにはまずは一定の人数、そして熱い1年生を入れるには先輩自身の熱い勧誘と決意が必要で、それでこそ上に述べた例のように素晴らしい1年生が入ってくれて、その新しいパワーがチームを強くしてくれて、ともに上昇気流でたくさんの新しい歴史を作ってくれる仲間になるということです。
ボートに向いた、素晴らしい可能性のある新入生がいてこそなのですが、そうした人材を仲間として得るのは上級生自身の心、ボートに対する熱い気持ち、高い目標、そしてボートへの意識なのです。

こんな新勧が、毎年、毎年さらにレベルアップしていけば、本当に強いチームが毎年更新されると私は思います。
私も毎年関われるわけではないのですしさまざまなめぐり合わせもありますが、皆さんにモチベーションになってもらうきっかけづくりはこうして提供できるかもしれませんしね。

上に述べた数字などは、あくまで一例で、もっと大きな数字にしていくことが必要です。
しかし大事なのは現状の意識を変えて少しでも高い数字に、つまり意識にチャレンジしていくことだと思います。
一見不可能なことが、可能になる。突き詰めれば日本一へも、世界一へも、その繰り返しだと思うのです。

まだまだ日本のボート界の常識で不可能とみられているようなことはたくさんあります。
それを可能にするためにチャレンジするのが、ボートに関わり続ける上での大きなやりがい、魅力につながると思います。
あくなき、自分自身の、チーム自身の、チャレンジです。上回り、壁を越え、それによって強くなりましょう。


チーム総力戦、全員参加の大事な仲間作り。意識と目標を高くするための準備はすでにはじまっているのです。



久しぶりのブログ更新です。3週間近くあくと、さすがに更新していないなと感じます。
依頼を受けてボート資料を作ったり、個人的にボート関連の資料作りをしたりしていたので忙しくボートのことをやってはいたのですが、ブログを書いていないと世間から消えた感じになるのでしょうか。いや、世界はネットだけじゃないですから、ちゃんとリアルの世界に私は生きていますのでご安心を。(笑)


たぶんブログを読んでくださっている方としては、更新してから3日も経てば「まだ更新ないのかな」と思われるかもしれません。

私は「忘却期間3日説」を提唱しているというか感覚として感じています。エビングハウスの忘却曲線という記憶に関する学説がありますが、それとはまた別に。
人体には細胞が60兆個あるといい、そのうち実に1兆個が毎日生まれ変わっているそうです。1カ月で30兆個、2カ月で60兆個生まれ変わる。じゃあ2カ月で全部入れ替わってしまう?というわけではなくて、入れ替わりのサイクルが早い細胞と遅い細胞があるので、表皮や角膜などバンバン早く入れ替わる細胞と内臓組織などゆっくり入れ替わる細胞とがあるので差があるのですが、それでもたった数年で人体細胞はほぼすべて入れ替わると。

それで、記憶というのは感覚として3日経てばすっかり忘れてきて、思い出したり新たな反復によってまた刻み込む作業をしないと忘れて思い出しにくくなる感覚があるのですね。私の場合ですが。これは、最初の記憶の細胞が死ぬ前にほかの細胞に記憶させないといけないのではないかなどと私は思っているわけです。記憶細胞の寿命は3日なのか、脳の中で新しい記憶が海馬という場所にしまわれ、さらに古い記憶は大脳皮質にファイルされるわけですがその大脳皮質に移されるのが3日目くらいなのかはわかりませんが。

3日間、思い出す努力をしないと、忘れませんか?これ、頭の中の知識情報や視覚情報に関する記憶だけでなく、技術とか身体感覚の記憶もです。
フライ明け(OFF明け)に漕ぎを身体がすっかり忘れているあの感覚。いつも良い時の感覚を思い出そうとしながら考えながら漕いだり走ったりしますよね。それであれこれ模索しながらトレーニングしていると、身体もじゅうぶんすぎるほど温まって、疲れ切って自然な脱力できてきたときにようやく「あ、これだよ!」なんて感じ始めたら練習ももう終わりに近づいている、みたいな。
だから休んじゃいけないんですよね。乗艇練習は毎日やらないと覚えてないんですよ。どんなベテランもです。むしろベテランほどこういう記憶とか、過去のめちゃくちゃベストの感覚を「思い出すために」戦っているところがあると思います。ベテランの迷走は、過去の良い感覚に囚われすぎることが原因と思います。過去のベストパフォーマンスを頭で覚えていても、身体はもうまったく覚えていないんですよね。でも、ふと思い出すことがあるので、思い出したら忘れないための継続と、忘れないルーティーンを身につけることです。
「立ち上がり」は本当にベストが出しにくいので、野球の先発投手が苦労するのはとても分かる気がします。しかし前日からの流れでかなり覚えが残っていれば、立ち上がりからすぐ良い流れに乗っていける感覚もまたあります。
ベテランほど、いくつもの思い出すためのキーワードやキーポイントを持っているのですが、ベスト感覚を常に出せる、再現性の高い、思い出すことやいつも最高レベルのパフォーマンスができる選手が、私は最高の技術を持った選手だと思います。一流選手の条件は、再現性にあり、そしてそれをさらにレベルアップさせたものをまた再現できるところです。

だいぶ話が最初から逸れましたが、要はブログも3日間隔くらいにはポンポン定期で更新しないと書く方も読む方もリズムに乗れないのかもしれない、ということですね。
日々、退屈を嫌い、刺激を求める人はこういう忘却や無為の刺激のなさに耐えられず常に新しい記憶を脳に刻み付けたい欲求が強いのだと思います。しかし、ボート競技においては反復と記憶のスポーツだと考えていますので、一見変化に乏しい単調なスポーツに見えがちですが、記憶を高め反復し、より高度でシンプルな動作と身体感覚を飽くことなく繰り返せてそこに常に興味を掻き立てられる人が向いているのです。そして、基本的にRowing動作が「うまく身体が動かせている」感覚を感じる域に達しないと、やはり続けることに楽しさを感じにくいですから、Rowing動作はいつも快適に身体を操作できるよう、シンプルでリラックスして骨格と筋肉が合理的な動きをしっかり追究してください。

記憶って、スポーツと密接なテーマだと思っています。「記憶のメカニズム」とか「記憶」とか調べるとなかなか面白いです。トップ選手は記憶力すごいですしね。パソコンやネット情報も記憶の集積ですし。関心がある方は、色々なヒントや興味が見つかるかもしれませんよ。





さて、濃い前置きはこれくらいにします。
昨日、とある国立大ボート部員の方から非公開コメントを頂きました。

その方は、どうしても今のチームを強くしたい。どうなれば強くなれるのか、そもそも強いチームとはどういうチームなのか、どのような雰囲気なのかまだはっきりとわかっていない、と言うのです。ちなみに大学2年生の方だそうです。(新3年生)
これについて記事にしてくださいというご要望でしたので、今回久しぶりにブログの筆をとったのです。

私の独自の見解で構わないそうなので、その通りに展開していきたいと思います。
このブログは常に独自路線であり決して一般論ではないので、いつも参考程度に取捨選択してくださる前提でお読みください。


と言っても、ありきたりの意見かもしれません。
そもそも「強いチーム」とは、自分が思うのでなく周りがそう見るものだと考えます。

例えば、私がわずかばかりですが関わったチームはようやくインカレ優勝や全日本優勝ができましたが、結果を出してみると自分たちが「強い」とは思わず、周りは本当に強かったと改めて思わされましたし、もっと強くなれるなあと、上には上があるということをいっそう感じました。日本一になっても、日本代表にはなっていない。世界とは厳然たるレベルの差がある。
とにかく上のレベルにチャレンジしていく中で、その「上のレベル」を意識して、個としてではなくチームとして強くなろうとし、そして具体的な意識ができたときに、上のレベルのトレーニングと技術とRowing観の養成を日々実践できるようになって、強くなる途上において結果を出せたのです。

今回の記事は、「強いチーム」を作りたい方に向けた内容になります。






1.上のレベルとは何か
まず始まりは「上のレベル」というものを意識することですね。
弱いチームは、「上のレベル」を知らないか、「上のレベル」があることを知っていながらチャレンジしない、この2通りです。

残念ながら、先輩や指導者が上のレベルを知らないと、その人の指示下にある下級生は上のレベルを意識できません。弱くて負けることが当たり前になっているチームがそこから脱却するには、「負けることが異常だ」という意識に変わってください。強いチームは、「勝つのが当たり前」であり、「負けるのは異常」なのです。
しかし強いチームは、その負けることには敗因がしっかりと見えているので、負けた経験を必ず次の勝利に生かします。敗因をクリアし勝つためのチャレンジを練習に組み込みます。
弱いチームは、なぜ負けたかを漠然と「周りが強いから」という理由にしますが、具体的なことは一切分かっていません。なぜ弱いかと言えば、そもそも意識が低いのです。上のレベルを知らないからです。

以前にも、「当たり前のレベルを上げる」ということを話題にしましたし、スポーツでも仕事でもとてもよく言われているテーマです。スポーツチームの変革には、変革を掲げる指導者や主将リーダーは、必ずこの「当たり前のレベルを上げる」ことからスタートします。彼らは「上のレベル」を知っていて、意識しているのです。現状が低いレベルだと知っているから、「上のレベル」が異常ではなく、当たり前になるまでチームメンバー全てを意識訓練するのです。こうして、負けるのが当たり前で、厳しい練習や生活を自主的にはやらず楽なことばかりしてきたメンバーは、この怒涛の変革者によって意識を「上のレベル」へと変えさせられるのです。上のレベルのトレーニングや目標は異常ではなく当たり前、エルゴ6'30は当たり前(エルゴは個人差があります)、毎モーション20kmは当たり前。だから勝つことも当たり前になってくる。そういう練習と生活と意識になっていますから。

これ、全員が自主的に「上のレベル」を意識できればたぶん一番いいのですが、こうはなかなかならない。ほぼ例外なく、トップダウンでの意識革命になります。本当はボトムアップの意識革命が理想です。ですので鬼軍曹的な主導ではなく、オピニオンリードや感化させる方法が良いのだろうと思います。指導者型リーダーというより、支援者型リーダーですね。以前も「リーダーシップと人間性」という記事でテーマにしましたね。1人1人が自律し高い意識で組むクルーが私の理想とするチームボートです。

そして、「上のレベル」があることを知っていながらチャレンジしないというチームは、もうその道を進めばよく、別に誰にも迷惑かけませんし、ぜひRowingを楽しむ目的で、勝つというより交流そのものと身体を動かすことを楽しんでほしいと思います。この楽しむだけのRowingは、もう一つの大きなRowingの世界です。その中で、上のレベルに対しても、エンジョイレベルに対しても、さまざまな貢献や理解をして頂けると素晴らしいRowingファミリーとなってくれる重要な存在となります。
しかし、強くなりたい、勝つことをめざす中で心技体を成長させたい、というならば、これは途端に強くなりたい人とそこまでせずボートをサブとして楽しみたい人と相容れなくなってしまうのです。
チームの中で亀裂が入り意識の差が生まれる点はまさにここです。だからこそ、チーム理念を最初からどちらにするか明確に決めるべきであり、双方をメンバーとして迎えるならば、チームの中で競技クラスとエンジョイクラスとに峻別すべきなのです。
これは、クルーにおいても常に問題となるところで、意識の差からすべての齟齬が生じやすくなるポイントです。

漠然とでも、「上のレベル」をめざすことで一致しているチームであれば、この「上のレベル」を意識するためのあらゆる取り組みをしてください。上のレベルをめざす選手と、そこまでしてやりたくない選手が一緒だと、お互い不幸になります。
艇は、舵取りによってまっすぐ進めることがRowingにおいては大切です。





2.チームを意識する
「上のレベル」・・・、というか、みんな勝ちたくてボートやってるんだよ!と言い切れるチームの方は、それが本当かどうか、徹底してください。どうしたら勝てるか。行動できないと全部嘘になりますので、勝つための意識を具体化し、そして行動していきます。

日本ではよく、整理整頓、清掃清潔、躾という5Sを徹底することでチーム強化する手法がとられます。私はこれが勝つための方法として唯一とまでは信奉していないのでこれを金科玉条とする指導者の方には何だと思われるかもしれませんが、しかし日本ではこの5Sに取り組むことが重要とされていることは間違いありません。
これができる人やチームは、行動と習慣を律することができ、そして細かいことに気が付き、やるべきことを徹底できるようになるため、ボート競技にもたいへん生かせる習慣のシステム作りとなります。

物・金・時間の管理がしっかりできますので、人と情報の管理にも応用がきくでしょう。この5S習慣が根付くだけで、統制がなく上のレベルさえ意識できないチームから、全く生まれ変わることができます。
この管理手法は「人として当たり前」ということで、ボート以外の組織にも生きてくるのですが、基本編の「物・金・時間」が管理できるだけでなく、応用編の「人と情報」の理解や活用にもしっかり生かしたいところです。
私が5Sだけでは足りないというのは、個性や工夫やアイデアも必要だと思うからです。物・金・時間の管理はもちろんなのですが、人と情報を使えてこそリーダーとして、そして競技者としても一流だと考えますので、型にはまるのではなく自ら周りに良い影響を与えられる人になってほしいと思います。
ただし、「強いチームは艇庫がきれい」の法則は日本ボート界では真理です。強い選手をめざすのではなく、強いチームをめざすのであれば、チーム全体を常に見て、人が捨てたり散らかしたものは自分の責任、チームの課題として対応してください。誰もが整理整頓、清掃清潔、躾の習慣がゆきわたり行動とその結果としてきれいな艇庫が毎日継続できれば、チームとして強くなったと実感できるでしょう。

同じチームの仲間として、同じ艇に乗るわけですし違う艇でも同じチームなのですから、どの艇も強くなるには、メンバーの意識にまで影響し合うように変わる必要があるのです。「自分はできているからいい」、この考えでは、チームとして強くなりません。いつもチームメンバーに関わる仕組みを作り、コミュニケーションを欠かさず、情報や感情を伝え合い、感化し合ってオープンな組織を作る。このことが、エルゴや乗艇を誰よりも頑張るあなたの姿に励まされて全員が負けじとトレーニングにも生活にも妥協しない、勝つための1日を過ごす変化へとつながっていくのです。

あなた1人だけ頑張っていても、クルーボートは進まない。1Xで勝負しても、周りの艇が全部負けたとしたら果たして本当に満足か。全員で勝つ。チームで勝つ。これを突き詰めていくと、自分もチームも変わらなければ、自分もチームも全員が関わる仕組みを作らなければ、全員がともに喜び合うというチームの勝利には辿り着かないのです。
頑張ってない人はいないともよく言われますが、個々に寸断された頑張りではオールは揃いません。共通理念、すり合わせ、コミュニケーション。そしてやはりリーダー意識を持つ者によるチーム全体の艇速、艇の動きを見る目が欠かせないポイントになってきます。その意味で、チームが見えて客観視できて数値化できてプランがあるという、チームが意識できるリーダーは多ければ多い方がいいと私は考えています。





3.具体的に意識する
「上のレベル」を意識するというが、これが漠然としていては始まりません。ただ強いクルーの外見を真似をするだけでは速くなりません。知ることです。

私が現役の時は、強い大学のブレードワークやボディ姿勢を真似たりなど色んな試みをやっていましたが、全く意味がないです。技術練を真似したり。時間の無駄でした。無駄ということを知れたのは良かったですが、要は見かけだけ真似しても駄目で、意味や目的という中身や本質を知ることのほうがずっと重要だということです。
特に大学から始める方は、より高いレベルでRowingを考える習慣を身につけてください。意識と知識で経験者に最初から負けてますから、この点で必ず上回らないと勝てませんよ。

うわべだけの真似に意味があるのかということに私は早めの段階で懐疑的になり、コーチになってからは外見でなく内側を想像して試行錯誤するというやり方に切り替えました。その中で、実際に優勝したチームの資料を見たり、考え方を知り、そして何よりデータは重要なのでどれくらいのエルゴが必要か、どんなテクニックやトレーニングで練習しているか。これらを「知る」ことが何より不可欠でした。そして、当然同じことをしていては勝てないので、さらに上のレベルである世界トップの漕ぎを参考にしはじめた。これが今このブログで世界Rowingの紹介に少しでも生きていると思えば当時はそんなこと想像もしませんでしたが。(笑)


今回コメントをくださった方をはじめ、これは本当に私の勝手な意見ですがブレードワークにこだわらないでください。空中ブレードの軌跡は水平にさえ動いていれば大丈夫です。「ボートを漕ぐ」「オールを引く」という表現を使わないでください。オールを動かすのではなくて、ボートを動かすのがRowingです。ボートのスピードを出すのがRowingで勝つ方法です。

ボートのスピードは、強く艇を動かすことと(Power)、その艇の動きに一定の長さがあること(Length of stroke)、レート(Rate)によって決まります。これは有名なマイク・スプラクレンコーチの言葉でもあります。スプラクレンコーチは、五輪でコーチとして獲得したメダルが金4銀4銅2という伝説のコーチで、特にM8+では金2個、銀1個を得ています。私の見解を加えれば、これら3要素は艇とつながるテクニックによって活きてきます。

Power・・・パワーは体重と出力が大切です。余すことなく推進力に変えるために、脚を通じて骨盤周りの出力を出すことで艇と漕手全体の重さを動かし水の抵抗をよく感じてドライブしてください。
強く加速的に動かそうとするほど、抵抗が増します。これがドライブでの重さであって、厳密に水の重さとはブレードで掴んだ重さのことではありません。艇重量を浮き上がらせた「かかり」の重さと、ボートを止めようと進行方向から感じる抵抗の重さです。これを感じようとしないでブレードの水の重さだけを気にしたり、しなりを作ることばかり考えていると、艇そのものを駆動できませんので注意してください。ブレードを動かしたいのではなく、艇を動かしてスピードを作りたいのです。
ドライブでの艇が一体につながって、抵抗が重くなればなるほど、強くて出力と推進が等しくなる理想的なドライブになります。これが水中感覚です。ブレードの動きや軌道のみを意識すると、艇をダイレクトに動かしていく水中感覚が損なわれます。
そしてスライド(フォワード)ではドライブで駆動したぶん、体重移動も含めた漕手と入れ違いに艇がスッと浮いて伸びる、あの素敵な走りをまた感じてください。

Length of stroke・・・ドライブ一定の長さを得るには、振り角(キャッチからフィニッシュの上から俯瞰したオール角度)とスライドでの脚レンジが適切であれば、あとはキャッチとフィニッシュでのポジション(姿勢)がパワフルなものかどうか、これで長さがじゅうぶんとれます。これも自分の感覚を頼りにします。しかし、世界のテクニシャンを見れば良い姿勢は分かってきます。動画や写真で何度も見て、実際に自分でその姿勢をとってみてください。力を抜いて重心を安定させてください。キャッチからフィニッシュまで、大きく引こうとはしないで、脚に体重を乗せ続けてハンドルに指関節をかけ続けてください。グーっと脚主導で体重を乗せて出力すれば、つながり続けることで艇が一定距離、動いてくれます。大きいドライブのためには脚を長く使ってください。そして艇を加速させるイメージで。

Rate・・・レートは、体力にもよりますが、それ以上にドライブの強さと、身体のリラックス感とリズム感です。身体をスッとフィニッシュからキャッチポジションまで折りたためるならハイレートもあせらず動けるでしょう。前傾とって、シートを出して、とはイメージしないことです。股関節から脚を折りたたみかがみ込めば、勝手にスライドできます。
股関節を中心に、大腿骨(脚)と脊椎(体幹)をちょうつがいのヒンジのように折りたたむイメージです。キャッチポジションは、ももと下腹部がくっつくまで折りたためばスムーズにとれます。ももと下腹部がつかないキャッチはあまり良いアプローチではありません。
股関節から折りたたんで、股関節から開いて出力。これがRowingでの強く大きな骨盤周りを生かしたパワフルな全身Rowingにつながる動作です。スライドは、ズルズルとシートを出すのでなく、軽くスッと。スイーッ、スイーッという快適な動きが本来のシンプルで強いRowing動作です。そしてスイープでは仙骨回転するのでスムーズなサイド対応になります。ねじれたツイストにならないで、なめらかで横対応のエントリーを実現し脚のきく強いキャッチポジションを獲得しましょう。SR40はかなり気持ちに余裕のあるレートになります。


これでもまだもう少し分かりやすく説明できると思うのですが、基本技術だけでもこのように具体化することができます。
こういった、色んなたとえを用いたり表現力やRowingの語彙を増やしてくことが、具体的に意識することになります。自分の頭だけで悩み考えても、時間がかかるだけなので、Rowing経験のある人に頼りながら、自分の頭と身体で考える習慣をつけてください。(強いチームは、周りの人や多くのファンを味方につけて増やすことが上手です。周りを常に巻き込みましょう)
特に、感覚の世界はいくらでも追究できる世界なので、この身体世界の開拓が日々のモチベーションになるようと楽しむこともポイントです。

このように、トップ選手の身体の内側を想像し、自分の感覚を変えていく中で外見も劇的に変えていく。これが私のとったアプローチでした。
そしてここまではRowing動作での技術に限った話で、ほかにも色々具体的に知りたいことがたくさんあります。

リギングも、レース技術も、トレーニング知識も、生理学の知識も、強いクルーの選手名も、さまざまなチーム情報も、チームマネジメントの手法も、エルゴの知識も、ありとあらゆるRowing情報を求め知っていくことが大切です。
素材が増えれば、組み合わせも増える。漠然として材料も考え方もあいまいだったよく分からなくてきついボートが、具体的ではっきりとして、最高のスピードに挑むチャレンジへと変わっていきます。まだまだ未知のものが見える気がして、世界が広がり成功例や引き出しも増え、魅力的で自己表現の舞台になって、出会いもたくさん増えていく素晴らしいコミュニティスポーツへと化していくのです。

そのための素材探し、情報提供は、微力ながら私のブログにも色々用意があります。まだまだほんの一部ですし、何しろ私はこれでもあまりボートのことをよくわかっていないと思っていますから・・・。
まだあまり日本のボートのことも世界のボートのことも知らないことばかりです。
だからいつも未知のワクワクに溢れているのかもしれませんね!

具体的に考える。そのために知識を求める。これは、ボートでもボート以外でも成功する上では大切なことだと思っています。





4.日々実践
上のレベルのトレーニングと技術とRowing観の養成を日々実践できるようになることが必要、と言いました。
この、上のレベルのトレーニングと技術とRowing観というものを知っていることが前提になりますが、これらがライバルより卓越し上回っていれば勝てるというわけです。勝つというのはいつも相対的なもので、相手を知らずして自分も知らなければ勝負に勝てるわけがないのです。私はスポーツはある意味情報戦だと思っていますので。
こんなに情報を提供してしまっているのは、私がチーム間の勝負という利害関係にあまり当事者として深くは関わっていないからですかね(笑)。

というわけで、トレーニングの目的としては、ぶっちゃけて言えば、
①エルゴ
②クルーとして艇を動かせる=タイムを出す
この2つです。これを高めるための実践です。

エルゴが出せれば、必然的に上位に行ける条件が整います。優勝に必要なタイムが出せれば、ほぼ決勝確約です。というわけで、トレーニングをする目的はこの数字達成に集約されます。数字は測定値なので、実際のパフォーマンスとしてもイメージして考える必要がありますので、漕ぎ方やペース研究はもちろんのこと、優れたエルゴの体力特性や数値分布、優れたタイムのクルーの特長やレースパフォーマンス、こういったことは知っておくべきです。
○分○○秒出す!といっても、実際に出すための知識がないとかけ声だけになってしまいます。

エルゴタイムと乗艇タイムは、これも私のブログで度々言っていますが、これらは優勝や決勝に必要、というまでの資格のようなものであり、決勝というのはタイムを出しても勝負で敗れることもあるので注意してください。
「えっ?優勝のタイム出しているのに、なんで決勝で負けるの?じゃあ優勝できるタイムじゃないじゃん。勝ったものが強いみたいな言い方しないでくれ」と思われる方も多いかもしれません。しかし、私がコーチとしてや身近で決勝に何度も臨んだ経験から言えるのは、優勝するためには決勝の特別な舞台では簡単に言えばメンタル面の比重が増すということです。
戦術、情報、多くの勝負の引き出し。相手に力を出させず自分たちの強みを全て発揮する。今まで出したことのない信じられないパワーやどんなに出しても落ちない水中、別人かと思うようなリズム、そして勝てば優勝というプレッシャーや未知へのチャレンジ。相手との駆け引きと会場のムード。色んな要素が出てきて、普段の力どおりに決着しないことが多くなるのです。そもそも決勝は普段の力の対決ではないです。特別な力同士の対決です。
こうした経験も、何度か味わっているクルーが有利になる傾向もありますが、それを知っているコーチやリーダーのファインプレーなどもあります。とりあえず、ボートの決勝は本当に楽しいということをお伝えしておきます!

それでエルゴや乗艇タイムなのですが、低くても勝てる場合もあるのですが、だいたい優勝基準、メダル基準、決勝基準、順位決定基準など、エルゴも乗艇もほぼ一定の範囲内で決まっています。
今は、インカレM8+だったらN大がいるので、優勝には最低クルー平均6'25が必要な時代になっていると見ていますね。できればもっと欲しいです。条件ですから。決勝には6'30平均は欲しいですね。順位決定で最低6'35平均は欲しいかなと。
ほかの種目も、そのような基準やレベルがあり、過去の記事でだいたい私の基準値をお伝えしています。

強いチームということでお話してきましたが、一定以上のレース結果を出せないと強いとはやはり言いにくいと思いますので、最終的にはこうした数字のクリアによって、優勝の確率を高めていくことが求められます。
そのときに、「無理だよ」となるのか、「絶対クリアする」という必達目標にして1年ずつチャレンジしていくか。強いチームになるには、チャレンジし、チームで意識共有し、具体化し、行動することで結果を出すことが必要なのですから。


技術については前項でふれましたが、Rowing動作だけが技術ではなく色んな知識と方法論がすべて技術になります。情報力を高め自ら考えそれを記録したり発信してください。
Rowing観とは何でしょうか。私はこのブログでRowing意識という言葉を使っていますが、ボートに関する意識。そしてRowing観とは、ボートに関する見方や考え方というところですね。人生観という言葉があります。人生観て何だろうというと、人生というものをどう考えるか、どう捉えるか、人それぞれ持っているその人の人生についての思考なのではないかと思います。人それぞれ生きてきて経験したことや生まれ育った人間関係などが違うのだから、人生について捉え方が違っても不思議ではないですよね。
文芸評論家の小林秀雄によると、「宮本武蔵の『見る』と『観る』は違う。『見る』は通常の目で見ることであり、『観る』は心眼で見通すことであると言っている。観るというのは、ものごとを表面的なことを見る常識的な見方とは違い、ものごとの本質を智慧の働きによって見透すことだ」と言っているそうです。
日々のRowing経験、Rowingでの思考やRowingで感じる様々なこと。生活と学業との関連。学生や社会人としてRowingに関わる中で、人としての経験も積みながら、人それぞれのRowing観はさまざまです。しかし、経験していくうちに自分にとってのRowingは変化していくものもあり、変わらないものもある。知識が増え、見方も変わっていき、奥深いことも教えてくれて、時にはさまざまな未知の出会いによって自分を変えてくれるRowing。Rowingには知の恵みや人の恵みがあり、それは日々自分と、チームと、そしてRowing自体と向き合うことでもたらされる恵みや変化なのだろうと思います。自分やチームを映す鏡です。

こうしたことを実践し、勝つための道を知り、一歩一歩一日一日上をめざし、上に来た時にはまだ頂点が先にあることを知る。
ともに進む仲間がいるからこそ、こうした心の成長が実感できるのではないでしょうか。

毎日が、上をめざし、強くなろうと目的意識と目標に向かい当たり前のように追い込んで変わろうとしている雰囲気が、チーム全体にみなぎっている。
その中でも、ユーモアや気遣いを忘れないで、チームに明るさや笑いがある。一人一人、大事にしながら関わっている。トレーニングでは厳しく真剣なまなざし。
強いチーム、というのはそういう雰囲気だと私は感じます。







まだまだもう少し、強いチームのイメージはあると思います。私のは一つの理想論にすぎないかもしれませんが、実際に感じたことのあるチーム状況でもあります。
ボートと向き合い、ボートのことを毎日誰よりも考えている、この雰囲気は間違いなくありますね。そして考えるためには、最新のボートの動向に通じていること。そのためにRowingに常に関心がある。人に言われるのではなく自発的に楽しんでボートをやっている。周りにしっかり意見を言う。ボートの会話が好きだ。優勝するという強い意志をもち、自分たちが結果を出せることを信じて疑わない。自信がある。

こういうチームが強いと私は感じてきました。






「強いチームづくり論」、色んな意見などもありそうですね!
さまざまな意見もあったり話し合ったりで、日本ボートの活性化につながればいいと思っています。

今年の世界選手権を振り返るレビューシリーズも今回で完結です。
最後に、軽量級各種目を振り返りましょう。スカルの6種目のみで、LM2-とLW2-は割愛させていただきます。

五輪種目のLM2X、LW2Xをめぐり、この強化種目の側面もあるLM1X、LW1X、そしてLM4X、LW4Xの6種目のレベルは上がり続けています。
これまでLM4-をめざしていた軽量級スイープ選手は、スカルに変更するか思い切ってオープンに階級を上げるかの選択。世界選手権にはLM4-とLM8+はなくなり、LM2-と2018年新設のLW2-が軽量級スイープとして残されていますが、強豪国をはじめ各国の反応はいまひとつ。LM2-は3クルー、LW2-は2クルーのみのエントリーで、両方ともイタリアが制しましたが関心は高くなさそうです。IOCの理解を得てLM4-、LW4-の2つが五輪種目になれば良いと個人的には思いますが、今のところ大きく風向きが変わらない限り実現は難しいでしょうね。

しかし五輪種目男女1つずつなので、特に各国が注力するLM2XとLW2Xはとにかく激しい争い、レベル上昇はとどまるところを知りません。東京五輪への有力クルーや注目選手を探っていきたいと思います。






各種目レビュー④


男子軽量級編

LM1X
ドイツの超特急、ジェイソン・オズボーン選手(24歳)が、スイスのミハエル・シュミット選手(179cm、30歳)やアメリカのアンドリュー・キャンベルJr.選手(26歳)の追撃を振り切って世界選手権初優勝を果たしました。この3者、いずれもリオ五輪LM2Xに出漕しており、オズボーンはFinal B3着(9位)、シュミットはFinal C1着(13位)、キャンベルJr.はFinal A5位(5位)という実績。

注目は今回優勝したオズボーン選手です。決勝よりも、今大会の予選でLM1X世界ベストを塗り替え、6'41"03という驚異的なタイムを出したのです。マンソン選手の男子オープンM1X世界ベストが6'30"7であり、だいたい軽量級とオープンのタイム差は5~10秒ほどになる印象です。世界ベストにおける軽量級とオープンの比較は、LM2Xは6'05でM2Xが5'59、LM4Xが5'42でM4Xが5'32、LM2-が6'22でM2-が6'08、LM4-が5'43でM4-が5'37、LM8+が5'30でM8+が5'18といったところです。今はもうなくなっている種目もありますし、当然レースが行われた条件や種目ごとのレベル差などもありますので単純比較はできませんが・・・。

このオズボーン選手、19歳の時に2013世界選手権LM4X準優勝の戦績があり、今回24歳で世界選手権優勝と世界ベストを記録したのですが、冒頭で超特急と形容したのはドイツらしい艇とつながるテクニックにすぐれ、艇の揺れや失速がたいへん少ない理想的な動かし方をしている特長のイメージも込めさせていただきました。オドノバン兄弟のように、とても参考になる艇の動かし方だと思います。この選手、よきパートナーを得るかどうか、東京のLM2Xに参戦してくることは間違いないでしょう。
日本はIK田選手がFinal C4着。今回は調子がもう一つだったようですので、万全を期して2019シーズンに挑んでいただきたいと思います。
Jason Osborne World Rowingより
高いのはテクニックだけでなく実力も世界一!世界ベスト6'41を叩き出したドイツのオズボーン選手
World Rowingより写真転載






LM2X
リオ五輪LM2X金のフランス、昨年も世界選手権を優勝しこのまま東京へ2連覇に邁進するかと思われた直後、ストロークのアズー選手が電撃引退。「史上最強の軽量級漕手、引退!」
これにより一気に混戦、激戦の嵐が吹き荒れる予感のLM2X戦線であります。

しかしスターが去れば次のスターが現れ輝きを増します。LM2Xでは、アイルランドのオドノバン兄弟と、イタリアのルータとオッポのLM2X。現在、この2強がLM2X種目をリードする双璧といった様相です。ただしLM2Xの強豪クルーはそれだけではありません。この2つが頭一つリードといったところは間違いないのですが、決勝クラスはベルギー、NZ、ノルウェー、ポーランドほか有力クルーがひしめき、そしてFinal Aに残る可能性のあるクルーはじつに20か国くらいあるのではないかと言ってもいいくらい、5~10秒の間に多くの可能性たちが激しい競争状態にあるのがLM2Xの現状なのです。

ここにぎりぎり日本も入るか。このベスト24のラインを突破して、ベスト12のFinal A/B準決勝に入ったことにより今回日本はFinal B6着、12位という結果になりました。しかしそのすぐ下のFinal Cではコンディションもあったでしょうが、1着フランス6'08から6着ポルトガル6'14までというタイムを出す6か国が13~18位となっており、日本はこのFinal Cに入って1着が確実にとれるかの保証はないでしょう。つまり、最終順位とはレース結果であり、必ずしも実力すべてを表すものではないのです。インカレ全日本も同じです。しかし、そのレース結果によって実力とみなされるわけでもあり、大切なのはその結果を積み重ね、自信と実力に変えていくことでしょう。
私がここで言いたいのは、とにかくLM2Xは毎回順位が激しく入れ替わるくらいに競争が激しく力の差のないクルーが20か国以上あるということ。そしてここを突破するための方策と確かな力が必要だということです。戦略と、そしてRowingにおける心技体の結晶である艇速ですね。艇速すなわちタイムです。



この群雄割拠20か国以上の頂点を決めるLM2XのFinal A、2018世界選手権決勝はアイルランド、イタリア、ベルギー、ノルウェー、NZ、スペインの6クルーで争われました。
先述したアイルランドとイタリアの2強にその他のライバルがどう絡むか。リオ五輪銅、2013世界選手権優勝のノルウェーは長らくSストランドリ、Bブルンのコンビでいまの2強に次ぐ存在、今年ヨーロッパ選手権ではこのアイルランドとイタリアに勝って優勝もしておりその強さを長らく継続しています。しかし、今大会準決勝後にバウのブルン選手にアクシデントがあったか決勝では補漕のホルム選手にメンバー交代していました。世界選手権でも急なクルー変更があるのですね。

そのノルウェー、急なスクランブルにも関わらず先行争いに加わろうとしますが、一番槍戦法で先手必勝策をかけるイタリアがスタートからトップ譲らずレースをリードします。昨年、アズーとウァンのフランスに競りかけ世界選手権LM2X2位となったイタリア、今年はさらにスピードに磨きがかかり主役を張る強さを身につけています。もうひとつの優勝候補、アイルランドはいつもどおり中団から後方という、イーブンペースの戦いをしていきます。世界戦も、第1Qを見れば各クルーのレースプランが見えてくるところがありますよね。一生懸命漕いでいても後方のクルーは明らかに力不足ですが、力のあるクルーがレートを落ち着けコンスタントモードだと、第2、第3で勝負という選択をしているに違いないのです。
同じく力のあるNZと、昨年から目立ってきているベルギーも同じく後半型。スペインは飛ばしていますがメダル争いするにはもう少し力がほしいところ。

第2Qで単独1艇身もリードを広げたイタリアでしたが、いい位置にノルウェー、アイルランドが2番手並んでいます。ベルギーもアイルランドに続いて後半勝負を狙っている状況ですが、しかしアイルランドの素晴らしく良いリズムを見てください。SRは36でたいへん余裕がありながらも、完全に「軌道に乗った」コンスタントです。こういう、エネルギー供給が完全にはまって、永続できそうなコンスタントは全力ながらも体力を消耗しないので、私の理想とするコンスタントです。それでいて、LM2Xとして1'32のラップを叩き出して先頭のイタリアにじりじり迫っていきます。
そして第3、その余力を使ってアタックに費やしたのはここの区間でした。レートはあまり変わりませんが、水中に一段とパワーをかけ、ドライブを強めた水中のアタック。ストロークの弟ポール・オドノバンがチラチラとイタリアを見て勝負に出ているのが分かるでしょうか。Rowingの2000mは、エルゴ2000mでの自分だけのペースで漕ぎ切るタイムアタック・トライアルとは全く違う、これが勝負なのです。こうなったら、もう後半1000mはアイルランドのもの。1500mでイタリアをカンバス差追い越し、アイルランドの第3Qのラップは第1より速い1'31"5。何だこれは!!ここだけで他のクルーを3、4秒置き去りにし、1艇身あったイタリアもかわしにかかっているのです。
ラストの勢いはアイルランドに圧倒的に分がありましたが、イタリアも伝家の宝刀ラストスプリントを隠し持っています。しかし前半勝負に出ていたイタリアがラストアタックできたのは残り200mを過ぎてから。結局、アイルランドが6'06"8というスーパーなタイムを出して優勝。逆カンバス敗れたイタリアは2位。そして3位に成長著しいベルギーが入り、以下離されてNZ、ノルウェー、スペインでした。



アイルランドのタイム6'06"8は異次元で、世界ベストの2014南アフリカの6'05"3は超順のもの。今回プロブディフの決勝コンディションは順ではあったもののそこまで強くなく、私の見るところアイルランドのオドノバン兄弟はすでにフランスのリオ五輪金だったSアズーBウァンを超える艇速を持っていると思います。
しかし、アイルランドLM2Xは、本番の勝負所で一気に出し尽くすタイプというように感じており、常にベストを発揮できる安定感は感じません。WRC(ワールドカップ)第1戦3位、WRC第3戦優勝、ヨーロッパ選手権2位と、いつもチャンピオンではありません。狙ったターゲットレース一本に絞るピーキングの達人という印象があるのです。その一点集中した強さは絶大で、世界選手権決勝で3'04-3'02で6'06を出し、第3Qでベストラップを出せる驚異のアイルランドの武器である後半アタック。これらの特長から、特に後半の威力抜群のアタックを、アイルランド神話における英雄クー・フーリンの持つ一撃必殺の槍、ゲイ・ボルグと名付けましょうか。
狙った獲物、狙ったレースは逃さない。東京まで一気に駆け抜けるか、ポール・オドノバン(177cm24歳)とゲリー・オドノバン(175cm26歳)の小柄ながら底知れぬスタミナと最高のリズムを持ったオドノバン兄弟。

アイルランドRowingを変え、世界を驚かせる兄弟。2001年に9歳と7歳の時同じ日にRowingを始めたクラブ、アイルランド南西部スキバリーンRCで育ち、元Rowing選手でありボートを教えた父親が2013年まで2人をコーチしていました。冬はひたすらエルゴで強化、夏はスキバリーンからも近くアイルランド国立Rowingセンターがあるイニスカラ湖(長さ13km)でトレーニングしています。いま、アイルランドを強国に育てたドミニク・ケーシーコーチのもとで兄弟は驚きの渦の中心をともに作っています。
フランスLM2Xの強さを超え、オープンM2Xの艇速の域にまで迫るアイルランドLM2Xは、東京の主役になるべき緑色の竜巻なのです。
2018 世界選手権LM2Xアイルランド
2歳違いのアイルランドLM2X、オドノバン兄弟。バウの兄ゲリーは昨年の夏は病気によりLM2X出漕できず。弟ポールはLM1X優勝し、ゲリーはその間しっかりと療養し回復、この2017シーズンあってこそ2018年世界選手権でLM2Xとして嬉しい初の優勝を飾ることができた。しかも内容が驚異的。
ここからアイルランド伝説がはじまるか。
World Rowing Racing Videosより



イタリアはもうおなじみ、Sピエトロ・ルータ(183cm71kg、31歳)とBステファノ・オッポ(187cm70kg、24歳)の2人です。この2人、リオ五輪ではLM4-で4位になったストロークとバウでした。31歳になるルータ選手はリオ五輪後に長く髭を伸ばし始め仙人のような風貌になってますね。Rowing仙人と名付けましょう。亀仙人ではありません。Rowing選手なのでサングラスもかけているためファンキーな外見は似てますが。しかしダンディで渋いおじさんがストロークで甘いマスクのイケメンがバウというのは、イタリアLM2X伝統のデフォなのでしょうか。仙人ルータ選手は、スカル王国イタリアで若手ナンバーワンとして活躍、2012ロンドン五輪の年にWRCでLM1X優勝、ロンドン五輪ではLM2X7位。以来、LM2Xの第一線で活躍してきましたが、2016リオ五輪ではメダルを獲るために急遽LM4-に選ばれたのです。
そして、オッポ選手はLM4-主戦のRowing人生であり、リオ五輪LM4-でルータとともに4位となり、その直後U23世界選手権でLM4-優勝しました。しかしご存知のように東京からLM4-種目がなくなり、若手ナンバーワンだったオッポは、LM2Xで実績のあるルータとともにLM2Xに転向となり、2人の相性もばっちりで東京に向かうことになったのです。ルータは2Xがメインでしたが、リオ五輪後にLM4-から鞍替えした2人、と言えなくもありません。
このような経緯の中で、優勝できる力のあるイタリアですが強力なアイルランドを筆頭に、多くのライバルがひしめくLM2X戦線。得意の先行策スタイルを変更せざるを得ないのか、それともスタイルを貫いていくか。軽量級スカル種目で常に存在感を見せてきたイタリアの戦いは続きます。
2018 世界選手権LM2Xイタリア
Sルータ選手とBオッポ選手。決勝では前半3'02秒台をマークしたが後半3'05でまとめたにも関わらず2位に敗れた。強敵アイルランドをはじめ多数のライバルに対し、今後どんな戦術とプランをもって戦いをしていくかが見どころ。
World Rowing Racing Videosより







LM4X
昨年2017年、決勝に来た国、フランス、イギリス、ギリシャ、イタリア、日本、スイスのうち、一気に顔ぶれが入れ替わってしまって、今年決勝に来たのはイタリアだけとなりました。フランス、イギリス、ギリシャはどこへ行った!
おそらくこの3か国の主力選手は引退してしまったのではないか?イギリスなどはLM4-だった選手も多いですからね。この種目の価値が上がることが必要でしょうし、やはりLM4-のように軽量級のオリンピック種目があと1つ2つ、ほしいですね・・・。

さて、決勝の6か国は、ドイツ、イタリア、デンマーク、チェコ、アイルランド、トルコという面々。軽量級でもオープンと同じくRowing選手の王国であるドイツとイタリアは別格として、デンマークは当然LM2Xを狙うためのLM4Xでしょうし、アイルランドはオドノバンだけじゃないんですね!アイルランドLM4Xは、平均21.5歳のU23クルーを世界選手権に出してきました。そして注目はトルコ。LM2XではFinal CかDの選手に、LM2-で実績ある選手やLM4-だった選手をスカル転向させたクルーとして、LM4Xを結成してきました。基本、スイープとスカルはどちらも同レベルで漕げるというのが私の考えでもありますが、もともと能力のあった選手がうまくフィットした結果でもあるでしょう。また、トルコは2015世界選手権LM8+にも出て5位になっていますが(優勝ドイツが5'38で、トルコは5'43)、エイト志向もあり、日本からは知られざる国もRowingがさかんなのであります。日本も世界からはRowing事情が知られていないところもあるでしょうからね。注目されるためには、結果を出すことが一番です。

レースではドイツとイタリアの2大強国がスタートからずっと並び競り続けるマッチレース、3番手集団にあと4艇、といった展開でしたが、第3でイタリアがやや失速したところをトルコが追い上げ一時はイタリアをかわすかという勢いを見せます。終始艇速を堅持したドイツが優勝、イタリアはラスト持ち直し2位、そして惜しくも3位だったトルコが、しかし堂々のメダル獲得となりました。

ドイツはLM1X優勝とLM4X優勝、イタリアはLM2X2位とLM4X2位と、軽量級男子スカルではアイルランドらと並び有力。昨年まで強かったフランスやイギリスは果たしてどうか。そしてさらにもっと強化に成功する国が現われるか。トルコのような注目に値する国も今後増えるかもしれません。LM2Xだけでも、多くのライバルがいるのです。
日本もこれからますます軽量級スカルの強化においてより計画的に、上をめざす強化体制を加速させてほしいです。
これら世界の頂点を決めるレースを制する力を、本当に詳しく世界Rowingを研究し尽くし、備えてほしいと思います。










女子軽量級編

LW1X
続いて女子軽量級です。LW1Xはこれまで世界大会で優勝がなかったフランスのタラントーラ選手が優勝しました。今年は急成長の若手が多い対戦となりました。
逆風のコンディションで行われたLW1X決勝。1カ月半前のU23世界選手権LW1X優勝したイギリスのグラント選手(22歳)がレースを引っ張り、高いレートで攻めのレースを展開します。フランスのタラントーラが着実に進めるコンスタントで追随し、そしてイギリスのように高いレートで3番手追走するイタリアのグエラ選手(22歳)は2016ジュニア世界選手権LW1Xチャンピオン。この3艇が優勝争いの中心になります。
逆風が強まった第2QでSR31とイギリスやイタリアより3枚ほどレートが低いフランスのタラントーラは着実に伸ばしていきグラントをかわしていきます。グラントは最初飛ばしているため、やや劣勢か。そのままタラントーラが2艇身ほど離していき大勢が決したかに見えるのですが、ラストが強いイギリスとイタリア、終盤に猛追がはじまります。特にイタリアのグエラ選手、スプリントを300m継続させさらにスピードアップ。イギリスのグラント、アメリカのゼクサーも追い込みますが、グエラのスパートがトップのタラントーラを激しく追い詰めたところでゴール。0.17秒差でタラントーラが辛くも逃げ切りました。

優勝のローラ・タラントーラ選手(173cm、24歳)はフランスのグルノーブル出身ということで、ギザビエさんの同郷でしょうか。これまでも決勝常連でしたが、逆のコンディションで7'51をマークし狙うはLW2Xでしょうか、楽しみです。

2位のクララ・グエラ選手(171cm、22歳)もおそらくLW2Xに行くことでしょう。しかし、1人でボートを漕ぐ1Xが好きということで、東京後はLW1Xに乗り続けたいそうです。Rowingに恋をして、夏が大好き冬が大嫌い、だそうですね。2019年1月Rising Starより。

そしてイギリスのイモジン・グラント選手(168cm、22歳)です。彼女はケンブリッジ大の医学生にして、ライトブルーの女子エースです。2017ボートレースでは168cm58kgの軽量級ながらエイトの2番に乗って、オックスフォード大に11艇身差圧勝のメンバーとなりました(ボートレースは川のレースなので大差がつきやすいですが)。ちなみにグラント以外は180cm前後のオープン選手ばかりです。今年U23世界選手権LW1X優勝し、世界選手権LW2X3位。学業もあるので東京五輪LW2X挑戦はどうなるかわかりませんが、このグラント選手も注目のボートマンですね!

BBCの動画サイトより ケンブリッジ大で医学とRowingに打ち込むイモジン・グラント選手を紹介するニュース

2018 世界選手権LW1X表彰式
3人の注目の若手が活躍。フランスのタラントーラ選手(中央)、イタリアのグエラ選手(左)、イギリスのグラント選手(右)
World Rowingサイトより写真転載







LW2X
ルーマニア、強し!世界選手権LW2X2連覇達成です。
今年はWRC第2戦で3位、ヨーロッパ選手権を4位として世界選手権に調整してきましたが、この1本にかける集中力、調整力はさすがですね。
しかしこのLW2X種目、優勝候補がたいへん多く争いの激しい種目であることはご存知の通りです。Final Cもレベル高いですがFinal Bには日本が残り、全体10位となりました。このFinal B、ワールドカップ第2戦でルーマニアやオランダを破り6'55を出したイタリア(Sチェザリーニ、Bロディーニ)や昨年LW1X優勝のマッキャンが乗る南アフリカ、ワールドカップ第3戦優勝のポーランドなど錚々たるライバルたちが揃っていました。その中で、ワールドカップ優勝のポーランドに0.8秒差先着した日本(S:O石選手、B:Y領選手)。今大会6'59のベストタイムを予選で出していますが、LW2X種目では6'50に迫るタイムを、目標高くめざしてほしいです。体重が同じ軽量級、できないことはありません!

しかしそのFinal Bより速いクルーが6艇、決勝で勝ち残っているのです。他の種目にも五輪候補はたくさんいます。これからですね。
その6か国、優勝したルーマニアのほか、今シーズン新しくコンビを組んだリオ五輪金のオランダ、LW2Xで安定して強いアメリカ、東京五輪までに仕上げてきそうな新生ダブルのスイス、昨年2位の実力者NZ、そして軽量級女子も強いイギリスです。
決勝レースはスタート直後から見ごたえのある熾烈な先頭争いを繰り広げた6艇でしたが、果敢に飛ばすイギリスとSR高く38以上を続ける攻撃的なコンスタントを持つルーマニアが前2艇として争う形へと推移します。第3ではイギリスの勢いが衰えルーマニアが単独リードとなり、後半一気に勝負をかけたいオランダ、アメリカ、スイスが追い上げますが、新女王ルーマニアには届きませんでした。
優勝ルーマニア、2位はアメリカがスプリント得意なオランダを上回りました。3位オランダ、4位スイス。5位イギリス、6位は昨シーズンの好調どこへ、NZという結果です。


昨年も紹介した躍進のルーマニアLW2X。昨年U23世界選手権、シニア世界選手権の両方をLW2X優勝したSジャニーナ・エレナ・ベラーガ(177cm23歳)と、Bイオネラ・リヴィア・コズミウク(179cm23歳)の同学年による長身コンビ。バウのコズミウク選手は、M2-の選手と結婚し昨年とは姓が変わっています。
今回、6'50の好タイムを叩き出し、昨年よりレベルの上がったLW2Xで2連覇ということで強さは本物、東京まで4年連続世界一と走り続けることも夢ではないでしょう。そしてとにかく競り合いに強いルーマニアですが、今回競るところまでいきませんでしたので、まだまだ進化する伸びしろたっぷり、これは強い2人です。
2018 世界選手権LW2Xルーマニア
進化を続ける、ともに23歳と若いコンビのルーマニア(Sベラーガ、Bコズミウク)
World Rowing Racing Videosより



そして、2位のアメリカはよく仕上げてきましたね。昨年3位でしたがバウのシュミーグ選手(168cm30歳)はそのまま、昨年LW1X3位のメアリー・ジョーンズ(172cm、32歳)をストロークに起用しました。東京では平均33歳、まだまだいけますね!


さて、3位に入ったオランダはリオ五輪金、今シーズンはイルセ・パウリス選手(173cm、25歳)と注目の若手マリーケ・カイザー選手(21歳)とのコンビで優勝を狙いLW2X始動しましたが、コンビ結成最初のシーズンはまさかの3位となりました。私も本命に推していましたが、噛み合うにはまだまだこれからといったところでしょうか。東京五輪で2連覇を果たすには、最大の難敵ルーマニアを破らなくてはなりませんし、たくさんの課題をクリアしていかなければならないようです。
2018 世界選手権LW2Xオランダ
予想外の敗戦にがっくりうなだれるオランダ(Sパウリス、Bカイザー)
World Rowing Racing Videosより



4位スイスも、ストロークにフレデリケ・ロル選手(170cm、25歳)にバウには昨年LW1X4位のパトリシア・メルツ選手(166cm、25歳)という能力の高い2人、五輪実績の高いスイスはこれからますます強く育てていくでしょう。
GBイギリスは軽量級の選手層も厚いですし、NZもこのまま引き下がるとは思えません。Final Bの6か国、それ以外にも中国、ドイツ、アイルランド、チェコ、そのほか多くのライバルたちがLW2Xに集結してますます競争が激しさを増すのです。






LW4X
最後にLW4Xです。一発決勝、6か国による争い。
ここは昨年3位の中国が欧米のおなじみの強国をくだして見事な優勝を果たしました。優勝中国、2位デンマーク、3位ドイツ、4位アメリカ、5位イギリス、6位イタリアという順位です。
中国LW4X(S:潘選手、3:陳選手、2:梁選手、B:呉選手)はスタートからドイツら2番手以下を寄せ付けず700m手前で早くも水をあけ、5秒差の2艇身以上もの差をつけた完勝。2位はジュリアン・ラスムッセン選手の乗るデンマークがラスト頑張って2位に入ります。この2艇は間違いなくLW2Xにシフトしてくるでしょう。
中国は、ストロークペアの潘選手(22歳)と陳選手(25歳)が実力者、2017ワールドカップ第2戦ポズナンでLW2X6'50という好タイムで優勝しているすごい2人です。潘選手などは2014年、まだ18歳の時に世界選手権LW2X3位に入っているのです。
このときコンビを組んだ黄文儀選手と、別の潘選手である潘飛鴻選手とのLW2Xはリオ五輪で銅メダルですからね。中国Rowingは情報が少なく私も本当によく分からないことが多いですが、やはりすごい。来年か再来年か分かりませんが、LW2Xではやはりメダル候補、場合によっては金メダル候補として浮上してくる可能性が高いですね。日本としては、軽量級で中国を上回りたいところがあります。国として相当な資金を投じているだろうという推測はありますが、中国が頑張っている以上、日本もこれに負けているわけにはいきません。世界Rowingで確かな存在感を見せる中国。このアジア1のボート強国をリスペクトしつつも、必ず上に立つ気概でいきたいですね。
2018 世界選手権LW4X中国
LW4X主体とした別ルートで東京LW2Xを狙ってくるだろう中国
World Rowing Racing Videosより







最後に、こちらの動画を。世界選手権2018の風景です。
新しいシーズン、オーストリアのリンツ-オッテンスハイムに向けた2019世界戦のシーズンはすぐそこです。
2018 World Championships - Overall Clip






昨年フロリダを吹き抜けた青い風は、ブルガリアで濃さを増したでしょうか。
東京の海の森に、果たしてどんな風景をもたらしてくれるのか、それはまだ未知の色ですが、ここブルガリアでの戦いや新たなクルーの輝きが示してくれていることでしょう。
各国の動向、Rowingにおいてめざす志は、それぞれですが、みな頂点をめざすことでメダルという勲章と誇りを得てRowingの喜びを感じたいはずなのです。
世界の強国に学び、そして追い越していく。ひとつの在り方を示し表現する。ただ憧れ、真似するだけではなく、しっかりと日本Rowingを世界にアピールする、そんな東京にしていきたいものですね。

しかしながら、こうやって高いレベルを目の当たりにし、研究することで彼らを等身大のライバルとしてしっかり競い勝っていく1年半にしていきましょう!!